60 / 98
第3章
ヨーケバ城跡の悪魔 1
しおりを挟む
アイたちが時空間を飛び越え、ラング国への転位に成功すると、カタン出張所の寝室でジェーンが出迎えてくれた。
「皆さんに、市長から話があるから来て欲しいと伝言だよ」
「市長が?」
アサノがちょっと嫌そうに応える。
「それでは皆さん、体に気を付けて、いってらっしゃい」
ジェーンはお辞儀をすると、部屋から退室した。
「話って何だろ?」
アイが独り言のように呟く。
「ま、しょーがない。とりあえず行くか」
アサノは全員の顔を見回すと、ワシャワシャと頭を掻いて溜め息を吐いた。
~~~
アイたちが市長官邸に入ると、待っていた秘書官の女性が市長室まで案内をしてくれた。
「おお、よく来てくれた」
部屋に入ると、市長が両手を広げて皆を歓迎する。
「何か用かよ」
アサノがフンと鼻を鳴らして冷たく言い放った。
「アサノ!」
サカシタが小声で横のアサノを注意する。しかし市長に、気に留めた様子は全くない。
「アサノくんは相変わらず冷たいのう」
次の瞬間、市長が突然顔を赤らめると、鼻息を荒くしてプルプルと身震いした。
(あ、コレ…ダメな大人だ)
アイとおキクが白い目で市長を見る。
「市長!」
秘書官がどこから取り出したのか、市長の頭をハリセンでスパンとはたいた。
「子どもが見ています」
市長はハッと我にかえると、「コホン」と咳払いを挟んで居住まいを正す。
「今日呼んだのは他でもない」
そして、何事もなかったかのように話し始めた。
「赤き結界師についての情報が、少しだけ判明したんじゃ」
「居場所が分かったのか?」
アサノが身を乗り出して反応する。
「いや…最後の足取りまでじゃ」
「どこだ?」
「もう50年以上も前の話じゃが、カムカ村に移り住んだらしいのじゃ」
(カムカ村?どこかで聞いたような…)
おキクはハッと思い出しフランの方を見た。フランは俯き押し黙っている。
「じゃがな…魔物の襲撃によって攻め滅ぼされておる。今のところ安否は不明じゃ」
市長の言葉に場の空気がドンヨリと沈んだ。アサノに至っては舌打ちをしながら床を蹴っている。
「大丈夫。きっと生きてるよ」
そのときアイが、あっけらかんと笑った。
「なんでそう言い切れる?」
アサノが鋭い目でアイを睨む。
「だって、予言が出てるんだもん」
「そ…そうじゃ!」
アイの言葉に市長の瞳が輝いた。
「あの予言があるんじゃ。きっと何処かで生きているに決まっておる!」
~~~
市長の話が終わると、アサノとサカシタはネヤガー市へと転移していった。
アイたちは一旦冒険者の詰所に向かうことにする。その道中でおキクはフランに話しかけた。
「フラン、もしかして…」
「ごめんなさい。分かりません」
フランはおキクの言葉を遮り頭を下げる。
「父には何も聞かされていません。ただ…」
「ただ?」
「コレは昨日思い出したことなのですが、実は父に言われていたことがあります」
フランは背筋をピンと伸ばすと、アイとおキクを真っ直ぐに見た。
「もしもこの先、この国が未曾有の災いに見舞われたなら…マイール村に向かうようにと」
「そこって!」
「はい…サトーさんのお話に出てきた村です」
「何があるの?」
「ごめんなさい。知らないんです」
「じゃあこのパーティの最初の目的は、フランをマイール村に連れて行くことだね」
アイが「ヨッシ!」と気合いを入れる。
「そうね」
おキクも大きく頷いた。
「なんだか燃えてきたー!」
アイは体を反らして空を見上げると、両手を大きく振り上げた。
「皆さんに、市長から話があるから来て欲しいと伝言だよ」
「市長が?」
アサノがちょっと嫌そうに応える。
「それでは皆さん、体に気を付けて、いってらっしゃい」
ジェーンはお辞儀をすると、部屋から退室した。
「話って何だろ?」
アイが独り言のように呟く。
「ま、しょーがない。とりあえず行くか」
アサノは全員の顔を見回すと、ワシャワシャと頭を掻いて溜め息を吐いた。
~~~
アイたちが市長官邸に入ると、待っていた秘書官の女性が市長室まで案内をしてくれた。
「おお、よく来てくれた」
部屋に入ると、市長が両手を広げて皆を歓迎する。
「何か用かよ」
アサノがフンと鼻を鳴らして冷たく言い放った。
「アサノ!」
サカシタが小声で横のアサノを注意する。しかし市長に、気に留めた様子は全くない。
「アサノくんは相変わらず冷たいのう」
次の瞬間、市長が突然顔を赤らめると、鼻息を荒くしてプルプルと身震いした。
(あ、コレ…ダメな大人だ)
アイとおキクが白い目で市長を見る。
「市長!」
秘書官がどこから取り出したのか、市長の頭をハリセンでスパンとはたいた。
「子どもが見ています」
市長はハッと我にかえると、「コホン」と咳払いを挟んで居住まいを正す。
「今日呼んだのは他でもない」
そして、何事もなかったかのように話し始めた。
「赤き結界師についての情報が、少しだけ判明したんじゃ」
「居場所が分かったのか?」
アサノが身を乗り出して反応する。
「いや…最後の足取りまでじゃ」
「どこだ?」
「もう50年以上も前の話じゃが、カムカ村に移り住んだらしいのじゃ」
(カムカ村?どこかで聞いたような…)
おキクはハッと思い出しフランの方を見た。フランは俯き押し黙っている。
「じゃがな…魔物の襲撃によって攻め滅ぼされておる。今のところ安否は不明じゃ」
市長の言葉に場の空気がドンヨリと沈んだ。アサノに至っては舌打ちをしながら床を蹴っている。
「大丈夫。きっと生きてるよ」
そのときアイが、あっけらかんと笑った。
「なんでそう言い切れる?」
アサノが鋭い目でアイを睨む。
「だって、予言が出てるんだもん」
「そ…そうじゃ!」
アイの言葉に市長の瞳が輝いた。
「あの予言があるんじゃ。きっと何処かで生きているに決まっておる!」
~~~
市長の話が終わると、アサノとサカシタはネヤガー市へと転移していった。
アイたちは一旦冒険者の詰所に向かうことにする。その道中でおキクはフランに話しかけた。
「フラン、もしかして…」
「ごめんなさい。分かりません」
フランはおキクの言葉を遮り頭を下げる。
「父には何も聞かされていません。ただ…」
「ただ?」
「コレは昨日思い出したことなのですが、実は父に言われていたことがあります」
フランは背筋をピンと伸ばすと、アイとおキクを真っ直ぐに見た。
「もしもこの先、この国が未曾有の災いに見舞われたなら…マイール村に向かうようにと」
「そこって!」
「はい…サトーさんのお話に出てきた村です」
「何があるの?」
「ごめんなさい。知らないんです」
「じゃあこのパーティの最初の目的は、フランをマイール村に連れて行くことだね」
アイが「ヨッシ!」と気合いを入れる。
「そうね」
おキクも大きく頷いた。
「なんだか燃えてきたー!」
アイは体を反らして空を見上げると、両手を大きく振り上げた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」
「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」
「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる