中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

文字の大きさ
62 / 98
第3章

ヨーケバ城跡の悪魔 3

しおりを挟む
『どうせカタン市にも寄るのでしょう?もしかしたら、掘り出し物の冒険者に出会えるかもしれませんよ?』

ターニャはモノマネを織り混ぜながら、これまでの状況を説明した。根本的には楽しい人のようだ。

「へー、ソアラさんがそんなことを…でも掘り出し物って誰のことだろ?」

(いや、多分私たち!)

アイの天然におキクが内心でツッコミを入れた。

「ほー、ソアラと面識があるんだ?」

するとターニャが目を細めて、興味深そうにアイの顔をジロジロと見回す。それからパッと、エリサの方に顔を向けた。

「エリサさん、コイツらの討伐履歴って分かる?」

「それは勿論分かりますが、そう簡単に教える訳には…」

「ったく…お堅いことで」

ターニャは肩をすくめると、口元に手を当て思案顔になる。

「だったら今までの合計討伐数は?それくらいなら構わないよな?」

「まあ、そのくらいなら…少々お待ちください」

ターニャに言われて、エリサは自分の端末から情報を引き出す。

「139体ですね」

(…見込み違いか)

エリサの返答を聞いて、ターニャは思わず落胆してしまった。

「お前らもっと頑張れよ。冒険者になってどのくらいになるんだ?」

「え…?」

ターニャの言葉に、3人はお互い顔を見合わせる。

「5日目になります」

おキクが代表で、指折り数えながら答えた。

「……は?」

ターニャが素っ頓狂な声をあげる。

(待て待て。あり得るのか、そんなこと?)

たった数日でこれだけの討伐数となると、大規模襲撃戦にでも参加しないと絶対に無理だ。そして、最近あった大規模襲撃と言えば…

ネヤガー市ヤータ市同時襲撃!

ソアラと面識があったことを踏まえると、ヤータ市防衛戦に参加していたことになる。しかし…これだけの戦果で、なぜ何の話題にもならない?

「やりやがったな、ソアラのヤツ」

ソアラの真意は分からないが、この事実を意図的に隠したのだ。

それと、もうひとり…

ターニャはエリサの方に鋭い視線を向けた。

「!?」

その瞬間、エリサは一瞬ビクッと反応し、それからスッと視線を逸らす。

エリサとソアラが共犯かどうかは分からないが、この3人に何かしらの大きな期待をかけているのは確かなようだ。

どうやら当たりを引いたらしい…ターニャはニヤリと笑った。

「お前ら、今からオレと一緒に、魔物退治に行こーぜ!」

   ~~~

「魔物退治?私たちと?」

アイがキョトンとターニャを見つめた。

「ああ、このあと何か用事があるのか?」

「あ…えと」

急に言われて、アイは困ったようにおキクとフランに助けを求める。するとフランが、アイの代わりに口を開いた。

「特には…ないです」

「なら決まりだ。ついて来な」

ターニャは詰所の奥へと歩いて行こうとする。

「待ってください!何処に向かわれるんですか?」

そのときエリサが、慌てたようにターニャを呼び止めた。

「ヨーケバ城跡」

「い、いけません!あそこは…っ」

エリサの顔が一気に真っ青になる。

「どうせ誰かがやらなくちゃならないんだ。オレたちがダメな理由なんかないよな?」

「彼女たちは、初心者なんですよっ!」

ターニャの鋭い口調に、エリサも負けじと大きな声で反論した。

「ヨーケバ城跡?」

ターニャとエリサの言い合いを横目に、アイがフランにコソッと近付く。

「ヤータ市の北東にある遺跡です。強力な魔物が寝床にしていると聞いたことがあります」

「なんか遠そう…日数制限は大丈夫かな?」

「心配するとこ、そこですか?」

フランは呆れて、開いた口が塞がらない。

「エリサさん、お話中すみません」

そのときおキクが、少し遠慮がちにエリサに話しかけた。

「は、はい。何でしょう」

「遠出になりそうなので、今のうちに5万マール下ろしてもらえませんか?」

そう言って自分の登録証を差し出す。

「あ、はい……って、ええ!?」

「ほら見ろ。コイツらの方が、よっぽど肝が座ってるじゃないか!」

ターニャがバシバシと、エリサの背中を叩いた。

「エリサさん。必ず達成して戻ってくるから心配すんなって!」
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...