中2女子が夏休みに、異世界を救うことになりました!〜RPGにようこそ〜

さこゼロ

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第3章(続き)

斬岩刀を持つ漢 10

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「オレがコイツらを連れ回さなければ、イバキ市の奪還はもっと簡単だったんじゃねーの?」

ターニャは冷や汗を流しながら、ボソッと呟く。

「そうとは限りません」

そのときミーコが、ターニャの頭の上にヒョイと飛び乗った。

「黒地竜との、あの激戦があったからこそ、今のおキクたちがあるのですから」

「慰めてくれるのか?お前、いいヤツだな」

ターニャは頭上のミーコの背中をポンと叩く。

「そういう訳ではありません。可能性の話をしているのです」

「そうか。ま、それでもアリガトな」

ターニャは八重歯を覗かせながら、パッと笑顔を咲かせた。

「オイ、お前ら!」

それから全員に声をかける。

「思ったより大変だったけど、良く頑張ったな」

ターニャの称賛を受けて、アイは「エヘヘ」と恥ずかしそうに笑った。

「それじゃ今度こそ、一旦帰ろーか!」

ターニャは勢いよく右拳を上に振り上げる。

「おおー(でゴザル)!」

それに倣って、皆んなも一斉に拳を振り上げた。

   ~~~

「よお、ゾンボル」

帰り道、馬車を操っているゾンボルの横に、ターニャが荷台からヒョイと移ってきた。

「今回でお前のこと、ひとつだけ見直したコトがあってな」

ターニャの笑顔を見て、ゾンボルもみるみる破顔して有頂天になる。

「な、なんでゴザルか?」

「『絡繰り魔導士マシーナリーウィザード』、なかなかいいセンスしてるじゃねーか」

「…へ?」

言われた意味が理解出来ずに、ゾンボルは両目が点になった。

「アイツらを売り込むのに、有り難く使わせてもらうゼ!」

ターニャは「アハハ」と笑いながら、ゾンボルの背中をバンバンと何度も叩く。そして気を良くしたまま再び荷台へと戻っていった。

「や、役に立てて…良かったでゴザル」

ゾンボルは涙を零しながらボソッと呟く。

馬車を操るゾンボルの背中は、漢の哀愁に満ち溢れていた。

   ~~~

「にわかには信じられませんな、そのような話」

ヨーケバ城跡の拠点に戻り、司令官の天幕でターニャは事の一部始終を報告した。しかし残念ながら、司令官の第一声はお褒めの言葉ではなかった。

「そう言うと思ったよ」

想定の範囲内であったターニャは、アイから冒険者の登録証を借りると、司令官に向けてピンと弾き飛ばす。

「軍の端末でも、登録証の確認が出来るんだろ?見てみなよ」

「……」

右手の二本指でパシッと受け止めた司令官は、登録証を軍の端末に挿入した。

PT討伐数
「灰色狼」 4体
「甲殻猪」 4体
「蛭蝙蝠」20体
「死霊鎧」 1体
「装甲猪」 1体

「こ、これは…」

司令官は画面に表示された内容に、目を奪われ唖然となる。しかし直ぐさま態度を改めると、優しい笑顔をターニャに向けた。

「やはりあなたに依頼して正解でしたよ、ターニャさん。さすがに我々だけでは手に余る所でした」

「言っとくが、オレの功績じゃねーぞ」

「……では、誰の?」

「ここにいる『絡繰り魔導士マシーナリーウィザード』のアイだ」

絡繰り魔導士マシーナリーウィザード?」

司令官は困惑した表情で繰り返した。

名指しされた当のアイを含む全員の目も、訳も分からず真ん丸になる。

「知らねーの?」

「不勉強で、申し訳ない」

司令官は素直に頭を下げた。

「コイツらは黒地竜の討伐の時も、オレと一緒に戦ったんだぜ」

「それほどのお方でしたか」

司令官は端末を確認しながら、何度もウンウンと笑顔で頷く。

「履歴を見るに『黒帝狼』の討伐もあなた方だったのですね。本当に不勉強で申し訳ない」

司令官が頭の後ろに手を当て「ハハハ」と笑った。

「な、なに!?」

ターニャは司令官の机に駆け寄ると、司令官を押しのけるように端末を覗き込んだ。

(エリサさん、黙ってやがったな)

ターニャは「参ったな」と肩を落とす。

「『絡繰り魔導士マシーナリーウィザード』、よく覚えておきましょう。あなた方の功績は、上層部にもしっかりと報告させていただきます」

司令官がアイの顔をジッと見ながら微笑んだ。

「な、何、どゆこと?」

アイはおキクとフランに助けを求める。

「アイにも念願の二つ名がついたんだよ」

「アイさん、カッコいいです」

おキクとフランがニッコリ笑って、アイの肩をポンと叩く。

余りに突然の出来事に、アイは只々困惑しているだけであった。
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