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第3章(続き)
斬岩刀を持つ漢 4
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「折角の某の見せ場が…。一体何が起こったでゴザルか?」
ゾンボルばブツブツと呟きながら、渋々馬車を操っていた。そんなゾンボルの背中を見ながら、ターニャが意地悪そうに笑う。
「アイツは横柄なとこがあるからな、ちょっとスッとしたぜ」
ターニャが「良くやった」と、アイの肩をグイッと抱いた。
「は、はあ…」
アイは曖昧に頷くと、おキクの方に顔を向ける。
「私、何かした?」
「どうなんだろね?」
おキクは小首を傾げて意味深に笑った。
フランも珍しく「フンフン」と力強く頷く。あまり言葉には出さないが、どうやら自分たちをあからさまに見下すゾンボルの態度に、少し腹を立てているようであった。
~~~
クルミ山が間近に迫り、ちらほらと樹木が姿を現し始める。そこでターニャたちは、適当な木の下に馬車を停め、そこから徒歩に切り替えた。
すると先頭を歩いていたミーコが、何かに気付いたように立ち止まる。それからパッと振り返り、ターニャの顔をジッと見上げた。
「全員、止まれ」
察したターニャの声が鋭く響く。
暫くすると、クルミ山に向かう2体の甲殻猪が姿を現した。どうやら今のところ、コチラには気付いていないようだ。
「後をつけるぞ」
ターニャが静かに提案する。
「おお!」
その言葉に、アイの瞳が爛々と輝いた。
「私、尾行なんて初めて!」
「大きな声を出すな」
ターニャが慌てて、アイの頭をポカッと殴る。
「これだからC級は…」
ゾンボルが「やれやれ」と肩をすくめた。
「いいから黙ってついて来い」
ターニャは全員の顔をグルリと見回すと、先頭に立って歩き始めた。
~~~
ターニャたちの追跡は、クルミ山の麓にまで差し掛かっていた。段々と数を増やす木々の陰を利用しながら、2体の後を追っていく。
甲殻猪の向かった先には、5体の甲殻猪が群れを作っていた。合流を許してしまったため、合計が7体に膨れ上がってしまう。
「マズった、オレの判断ミスだ」
「…強いんですか?」
わしゃわしゃと頭を搔くターニャに向けて、フランが素朴な疑問を投げかけた。
「ぶつかってくるだけの単細胞だが、甲羅で覆われてて堅いんだよ。数も多いし、厄介だな」
「そんなに…ですか」
おキクも口元に手を添えて、神妙な表情になる。
「まーな、1体倒すのに2発はかかる」
ターニャが面倒臭そうに溜め息を吐いた。
その返答に、おキクとフランが驚いたように顔を見合わせる。それからまるで、力が抜けたように苦笑いを浮かべた。
「だったらゾンボルさんの出番だよ!」
そのとき張り上げたアイの言葉に、嫌味の要素は微塵もない。真っ直ぐな期待の眼差しをゾンボルに向けている。
「う、え…?」
その煌めく瞳に、ゾンボルは思わずたじろいだ。
『我が斬岩刀に斬れぬモノなし』
アイはゾンボルが言ったこともないセリフを、声色を真似て勝手にでっち上げた。
「だってよ、どうする?」
ターニャがニヤニヤとした嫌らしい笑顔を、ゾンボルに向ける。
「も、もちろん…」
「魔物を検知!後方です」
ゾンボルの言葉を遮るようにミーコが叫んだ。
「ちっ!」
ターニャが舌打ちしながら振り返る。山から下りて来たのか、2体の灰色狼がコチラを威嚇するように喉を鳴らしていた。
「なんでゴザルか、この猫!」
ゾンボルはミーコを見ながら狼狽している。
今、波に乗っているアイの行動は、ここでも一番早かった。
「ライトニング!」
アイは瞬時に短銃を呼び出すと、2体の灰色狼をほぼ同時に始末する。しかし銃声を聞きつけた7体の甲殻猪に、アイたちの存在がバレてしまった。
「ブゴッ」
甲殻猪は前脚でカッカッと砂を蹴り上げながら、突撃の準備を整える。
「ヤベー、来るぞ!」
ターニャは辺りをキョロキョロ見回した。すると少し山を登った所に洞窟の入り口を発見する。
「急いで、あの洞窟に逃げ込め!」
ターニャは洞窟を指差して声を限りに叫んだ。
ゾンボルばブツブツと呟きながら、渋々馬車を操っていた。そんなゾンボルの背中を見ながら、ターニャが意地悪そうに笑う。
「アイツは横柄なとこがあるからな、ちょっとスッとしたぜ」
ターニャが「良くやった」と、アイの肩をグイッと抱いた。
「は、はあ…」
アイは曖昧に頷くと、おキクの方に顔を向ける。
「私、何かした?」
「どうなんだろね?」
おキクは小首を傾げて意味深に笑った。
フランも珍しく「フンフン」と力強く頷く。あまり言葉には出さないが、どうやら自分たちをあからさまに見下すゾンボルの態度に、少し腹を立てているようであった。
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クルミ山が間近に迫り、ちらほらと樹木が姿を現し始める。そこでターニャたちは、適当な木の下に馬車を停め、そこから徒歩に切り替えた。
すると先頭を歩いていたミーコが、何かに気付いたように立ち止まる。それからパッと振り返り、ターニャの顔をジッと見上げた。
「全員、止まれ」
察したターニャの声が鋭く響く。
暫くすると、クルミ山に向かう2体の甲殻猪が姿を現した。どうやら今のところ、コチラには気付いていないようだ。
「後をつけるぞ」
ターニャが静かに提案する。
「おお!」
その言葉に、アイの瞳が爛々と輝いた。
「私、尾行なんて初めて!」
「大きな声を出すな」
ターニャが慌てて、アイの頭をポカッと殴る。
「これだからC級は…」
ゾンボルが「やれやれ」と肩をすくめた。
「いいから黙ってついて来い」
ターニャは全員の顔をグルリと見回すと、先頭に立って歩き始めた。
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ターニャたちの追跡は、クルミ山の麓にまで差し掛かっていた。段々と数を増やす木々の陰を利用しながら、2体の後を追っていく。
甲殻猪の向かった先には、5体の甲殻猪が群れを作っていた。合流を許してしまったため、合計が7体に膨れ上がってしまう。
「マズった、オレの判断ミスだ」
「…強いんですか?」
わしゃわしゃと頭を搔くターニャに向けて、フランが素朴な疑問を投げかけた。
「ぶつかってくるだけの単細胞だが、甲羅で覆われてて堅いんだよ。数も多いし、厄介だな」
「そんなに…ですか」
おキクも口元に手を添えて、神妙な表情になる。
「まーな、1体倒すのに2発はかかる」
ターニャが面倒臭そうに溜め息を吐いた。
その返答に、おキクとフランが驚いたように顔を見合わせる。それからまるで、力が抜けたように苦笑いを浮かべた。
「だったらゾンボルさんの出番だよ!」
そのとき張り上げたアイの言葉に、嫌味の要素は微塵もない。真っ直ぐな期待の眼差しをゾンボルに向けている。
「う、え…?」
その煌めく瞳に、ゾンボルは思わずたじろいだ。
『我が斬岩刀に斬れぬモノなし』
アイはゾンボルが言ったこともないセリフを、声色を真似て勝手にでっち上げた。
「だってよ、どうする?」
ターニャがニヤニヤとした嫌らしい笑顔を、ゾンボルに向ける。
「も、もちろん…」
「魔物を検知!後方です」
ゾンボルの言葉を遮るようにミーコが叫んだ。
「ちっ!」
ターニャが舌打ちしながら振り返る。山から下りて来たのか、2体の灰色狼がコチラを威嚇するように喉を鳴らしていた。
「なんでゴザルか、この猫!」
ゾンボルはミーコを見ながら狼狽している。
今、波に乗っているアイの行動は、ここでも一番早かった。
「ライトニング!」
アイは瞬時に短銃を呼び出すと、2体の灰色狼をほぼ同時に始末する。しかし銃声を聞きつけた7体の甲殻猪に、アイたちの存在がバレてしまった。
「ブゴッ」
甲殻猪は前脚でカッカッと砂を蹴り上げながら、突撃の準備を整える。
「ヤベー、来るぞ!」
ターニャは辺りをキョロキョロ見回した。すると少し山を登った所に洞窟の入り口を発見する。
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ターニャは洞窟を指差して声を限りに叫んだ。
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