ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双

さこゼロ

文字の大きさ
111 / 165
断章3

111 番外編 16

しおりを挟む
「リンス、キミはお客さまをこの応接室に案内してくれ。私はお二人を書斎に連れて行く」

「分かりました」

リンスはファナに頭を下げると、部屋から退出していった。

「すまない、聞いてのとおりだ。急な来客が来たので、暫くの間、書斎の方で待ってていただけないだろうか?」

「ええ、構いません」

アリスの快い返事を受けて、ファナは二階にある自分の書斎に二人を案内した。

「くつろげるスペースも無く、大変申し訳ない。出来る限り手短に済ませますので…」

ファナはアリスに頭を下げた。

「あまりお気になさらずに。私たちはいくらでも待ちますから」

「はい。ありがとうございます」

ファナが再び頭を下げたとき、書斎の扉がノックされた。続いて扉の外から声が聞こえる。

「お客さまをお通ししました」

「分かった。すぐ行く」

ファナはアリスとショウに会釈をすると、扉を開けて外に出ていった。

   ~~~

ファナが書斎に戻ったのは、それから30分後のことだった。部屋に入るなり、アリスとショウに向けて頭を下げる。

「姫さま、聖騎士殿、申し訳ない。どうしても外せない用件が舞い込んでしまった。大変勝手ながら、今日のところはお引き取り願いたい」

「何か、あったのですね?」

アリスがファナから漂う空気を敏感に感じとった。

「南の街道に、把握外の魔物が現れました…」

「え?」

アリスの表情が一瞬で変わる。

「それで、どうなったのですか?」

「たまたま居合わせた我が衛兵が魔物の撃退は致しましたが、クマンの商隊がひとつ被害に合ってしまいました」

「そんな…」

アリスの顔から血の気がひいた。口元を押さえて、ワナワナと震える。

「見張りは何をしていた?」

ショウが厳しい表情をファナに向けた。

「すまない、聖騎士殿。全てこれから調査する。今は私も全く事情が分からないのだ」

「…そうだな、すまなかった」

ショウは頭を下げた。ファナにも今一報が入ったばかりなのだ、分かる訳がない。焦って気が動転していた。

「報告書を作成し、後日送付いたします。せっかくお越しいただいたのに本当に申し訳ない」

「そういう事なら、明日の朝もう一度出直そう」

ショウが含みのある笑顔をファナに向けた。

「ですが…そんな急に調査も完了しませんが?」

「調査の第一報で構わない。場合によっては街道に警戒体勢を敷かなければならない。そうなれば、王宮にもそれなりの準備が必要になる。報告は早い方がいい」

「それは、そうですが…」

「それに馬で書簡を届けるより、俺たちが直接持って帰る方が圧倒的に早い。例え夕方まで報告書を待ったとしてもな」

「……」

ファナは内心舌打ちした。聖騎士殿は是が非でもさっきの話の続きがしたいようだ。しかし緊急事態であることもまた事実。理由もなく断ることは出来ない。

「分かりました。こんな事に聖騎士殿を使うのは心苦しいですが、お言葉に甘えさせていただきます」

   ~~~

アリスとショウを見送ったあと、ファナは自席で盛大な溜め息を吐いた。

なんなんだ、この心労は?これは本当に領主の仕事なのか?いや、面倒事を「面白そう」という理由だけで抱え込んだのは確かに自分だが、これはあまりにも想定外だ。

いや、違うな…

ファナから「フフッ」と笑みが零れた。こんな状況だというのに、自分は確かに愉しんでいる。

「全く…やり甲斐がありすぎて困るくらいだ」

ファナは背中を「グッ」と反らして、ゆっくり大きく伸びをした。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...