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第1章
初めての戦闘 3
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中学生とはいえ、咄嗟に女性を抱きしめてしまったことが急に恥ずかしくなり、佐藤はふたりからそーっと離れる。
そして常備してある丸イスに腰を掛け「コホン」とひとつ咳払いしてから、亜衣とお菊に優しく笑いかけた。
「少しは落ち着いたかい?」
「…うん」
亜衣とお菊は同時に頷いた。
冷静さを取り戻すと思考が巡るようになり、いろいろなことが気になりだす。
「あの、向こうは大丈夫でしょうか?」
お菊は恐る恐る質問した。
「そうだね。セーレー教えてくれ」
佐藤は横の機械に顔を向ける。
「多数の犠牲者が出ましたが、撃退には成功しました。現在、復興作業が開始しています」
セーレーのその報告に、お菊は喜んで良いのかどうか判断がつかなかった。
「あ、私たちのアバター!」
亜衣が思い出したように声を張り上げる。すると佐藤が、直ぐさま答えた。
「それも大丈夫。セーレーによりカタン出張所に運ばれ、そこで大切に保管されている」
「考えてみたら…」
お菊が「ハッ」としたような声を出す。
「私たちが誰もいない間にカタン市が襲われて、もしも負けてしまったらどうなるのですか?」
「その話はまだしてなかったね」
佐藤は亜衣とお菊の顔を交互に見た。
「ややこしい話になるけど、聞くかい?」
ふたりは一回顔を見合わせると、佐藤の方に向き直り揃ってゆっくり頷いた。
・基本的には、次回転位時は前回帰還時の直後に転位する。メンバーが複数の場合は、最後の帰還者の直後に最初の転位者が転位する。それ故に全員の転位と帰還を極力揃えるようにしている。
・もちろん転位者がいない間も向こうの時間は動いているが、転位者が転位することにより歴史が改変され、過ぎた時間がなかったことになる。
・改変前に起こった出来事は、改変後にも起こる可能性が高いので、セーレーに蓄積された情報を元に「リスク予報」としてラング国に提出している。ただし歴史は改変されているので、的中率は100%とは限らない。
「こんな感じだが、どうだ?」
佐藤は探るようにふたりを見た。
亜衣の脳ミソは早々とショートしてしまい、頭からプスプスと煙が吹き上がっている。
お菊は真剣な表情で佐藤の言葉を聞いていた。今も何やら「ブツブツ」と呟いている。恐らくなんとなくは理解しているであろう。
「で、どうする?」
佐藤が亜衣とお菊の顔を覗き込む。ふたりは意味も分からずキョトンとした。
「今日はもう帰るかい?」
佐藤の言葉の意味を理解し、ふたりは「ゴクリ」と息を飲む。そしてしばらく考えたあと、二人同時に口を開いた。
「もう一度行きます!」
~~~
アイとおキクがカタン出張所を出ると、玄関先でアサノが待っていた。
「よお、チョットは落ち着いたかよ?」
アサノは不敵に「ニヤッ」と笑う。
「ご迷惑おかけして、すみませんでした」
アイとおキクは深々と頭を下げた。
「まあ、これから頑張りな!」
アサノはふたりの頭にポンと手を乗せると、ガシガシと乱暴に撫でた。
「あ、ちょうど良かったよ」
そこにサカシタが、女の子を連れて現れた。さっき泣いてたツインテールの女の子だ。
「この子が、アイくんとおキクさんにお礼がしたいんだって」
するとその女の子が、タタタッとふたりの足元に走ってきた。
「お姉ちゃんたち、リンを助けてくれて、どーもありがとう!」
リンは深々と頭を下げる。アイは膝をつくと、顔を上げたリンと視線を合わせて優しく微笑んだ。
「リンちゃんを助けてくれたのは、アッチのお姉さんだよ。私たちじゃないよ」
アイは手のひらを向けて、アサノを紹介する。
「違うよ!お姉ちゃんたちも魔物が怖かったのに、リンのこと、ちゃんと守ってくれた。だから、いっぱいイッパイありがとう!」
リンは無邪気に明るく笑った。
その瞬間、アイの目から涙が零れ落ちた。
「お姉ちゃん、どうしたの?どこか痛いの?」
「違うの、大丈夫」
アイは思わずリンを抱きしめる。
「ありがとう…リンちゃん。ホントにありがとう」
アイは思い切り泣いた。
おキクも堪えきれず涙が零れる。
それからリンは母親と二人で帰っていった。
その母娘姿を並んで見送るアイとおキクを、アサノが背後から突然抱きしめた。
「初日にしたら上出来だ!これから期待してるぜ、ルーキー!」
そして常備してある丸イスに腰を掛け「コホン」とひとつ咳払いしてから、亜衣とお菊に優しく笑いかけた。
「少しは落ち着いたかい?」
「…うん」
亜衣とお菊は同時に頷いた。
冷静さを取り戻すと思考が巡るようになり、いろいろなことが気になりだす。
「あの、向こうは大丈夫でしょうか?」
お菊は恐る恐る質問した。
「そうだね。セーレー教えてくれ」
佐藤は横の機械に顔を向ける。
「多数の犠牲者が出ましたが、撃退には成功しました。現在、復興作業が開始しています」
セーレーのその報告に、お菊は喜んで良いのかどうか判断がつかなかった。
「あ、私たちのアバター!」
亜衣が思い出したように声を張り上げる。すると佐藤が、直ぐさま答えた。
「それも大丈夫。セーレーによりカタン出張所に運ばれ、そこで大切に保管されている」
「考えてみたら…」
お菊が「ハッ」としたような声を出す。
「私たちが誰もいない間にカタン市が襲われて、もしも負けてしまったらどうなるのですか?」
「その話はまだしてなかったね」
佐藤は亜衣とお菊の顔を交互に見た。
「ややこしい話になるけど、聞くかい?」
ふたりは一回顔を見合わせると、佐藤の方に向き直り揃ってゆっくり頷いた。
・基本的には、次回転位時は前回帰還時の直後に転位する。メンバーが複数の場合は、最後の帰還者の直後に最初の転位者が転位する。それ故に全員の転位と帰還を極力揃えるようにしている。
・もちろん転位者がいない間も向こうの時間は動いているが、転位者が転位することにより歴史が改変され、過ぎた時間がなかったことになる。
・改変前に起こった出来事は、改変後にも起こる可能性が高いので、セーレーに蓄積された情報を元に「リスク予報」としてラング国に提出している。ただし歴史は改変されているので、的中率は100%とは限らない。
「こんな感じだが、どうだ?」
佐藤は探るようにふたりを見た。
亜衣の脳ミソは早々とショートしてしまい、頭からプスプスと煙が吹き上がっている。
お菊は真剣な表情で佐藤の言葉を聞いていた。今も何やら「ブツブツ」と呟いている。恐らくなんとなくは理解しているであろう。
「で、どうする?」
佐藤が亜衣とお菊の顔を覗き込む。ふたりは意味も分からずキョトンとした。
「今日はもう帰るかい?」
佐藤の言葉の意味を理解し、ふたりは「ゴクリ」と息を飲む。そしてしばらく考えたあと、二人同時に口を開いた。
「もう一度行きます!」
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アイとおキクがカタン出張所を出ると、玄関先でアサノが待っていた。
「よお、チョットは落ち着いたかよ?」
アサノは不敵に「ニヤッ」と笑う。
「ご迷惑おかけして、すみませんでした」
アイとおキクは深々と頭を下げた。
「まあ、これから頑張りな!」
アサノはふたりの頭にポンと手を乗せると、ガシガシと乱暴に撫でた。
「あ、ちょうど良かったよ」
そこにサカシタが、女の子を連れて現れた。さっき泣いてたツインテールの女の子だ。
「この子が、アイくんとおキクさんにお礼がしたいんだって」
するとその女の子が、タタタッとふたりの足元に走ってきた。
「お姉ちゃんたち、リンを助けてくれて、どーもありがとう!」
リンは深々と頭を下げる。アイは膝をつくと、顔を上げたリンと視線を合わせて優しく微笑んだ。
「リンちゃんを助けてくれたのは、アッチのお姉さんだよ。私たちじゃないよ」
アイは手のひらを向けて、アサノを紹介する。
「違うよ!お姉ちゃんたちも魔物が怖かったのに、リンのこと、ちゃんと守ってくれた。だから、いっぱいイッパイありがとう!」
リンは無邪気に明るく笑った。
その瞬間、アイの目から涙が零れ落ちた。
「お姉ちゃん、どうしたの?どこか痛いの?」
「違うの、大丈夫」
アイは思わずリンを抱きしめる。
「ありがとう…リンちゃん。ホントにありがとう」
アイは思い切り泣いた。
おキクも堪えきれず涙が零れる。
それからリンは母親と二人で帰っていった。
その母娘姿を並んで見送るアイとおキクを、アサノが背後から突然抱きしめた。
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