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序章
アイとおキクとついでにイオと
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上尾亜衣は中学2年生。竜宮市立第三中学校に通っている。肩まで伸びた黒髪をポニーテールにしているのだが、シッポは短くちょんとハネ気味。活発そうな顔をした、小柄な少女である。
今日から新学年の新しいクラス。亜衣は男女混合の出席番号の3番目。一番窓際の席になる。
植岡菊は中学2年生。竜宮市立第三中学校に通っている。艶のあるストレートの黒髪は背中にまで届いており、前髪は眉の上で真っ直ぐに切り揃えられている。少し身長のあるスラリとした体型で、日本人形のような落ち着いた表情の美少女である。
今日から新学年の新しいクラス。お菊は男女混合の出席番号の4番目。一番窓際の席になる。
亜衣は今年初めて同じクラスになった少女のことが、とても気になって仕方がない。休み時間になると直ぐさま振り返り、後ろの少女に話しかけた。
「はじめまして植岡さん。私は上尾亜衣」
「はじめまして上尾さん。私は植岡菊です」
「あの、えと、私たち五十音並んでるね」
あいうえおかきく…
亜衣は少し照れながら、しかし恐る恐る言った。
お菊はそんな亜衣の心情を察したように、にこやかに微笑んだ。
「そうですね。私も思ってました」
ふたりは目を見合わせて同時に笑う。お互いの共通点を確認しあい、一気に距離感が近くなる。
ふたりが親友になるのに、そんなに時間はかからなかった。
~~~
阿上伊緒は亜衣より2つ年下の小学6年生。最近近所に引っ越してきた。少し刈り上げられた黒い短髪で、軽くつり上がった目をした元気な男の子だ。余談だが、身長はすでに亜衣を越している。
伊緒の両親は共働きで、母親同士が仲良くなった亜衣の家に、遊びに来ることが多くなった。
伊緒が亜衣の家に来るときは、だいたいお気に入りのゲームを持参した。ガンコンと呼ばれる銃の形をしたコントローラーをテレビ画面に向けて撃ち、敵を倒していくというものだ。
いつしか亜衣もハマってしまい、亜衣が家にいるときは、亜衣が独占してしまっている状態である。
今日の亜衣は冴えていた。
クリア時に発表される称号が「ライトニング」と映しだされる。
「え?これって…」
亜衣は興奮で、フルフルと身体が震えた。
称号には4種類あり、下から「ビギナー」「プロ」「マスター」「ライトニング」である。
「確か伊緒くん、前にマスターランクだって言ってなかった?」
「言ったよ」
伊緒が無表情に答える。
「や、やったーー!」
亜衣はバンザイして喜んだ。あまりの声にキッチンにいた母親が、一瞬ビクッとしたほどである。
「喜んでるとこ悪いけど、難易度てのがあるんだ」
「ん?」
亜衣は首を傾げる。そんな亜衣に伊緒が難易度の説明を始めた。難易度には下から「ノーマル」「ハード」「ヘル」の3種類が存在し、段々と難しくなっていく。難易度をひとつ高くすると、一気に半分の面もクリア出来なくなるほどである。
「亜衣姉ちゃんが今までやってたのは、ノーマル」
伊緒は意地悪そうに笑った。
「俺は、ヘルモードのマスターランク」
伊緒のドヤ顔を見せつけられ、亜衣は雷に打たれ骨まで透けた。ぷすぷすと黒い煙を噴きながら、亜衣は「ぐぬぬ」と唇を噛んだ。
「伊緒くん、今日からこのゲーム、私借りることにするわ」
「いいゼ!姉ちゃんの成長を楽しみに待ってるよ」
今日から新学年の新しいクラス。亜衣は男女混合の出席番号の3番目。一番窓際の席になる。
植岡菊は中学2年生。竜宮市立第三中学校に通っている。艶のあるストレートの黒髪は背中にまで届いており、前髪は眉の上で真っ直ぐに切り揃えられている。少し身長のあるスラリとした体型で、日本人形のような落ち着いた表情の美少女である。
今日から新学年の新しいクラス。お菊は男女混合の出席番号の4番目。一番窓際の席になる。
亜衣は今年初めて同じクラスになった少女のことが、とても気になって仕方がない。休み時間になると直ぐさま振り返り、後ろの少女に話しかけた。
「はじめまして植岡さん。私は上尾亜衣」
「はじめまして上尾さん。私は植岡菊です」
「あの、えと、私たち五十音並んでるね」
あいうえおかきく…
亜衣は少し照れながら、しかし恐る恐る言った。
お菊はそんな亜衣の心情を察したように、にこやかに微笑んだ。
「そうですね。私も思ってました」
ふたりは目を見合わせて同時に笑う。お互いの共通点を確認しあい、一気に距離感が近くなる。
ふたりが親友になるのに、そんなに時間はかからなかった。
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阿上伊緒は亜衣より2つ年下の小学6年生。最近近所に引っ越してきた。少し刈り上げられた黒い短髪で、軽くつり上がった目をした元気な男の子だ。余談だが、身長はすでに亜衣を越している。
伊緒の両親は共働きで、母親同士が仲良くなった亜衣の家に、遊びに来ることが多くなった。
伊緒が亜衣の家に来るときは、だいたいお気に入りのゲームを持参した。ガンコンと呼ばれる銃の形をしたコントローラーをテレビ画面に向けて撃ち、敵を倒していくというものだ。
いつしか亜衣もハマってしまい、亜衣が家にいるときは、亜衣が独占してしまっている状態である。
今日の亜衣は冴えていた。
クリア時に発表される称号が「ライトニング」と映しだされる。
「え?これって…」
亜衣は興奮で、フルフルと身体が震えた。
称号には4種類あり、下から「ビギナー」「プロ」「マスター」「ライトニング」である。
「確か伊緒くん、前にマスターランクだって言ってなかった?」
「言ったよ」
伊緒が無表情に答える。
「や、やったーー!」
亜衣はバンザイして喜んだ。あまりの声にキッチンにいた母親が、一瞬ビクッとしたほどである。
「喜んでるとこ悪いけど、難易度てのがあるんだ」
「ん?」
亜衣は首を傾げる。そんな亜衣に伊緒が難易度の説明を始めた。難易度には下から「ノーマル」「ハード」「ヘル」の3種類が存在し、段々と難しくなっていく。難易度をひとつ高くすると、一気に半分の面もクリア出来なくなるほどである。
「亜衣姉ちゃんが今までやってたのは、ノーマル」
伊緒は意地悪そうに笑った。
「俺は、ヘルモードのマスターランク」
伊緒のドヤ顔を見せつけられ、亜衣は雷に打たれ骨まで透けた。ぷすぷすと黒い煙を噴きながら、亜衣は「ぐぬぬ」と唇を噛んだ。
「伊緒くん、今日からこのゲーム、私借りることにするわ」
「いいゼ!姉ちゃんの成長を楽しみに待ってるよ」
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