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第3章
ヨーケバ城跡の悪魔 2
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アイたちがいつもどおりに冒険者の詰所の玄関をくぐると、エリサがひとりの女性冒険者と会話をしている姿が目に入った。
そこでアイたちは、受付カウンターのそばで大人しく待つことにする。
「頼むよ、エリサさん。心当たりがあったら教えてくれ」
女性冒険者が拝むように「お願い!」と顔の前で手のひらを合わせた。
ボサボサした白い髪のショートヘアに、大きくクリッとした青い瞳。開いた口からのぞく一本の八重歯が印象的である。健康的な褐色の肌にフランと似たようなノースリーブの革鎧と白の半パンを着け、両手には拳を保護する黒い手甲をはめている。アイくらいの身長の、20歳前後の女性であった。
「そう言われましても……ソアラさんはここにはあまり、お顔をお出しにはなりませんので」
エリサが困ったような表情になる。
そのときフランが、会話に出てきたソアラの名に軽い反応を示した。
「おはようございます、エリサさん。何かありましたか?」
挨拶をしながら、フランが一歩進み出る。
「あ、皆さん。おはようございます」
こちらに気付いたエリサが笑顔で挨拶を返した。
「それと…?」
「あ、この方は、S級冒険者『迅雷』のターニャさんです」
フランの視線に気付いたエリサが、女性冒険者を紹介する。
「ターニャだ、よろしくな!」
ターニャが口を大きく開けて「ニカッ」と笑った。白い八重歯が可愛くのぞく。
「え…S級!?」
アイが口をアングリ開けて驚いた。見た目からではとても想像が出来ない。
「あ、今、強そうに見えないとか思ったな」
「いえいえ、そんな!」
おキクが慌てたように、胸の前で両手を振った。
「んで、お前たちは誰だ?」
「この方たちは、C級冒険者のアイさん、おキクさん、フランさんです」
萎縮してしまっているアイたちに代わって、エリサが即座に答える。
「C級…ねぇ」
ターニャは値踏みするように、アイたちをゆっくりと見回した。
「と…ところで、今何の話をされてたんですか?」
フランがこの緊張から解放されるために、なんとか声を絞り出す。
「あー、それがだな」
それを受けて、ターニャは目を閉じて腕を組んだ。
「どっかのバカが黒帝狼を討伐したって噂があってな、それがどうも本当らしいんだ」
「アハハ…凄いですね」
間髪入れずに、エリサが乾いた声で笑う。
「しかもオレが調べた範囲では、どうもS級やA級の冒険者じゃないようなんだ」
ターニャはカッと目を見開くと、左の手のひらに右の拳をパンと打ちつけた。
「S級として、このまま黙って終わらす訳にはいかない!」
~~~
時間は少し遡り…
ここはネヤガー市の冒険者の詰所である。
最前線ということもあり、冒険者の数がカタン市の比ではない。ここの詰所はカタン市のような宿泊施設はないが、体育館並みの広さがある。フードコートと言うよりも、食博のような規模であった。
「ソアラじゃねーか、ちょうどよかった」
そのときターニャは、ソアラを見かけると腕を振って大声で呼びかけた。
「あらターニャさん。一体どうしましたの?」
「オレと一緒に、大物狩りに行こーぜ!」
「何を急に…」
そこまで言って、目を細めてターニャを見つめる。
「あの噂…ですね?」
ソアラが察したように「ははーん」と笑った。
「ターニャさんは随分と、負けず嫌いですこと」
「ウルサイ!お前に言われたくないっ!」
ターニャがおツユを飛ばしながら、力一杯に声を張り上げる。
「でも無理ですわ。私には…というより、ここにいる冒険者には…ですけど」
「う…」
「ターニャさんも知ってのとおり、近々軍の大きな作戦がありそうだと情報がありますわ。皆それに参加する為にここにいるのです。おそらく誰も…ターニャさんの誘いには乗らないでしょうね」
そのときソアラが、腰を曲げてターニャの耳元に顔を寄せる。
「どうせカタン市にも寄るのでしょう?もしかしたら、掘り出し物の冒険者に出会えるかもしれませんよ?」
それだけ言うと、ソアラはスッと離れて立ち去っていく。
「どういう意味だ?」
「さあ?」
ソアラは顔だけ振り返ると、愉快そうに微笑んだ。
そこでアイたちは、受付カウンターのそばで大人しく待つことにする。
「頼むよ、エリサさん。心当たりがあったら教えてくれ」
女性冒険者が拝むように「お願い!」と顔の前で手のひらを合わせた。
ボサボサした白い髪のショートヘアに、大きくクリッとした青い瞳。開いた口からのぞく一本の八重歯が印象的である。健康的な褐色の肌にフランと似たようなノースリーブの革鎧と白の半パンを着け、両手には拳を保護する黒い手甲をはめている。アイくらいの身長の、20歳前後の女性であった。
「そう言われましても……ソアラさんはここにはあまり、お顔をお出しにはなりませんので」
エリサが困ったような表情になる。
そのときフランが、会話に出てきたソアラの名に軽い反応を示した。
「おはようございます、エリサさん。何かありましたか?」
挨拶をしながら、フランが一歩進み出る。
「あ、皆さん。おはようございます」
こちらに気付いたエリサが笑顔で挨拶を返した。
「それと…?」
「あ、この方は、S級冒険者『迅雷』のターニャさんです」
フランの視線に気付いたエリサが、女性冒険者を紹介する。
「ターニャだ、よろしくな!」
ターニャが口を大きく開けて「ニカッ」と笑った。白い八重歯が可愛くのぞく。
「え…S級!?」
アイが口をアングリ開けて驚いた。見た目からではとても想像が出来ない。
「あ、今、強そうに見えないとか思ったな」
「いえいえ、そんな!」
おキクが慌てたように、胸の前で両手を振った。
「んで、お前たちは誰だ?」
「この方たちは、C級冒険者のアイさん、おキクさん、フランさんです」
萎縮してしまっているアイたちに代わって、エリサが即座に答える。
「C級…ねぇ」
ターニャは値踏みするように、アイたちをゆっくりと見回した。
「と…ところで、今何の話をされてたんですか?」
フランがこの緊張から解放されるために、なんとか声を絞り出す。
「あー、それがだな」
それを受けて、ターニャは目を閉じて腕を組んだ。
「どっかのバカが黒帝狼を討伐したって噂があってな、それがどうも本当らしいんだ」
「アハハ…凄いですね」
間髪入れずに、エリサが乾いた声で笑う。
「しかもオレが調べた範囲では、どうもS級やA級の冒険者じゃないようなんだ」
ターニャはカッと目を見開くと、左の手のひらに右の拳をパンと打ちつけた。
「S級として、このまま黙って終わらす訳にはいかない!」
~~~
時間は少し遡り…
ここはネヤガー市の冒険者の詰所である。
最前線ということもあり、冒険者の数がカタン市の比ではない。ここの詰所はカタン市のような宿泊施設はないが、体育館並みの広さがある。フードコートと言うよりも、食博のような規模であった。
「ソアラじゃねーか、ちょうどよかった」
そのときターニャは、ソアラを見かけると腕を振って大声で呼びかけた。
「あらターニャさん。一体どうしましたの?」
「オレと一緒に、大物狩りに行こーぜ!」
「何を急に…」
そこまで言って、目を細めてターニャを見つめる。
「あの噂…ですね?」
ソアラが察したように「ははーん」と笑った。
「ターニャさんは随分と、負けず嫌いですこと」
「ウルサイ!お前に言われたくないっ!」
ターニャがおツユを飛ばしながら、力一杯に声を張り上げる。
「でも無理ですわ。私には…というより、ここにいる冒険者には…ですけど」
「う…」
「ターニャさんも知ってのとおり、近々軍の大きな作戦がありそうだと情報がありますわ。皆それに参加する為にここにいるのです。おそらく誰も…ターニャさんの誘いには乗らないでしょうね」
そのときソアラが、腰を曲げてターニャの耳元に顔を寄せる。
「どうせカタン市にも寄るのでしょう?もしかしたら、掘り出し物の冒険者に出会えるかもしれませんよ?」
それだけ言うと、ソアラはスッと離れて立ち去っていく。
「どういう意味だ?」
「さあ?」
ソアラは顔だけ振り返ると、愉快そうに微笑んだ。
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