ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双

さこゼロ

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第3章 湖の魔獣

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「頼むぜー。オレを愉しませろよー」

男は再び、右手を天に向けた。同時に「炎の剣」が多数出現する。

「これなら、どーだっ!」

男が右手を振り下ろすと、多数の「炎の剣」がボクたちに降り注ぐ。轟音とともに付近の木々や周りの地面が弾け飛ぶ。

「きゃあ!」

サトコが耳を押さえて、その場にうずくまる。

「くうっ!」

衝撃がハルカにも伝わるのか、短い呻き声を漏らした。

ハルカの結界に護られた、ボクらのいる円形状の場所以外が、深く抉れて攻撃の威力を物語っている。

「ハッハーー!流石だなっ」

男が愉快そうに嗤った。

「次だっ!」

男は右手を天に向けた。多数の「炎の槍」が男の頭上に創り出されていく。

「ケータ、次は、ダメかも……」

ハルカが弱々しい笑顔をボクに向けた。

その瞬間、「ピキューン」と脳内を閃光が駆け巡った…ような気がした。

「カリュー、お前を5秒間だけ巨大化させる。アイツを全力で噴き飛ばせ!」

「承知した」

ボクはカリューの写真の10倍アイコンをタップした。次の瞬間、カリューの姿が100メートルを越す巨体に変貌する。

「さあー、今度は耐えられるか……て、なにぃぃっ!?」

男は突然現れた山のようなカリューに目を剥いた。

カリューはすかさずブレスを噴いた。荒れ狂う1本の炎の濁流が男を呑み込んでいく。

「な、なんじゃそりゃあああぁぁぁーー……」

男は炎の濁流とともに、空の彼方に消え去った。男の声だけが、木霊のように響き渡っていた。

ボクはカリューを10分の1サイズに縮小させながら、男の消え去ったボーダー連峰の遥か彼方を眺めていた。

あの様子だと、死んではいないようだ。信じられないくらいタフなヤツだ。

   ~~~

「こ、これが大型魔核…か。私も初めて見る」

ファナが感嘆の言葉を漏らした。

ボクらはファナの元に帰ると「銀狼」の討伐を報告した。その証拠として「魔核」の確認をしてもらったのだ。

「しかし、こうして魔核を目の当たりにしながら言うのもなんだが、にわかには信じられんよ。本当に倒してしまうとは……」

ファナがマジマジとボクらを見てくる。アチラの「勇者」に遭遇したことは、言わない方が良いかもしれない。

「ケータ殿に頼んで本当に良かった。ありがとう」

「あ、いやー、たまたま相性がよくて助かりました。運が良かっただけですよ」

深々と頭を下げるファナに向けて、ボクは苦しい言い訳をした。

ファナが困っていたのは事実だった訳だし、倒すも倒さないも正解は無かったってことか。

あまり噂が広まって、王都にまで届いてしまったら大変困る。程々にしとかないと。

「それとな、ケータ殿の要望通り、ベッドをもう一つ運び込んでおいたぞ」

「あ、あー」

そういえば、そんなことを言っていたな。厳密に言えば、ボクの要望とは少し違うのだけど…。

「ホント?さっそく見に行きましょ!」

ハルカがボクの左腕に身をよせる。

「ちょっとハルカ!妹だからって、ケータくんに引っ付きすぎよ」

サトコがハルカを非難した。

「いーよ、サトコ。そっちの腕、貸したげる」

こらこら、ハルカ!コレはボクの腕だろ!

「え?」

サトコが言葉に詰まった。

「いらないのー?」

「い、いるわよ!」

サトコがボクの右腕に陣取った。

後ろでファナが「ククッ」と笑っている気配がする。くそー、スゴく恥ずかしい。

「あ、そうそう、ケータ殿」

書斎の扉を半分出たところで、ファナに呼び止められた。

「『ハポーネ』というのを聞いたことがあるか?」

突然のことに、ボクは首を傾げた。

「ちょっと、知らないですね」

「辺境の島、唯一の人の住む町の名だ。こんなマニアックなこと、知らない人の方が多いから安心するといい」

ファナが、悪戯っ子のような顔で笑った。

「あ……」

そう言えば、辺境の島出身って事にしてたんだった。思わずボクは絶句した。

「早くルーに顔を見せて、安心させてやってくれ。今日は本当にご苦労だった」

ファナはヒラヒラと右手を振りながら、ボクらを見送った。
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