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序章〜甲視点
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「それでは次は、そこのあなた」
女性は真中聡子を指名した。しかし真中聡子は俯いたまま動かない。
「真中さん、呼ばれてるよ」
ボクは真中聡子に声をかけた。彼女は一瞬ボクの顔を見るが、すぐに俯き首を横に振る。
「あの、ボクたちふたり同時でもいいでしょうか?」
ボクは手を挙げて提案した。
「ええ、構いません」
女性は頷いた。
「真中さん、行こう」
「う、うん」
真中聡子はまるですがりつくように、ボクの右腕にしがみついてきた。すると、とても柔らかな感触が右腕に伝わってくる。
この、感触は…
ボクの脳みそが「この感触」の正体について究明しようと動きだすが、そこは理性でストップをかける。
ボクの理性よ、今だけは頑張ってくれ。
「それでは、スマーホを見せてください」
ボクたちは顔を見合わせると、石台の上に揃って一緒に提出した。3人の老人たちも覗き込んでくる。
「……」
長い沈黙が続いた。
やめてくれ、胃が痛くなる。
「見たこと無いのう」
老人たちが口々に言う。前に立つ女性も、少し困惑しているようだ。
「アイコンをタップしてみてください」
女性の指示に従い、ボクはカメラアイコンをタップしてみた。
すると、眩い光が……発生することもなく、スマホの画面が真っ暗になった。
嫌な予感がする。
ボクはスマホを持ち上げた。すると真っ暗だった画面が動き出し、スマホの向こう側の景色を映し出した。
ヤバイ!これ本当にただのカメラモードだ。泣きそう。
「もう結構です。スキルを終了させてください」
女性の呆れた声がボクの耳に届いた。
「え?終了…」
ボクは何の気なしに、慣れた方法でアプリの終了を試してみると上手くいった。
同様にアイコンのタップを行なっていた真中聡子についてだが、ポンと小さな煙が発生したかと思うと3枚のステッカーが彼女の手に現れた。
アイコンにあったとおり、ハートマークのステッカーである。
「あなたもスキルを終了させてください」
女性の声に、真中聡子はビクビクしながら従った。ステッカーがポンと消える。
「あなた方おふたりは、この部屋で暫くお待ちください。後ほど改めて、今後のことをお伝え致します」
「そんな…待ってください」
真中聡子は女性に詰め寄った。
「私たち、どうなるんですか?」
「それは、後ほどお話致します」
女性の声はかなり冷たい。
「真中さん、今は仕方がないよ。ここで待とう」
ボクは真中聡子の肩に手を置いた。
「新島くん!」
真中聡子は振り返ると、ボクの手をギュッと握りしめた。それから再び、ポロポロと涙が零れ始める。
「私たち、一体どうなっちゃうの?」
真中聡子は「うー」と声を押し殺して泣き始めた。こんな時、どうしたらいいんだ?
「ちょっと待ってください」
その時、春香が声を張り上げた。
「その男の人は私の兄なんです。一緒に居させてください」
春香の言葉に老人たちも騒めきだす。
「大丈夫だよ、春香。ボクはここで待ってるから」
「でも…」
「あまりここの人たちを困らせると、別の問題が発生してしまうかもしれない。今は大人しく従おう」
「春香ちゃん、恵太の言う通りだ。ここはこの人たちに従おう」
春日翔も春香を諭すように声をかける。
春香は顔を真っ赤にしてボクを睨んでいたが、やがてゆっくり頷いた。
「分かりました」
それから、ボクたちだけを残して全員が部屋から出ていった。
ボクは真中聡子が泣き止むのを、手を握ったまま、ただ黙って待っていた。
やる事もないので考える。
恐らく春香のあの宣言で、いきなり殺処分なんて最悪の事態は避けられたかもしれない。
ボクは春香に心底感謝した。
後のことは、次の話を聞いてから上手に立ち回っていくしかない。
女性は真中聡子を指名した。しかし真中聡子は俯いたまま動かない。
「真中さん、呼ばれてるよ」
ボクは真中聡子に声をかけた。彼女は一瞬ボクの顔を見るが、すぐに俯き首を横に振る。
「あの、ボクたちふたり同時でもいいでしょうか?」
ボクは手を挙げて提案した。
「ええ、構いません」
女性は頷いた。
「真中さん、行こう」
「う、うん」
真中聡子はまるですがりつくように、ボクの右腕にしがみついてきた。すると、とても柔らかな感触が右腕に伝わってくる。
この、感触は…
ボクの脳みそが「この感触」の正体について究明しようと動きだすが、そこは理性でストップをかける。
ボクの理性よ、今だけは頑張ってくれ。
「それでは、スマーホを見せてください」
ボクたちは顔を見合わせると、石台の上に揃って一緒に提出した。3人の老人たちも覗き込んでくる。
「……」
長い沈黙が続いた。
やめてくれ、胃が痛くなる。
「見たこと無いのう」
老人たちが口々に言う。前に立つ女性も、少し困惑しているようだ。
「アイコンをタップしてみてください」
女性の指示に従い、ボクはカメラアイコンをタップしてみた。
すると、眩い光が……発生することもなく、スマホの画面が真っ暗になった。
嫌な予感がする。
ボクはスマホを持ち上げた。すると真っ暗だった画面が動き出し、スマホの向こう側の景色を映し出した。
ヤバイ!これ本当にただのカメラモードだ。泣きそう。
「もう結構です。スキルを終了させてください」
女性の呆れた声がボクの耳に届いた。
「え?終了…」
ボクは何の気なしに、慣れた方法でアプリの終了を試してみると上手くいった。
同様にアイコンのタップを行なっていた真中聡子についてだが、ポンと小さな煙が発生したかと思うと3枚のステッカーが彼女の手に現れた。
アイコンにあったとおり、ハートマークのステッカーである。
「あなたもスキルを終了させてください」
女性の声に、真中聡子はビクビクしながら従った。ステッカーがポンと消える。
「あなた方おふたりは、この部屋で暫くお待ちください。後ほど改めて、今後のことをお伝え致します」
「そんな…待ってください」
真中聡子は女性に詰め寄った。
「私たち、どうなるんですか?」
「それは、後ほどお話致します」
女性の声はかなり冷たい。
「真中さん、今は仕方がないよ。ここで待とう」
ボクは真中聡子の肩に手を置いた。
「新島くん!」
真中聡子は振り返ると、ボクの手をギュッと握りしめた。それから再び、ポロポロと涙が零れ始める。
「私たち、一体どうなっちゃうの?」
真中聡子は「うー」と声を押し殺して泣き始めた。こんな時、どうしたらいいんだ?
「ちょっと待ってください」
その時、春香が声を張り上げた。
「その男の人は私の兄なんです。一緒に居させてください」
春香の言葉に老人たちも騒めきだす。
「大丈夫だよ、春香。ボクはここで待ってるから」
「でも…」
「あまりここの人たちを困らせると、別の問題が発生してしまうかもしれない。今は大人しく従おう」
「春香ちゃん、恵太の言う通りだ。ここはこの人たちに従おう」
春日翔も春香を諭すように声をかける。
春香は顔を真っ赤にしてボクを睨んでいたが、やがてゆっくり頷いた。
「分かりました」
それから、ボクたちだけを残して全員が部屋から出ていった。
ボクは真中聡子が泣き止むのを、手を握ったまま、ただ黙って待っていた。
やる事もないので考える。
恐らく春香のあの宣言で、いきなり殺処分なんて最悪の事態は避けられたかもしれない。
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後のことは、次の話を聞いてから上手に立ち回っていくしかない。
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