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第3章
ヨーケバ城跡の悪魔 12
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「アイ、この相手を撃破するには、岩石のバレットを推奨します」
「岩…石?」
アイは背中にそびえる大きな石垣に意識を向けた。
「はい。岩石は大地属性ですので威力重視になりますが、その威力を一発の弾丸に凝縮しますので優れた貫通力を有します」
「貫通弾!?」
「黒地竜は表面のダメージこそ甚大ですが、致命傷には届いていません。岩石のバレットでの内部破壊を推奨します」
「…分かった」
アイは小さく頷くと、背中を預けていた石垣の方に何とか振り返る。それからヨロける身体を支えるように左手を石垣についた。
「バースト…バレット!」
アイが絞り出すように唱えると、岩肌に魔法陣がパァーッと広がっていく。そしてそこから浮かび上がった正四面体を掴み取ると、透かさずSDカードを短銃のグリップエンドに装填した。
「お願い!」
アイの祈りを聞き届けるかのように、短銃から光が溢れ出した。
~~~
「おキク、背中側からなら、黒地竜相手でも斬撃が通ると推測します」
おキクの足元からミーコが真っ直ぐ見上げてくる。
「背中?」
「はい。硬い鱗に覆われていますが、厚い皮膚に阻まれる恐れはないと思われます」
「なるほど…硬いだけなら、斬れるってことね」
おキクは両手剣をギュッと握りしめると、傷付く黒地竜をその瞳に捉えた。
「やるわ…ミーコは角度の調節をお願い」
「了解しました」
~~~
「お前も諦めが悪いなぁ」
とうとう立ち上がった黒地竜に、ターニャが辟易しながら声をかけた。
「大人しく寝とけよな」
「グォオオッ!」
黒地竜は喉も張り裂けんばかりに咆哮する。それから流れるように顎を上に反り上げると、大きく口を開いた。
ブレスがくる!
「当たるかっ!」
ブレスと同時に、稲妻の余韻を残しターニャの姿が消え去った。火球のブレスは無人の大地で虚しく爆発する。
次の瞬間、左眼の死角から、黒地竜の側頭部をターニャのドロップキックが炸裂した。
全体重を乗せた一撃に、黒地竜の首がグラっとうな垂れる。しかしカッと紅い右眼を見開くと、黒地竜は尻尾を振り上げた。
「耐えやがった!」
空中で身動きの出来ないターニャは「チッ」と舌打ちすると、小さく身を丸めて次の衝撃に備える。
「ターニャさんっ!」
そのとき滑空してきたフランの盾が、ターニャの足下でピタリと止まった。
「ナイス!」
ターニャは瞬時に跳ね上がる。
同時に振り下ろされた黒地竜の尻尾は、フランの盾だけを叩きつけた。
黒地竜の上方に躍り出たターニャは、両指を組んで頭上に振り上げる。そうして渾身の力で、黒地竜の脳天を真上から殴りつけた。バチバチと派手に稲妻が弾け飛び、傷付いた黒地竜の左眼から再び紫色の血液が吹き出した。
威力に耐え切れなかった黒地竜の頭部は、地面に叩きつけられバウンドする。
「ゴォオオオーーーッ!」
しかしその直後、黒地竜が耳をつんざくような怒号をあげながら、勢いよく二本脚で立ち上がった。
「うおっ?」
未だ落下中のターニャの眼前に、黒地竜の巨体がそびえ立つ。そしてそのまま全体重でターニャを圧し潰そうと、前に倒れるように重心をかけ始めた。
次の瞬間、黒地竜の胸部からターニャの目先に向けて、突然剣先が突き出した。
「グガァアアーーッ!」
黒地竜が苦痛に身を捻り、ターニャをかすめるように前に倒れ込む。その背中には、深々と両手剣を突き刺すおキクの姿があった。
「今だ!」
ちょうどアイの位置と、黒地竜の頭から尻尾の先までが一直線になる。透かさずアイは、一気に引金を引いた。その反動で、両手が頭上に跳ね上がる。
撃ち出された弾丸は、凄まじいジャイロ回転で空気を切り裂いていく。そしてその軌跡は、真っ白な螺旋となって尾を引いていった。
岩石の貫通弾は真っ直ぐに黒地竜に命中すると、喉元から右後脚までを一気に貫く。
「ガッッーーーーーッ」
黒地竜の絶叫は声にならなかった。
喉元に残る驚異的に捻じれた銃創から、内部の損傷も容易に想像がつく。黒地竜はビクビクと痙攣を起こしながら地に伏していた。
「お前ら…ホントにアリガトな。やっとここまでたどり着いた」
ターニャは黒地竜の頭部の前に仁王立ちする。
黒地竜は恨めしそうにターニャを見上げた。
「大剛雷!」
ターニャは天を仰いで叫んだ。同時に全ての強化魔法が解除され、自身の眼前に二重の魔法陣が浮かび上がる。ターニャはその2枚の魔法陣を、渾身の右正拳突きで打ち抜いた。
その瞬間、空気が震えるほどの電撃が、ターニャの右拳に集中する。
「コレがオレの…全身全霊だっ!」
ターニャの右正拳が、地に伏す黒地竜の眉間を打ち抜いた。
途端に辺り一面が巨大な影で覆い尽くされ、次の瞬間、何かに吸い込まれるように渦を巻きながら消滅していった。
ターニャは力が抜けたように尻もちをつくと、そのまま大の字に倒れ込む。
「か、勝ったぁーーー!」
ターニャの歓喜の声が天空に舞い上がっていった。
「岩…石?」
アイは背中にそびえる大きな石垣に意識を向けた。
「はい。岩石は大地属性ですので威力重視になりますが、その威力を一発の弾丸に凝縮しますので優れた貫通力を有します」
「貫通弾!?」
「黒地竜は表面のダメージこそ甚大ですが、致命傷には届いていません。岩石のバレットでの内部破壊を推奨します」
「…分かった」
アイは小さく頷くと、背中を預けていた石垣の方に何とか振り返る。それからヨロける身体を支えるように左手を石垣についた。
「バースト…バレット!」
アイが絞り出すように唱えると、岩肌に魔法陣がパァーッと広がっていく。そしてそこから浮かび上がった正四面体を掴み取ると、透かさずSDカードを短銃のグリップエンドに装填した。
「お願い!」
アイの祈りを聞き届けるかのように、短銃から光が溢れ出した。
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「おキク、背中側からなら、黒地竜相手でも斬撃が通ると推測します」
おキクの足元からミーコが真っ直ぐ見上げてくる。
「背中?」
「はい。硬い鱗に覆われていますが、厚い皮膚に阻まれる恐れはないと思われます」
「なるほど…硬いだけなら、斬れるってことね」
おキクは両手剣をギュッと握りしめると、傷付く黒地竜をその瞳に捉えた。
「やるわ…ミーコは角度の調節をお願い」
「了解しました」
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「お前も諦めが悪いなぁ」
とうとう立ち上がった黒地竜に、ターニャが辟易しながら声をかけた。
「大人しく寝とけよな」
「グォオオッ!」
黒地竜は喉も張り裂けんばかりに咆哮する。それから流れるように顎を上に反り上げると、大きく口を開いた。
ブレスがくる!
「当たるかっ!」
ブレスと同時に、稲妻の余韻を残しターニャの姿が消え去った。火球のブレスは無人の大地で虚しく爆発する。
次の瞬間、左眼の死角から、黒地竜の側頭部をターニャのドロップキックが炸裂した。
全体重を乗せた一撃に、黒地竜の首がグラっとうな垂れる。しかしカッと紅い右眼を見開くと、黒地竜は尻尾を振り上げた。
「耐えやがった!」
空中で身動きの出来ないターニャは「チッ」と舌打ちすると、小さく身を丸めて次の衝撃に備える。
「ターニャさんっ!」
そのとき滑空してきたフランの盾が、ターニャの足下でピタリと止まった。
「ナイス!」
ターニャは瞬時に跳ね上がる。
同時に振り下ろされた黒地竜の尻尾は、フランの盾だけを叩きつけた。
黒地竜の上方に躍り出たターニャは、両指を組んで頭上に振り上げる。そうして渾身の力で、黒地竜の脳天を真上から殴りつけた。バチバチと派手に稲妻が弾け飛び、傷付いた黒地竜の左眼から再び紫色の血液が吹き出した。
威力に耐え切れなかった黒地竜の頭部は、地面に叩きつけられバウンドする。
「ゴォオオオーーーッ!」
しかしその直後、黒地竜が耳をつんざくような怒号をあげながら、勢いよく二本脚で立ち上がった。
「うおっ?」
未だ落下中のターニャの眼前に、黒地竜の巨体がそびえ立つ。そしてそのまま全体重でターニャを圧し潰そうと、前に倒れるように重心をかけ始めた。
次の瞬間、黒地竜の胸部からターニャの目先に向けて、突然剣先が突き出した。
「グガァアアーーッ!」
黒地竜が苦痛に身を捻り、ターニャをかすめるように前に倒れ込む。その背中には、深々と両手剣を突き刺すおキクの姿があった。
「今だ!」
ちょうどアイの位置と、黒地竜の頭から尻尾の先までが一直線になる。透かさずアイは、一気に引金を引いた。その反動で、両手が頭上に跳ね上がる。
撃ち出された弾丸は、凄まじいジャイロ回転で空気を切り裂いていく。そしてその軌跡は、真っ白な螺旋となって尾を引いていった。
岩石の貫通弾は真っ直ぐに黒地竜に命中すると、喉元から右後脚までを一気に貫く。
「ガッッーーーーーッ」
黒地竜の絶叫は声にならなかった。
喉元に残る驚異的に捻じれた銃創から、内部の損傷も容易に想像がつく。黒地竜はビクビクと痙攣を起こしながら地に伏していた。
「お前ら…ホントにアリガトな。やっとここまでたどり着いた」
ターニャは黒地竜の頭部の前に仁王立ちする。
黒地竜は恨めしそうにターニャを見上げた。
「大剛雷!」
ターニャは天を仰いで叫んだ。同時に全ての強化魔法が解除され、自身の眼前に二重の魔法陣が浮かび上がる。ターニャはその2枚の魔法陣を、渾身の右正拳突きで打ち抜いた。
その瞬間、空気が震えるほどの電撃が、ターニャの右拳に集中する。
「コレがオレの…全身全霊だっ!」
ターニャの右正拳が、地に伏す黒地竜の眉間を打ち抜いた。
途端に辺り一面が巨大な影で覆い尽くされ、次の瞬間、何かに吸い込まれるように渦を巻きながら消滅していった。
ターニャは力が抜けたように尻もちをつくと、そのまま大の字に倒れ込む。
「か、勝ったぁーーー!」
ターニャの歓喜の声が天空に舞い上がっていった。
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