ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双

さこゼロ

文字の大きさ
105 / 165
第8章 怪しい依頼

105

しおりを挟む
「街道で魔物に襲われただと!?」

ケータの報告を聞いて、ファナさんが焦った声を出した。

ファナさんの話によると、そういう事は全く無い訳じゃないと言う。だけどそれは、空飛ぶ魔物だったため対応が遅れたとか、魔物の数が多く防衛網を突破されたとか理由があってのことで、魔物の存在を把握すらしていなかった今回の事件とは一線を画すみたい。

「何処から侵入されたか分からなければ対応も取れない。王都に連絡して、国中の警戒が必要になるかもしれない…」

私たちが思ってた以上にファナさんの反応が深刻だった。でも言われてみれば確かにそうかも…。安全と思ってた場所が、安全ではなくなったのかもしれないんだから…

私たちは今、ファナさんの屋敷の応接室にいる。いつもの書斎じゃないのはベルさんがいるからだろうか?リンスがここに案内したのだ。

「あの、ベルさんたちの荷馬車を、泉にそのまま置いてきてしまったんだけど…」

「ああ勿論分かっているよ、ケータ殿。後で人を出して回収させよう」

ファナさんの言葉を聞いて、ケータはホッと一安心したみたいだった。

「あの…私はこれから、どうなるのでしょうか?」

ベルさんがおずおずと申し訳なさそうに質問する。

「クマン行きの商隊に合流出来るように、こちらで取り計らおう。商隊が見つかるまで日数がかかるかもしれないが、構わないか?」

「はい、大丈夫です。よろしくお願いします」

ベルさんがファナさんに深々と頭を下げる。

「あの…その際は、ケータ様に護衛を頼みたいのですが…」

「そうだな、皆が良ければ別に構わないが?」

「はい、ベルさんはボクが必ず護ります!」

ケータが即答した。私たちは「え?」と困惑する。

「ちょっとケータ、相談も無しに勝手に…」

「皆んなが嫌なら、ボクだけでも行くよ」

ケータが無表情で私を見つめる。その顔を見て、カッと頭に血が上った。

「イヤとは言ってないでしょ!」

「ケータくん変だよ、どうしたの?」

サトコが不安そうにケータを見た。

「変?どこが?」

ケータが不思議そうな顔をした。

「護衛を頼まれたんだから、最後までやるのが普通だろ?」

「それは、そうだけど…」

サトコが言葉に詰まる。それから哀しそうな瞳で私を見てきた。そんな瞳で訴えられても、私にも分かんないよ…

「やっぱりケータお兄ちゃん変です!」

ルーが目一杯声を張り上げた。「フーフー」と荒い息を吐いてる。

「ルー…」

ケータが困ったような顔をした。それからファナさんの方を見る。

「ボク、どこか変ですかね?」

「ええ?うーん…」

ファナさんが珍しく困った顔をした。こんな状況じゃなかったら「してやったり!」とガッツポーズでもしたいところなんだけど…

「すみません!私がわがままを言ったばかりに…今の話は無かったことにしてください」

ベルさんが私たちに深々と頭を下げた。急に罪悪感が芽生える。

「あ、別に嫌って訳じゃないんですよ…」

なんだか私たちの方が悪者みたい。サトコとルーの方を確認すると、同じ顔になってる。自分たちでもちゃんと自覚してる。これは完全に、私たちの自分勝手な「嫉妬」だ。

なんだかモヤモヤは晴れないけど、それをベルさんにぶつけるのは何だか違う気がする。今のベルさんは、心の平穏を失ってるだけなんだ…

「分かりました。護衛の話、引き受けます」

私は力なく頷いた。サトコとルーから小さな溜め息が聞こえてくる。分かるけど、仕方がないでしょ!

「本当ですか!ありがとうございます」

まるで花びらでも舞うかのような笑顔が、ベルさんの顔にパッと咲いた。

クッソー、この人ホント綺麗な女性ひとだなぁ…
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...