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第3章(続き)
斬岩刀を持つ漢 9
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「装甲猪、だと?」
ターニャが蒼い顔で絶句する。
「それは誠でゴザルか、ミーコ殿?」
「装甲猪の反応に間違いありません」
ゾンボルの問いかけに、ミーコはキッパリと静かに答えた。
(おや?)
そのときおキクは、小さな違和感を感じた。なんだかゾンボルの態度が変わったような気がする。
「間違いゴザらんのか…」
ゾンボルはガックリと肩を落とした。
それでも進む以外の選択肢もなく、一同は入り口に向けて再び坂道を登り始める。
「かなり強いの?」
ターニャとゾンボルの態度から漂う絶望感を感じとり、アイが恐る恐るターニャに質問した。
「来る時に戦った甲殻猪の親玉みたいなヤツだ。軍隊と協力して、何十人がかりでやっと撃破出来るレベルだな」
ターニャの声は暗く重い。
「デカい図体の、身体の硬い厄介なヤツだ」
「さ、最悪…で、ゴザル」
前を歩いていたゾンボルが急に立ち止まり、前方を指差しながら震えた声を出した。
辺りが暗いままなので距離感を見誤っていたが、既にここは洞窟の入り口付近であった。その出入り口を、大きな何かが塞いでいるのだ。
「装甲…猪」
ターニャが「ちっ!」と舌打ちをする。
大きな何かの正体は、図体の大きな魔物であった。
~~~
装甲猪の身体は、どうやら洞窟の出入り口の幅よりも大きいようだ。今は顔の部分だけが、洞窟内に入り込んでいる状態である。
残念ながら洞窟の出入り口を完全に塞がれているため、倒さなければここから出ることが出来ない。
「すまないでゴザル」
ゾンボルが全員の顔を見回し肩を落とす。
「某のくだらない対抗意識のために、皆を死地に招いてしまったでゴザル」
それからゾンボルは、深々と頭を下げた。
「某が命をかけて、なんとしても隙を作る故、皆はその隙に逃げて欲しいでゴザル」
「お、おい…」
その意外な発言に、ターニャは思わず口ごもる。
その瞬間、ゾンボルは全員に向かって微笑んだ。今まで見せたこともないような最高の笑顔であった。
直ぐさまゾンボルは「斬岩刀」を構えると、装甲猪に向けてゆっくりと間合いを詰めていく。
「ターニャさん、アレって黒地竜より強いの?」
そのときアイが、ターニャの腕をチョイチョイと引っ張った。
「え…?あー、さすがにそこまでは…」
ターニャはゾンボルとアイの顔を、交互にキョロキョロと見ながら答える。
「なーんだ、だったら大丈夫だよ!」
それを聞いて、アイは安心したように笑った。それから「情報読取」と特殊弾を呼び出した。
~~~
ゾンボルが間合いを詰めていくと、装甲猪はグイッと更に身を乗りだすように首を前に振った。洞窟の内壁をガリガリと削りながら進入し、装甲猪の牙がゾンボルに向けてグンと伸びる。
ゾンボルは身をよじって辛うじて牙を躱すと、装甲猪の脳天へ「斬岩刀」を振り下ろした。しかし硬い鉱石に覆われた装甲猪の頭部は、ゾンボルの渾身の一撃をいとも簡単に弾き返す。
それでもゾンボルの気迫が勝ったのか、装甲猪が数歩後方に後退った。そこに生まれた隙間から外の光が差し込んでくる。
「今でゴザル!」
一切の躊躇いもなく、ゾンボルは出口に向けて駆け出した。
しかしそれは誘いであった。狙いすましたかのように、装甲猪が前に1歩踏み出し牙を突き出す。
勢いよく飛び出していたゾンボルの胸元に、装甲猪の牙が絶望と共に迫っていた。
「カタパルト!」
「風の舞姫!」
おキクとフランが咄嗟の行動に出る。
(ダメ、間に合わない!)
視界に入るゾンボルの後ろ姿が、二人にはまるでスローモーションのように映っていた。
その瞬間、「ガン!」という発砲音が洞窟内に反響し、全員の耳を勢いよく貫く。
同時にゾンボルの胸元寸前に迫っていた、装甲猪の左牙が粉微塵に弾け飛び、ねじり込むような銃創を装甲猪の喉元に刻み付けた。
「ブゴォォオオーー!」
装甲猪の絶叫が、嵐となって洞窟内を吹き荒ぶ。
岩石の貫通弾は、装甲猪の身体を一直線に貫いていた。
「おキク!」
おキクの耳に届いたアイのいつもの声に、おキクは頭で理解するより先に身体が反応した。
スキルで瞬時に飛び出すと、装甲猪の眉間に両手剣を深々と突き刺す。
次の瞬間、装甲猪の身体が巨大な影と化し、何かに吸い込まれるように渦を巻いて消滅した。
「勝った…で、ゴザルか?」
全てが終わった後に、まるで時間が動き出したかのように、ゾンボルがその場に尻もちをつく。
「は…はは」
ターニャは自分の目で見た現実が信じられず、只々笑うことしか出来なかった。
ターニャが蒼い顔で絶句する。
「それは誠でゴザルか、ミーコ殿?」
「装甲猪の反応に間違いありません」
ゾンボルの問いかけに、ミーコはキッパリと静かに答えた。
(おや?)
そのときおキクは、小さな違和感を感じた。なんだかゾンボルの態度が変わったような気がする。
「間違いゴザらんのか…」
ゾンボルはガックリと肩を落とした。
それでも進む以外の選択肢もなく、一同は入り口に向けて再び坂道を登り始める。
「かなり強いの?」
ターニャとゾンボルの態度から漂う絶望感を感じとり、アイが恐る恐るターニャに質問した。
「来る時に戦った甲殻猪の親玉みたいなヤツだ。軍隊と協力して、何十人がかりでやっと撃破出来るレベルだな」
ターニャの声は暗く重い。
「デカい図体の、身体の硬い厄介なヤツだ」
「さ、最悪…で、ゴザル」
前を歩いていたゾンボルが急に立ち止まり、前方を指差しながら震えた声を出した。
辺りが暗いままなので距離感を見誤っていたが、既にここは洞窟の入り口付近であった。その出入り口を、大きな何かが塞いでいるのだ。
「装甲…猪」
ターニャが「ちっ!」と舌打ちをする。
大きな何かの正体は、図体の大きな魔物であった。
~~~
装甲猪の身体は、どうやら洞窟の出入り口の幅よりも大きいようだ。今は顔の部分だけが、洞窟内に入り込んでいる状態である。
残念ながら洞窟の出入り口を完全に塞がれているため、倒さなければここから出ることが出来ない。
「すまないでゴザル」
ゾンボルが全員の顔を見回し肩を落とす。
「某のくだらない対抗意識のために、皆を死地に招いてしまったでゴザル」
それからゾンボルは、深々と頭を下げた。
「某が命をかけて、なんとしても隙を作る故、皆はその隙に逃げて欲しいでゴザル」
「お、おい…」
その意外な発言に、ターニャは思わず口ごもる。
その瞬間、ゾンボルは全員に向かって微笑んだ。今まで見せたこともないような最高の笑顔であった。
直ぐさまゾンボルは「斬岩刀」を構えると、装甲猪に向けてゆっくりと間合いを詰めていく。
「ターニャさん、アレって黒地竜より強いの?」
そのときアイが、ターニャの腕をチョイチョイと引っ張った。
「え…?あー、さすがにそこまでは…」
ターニャはゾンボルとアイの顔を、交互にキョロキョロと見ながら答える。
「なーんだ、だったら大丈夫だよ!」
それを聞いて、アイは安心したように笑った。それから「情報読取」と特殊弾を呼び出した。
~~~
ゾンボルが間合いを詰めていくと、装甲猪はグイッと更に身を乗りだすように首を前に振った。洞窟の内壁をガリガリと削りながら進入し、装甲猪の牙がゾンボルに向けてグンと伸びる。
ゾンボルは身をよじって辛うじて牙を躱すと、装甲猪の脳天へ「斬岩刀」を振り下ろした。しかし硬い鉱石に覆われた装甲猪の頭部は、ゾンボルの渾身の一撃をいとも簡単に弾き返す。
それでもゾンボルの気迫が勝ったのか、装甲猪が数歩後方に後退った。そこに生まれた隙間から外の光が差し込んでくる。
「今でゴザル!」
一切の躊躇いもなく、ゾンボルは出口に向けて駆け出した。
しかしそれは誘いであった。狙いすましたかのように、装甲猪が前に1歩踏み出し牙を突き出す。
勢いよく飛び出していたゾンボルの胸元に、装甲猪の牙が絶望と共に迫っていた。
「カタパルト!」
「風の舞姫!」
おキクとフランが咄嗟の行動に出る。
(ダメ、間に合わない!)
視界に入るゾンボルの後ろ姿が、二人にはまるでスローモーションのように映っていた。
その瞬間、「ガン!」という発砲音が洞窟内に反響し、全員の耳を勢いよく貫く。
同時にゾンボルの胸元寸前に迫っていた、装甲猪の左牙が粉微塵に弾け飛び、ねじり込むような銃創を装甲猪の喉元に刻み付けた。
「ブゴォォオオーー!」
装甲猪の絶叫が、嵐となって洞窟内を吹き荒ぶ。
岩石の貫通弾は、装甲猪の身体を一直線に貫いていた。
「おキク!」
おキクの耳に届いたアイのいつもの声に、おキクは頭で理解するより先に身体が反応した。
スキルで瞬時に飛び出すと、装甲猪の眉間に両手剣を深々と突き刺す。
次の瞬間、装甲猪の身体が巨大な影と化し、何かに吸い込まれるように渦を巻いて消滅した。
「勝った…で、ゴザルか?」
全てが終わった後に、まるで時間が動き出したかのように、ゾンボルがその場に尻もちをつく。
「は…はは」
ターニャは自分の目で見た現実が信じられず、只々笑うことしか出来なかった。
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