中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

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第3章

ヨーケバ城跡の悪魔 11

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「ターニャさーーん!」

アイが両手を大きく振って、大声でターニャに呼びかけた。

ターニャはアイの横にある建物の入り口を確認すると、黒地竜を引き連れたまま、その建物の中に勢いよく飛び込んだ。

黒地竜は狭い建物内を、ガリガリと身体を擦り付けながらターニャに肉迫する。

「うひゃーっ!」

ターニャは更に奥へと逃げ込んだ。対面にある小さな出口でおキクが手招きしている。ターニャは間一髪、転げ出るようにそこから飛び出した。

同時にドガガッと、黒地竜が突き当たりの壁にぶち当たった音が鳴り響く。その衝撃で建物が大きく振動するが、スキルで強化された建物は破壊されずに持ち堪えた。

「グオオオーー!」

黒地竜が荒れ狂ったように暴れる。しかしこの拘束から脱け出すことは出来なかった。

「ターニャさんもお願い!コッチに来て、私の身体を支えてて」

アイがターニャを呼び寄せる。

「何をする気か知らんけど、任せろ」

ターニャは直ぐさまアイの背後に回ると、おキクの横に並んでアイの背中を支えた。

「フラン、いくよ!3、2、1…」

アイは短銃を両手で構えて銃口を建物に向ける。

フランは大盾を構えるとスキルの準備を終える。

「今!」

アイが引金トリガーを引くと同時に、眼前の建物が砕け散った。

アイの短銃から、直径70cmほどのエネルギー光線が放射され、建物を木っ端微塵に吹き飛ばした黒地竜を飲み込んだ。

「くぅうううっ!」

凄まじい反動が3人を襲う。

予想以上の反動に、3人の身体がズリズリと後ろに押し下げられていく。ターニャは一瞬面喰らうが、瞬時に体勢を立て直して両足に力を込めた。

「ダメ!腕の方が保たない!」

短銃の反動を支え切れずに、アイの両腕がプルプルと震えだす。しかしその瞬間、フランが短銃を支える援護に入る。

このとき全員が一丸となり、とうとうアイたちは強固な砲台と化した。

シューウゥゥ…と放射するエネルギー光線が、徐々に細くなっていく。やがて放射がプツっと途切れ、アイの短銃から光が消失した。

黒地竜はモウモウと舞う土煙に覆われており、その姿が確認出来ない。しかし土煙の中に薄っすらと見える黒い影は、地に伏しているように見えた。

「やった…の?」

アイがゆっくりと銃口を下ろす。安堵から全員の緊張が切れかかった瞬間、土煙の中の影がグワッと勢いよく頭を振り上げた。

「ガアアアーーー!」

黒地竜が天高く咆哮する。次の瞬間、土煙を飛散させながら火球のブレスが飛び出してきた。

突然のことに、誰も一歩も動けない。

1mにも及ぶ火球がアイたちの目前に迫るが、命中は僅かに逸れた。

そのままアイたちの左手付近に着弾し、大爆発を起こす。同時に発生した凄まじい衝撃波は、アイたちを無慈悲に吹き飛ばした。

集まっていた全員が、地面を跳ねるように転がっていく。

「あ…アレでも…ダメなの?」

アイはうつ伏せに倒れたまま、起き上がることが出来ない。心が折れかかっていた。

おキクとフランも同様に、倒れたまま身体に力が入らない。「うう…」と呻き声をあげている。

「いや…効いてる。ヤツを、よく見ろ!」

ターニャが上半身を何とか起こし、声を大にして叫んだ。

ブレスを吐き終えた黒地竜は、再び首がうな垂れ地面に伏せた。全身が焼けただれ、黒い鱗も所々が剥がれ落ちている。震える四肢に力を入れて立ち上がろうと、黒地竜も必死に踠いていた。

「ヤツも本当に…ギリギリなんだ。ここで根性を見せた方が…勝つ!」

ターニャは渾身の力で立ち上がると、天を仰いで声を張り上げた。

「ファイトぉおーー!」

「いっぱーーぁつ!」

反射的にアイが後に続く。

奇跡のシンクロであった。ターニャがこんなCMなど知る筈もない。アイですらしっかり覚えていた訳ではなく、遠い記憶を刺激された結果である。

だが不思議と効果はあった。

アイはすぐそばにあった石垣に手をかけると、石垣に背を預け気合いで立ち上がった。

おキクは伏せたまま「クスッ」と笑うと、力を込めて一旦四つん這いになる。それから落ちていた両手剣を杖替わりに立ち上がり、直ぐ横に倒れていたフランに手を伸ばした。

フランもおキクのその手を取ると、おキクに身体を預けるように立ち上がる。

「コレで最後だ!気合いを入れろ!」

ターニャが両拳をガツンと打ちつけた。バチバチと勢いよく稲妻が弾ける。

アイも石垣に背を預けながら、短銃を両手でしっかりと握りしめた。その時、アイのピアスがキラリと煌めく。

「アイ、この相手を撃破するには、岩石のバレットを推奨します」

冷静なセーレーの声が、アイの耳の奥に響いた。
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