さこゼロ短編集

さこゼロ

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聖夜の惨劇〜とあるプレゼント交換での出来事〜

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「さーて、恒例のプレゼント交換を行いまーす」

年に一度のクリスマスの日

私のいる大学では冬休みに入る前日に毎年クリスマスパーティーが行われていた。

これまた
恒例のプレゼント交換。

いくつかのグループに別れて輪になり、音楽にあわせてプレゼントを回していく。

音楽が止まったところで手にしているプレゼントをゲットできるというものだった。

よいものが当たればいいなあ。

~野林緑里さま主催、ナニカコ企画~
「プレゼント交換」を使わせていただきました。

内容に、少々の変更点がある事は、あらかじめご了承ください。



~~~

格安カラオケ店のパーティルーム、

とある大学の団体客が、クリスマスパーティを開いていた。

スピーカーから流れるクリスマスソングをBGMに、女性七人が円に並んでプレゼントを順に回していく。

そんな彼女たちの楽しそうな様子を、同じく七人の男性が固唾を飲んで見守っていた。

プレゼント交換でフィーリングカップル!

今回のパーティの目玉企画である。

男性陣が選んだプレゼントを女性陣がランダムで受け取って、そのセンスが気に入ればフィーリングカップルの成立となる。(建前はそうだが、大抵フィーリングカップルは成立する)

その後お付き合いにまで発展するかは、フリートークの結果次第、腕の見せどころという訳だ。

そんな中、スピーカーから流れていたBGMが、ピタッと唐突に終わりを遂げる。MC担当の先輩カップルが、演奏停止ボタンを押したのだ。

「は~い、そこで終了!」

明るい感じの女性の声が、マイクを通して部屋に響く。

「今、手元にあるのが運命の一品です。皆さん、一斉に開けてください!」

続けて発せられた男性の声をキッカケに、女性陣がガサゴソとプレゼントを開き始めた。

星崎愛綾ほしざきあ~やも、その一人である。

しかし集められたメンバーとは若干異なり、溢れんばかりのイケオーラを放っていた。

明るい茶髪は、三つ編みのハーフアップ。クリッとした大きな瞳には、ハニーシャインブラウンのカラコンが付けられていた。

本人も周りとの空気感の違いに気付いており、男性からの視線を一身に浴びながらも、そのテンションはかなり低い。

そしてこのあと更に、彼女のテンションに追い討ちをかけるような出来事が待っていた。

(何コレ、意味が分かんない…)

ガサゴソと開いたプレゼントから、黒いサンタの人形が出てきたのだ。

(マジで最悪なんですけど…っ)

愛綾はサンタの人形を包み袋に戻すと、心底盛大な溜め息を吐いた。

そのとき彼女の視界の片隅に、隣りの女性の手にあるネックレスが映り込む。

スマイルラインに施された、ピンクゴールドのネックレスだ。

(あのネックレス、センスいいじゃん! お通夜オンナには勿体ない)

お通夜オンナ、

愛綾が勝手につけた、隣りの女性の愛称である。

クリスマスパーティだと言うのに、黒いレースのショールを羽織った黒のワンピース姿。更には俯き加減のその姿勢のせいで、大きな眼鏡をかけているのに、黒髪ロングの目隠れキャラと化していた。

するとそのとき愛綾の脳細胞に、ナイスなアイデアが湧き上がる。

「ねーねーアナタ、私の貰ったプレゼント、今のアナタにピッタリだから、そのネックレスと交換してあげる」

「……え⁉︎ あ、でも…」

「いいから、いいから」

愛綾は半ば強引にネックレスを奪い取り、自分のプレゼント包みを押し付けた。

それからネックレスを手に立ち上がり、猫撫で声を響かせる。

「このネックレス、凄くセンスがいいです! 誰のプレゼントですかー?」

注目度の高かった愛綾の発言に、男性陣が焦ったように騒ついた。

そんな中、ひとりの男性が立ち上がる。

「あ、あの、自分は…」

紺色ジャケットに白のスラックス。冴えない中でも更にイモ。少しくらい地味でもセンスが良いならと思ったが、いくら何でもコレはない。

「あー、パスパス」

愛綾は右手をヒラヒラ振って男性陣に背中を向けると、女性グループのひとりに視線を向けた。

「レンレン帰ろ! やっぱりアッチのパーティに行けば良かった」

「謝罪。ウチのリサーチ不足」

その声に立ち上がったのは、黒髪サイドテールのひとりの女性。愛綾を覗き見る大きな瞳には、ロシアンベルベットブルーのカラコンが付いている。

「レンレンは良いの出た?」

「趣味じゃない。でも質は良いから出品する」

「わお、有効活用!」

「あ、あのー…」

そのときMC担当の男性司会が、戸惑ったような声をあげた。

「あ、私たち帰ります。あとは皆さんで楽しんでくださいねー!」

愛綾は笑顔でそれだけ告げると、悪びれもなく部屋を出る。

それから隣りを歩く、自分より小柄な少女の頭をコツンと小突いた。

「レンレンのせいだかんね」

「再度謝罪。いくら有名大学でも、クリスマスに合コンなんて、売れ残りに決まってた」

「確かにそーだわ! 私も気付けってやつか」

レンレンの核心的な分析に、愛綾も思わず、目から鱗が落ちる。それからゆっくりと、小さな溜め息を吐いた。

「あーあ、この後どーしよっか?」

「場所は把握済み。まだ終わってないから、アッチのパーティに参加出来る」

「ホント⁉︎ じゃー行こ行こ!」

それと同時に、愛綾の脳裏に閃きが降る。

「あ、私、このネックレスしてこっと」

「確かにそれ、センスいい」

「でしょ!」

親友の賛辞に気を良くしながら、手に入れたネックレスを首に着けた。

それから愛綾は、エレベーターの呼び出しボタンをポチッと押す。

ここのカラオケ店は雑居ビルの三、四、五階。下に下りるなら、エレベーターか階段を使わなければならない。

「今日はエレベーターを、使わない方がいい」

そのとき突然、背後から声を掛けられ、愛綾は驚いたように振り返った。

するとそこには、隣りの席のお通夜オンナが、俯き加減で立っていた。

「何それ、さっきの報復のつもり?」

愛綾は腰に手を当て、相手を見下したような視線を向ける。同時にポーンと音がして、エレベーターの扉がガーっと開いた。

「どーせやるなら、もっと気の利いたセリフを吐きなよ。まあ会場間違ったお通夜オンナには、ちょっと難しかったか」

嘲笑うように言い残し、背中を向けて、愛綾はエレベーターに乗り込んでいく。

やがてレンレンの操作で扉が閉まり、ゆっくりと機体が降下を始めた。

その瞬間、

何かに引っ張られるように、愛綾の身体が背中から扉にはりつけられた。

更にエレベーターの降下に合わせて、ネックレスが愛綾の喉をどんどんと締め付けていく。

「がっ、く、苦し…レンレン、助け…っ」

あまりに突然の惨状に、レンレンは立ち尽くしたまま動けない。

やがて、その時が訪れる。

煌びやかな光に色付く街の聖夜に、ひとりの少女の絶叫が何処までも響き渡っていった。




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