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第3章(続き)
斬岩刀を持つ漢 3
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馬車はウジル川を渡り、クルミ山を目指す。おそらく3時間程で着く距離である。
ターニャの一声で、馬車の手綱はゾンボルが握ることになった。少しでもゾンボルとの距離をとりたかったターニャの本音は、しかしゾンボルには悟られなかった。「自分が任された」という事実だけが、ゾンボルを有頂天にさせたのである。
「ターニャ殿の信頼の厚い某に、任せるでゴザル」
ゾンボルは上機嫌で馬車を進ませた。
「ホント、ウザくてスマン」
ターニャは眉間をつまみながら頭を下げる。
「どういうお知り合いなんですか?」
フランが不思議そうな顔でターニャに目を向けた。
「知り合いではない…と言いたいんだけどな」
ターニャは諦めたように苦笑いする。
「以前に、斬れ味の良い大剣を褒めたことがあるんだ。『岩でも斬れそうだな』てな」
「へー、スゴい剣なんですね」
おキクはチラリと、ゾンボルの背中の大剣に目を向けた。
「いや、実際に斬るとこ見た訳じゃねーよ。魔物を斬った斬り口が鋭かったんで、ちょっと大袈裟に褒めただけなんだ」
ターニャは犯した過ちを恥じるように、両手で顔を覆って深い息を吐く。
「そしたらさ…『やはり見る人が見ると分かってしまうでゴザルな』てな具合でな」
(ああ、なんか想像出来る…)
おキクの表情に、憐みの色が浮かんだ。
「それ以来、アイツは自分の大剣に『斬岩刀』と名付け、オレに付きまとうようになったんだ」
ターニャは力無く空を見上げると「あの日のオレを殴ってやりたいゼ」とボソッと呟いた。
~~~
「魔物を検知しました。灰色狼3体です」
おキクの膝の上で丸くなっていたミーコが、ムクリと顔を上げた。
「お出ましか!」
ターニャはキッと進行方向を睨む。
「停めろ、ゾンボル。魔物が来る」
「え、ど…何処からでゴザル?」
ゾンボルは慌てて馬車を停めた。
「前だ!灰色狼が3体だ」
「灰色狼…」
ゾンボルはどこかホッとしたような表情になる。
「ここは、B級の某に任せるでゴザル!」
ゾンボルは馬車から飛び降りると、背中の斬岩刀を抜いた。少し待つと、正面から近付いてくる灰色狼の姿が目視出来るようになる。
ゾンボルはドタドタと駆け出した。
お互いの間合いが一気に詰まると、先頭の灰色狼を一刀の元に両断する。噂の「斬岩刀」は流石の斬れ味であった。
ゾンボルはそのまま残りの2体に目を向けた。灰色狼は喉を鳴らしながらゾンボルを威嚇してくる。暫く睨み合いが続いた。
しかし次の瞬間、突然2体の灰色狼が影と化し、同時に消え去っていく。
「うおおおおーー!」
そのとき後方から、アイの雄叫びが木霊した。
「とうとう、とうとう灰色狼が一撃に!」
アイの振り上げた右手には、短銃が握られている。
「アイ、スゴいじゃない!」
おキクも一緒になって立ち上がると、パチパチと拍手を贈った。
「な、何が起こったでゴザルか?」
ゾンボルは呆気にとられて立ち尽くす。
(こりゃやっぱ反則だな)
ターニャは「ハハ…」と苦笑いを浮かべた。
この威力で連射が可能。そのうえ黒地竜戦で見せたような攻撃もする。コレで遠距離射程だと云うのだから、近付くのがバカらしくなる。
(登録武器は洋弓銃らしいが、エリサさんはこのことに気付いているのか?)
ターニャの瞳に警戒の色が宿る。しかし当のアイは無邪気に喜んでいるだけだ。
「ま、コイツらがコイツらで良かったよ」
ターニャは思わず笑みを零す。
これ程得体の知れない相手なのに、全く恐怖を感じない自分自身を、ターニャは不思議と誇らしく思っていた。
ターニャの一声で、馬車の手綱はゾンボルが握ることになった。少しでもゾンボルとの距離をとりたかったターニャの本音は、しかしゾンボルには悟られなかった。「自分が任された」という事実だけが、ゾンボルを有頂天にさせたのである。
「ターニャ殿の信頼の厚い某に、任せるでゴザル」
ゾンボルは上機嫌で馬車を進ませた。
「ホント、ウザくてスマン」
ターニャは眉間をつまみながら頭を下げる。
「どういうお知り合いなんですか?」
フランが不思議そうな顔でターニャに目を向けた。
「知り合いではない…と言いたいんだけどな」
ターニャは諦めたように苦笑いする。
「以前に、斬れ味の良い大剣を褒めたことがあるんだ。『岩でも斬れそうだな』てな」
「へー、スゴい剣なんですね」
おキクはチラリと、ゾンボルの背中の大剣に目を向けた。
「いや、実際に斬るとこ見た訳じゃねーよ。魔物を斬った斬り口が鋭かったんで、ちょっと大袈裟に褒めただけなんだ」
ターニャは犯した過ちを恥じるように、両手で顔を覆って深い息を吐く。
「そしたらさ…『やはり見る人が見ると分かってしまうでゴザルな』てな具合でな」
(ああ、なんか想像出来る…)
おキクの表情に、憐みの色が浮かんだ。
「それ以来、アイツは自分の大剣に『斬岩刀』と名付け、オレに付きまとうようになったんだ」
ターニャは力無く空を見上げると「あの日のオレを殴ってやりたいゼ」とボソッと呟いた。
~~~
「魔物を検知しました。灰色狼3体です」
おキクの膝の上で丸くなっていたミーコが、ムクリと顔を上げた。
「お出ましか!」
ターニャはキッと進行方向を睨む。
「停めろ、ゾンボル。魔物が来る」
「え、ど…何処からでゴザル?」
ゾンボルは慌てて馬車を停めた。
「前だ!灰色狼が3体だ」
「灰色狼…」
ゾンボルはどこかホッとしたような表情になる。
「ここは、B級の某に任せるでゴザル!」
ゾンボルは馬車から飛び降りると、背中の斬岩刀を抜いた。少し待つと、正面から近付いてくる灰色狼の姿が目視出来るようになる。
ゾンボルはドタドタと駆け出した。
お互いの間合いが一気に詰まると、先頭の灰色狼を一刀の元に両断する。噂の「斬岩刀」は流石の斬れ味であった。
ゾンボルはそのまま残りの2体に目を向けた。灰色狼は喉を鳴らしながらゾンボルを威嚇してくる。暫く睨み合いが続いた。
しかし次の瞬間、突然2体の灰色狼が影と化し、同時に消え去っていく。
「うおおおおーー!」
そのとき後方から、アイの雄叫びが木霊した。
「とうとう、とうとう灰色狼が一撃に!」
アイの振り上げた右手には、短銃が握られている。
「アイ、スゴいじゃない!」
おキクも一緒になって立ち上がると、パチパチと拍手を贈った。
「な、何が起こったでゴザルか?」
ゾンボルは呆気にとられて立ち尽くす。
(こりゃやっぱ反則だな)
ターニャは「ハハ…」と苦笑いを浮かべた。
この威力で連射が可能。そのうえ黒地竜戦で見せたような攻撃もする。コレで遠距離射程だと云うのだから、近付くのがバカらしくなる。
(登録武器は洋弓銃らしいが、エリサさんはこのことに気付いているのか?)
ターニャの瞳に警戒の色が宿る。しかし当のアイは無邪気に喜んでいるだけだ。
「ま、コイツらがコイツらで良かったよ」
ターニャは思わず笑みを零す。
これ程得体の知れない相手なのに、全く恐怖を感じない自分自身を、ターニャは不思議と誇らしく思っていた。
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