21 / 165
第2章 リース領へ
21
しおりを挟む
あの大きさではかなり目立つので、カリューのサイズは再び10分の1に縮小している。もし誰かに見られても、鳥…は無理でも、竜とは思われないと思う。
私たち3人はカリューの背に乗り、空の旅を満喫していた。王都の場所はよく知らないが、馬車の目指していた方向とは逆の方向に向かう。
なんとなく気持ちも落ち着いたところで、私はケータに質問した。
「昨日の夜は、何もなかったでしょうね?」
「え?」
ケータがビクリとした。
「な、何もない。夜は何もなかった!」
あからさまに慌てた様子でケータが答えた。
「夜は…?どういう意味よ?」
私はケータをジロリと睨んだ。
「こ、言葉の綾!本当に何もない」
「せっかく黙っててあげたのに、ケータくん、自分から白状するなんて…」
誤魔化すケータを尻目に、サトコが照れたように頬を両手で押さえた。
「明け方に川で水浴びしてたら、ケータくんが入って来ちゃったの」
はあーーー!?
「ちょ…あ、あれは、起きたらサトコ居なくて、まさか水浴びしてるなんて思わなくて…」
ケータの目が泳いだ。私は思わずケータの胸ぐらを掴んだ。
「見たの?」
「み…見てない」
「本当に?」
私が追及すると、思い出したかのようにケータの顔が赤くなった。
「ち…ちょっとしか、見てない」
「それは、『見た』て言うのよーー!」
「わー、やっぱり見られてたんだ!もうお嫁に行けないー」
サトコがワザとらしく両手で顔を覆った。
「あ、ご、ごめん!でも本当にほとんど見えなかったから」
ケータがオロオロしながらサトコに謝った。
「責任、取ってくれる?」
指の間からチラリと覗きながら、サトコが呟いた。
「え…?責…」
「ちょっと待ったーー!」
私はサトコの両肩に両手を置いた。
「だったら私なんて、何度も一緒にお風呂に入ってるんだけど!」
「な、何年前の話だよ!」
ケータが慌てて反論してるが、今は置いとく。
「私にも権利があるよね?」
「えー、ご兄妹の話と一緒にされてもなー」
不服そうな顔をするサトコを、私はギロリと威嚇した。するとサトコは、自分の肩に乗っていた私の両手を下ろしながら私を見た。
「冗談、冗談。でもね…」
言いながらサトコは、ケータの方へグイッと身を乗りだした。
「本当に驚いたんだから、お返し!」
サトコはケータの額に右手を伸ばすと「ペチン」とデコピンした。ケータは一瞬呆気に取られていたが、真っ赤に染まったサトコの表情に気付き、ケータの顔も真っ赤に染まる。
「その…、悪かったな」
「そうだよ。来るときは前もって言ってくれないと…ちょっと困る」
「え……?」
「わーー、待て待て!」
私は叫んで、場を乱した。
あれ、ちょっと待って?コレ、どう考えても私の方があからさまに劣勢だよね、どうなってるの?
いっそ兄妹じゃないことを私も知ってると宣言してしまうか。だけど、それでもケータに選んでもらえなかったら、私はケータとの繋がりを全て失ってしまう。もしそうなったら、私はどうなるの?
一体私は、どうしたらいいんだーー!
~~~
「サトコ、人里が見えてきた。どうする?」
カリューがサトコに声をかけてきた。それから同じ場所をクルクルと旋回し始める。私たちに考える時間をくれるようだ。
「とりあえず、ボクたちの一番の問題はお金がないてことだ」
ケータが心底困った顔をした。
「異世界モノでよくあるのが、『冒険者ギルド』で生計をたてるというモノだけど…」
「このファーラスにも、その『ギルド』てのがあるのかな?」
サトコがもっともな疑問を口にする。
「分からない。それにあったとしても、あの規模の人里には無いかもしれない」
「じゃあ、通過する?」
私はケータの方を向いた。
「うーん」
ケータは目を閉じて思案している。
「誰かが襲われているぞ」
カリューがこちらに頭を向けた。私たちの結論がでるより前に、問題の方が先に舞い込んできちゃったみたい。
私たち3人はカリューの背に乗り、空の旅を満喫していた。王都の場所はよく知らないが、馬車の目指していた方向とは逆の方向に向かう。
なんとなく気持ちも落ち着いたところで、私はケータに質問した。
「昨日の夜は、何もなかったでしょうね?」
「え?」
ケータがビクリとした。
「な、何もない。夜は何もなかった!」
あからさまに慌てた様子でケータが答えた。
「夜は…?どういう意味よ?」
私はケータをジロリと睨んだ。
「こ、言葉の綾!本当に何もない」
「せっかく黙っててあげたのに、ケータくん、自分から白状するなんて…」
誤魔化すケータを尻目に、サトコが照れたように頬を両手で押さえた。
「明け方に川で水浴びしてたら、ケータくんが入って来ちゃったの」
はあーーー!?
「ちょ…あ、あれは、起きたらサトコ居なくて、まさか水浴びしてるなんて思わなくて…」
ケータの目が泳いだ。私は思わずケータの胸ぐらを掴んだ。
「見たの?」
「み…見てない」
「本当に?」
私が追及すると、思い出したかのようにケータの顔が赤くなった。
「ち…ちょっとしか、見てない」
「それは、『見た』て言うのよーー!」
「わー、やっぱり見られてたんだ!もうお嫁に行けないー」
サトコがワザとらしく両手で顔を覆った。
「あ、ご、ごめん!でも本当にほとんど見えなかったから」
ケータがオロオロしながらサトコに謝った。
「責任、取ってくれる?」
指の間からチラリと覗きながら、サトコが呟いた。
「え…?責…」
「ちょっと待ったーー!」
私はサトコの両肩に両手を置いた。
「だったら私なんて、何度も一緒にお風呂に入ってるんだけど!」
「な、何年前の話だよ!」
ケータが慌てて反論してるが、今は置いとく。
「私にも権利があるよね?」
「えー、ご兄妹の話と一緒にされてもなー」
不服そうな顔をするサトコを、私はギロリと威嚇した。するとサトコは、自分の肩に乗っていた私の両手を下ろしながら私を見た。
「冗談、冗談。でもね…」
言いながらサトコは、ケータの方へグイッと身を乗りだした。
「本当に驚いたんだから、お返し!」
サトコはケータの額に右手を伸ばすと「ペチン」とデコピンした。ケータは一瞬呆気に取られていたが、真っ赤に染まったサトコの表情に気付き、ケータの顔も真っ赤に染まる。
「その…、悪かったな」
「そうだよ。来るときは前もって言ってくれないと…ちょっと困る」
「え……?」
「わーー、待て待て!」
私は叫んで、場を乱した。
あれ、ちょっと待って?コレ、どう考えても私の方があからさまに劣勢だよね、どうなってるの?
いっそ兄妹じゃないことを私も知ってると宣言してしまうか。だけど、それでもケータに選んでもらえなかったら、私はケータとの繋がりを全て失ってしまう。もしそうなったら、私はどうなるの?
一体私は、どうしたらいいんだーー!
~~~
「サトコ、人里が見えてきた。どうする?」
カリューがサトコに声をかけてきた。それから同じ場所をクルクルと旋回し始める。私たちに考える時間をくれるようだ。
「とりあえず、ボクたちの一番の問題はお金がないてことだ」
ケータが心底困った顔をした。
「異世界モノでよくあるのが、『冒険者ギルド』で生計をたてるというモノだけど…」
「このファーラスにも、その『ギルド』てのがあるのかな?」
サトコがもっともな疑問を口にする。
「分からない。それにあったとしても、あの規模の人里には無いかもしれない」
「じゃあ、通過する?」
私はケータの方を向いた。
「うーん」
ケータは目を閉じて思案している。
「誰かが襲われているぞ」
カリューがこちらに頭を向けた。私たちの結論がでるより前に、問題の方が先に舞い込んできちゃったみたい。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ?
――――それ、オレなんだわ……。
昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。
そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。
妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる