中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

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番外編

イバキ市奪還作戦 11

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サカシタの目の前で、アサノがゆっくりと崩れ落ちていく。何が起きたのか全く理解が追いつかない。

そんなアサノの元に、3体の傀儡人形がワラワラと群がってきた。

次の瞬間、サカシタの中で何かがプツンと切れた。

「うわぁあああ!」

絶叫と同時に、握っていたハルバードを無我夢中で振り回す。すると3体の傀儡人形が、腰の付近で上半身と下半身の真っ二つになって、勢いよく吹き飛んでいった。

地面に転がった上半身は、いつまでも腕を動かし暴れていたが、下半身の方はそのまま動かなくなる。

「アサノさんっ!」

直ぐさまシーナが、アサノの元に駆けつけた。

アサノの意識はほとんどない。セーレーによる痛覚の軽減措置は、既に行われていた。

「シーナ、アサノが…」

アサノに押し潰されるように下敷きになっていたサンドラが、顔を真っ青にして声を絞り出す。

「大丈夫です、私が死なせはしません!」

自分の不安を振り払うように、シーナは声を張り上げた。そのときアサノを中心に、粘土の防壁が円状に迫り上がる。ラントの粘土壁クレイウォールだ。

シーナは一度大きく深呼吸をすると、アサノの肩に刺さっている片手剣を一気に引き抜いた。透かさず癒しの魔法で止血をする。

「サカシタさん、私ではアサノさんを完全には治療出来ません。ヒールをお願いします!」

「あ……う…?」

サカシタは先程から、事切れたように呆然と立ち尽くしていた。シーナの方に顔を向けるが、目の焦点が全く合っていない。

「失礼します」

シーナはツカツカと歩み寄って一礼すると、サカシタの頰をパシーンと思い切り叩いた。

「え…?」

「サカシタさん、ヒールを!」

「…お、おう!」

サカシタは、仰向けに寝かされているアサノの傷口に右手をかざす。

「ダッシュヒール」

熟練度の上昇により強化した、最上級のヒールである。段階的に「プラスヒール」「ダッシュヒール」と上昇し、それに伴い治療の範囲と速度が強化されていた。

ヒールの効果により、苦痛に歪んでいたアサノの表情が徐々に和らいでいく。

「アサノのバイタル安定しました」

セーレーの声を聞いて、サカシタは気が抜けたように座り込んだ。その拍子に落ちていたハルバードに手が当たり、カランと小さな音が鳴る。

何の気無しに目を向けたサカシタは、同時にガタガタと震え始めた。

「お、俺、人間を…」

ハルバードの刃が赤黒く染まっている。

「こ、ころ…」

その瞬間、アサノの両腕がグワッと動き、サカシタの頭を自分の胸元に抱き寄せた。

「うわ……え…?」

サカシタは顔いっぱいに広がる柔らかな感触に、半ばパニック状態になる。しかし、トクン、トクン、とアサノから伝わる一定のリズムに、次第に落ち着きを取り戻していった。

「アサノ、非常に残念だが、そろそろ離してくれ」

サカシタがパンパンとアサノの肩を叩く。アサノの両腕から解放されたサカシタは、「プハー」と息を吐きながら起き上がった。

「気持ち良かったか?」

アサノが悪戯っぽく笑う。

「ああ、気持ち…って言わすな!」

焦ったサカシタは、顔を真っ赤にして叫んだ。

「治してくれて、サンキューな」

「それが俺の役目だからな」

サカシタはソッポを向くと、少し照れくさそうに鼻の頭を掻いた。

   ~~~

ターニャとホリンは別行動をとると、人形と化した同胞を片っ端から破壊して回っていく。

「ここまでか、思ったより立て直しが早かったの」

それを眺めていたハベードが、地面にコツンと杖をついた。途端に多数の魔法陣が消滅し、糸がプツンと切れたように傀儡人形が地面に崩れおちた。

次の瞬間、ハベードの後方からターニャの飛び蹴りが炸裂する。しかしバチバチと稲妻が音を立て、透明な何かに防がれた。

電撃がその何かをなぞるように迸り、半径2m程の半球状のドームが可視化される。

「なんだ、やけに備えがいいな」

ターニャはハベードの防護壁を足場に後方に跳ねると、バク宙しながら着地した。

「ひ弱な人間は、不意打ちが得意だからの」

ハベードが話している最中に、透明な防護壁にガガガッと衝撃が走る。何処からともなく伸びてきた、ホリンの光槍による連続突きだ。

「堅い…」

感心しながら、ホリンがトコトコと歩いてくる。

「やれやれ、言ったそばから節操のない」

ハベードはホリンに顔を向けると、「ククク」と愉快そうに喉の奥で嗤った。
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