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チートで話が脇道に逸れる。

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エルフと言えば異世界モノの定番である。
《長寿で博識、容姿端麗にして選民思想的、耳が尖って魔法を使う》
大体、創作ではここら辺の設定に落ち着くし、俺も漠然とそういう印象を持っていた。
グランバルドでも概ねそれに近い。


が、こちらではエルフは単に《高知能民族》としてのみ認識されている。
(種族というほど人間から遠い生物ではなく、ややグランバルドでは珍しい少数民族的な扱いだ。)

知能が高いが故に、自然と博識になり。
知能が高いが故に、選民思想的になり。
知能が高いが故に、高所得なので美人の配偶者を獲得する可能性が高く。
知能が高いが故に、健康管理・リスク管理も万全で不慮の落命率が低く。
知能が高いが故に、かつて魔法が多用されていた時代に魔法職に従事するものが多かった。

こういう事らしい。



現在、グランバルドでは魔法は前時代的で恥ずべきものとされており。
エルフ族のようにエリート志向の強い連中は絶対に携わらない。
それどころか、かつて自分達が魔法で一世を風靡していた事実を消したくて仕方ないようだ。

現在、エルフ族はその高い知能を活かして、法律・金融の世界で広く活躍しており、少数民族ながらも財界・法曹界で絶大な存在感を保持している。

エルフに会うのは実に簡単である。
帝都の金融街や官庁街に足を踏み入れればいいだけなのだから。
社会的地位が上昇すれば好む好まざる関係なくエルフ達と付き合わざるを得なくなるらしい。


そんな民族の中で頭の弱い個体が生まれれば、排除されても仕方ないのかも知れない。
知的障碍者という程ではないが、ギリ健くらいの度合い。
大して頭が良い訳ではない俺の目から見てもそう映るのだから、知恵を誇りとする民族の中での扱いは概ね想像がつく。
メリッサは10歳で前線都市という帝国最辺境のレストランに給仕として奉公に出された。
要は捨てられたのだ。
聞けば両親は大手法律事務所に勤務しているようで、経済的に苦境にあるとは思えない。
メリッサの両親は、《知的障碍者の娘が居るとキャリアの邪魔になる》と考えたようだ。
美人の割に自己評価が低く、常に何かに怯えている様子なのも、異常に権威に弱いのもその所為だろう。



この子は何者かに成りたかったようだが、今のところ何者にもなれていない。
それどころか、辺境のレストランで先輩ウェイトレスに苛められ、ヤクザに接待要員としていいように利用されてきた。


「美人は得だ、とはよく言うけどね。
そりゃあ例外もあるだろう。」


『ドレークさん。
ああいうタイプの子が幸福になるにはどうすればいいんですかね?』


「ルックス至上主義の男に気に入られる…  かなあ。
あの子は女の子だから嫁入りさえ出来ればセーフなんだよ。
アレが男だったら人生難易度がもう少しキツくなるかな?」


『ああ、やっぱりそこですよねえ。』


「チート君って女子のタイプに拘りとかあるの?」


『いやあ、恥ずかしながら俺は子供向けの幼稚な創作物が好きでして。
高貴なツンデレお姫様と命を懸けたラブコメがしたいですねえ。』


「高貴なツンデレお姫様と命を懸けたラブコメ、ねえ。」


『ドレークさんみたいに若い頃からモテた方から見れば噴飯モノだとは思います。』


「いや、気持ちは解かるかな。
運命の女って男はみんな憧れてるよ。
ほら、よく《運命の赤い糸》って言うじゃない?」


『え? こっちでも《運命の赤い糸》あるんですか?』


「有名でしょw
若い女の子はいつもそういう話題で盛り上がってるよw」


『女子はそういう話好きですよねえ。』


「メリッサちゃんにとったら、チート君がまさしくそれだよ。」


『俺ですか!?』


「女子からしたら運命の王子様だよw
親身になって色々考えてあげてるみたいだしさ。」


『ただの解体屋の丁稚ですよw』


「チート君、まだ25歳でしょ?
年齢的には丁稚でも不自然ではないよ。
君より年上で万年丁稚みたいな立場の子はいっぱい居るし。
メリッサちゃんからしたら、その歳で一等地にビル持ってるってレジェンドだぞw」


『一等地も何も前線都市の不動産相場、下がりまくってるじゃないですかw
値崩れしてたから買い叩けただけですよ。
売り主のモリソン家も売り急いでたし。』


「大抵の人間は不動産取引とは無縁だから
そんな内部事情はわからないだろう。
チート君は街のど真ん中にビルを持ってる、それが全てだよ。
幾ら街が急速に荒廃し始めているとは言え、ね。」


『荒廃と言えば…
セントラルホテルの跡地、あれどうするんですか。
あれこそ街のど真ん中でしょ。』


「それを考えるのがチート君の仕事でしょ。
市長w 上級市民w  チート市長!」


『からかわないで下さいよおw
でもまあ、街のど真ん中が空きテナントって冗談抜きでイメージ悪いですから…
真剣に考えてみます。
個人的には団地みたいに賃貸したいんですけど、流石にそれはマズいですかね?』


「マズいかマズく無いかを決めるのが市長の仕事だからねえ。
君の選んだ答えが正解になっちゃうんだよ。」


『責任重大ですね。』


「無い無いw 役職に責任なんか伴わないw
あるのは権利だけ。」


『そうですか?
俺は…  真面目にやりたいです。
前線都市を貧しい人間でも幸せに暮らせる良い街にしたいです。』


「そう。
今のチート君には《真面目に貧民寄りの治世を行う権利》がある。
君はそれを実践していいんだ。」


『…享受してみます。
ドレークさんはどんな権利を行使して来たんですか?』


「うーん。
冒険者ギルド長としては…
風通しの良いギルド運営を心掛けていたかな。
俺が余所者ってこともあるけど。
外から来た者にでも平等に仕事を振ってる。」


『ああ、確かに。
冒険者の人って、結構出身地バラバラですよね。』


「こんな吹き溜まりで純血主義を押し出しても仕方ないしね。」


『俺も余所者なのでありがたいです。』


「オープンな環境には新参者の忠誠心を高める効果がある。
代わりに古参を繋ぎ止める求心力がやや弱い。
新参に公平って事は、古参を優遇しないってことだからね。」


『な、なるほど。
そんな事、考えたことも無かったです。』


「政治ってどっちかなんじゃない?
オープンな自由競争か、クローズドな保護体制か。
その匙加減だと思うよ。」


『…俺は政治って後者であるべきだと思うんですが。
間違ってるんでしょうか。』


「チート君って典型的な弱者保護思想あるよね?」


『そりゃあ、俺は弱者ですし。』


「元弱者でしょ?
今、立場強いじゃん。
この街のナンバーワンじゃん。
何せ俺やヨーゼフですら君には頭が上がらないんだぜ?」


『ずっと、弱者の立場でいたんです。
それこそ親や祖母の代から。
だから、物の考え方はかなりそっち寄りに染まってると思います。
あんまり弱肉強食的な自由競争が好きではない、というか…』


「そりゃあメリッサちゃんが懐くわけだ。
でもねえ、チート君。
何か仕事をしようと思えば、強者側の協力は不可欠だよ?
君を助けてくれてる人って、ゲドさんとかアンダーソンとか…
飛び抜けた強者ばかりでしょ?」


『うーん、最初はそう思ってたんです。
強キャラばかりで脇を固めるのが一番って風に。
でも、普通の人でもちゃんと仕事を割り振れば輝きますよ。
ウチの秘書室長とかも活躍してくれてますし。』


「室長?  ああ、あの小太りの。」


『ええ、彼です。
彼、今は無双してくれてますよ?』


「なるほど。
チート君は、《人を活かすのは環境》って考え?」


『そうかも知れません。
出来ないと思ってた人間でも環境や条件が変わると活躍出来たりしますし。
俺も、前線都市に来て初めて他者から評価されました。』


「そうか。
ただ忠告しておくけどね?
そんな風にお膳立てされて状況が好転したような人材は
自由競争を勝ち上がって来た上澄みには絶対に勝てないよ?
世の中には獣のような闘争主義者が存在して、そいう連中は弱者保護に偏った政策を好まない。
それだけは覚えておいてね。」


『ドレークさんも、福祉はあまり好きではないんですか?』


「はははw
今は君に福祉して貰ってる立場だからねえw
でも、俺達が頑張って稼いだのに、それが弱者に分配され過ぎるっていうのは考えこんじゃうかな。
あ、これは単なる一般論ね。
ほら、ヤクザにしろ冒険者にしろ自己責任で生きて来てるわけじゃない?
だから俺は殊更に福祉に敏感なんだと思う。」


『バラマキにならないように意識してみます。』


「バラマキに見えなければいいんだよw
要は納得感なんだからさ。」





市長になってから、意識して夕食を他人と囲むようになった。
頑張って色々な人と接点を作る様にしている。
ドレークは、もう身内枠だから、これは会食にカウントしない。
ただ、初見の相手を紹介してくれる事には非常に助けられている。


殆どの街の人間は、俺の事をドレークかヘルマン組長の親戚の小僧だと思っている。

「ヤクザ同士の手打ちのついでに親戚を市長職に押し込んだ。
実権はドレークが握っている。」

そんな風に思われている。
成程、親戚同士なら高価なエリクサーを惜しげもなく提供するだろうし、冴えない小僧に役職を与えてバックアップもするだろう。
ドレークは親戚説を必死に否定するのだが、逆にその必死さが仮説にリアリティを持たせてしまってなので、少なくない者が露骨に俺をヤクザの隠れ蓑(フロント)扱いしている。
まあ実際は、市長が誰で市民会議のメンバーが誰か、という話に興味を持つのはある程度財産を持った人間だけだが。
喰うや喰わずの貧民からすれば、誰が権力を握ってようが関係が無い。
俺も川崎市や大阪市に住んでいた時の市長が誰かは未だにわからない。
最下層の生活保護民だったからだ。



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ドレークと合流したのが早かったので、まだ夕方だった。
《セントラルホテルを賃貸に出したい》という即興のアイデアの可否が気になったので、商業ギルドを訪れてみる。
レザノフ卿が近隣の村落に出張していたので帰ろうとすると、何故かアホのマカレナが呼び止めて来た。


【ふっふっふw
大佐殿からは何故か接触を禁止されているが、チート・イセカイと話してみよう。
向こうから話し掛けられた事にすれば問題はないよな?
私の華麗な話術でイセカイの情報を獲得してやるのだ!
きっと大佐殿は私を評価して下さる筈!!
これで心証を稼ぎ、やがては男と女の関係にグフフフw】


おいおい。
アンタ、上司の苦労を何だと思ってるんだ?
《何故か接触を禁止》じゃねーよ。
禁止されてることすんな。
まあいい。
敵のミスはこっちのチャンスだ。
活かさせて貰おう。


【表向き、大佐殿は第三農区への出張という事になっているが…
何と今は商都の法務局に居るんだよなぁ。
法学の権威・チェルネンコ教授に臨時ブレーンとしてスタッフに加わって貰う算段だ。
当然、身分は隠す。
ここではチェーザレ会計補佐官という偽名と偽身分を用意してある。
情報部の常套手段だがな。
言うまでも無く、これはイセカイ対策なので、教授をチート・イセカイとは絶対に会わせない。
奴の意識外で活躍して貰うのだ!
ふふふ、まさかこちらのアドバイザーが北区のカフェ・ハイビスカスの2階に起居するとは思うまいww
奴の解体工房から近すぎるのが難点だが、富裕層が広々と暮らせる賃貸物件は意外に少ないからな。
馬車停留所から近いところ、という教授の注文を鑑みると、どうしてもアソコになってしまった。
まあいいさ。
こっちもスポットで法律相談させて貰いたいだけだしな。
普段はカフェでのんびり時間を潰して貰おうかw
当然これはトップシークレットだけどなw
大学・商業ギルド、双方の服務規程に違反しているからな。
これは我々にとって政治的な賭けだ!
絶対にこの綱渡りは誰にも悟られてはならない。
特に標的のチート・イセカイ、オマエにはなあ!】



…アホか。
オマエみたいに感情が表に出易い女がペラペラとマーク対象と会話しちゃ駄目に決まってるだろう。
仮に【心を読む】能力が無かったとしても、オマエの違和感には気付いたと思うぞ?
そりゃあ、レザノフ卿もこの女を遠ざけるよな。
カフェ・ハイビスカスか…
実は俺、アソコに結構行くんだよね。
ノエルやメリッサみたいな年頃の女の子が喜ぶし。
シックな雰囲気だからワイアット靴工房やミーティア精肉会社を接待する時にも使えるんだよ。
ほら、社長さんってちょっとした商談でも小奇麗な店で一服したがるじゃない?


【くっくっくw
チート・イセカイよ。
我々の法律的な包囲網は盤石だ!
お優しいレザノフ大佐は迷っておられるようだが
私はオマエを許さん!
合法的に処刑台に送り込んでくれるわ!
オマエがドレークなるヤクザの頭目と結託している事は周知の事実!
しかも低利で融資を行っている様だな!
はい、アウトーーーーーーwww
反社会的勢力への資金供給は一発アウト、反逆罪だーーーwww
ぷぷぷw
来月初日!
監察官が来訪するタイミングで匿名通報してやるw
みんな辺境監察官を軽視しているみたいだけど、反社関連は結構即時処刑されてるよ?
正式な借用書・証言書とか絶対に残してないでしょw?
そこら辺は優秀な私が個人的に調査済みだww!!
エリクサーの譲渡代金だって?
市価で10億越えるよ~w?
それをうやむやにしたがってるってことは、実質ヤクザへの利益供与だよね?
反社に億越えの利益供与してただで済むとか思ってた?
金銭じゃなくて物品だからセーフとか思ってた?
甘いねえええwww
お・し・ま・い・DEATH!!
はい死んだーww
チート・イセカイ死んだーーーwwww
監察官が来たタイミングで反逆罪の臨時法廷を開くように持って行きますwww
大佐殿の指示こそないが、私があのお方の憂慮を取り除かなければな!
実はリザード関連での反乱罪適用は難しい。
あまり知られていない事だが、監察部は他種族絡みの案件を裁定する権利を与えられていなからな。
だが、反社絡みは結構四角四面に処理されるぞーw
くくくw
チート・イセカイ!
オマエの死は確定した!
帝国商法に基づいた借用書・証言書・返済履歴書の3点が揃ってでも居ない限り
オマエは即刻処刑だwwww
ふふふ、反逆罪は一審制ww
控訴は無いッwww
万が一無罪判決が出た場合、七大公家でもオマエに手が出せなくなってしまうが!
辺境のヤクザ如きがそんな几帳面に書類を揃えているケースなど絶無!!!!
オマエの地獄行きは確実だーーーーーーwwwwwww】



おお、危なかった…
急いで書類を揃えとかなきゃな。
そうだよな、さっきも一緒に飯食ってたけど。
ドレークさんとは傍から見たら完全に癒着関係だよな。
もう少し警戒しよう。
俺、日本に居る時は裁判の長さをアホらしく感じてたけどさ。
一審制で死刑とか滅茶苦茶な話聞いたら…
長くてもちゃんと審理して欲しいよな。
あー、でも一度無罪確定すると安全が確保されるってのはありがたいよな。
七大公家ってあれだろ?
グランバルドを支配してるって貴族。
そこでも手を出せないくらいカッチリした権利なら、利用させて貰うしかないじゃないか。



俺の死を確信している所為か、マカレナの表情は晴れやかで優越感や嘲笑の混じった雰囲気が会話の端々に出ている。
スイーツの話題とか振って来る辺りも妙に不自然だ。
あー、これ勘のいい人なら【心なんか読ま】なくても察知で出来るレベルだな。
レザノフ卿みたいに凄腕のエージェントからしたら、このマカレナとかいう女は…
そりゃあ危険だわ。
上司に内緒で政治的冒険に出るとか、頭おかしいだろ?


まあいい。
《帝国商法に基づいた借用書・証言書・返済履歴書》だよな。
大至急調べよう。
親切にもマカレナの脳内には《反イセカイ名簿》が羅列してあったので、そちらも記憶させて貰う。
急先鋒は中央区の資産家であるホルムルンド氏。
本業は貴金属商。
マカレナの【心の中】曰く。
生来のヤクザ嫌いの上に、魔石売買市場の起ち上げを試みて何度も失敗している経緯がある人物である。
ドレークやヘルマン組長と結託している上に、自宅の軒先に魔石取引場を作った俺を一方的に憎悪しているらしい。
俺は初耳だったのだが、最近も中央区に魔石売買の為のショップを開店したが集客に困っているとのこと。
その開店日が丁度、魔石取引場が冒険者ギルドから工房の裏口に移った日と被っていたらしい。
当然これは偶然に過ぎないのだが、ホルムルンド氏の目には宣戦布告として映ったのだろう。
商業ギルドに頻繁に通っては俺への誹謗中傷をレザノフ卿に吹き込んでいるとのこと。
マカレナは、このホルムルンド氏をイセカイ潰しに利用しようと画策している。
当然、レザノフには釘を刺されているのだが、低能女特有の脳回路で自分に都合の良い様に歪曲して解釈しているらしい。
…勘弁してくれよ。


大体、ホルムルンド氏もさあ。
そうならそうと言ってくれよ。
俺もそっちに配慮したのに…
頼んでくれたら告知くらいは手伝ってやったよ!

大体さぁ。
商売なんて、誰がどこで開業しようが自由じゃないか。
被るのが嫌なら、事前に声を掛けるなりコラボを持ち掛ければいいだけの話じゃないか。
それを第三者に悪口を吹き込むとか…
やってられないな。


----------------------------------------------------------------------


俺は急ぎ工房に戻り、リビングで飯を食いながら考え込む。
派手に動き過ぎたんだろうな。
知らない相手から憎悪されるって、結局それが原因なんだろう。

師匠・ドランさん・ラルフ君・小太りオジサン・ノエさん。
丁度、フルメンバーが揃っていたので率直に状況を打ち明ける。


『俺を告発しようとしている人が居るらしいんですよ。
商業ギルドでトイレに行った時に、たまたま小耳に挟んでしまって。』


「兄弟子は異例の大出世を遂げましたからね。
やはり嫉妬も大きいのでしょう。」


「チート、明日ヨーゼフパーティーが来るから。
借用書の相談をしよう。
これは最優先だ!」


「俺とドランは田舎者だから辺境監察官が厳しい事はよく知ってる。
子供の頃、隣村の村長が重収賄罪で処刑されて話題になってたしな。
ドラン、覚えているか?」


「忘れられるもんかよ。
子供の頃は解らなかったけど、村内の勢力争いに点数欲しさの監察官が乗った形だろ?
今回も同じ構図って訳だ。」


「最近は運河都市の一斉逮捕が有名ですよね。
建築資材の横流しの件。」


「あ、そうか。
ノレさんはまさしく資材管理が仕事ですものね。」


「日給月給のバイトですよw
現場では昨日の事のように一斉逮捕事件が語られてます。
他人事ではないですからねw」




こうして皆が雑談してくれるだけでも相当助かる。
何となくこちらの世界での常識や慣習が頭に入るからだ。
師匠から強く勧められたので、不本意ながらベスおばに《帝国商法に基づいた借用書・証言書・返済履歴書》とやらを尋ねに行く。



「ちょっと、それワタクシにも関係あるんじゃない?」

『ああ、そうか。
公式記録にはアンタも記載されてたな。』

「そういう大切な事は早く言いなさいよ!」

『俺も今日指摘されたんだよ。』

「監察っていつ?」

『…来月初日。』

「もうすぐじゃない!!!」

『…。』

「ワタクシが体裁を整えるから。
明日の朝一番に例の店に行って《B種記録書セット》を買って来て頂戴!」

『例の店?』

「ほらワタクシとアナタが最初に会った…」


ああ、ゴードンさんの店か。
あれはアンタに一方的に因縁を付けられただけなんだけどな。



『なあ、一言だけ愚痴を聞いてくれ。』

「どうぞ。」

『非生産的な作業に時間を割かれるのって人生の無駄だよな。
話が脇道に逸れるだけでも、すっごく損した気分になる。
俺はリザードやスライムにだけ時間を割きたい!』

「あの低能女も考慮に入れてやりなさい。」

『そう! リザードやスライムやメリッサにだけ時間を割きたい!』

「あのねえ。
あんなのでも一応レディなんだから。
怪物と一緒にするのはやめてあげたら?
だから伊勢海クンはモテないのよ。」


『余計なお世話だ。』


「でもまあ、生産性については賛成ね。
社会はただ進歩と前進だけにリソースを注ぐべきだわ。
凡人の存在は全くの無駄。
その点だけはアナタに賛同してあげる。」


そいつはどーも。
何を誤解しているのかわからんが、俺はアンタと真逆で、寧ろ凡人を食わす事こそが社会の使命だと思うがな。



いずれにせよ、話が脇道に逸れるのはアホらしいので、この政争はさっくり片づけよう。
ラノベとかでも話が滞ると興醒めするからな。


皆だって小役人の下らない妨害話なんかより、俺がモテモテになって美少女ハーレム作る話が読みたいよな?
いや、そうに決まっている!
ラノベってあれだよ!
ハーレム作ってなんぼだよ!
安心してくれ!
ノエルやメリッサ以外にも美少女ヒロインをちゃんと増やすから!
(ついでに標準座標≪√47WS≫もちゃんと殺す。)
期待して見守っててくれよな!
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