中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

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第3章

ヨーケバ城跡の悪魔 13

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アイたち4人がカタン市の冒険者の詰所に戻ってきたのは、既に陽も沈み、夕食時に差し掛かった頃であった。

アイたちのその姿を確認した途端に、エリサが受付カウンターから飛び出してきた。

「皆さん無事で本当によかった!」

「エリサさん、ただいま!」

アイが元気よく右手を挙げる。

「思い直してくれたのですね!」

「…え?」

「いいのです!いいのです!本来、冒険者4人でどうにかなる案件ではないのです。何も恥じることなんてありません!」

「あの…」

「無事でいることが一番大事なんです」

話を切り出そうとするアイを押し留め、エリサは自分ひとりで納得するように頷いた。

「話を、聞け!」

ターニャの声とともに、エリサの膝が突然カクリと崩れ落ちる。そのままエリサは抵抗する間も無くペタリと座りこんだ。

(膝カックンだ!)

アイは目を見張って驚嘆する。これほど見事に成功したところを初めて目撃したのだ。

「な…?」

当のエリサもキョトンとして、何が起きたのか全く理解出来ていなかった。

「討伐完了だ」

ターニャがエリサに手を差し伸べながら報告する。

「……え?」

「討伐完了だっ!」

ターニャはエリサの手をグイッと引き上げると、耳元で大声を出した。

「え…ええーーーっ!」

エリサは文字通り飛び上がる。その叫び声は詰所中に響き渡った。大勢の注目がエリサに集中する。

それに気付いたエリサは周りにペコペコ頭を下げると、ターニャたち4人を連れて自身の受付卓に慌てて戻った。

「記録は、どなたについていますか?」

エリサが仕事モードに突入する。

「オレだ」

ターニャは登録証をエリサに渡した。エリサはそのまま差込口に挿入すると、内線の受話器を耳に当てながら端末の操作を始めた。

「あ、エリサです。これからそちらにデータを転送しますので対処をお願いします。おそらく所長への報告と、軍隊への連絡が必要になるかと思います」

エリサは受話器を置くと、自身を落ち着かせるように「ふう」とひと息をつく。

それからガバッと受付卓から身を乗り出した。あり得ないくらいに瞳が輝いている。

「スゴイじゃないですかー!」

「…は?」

ターニャはエリサの豹変ぶりに困惑した。おそらくその本性を目の当たりにするのは、コレが初めてなのだろう。

「伝説よ!ここから伝説が始まるのよ!」

エリサは姿勢を戻すと胸の前で指を組み、やや斜め上を見つめながらウットリする。

「アイさん!『迅雷シィンレイ』と一緒に戦ってみてどうでしたか?」

「やー、凄かった!正直目で追えない」

アイは興奮気味に報告する。エリサも嬉しそうに大きく頷いた。

「今はそれで構いません。ですが、あなた方が目指す場所でもあります。私も精一杯フォローします。一緒に頑張りましょう!」

エリサはアイ、おキク、フランの顔を順番に見回すと、胸の前で両手で小さくガッツポーズを作る。

「はい!」

エリサの意気込みに、3人も声を揃えて元気よく返事を返す。

少し離れた後方で、ターニャだけが呆然と置いてけぼりをくらっていた。

   ~~~

アイたちは、エリサに討伐した火炎鴉(1体1万5千マール)の報奨金の手続きをとってもらうと、晩ご飯を食べるために詰所を後にした。

それを見送り2人きりになってから、ターニャはエリサに話しかける。

「エリサさん……」

「…言わないで」

エリサは両手で顔を覆いながら俯いた。

「少し油断しました。忘れてください」

「いくら出す?」

ターニャがニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべる。

エリサは「はあ」と大きな溜め息をついた。

「もういいです。ところで…」

エリサが急に、真剣な表情に変わる。

「あの子たち、どうでした?」

「ああ…凄いな。今回勝てたのは、正直アイツらのおかけだ」

「でしょう!」

エリサの瞳が一瞬光り輝くが、ターニャの視線に気付き「コホン」と落ち着きを取り戻す。

「それで…ターニャさんはこの後、どうなさるおつもりですか?」

エリサの視線が鋭さを増した。

「ん…なんのことだ?オレは足手まといのC級冒険者を連れて、黒地竜の討伐に成功したんだぞ。この事実で、オレの名声はうなぎ登りだ!」

ターニャがロビー中に響くほどの声で高笑いする。

「そうですね。しばらくはこの話題で、持ちきりになるでしょうね」

エリサも口元に手を添えて「フフッ」と優しく笑うのだった。

   ~~~

市長官邸の食堂で夕食をとり、カタン出張所へ向かう帰り道で、セーレーがアイに、スロットが増えたと報告した。

アイはふたつ目のスロットに、岩石のバレットを当然のように保存した。

   ~~~

おキクは寝る前に、右手首に付けていたアミュレットの輝きが失われていることに気が付いた。

「そうだったのね」

おキクは既に眠りについていたフランの寝顔に、優しい笑みを向ける。

それから月明かりの射し込む窓辺にアミュレットを置くと、自身もベッドにもぐり込み眠りについた。
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