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チートで正体が暴かれる
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結論から言うと、俺が異世界人であることがバレた。
勿論、俺なりに言動には細心の注意を払っていたつもりだったが…
俺は… 完膚なきまでに負けた。
その日は各種族の若手官僚が集う非公式のお茶会だった。
尤も、それは口実でシュタインフェルト卿との顔繋ぎが真意である。
座長はヴォレフ課長というリザードの経済官僚で、実家の財力に物を言わせた巨大なプライベート船で宴席を設けてくれた。
(母艦の真後ろに係留を許されている時点で私的会合の訳が無いのだが。)
俺は各席を回りシュタインフェルト卿と若手官僚達を引き合わせていった。
会の雰囲気は極めて和やかなものであり、「これからは我々の世代がより平和な世界秩序を築いていきましょう」という趣旨のスピーチを言葉を変えて各種族が述べていった。
宴も酣となり、明日の予定が詰まっているコボルト組を送別することになった。
そのタイミングで各員も解散。
皆で万歳(リザード語では「クニッド」と発音する)を唱和して最高のムードで帰りの船を待っていた所、母艦から呼び出しを受けた。
「人間種の皆様に配りたい粗品があるから取りに来てくれ。」
との旨だったので、何の疑念も抱かずに艦橋内の小会議室に入り待機していた。
机の上に贈答袋のような物が置かれていたので
『ああ、これをくれるのか。 食べ物だったらベスおばにくれてやるか。』
等と漠然と考えていた。
不意に背後でドアが開き、俺が振り向くと。
そこにはオークの絶対的統治者であるギルガーズ大帝陛下が目を見開いてこちらを見ていた。
無論、陛下とは初対面で肖像画すら拝見した事はなかったが、それでも当然のように解かったのだ。
鼻筋の通った面長の顔、最低限に鍛えられた筋肉質な体型(素人の俺が見ても職業軍人の体型とは明らかに異なっていた。)、余裕と気品に満ち溢れた口元、明らかに官僚秩序からも軍事秩序からも逸脱している洒脱なファッション。
間違う方が困難であろう。
このお方が大帝陛下でなければ、誰が大帝の称号を許されるというのか?
その時、スキルは確かに閉じていた記憶がある。
宴会で空気と【心】を読み続けて、かなり疲れていたからだ。
それでも…
【イセカイ・チート!!!??】
という大きなポップアップが陛下の胸元に表示される。
向こうに取ってもイレギュラーだったらしく、表情に明らかに動揺の色が見えた。
【しまった!
失敗した…
ここで鉢合わせるとは…
リザード側の工作?
いや、それは考えられない。
何故?
何故だ?
心の準備が出来ていない!】
大帝陛下は《絶対にポーカーフェイスを崩さない方》と伺っていたが、、目玉を見開き冷や汗をダラダラ流している。
いや、恐らくは俺も似たような表情をしていたと思う。
背骨を無造作に掴み取られたような戦慄に襲われ、思考と肉体が完全に硬直する。
ほんの数秒だったのかも知れないが、俺と大帝陛下は愕然と互いを見つめていた。
【…これがイセカイ・チート?
これがイセカイ・チートなのか?
小兵だとは聞いていたが…
なるほど、今この瞬間全ての疑問が氷解した!!!
イセカイ・チートは特殊能力者!
それもチートレベルの超稀少技能の持ち主!!
…そして。
今なら断言できる。
余は憶測を好まぬが…
それでもこれだけは断言できる!
イセカイ・チートは異世界から来た男だ!!!!】
やられた。
何故バレた?
証拠は?
いや、証拠などは関係ない、俺の風貌や態度から垣間見える何らかの要素から確信されてしまったのだ。
俺がチート能力を保有した異世界人だということを。
…オークとの終戦協定って
正式発効はいつだ?
停戦状態には持ち込めたんだよな?
あれ?
書面として確定はしてなかったんだったか…
どっちだ?
どっちだ?
脳が混乱する。
何度も頭に入れた筈の外交状況が思い出せない。
「ilnvrwiovnwri^\onvc.epc,er?qa,ce!!!」
【お下がりを!! 陛下!!!】
突如、背後のオーク(恐らくは大帝陛下の副官?参謀?)が両手を広げて、俺とギルガーズ大帝の間に入る。
【ゴドイ?
スマン!】
それで俺と陛下は我に返った。
俺は慌てて貴人と同室してしまった非礼を詫びる。
陛下もペースを取り戻したのか、柔和で寛容な笑顔を見せ
「こちらこそゴメンね、部屋を間違えたらしい。」
と流暢なリザード語で許して下さる。
(ネイティブとまでは言わないが、かなり正確なイントネーション位置だった。)
この間、ほんの数秒。
対面時間は20秒も無かったかも知れない。
すぐにリザード官僚が飛んできて、大帝陛下に平身低頭し、続いて俺の存在に気付き絶句した。
俺と陛下はその反応を見て、この邂逅がリザード側の工作では無い事を確信する。
少なくとも部屋に飛び込んで来たリザード官僚達は既に切腹を覚悟していた。
(俺は役所の論理にはさっぱり疎いのだが、そんな俺でもこの失態が処刑に値することくらいは解かる。
俺がオークへの刺客だったらどうするんだ?
俺と大帝陛下がこの不意の遭遇で揉めてしまっていたら?
外交問題では済まない。)
「いや、友人だ。
今、仲良くなってね。
皆様には感謝している。」
大帝陛下は言質を与えない抽象的な物言いで場を収めようとする。
ゴドイと呼ばれた副官(?)のオークも、「問題ありません。 一切の問題はありませんから。」と宣言する。
非常に重苦しい雰囲気のまま、俺と大帝陛下は黙礼を交わし。
『非礼をお詫び致します。
イセカイ・チートと申します。』
「いや、楽しい一時に感謝する。
余はギルガーズと申す者。
所用ありて、この地に足を踏み入った。」
『こ、これは!
もしやと思いましたが、やはり大帝陛下であられましたか!
どうか御無礼をお許し下さい。』
「いや。
苦しゅうない、苦しゅうありませんぞ。」
俺はその場に平伏し額を床に擦り付けた。
無論、表情を読み取られるのが恐ろしかったからだ。
リザード官僚達も俺に倣い、慌てて平伏する。
ゴドイが『まあまあ。』と表向き許しを与えるが、腹の底では
【土下座くらいは当然だろう。
領内であれば無礼討ちにしているところだ。】
と考えている。
大帝陛下も『いやいやいや。 本当に、本当に。 表を上げて下さい。』と言いつつ、脳内で俺への分析を整理していた。
【まず、イセカイ・チートが裕福な平民という報告は誤報。
功績を称えられ伯爵位を獲得した、という見解も正確ではない。
余の分析では、人間種社会にそこまでの身分的流動性はない。
イセカイ家の先祖が廃棄物処理業者というレポートも全くの的外れ。
この男は生まれながらの労働者階級だ。
それも、労働者の中でも追使われる側の立場。
断言しよう。
この男自身が廃棄物処理作業員出身。
筋肉の付き方や、指の曲げ方、頭を下げる時の角度を見れば一目瞭然。
現在の地位は、この男一個の才覚で一代で築いたもの!
問題はそんな立場にある男を何故人間種が代表に選び、交渉の全権を与えたのか?
理由は明白。
この男が異能者だからだ。
それもこの男しか持たぬ、飛び抜けた異能を保有している。
寡占状態が安定した共和政体で、支配層側が地位を与えなければならない程の異能。
決まっている。
翻訳、もしくはそれに準ずるスキルを保有しているのだ。
だから、人間種以外の全種族と意思疎通を行い、周旋する事に成功している。
或いは翻訳の上位互換的な能力を保有している可能性も考えられる。
鑑定? 精神操作? 思考解読?
憶測は危険だが肉体系のスキルではない。
錬磨の形跡が感じ取れない。
いや、戦闘力は垣間見えるが…
それは暗器か何かに依存したものであり、本人の実力ではない。
全身に自決用の毒薬でも仕込んでいる?
兎も角、この男が保有しているのは間違いなく精神系のスキルだ。
それも継続的に相手に干渉するタイプのものであることは、眼球運動から見ても明白。
この思考もこの男に誘導されている?
少なくとも射程内に入るのは危険だ。
射程?
そこまで長くないのは確か。
もしもこの男が長射程の能力者なら、一方的に余を観察していた筈。
つまり遮蔽物や距離がある場合、本領を発揮できない類の異能だ。
だが、今は近づきすぎている。
帰艦次第、余とゴドイのメディカルチェックを行わなくては。
七大公家のシュタインフェルト家の者が余と同時に到着したとの情報を得ているが…
その者は恐らく当主ではない。
拮抗によって保たれている政治勢力が外交的抜け駆けを許す訳がない。
恐らくは嫡男クラス。
それも円満な合議によって選出された筈。
共和政体においては、それ以外のタイプは絶対にこの場面では派遣されないのだ。
つまり、シュタインフェルト特使は独断専行をしない/出来ないタイプ。
何故、このタイプの外交官が後任となった?
結論は明白。
イセカイ・チートは人間種を代表していないからだ。
人間種政権は、イセカイ・チートの得た果実は収穫するつもりだが、彼を社会の中枢に引き上げる気はない。
それを証明するのが、この男のファッション。
ゴブリン風の靴と手甲、肌着はリザード製品。
余の知る限り、人間種はこんなファッションは絶対にしない。
少なくともここに辿り着くまでに見た人間種にそんな恰好をした者は一人も居なかった。
心情が人間種ではなく、他種族に大きく傾いている。
断言しよう。
イセカイ・チートは人間種内の異端。
情報部の見解では、《政権中枢の懐刀》との報告だが、それは文明の差異を読み切れていないが故の誤判断!
間違いない。
イセカイ・チートは人間種内で孤立している。
異世界人故か?
異能ゆえか?
生まれの低さ故か?
恐らくはそれらを複合した理由で孤立していると見た!
流石はヴァ―ヴァン主席よ。
イセカイの微妙な種族内の立場を察した上で、打てる限りで最善手を打ってきた…
恐ろしい…
本当にあのリザードだけは恐ろしい…
絶対に油断してはならない相手だ。
まあ、いい。
こちらの姿を見られたのは計算外だが、目的は達成できた!
《イセカイ・チートを直々に検分する》、という余のこの旅の唯一の目的がなあ!】
…そりゃあね。
たかが【心を読めた】くらいで世の中を軽々渡って行ければ誰も苦労しないんだわ。
その日はベスおばの船舶で寝た。
大帝陛下が短慮を起こして俺に刺客を送り込む可能性も十分考えられ、ヴェギータ達を巻き添えにはしたくなかったからだ。
勿論、俺なりに言動には細心の注意を払っていたつもりだったが…
俺は… 完膚なきまでに負けた。
その日は各種族の若手官僚が集う非公式のお茶会だった。
尤も、それは口実でシュタインフェルト卿との顔繋ぎが真意である。
座長はヴォレフ課長というリザードの経済官僚で、実家の財力に物を言わせた巨大なプライベート船で宴席を設けてくれた。
(母艦の真後ろに係留を許されている時点で私的会合の訳が無いのだが。)
俺は各席を回りシュタインフェルト卿と若手官僚達を引き合わせていった。
会の雰囲気は極めて和やかなものであり、「これからは我々の世代がより平和な世界秩序を築いていきましょう」という趣旨のスピーチを言葉を変えて各種族が述べていった。
宴も酣となり、明日の予定が詰まっているコボルト組を送別することになった。
そのタイミングで各員も解散。
皆で万歳(リザード語では「クニッド」と発音する)を唱和して最高のムードで帰りの船を待っていた所、母艦から呼び出しを受けた。
「人間種の皆様に配りたい粗品があるから取りに来てくれ。」
との旨だったので、何の疑念も抱かずに艦橋内の小会議室に入り待機していた。
机の上に贈答袋のような物が置かれていたので
『ああ、これをくれるのか。 食べ物だったらベスおばにくれてやるか。』
等と漠然と考えていた。
不意に背後でドアが開き、俺が振り向くと。
そこにはオークの絶対的統治者であるギルガーズ大帝陛下が目を見開いてこちらを見ていた。
無論、陛下とは初対面で肖像画すら拝見した事はなかったが、それでも当然のように解かったのだ。
鼻筋の通った面長の顔、最低限に鍛えられた筋肉質な体型(素人の俺が見ても職業軍人の体型とは明らかに異なっていた。)、余裕と気品に満ち溢れた口元、明らかに官僚秩序からも軍事秩序からも逸脱している洒脱なファッション。
間違う方が困難であろう。
このお方が大帝陛下でなければ、誰が大帝の称号を許されるというのか?
その時、スキルは確かに閉じていた記憶がある。
宴会で空気と【心】を読み続けて、かなり疲れていたからだ。
それでも…
【イセカイ・チート!!!??】
という大きなポップアップが陛下の胸元に表示される。
向こうに取ってもイレギュラーだったらしく、表情に明らかに動揺の色が見えた。
【しまった!
失敗した…
ここで鉢合わせるとは…
リザード側の工作?
いや、それは考えられない。
何故?
何故だ?
心の準備が出来ていない!】
大帝陛下は《絶対にポーカーフェイスを崩さない方》と伺っていたが、、目玉を見開き冷や汗をダラダラ流している。
いや、恐らくは俺も似たような表情をしていたと思う。
背骨を無造作に掴み取られたような戦慄に襲われ、思考と肉体が完全に硬直する。
ほんの数秒だったのかも知れないが、俺と大帝陛下は愕然と互いを見つめていた。
【…これがイセカイ・チート?
これがイセカイ・チートなのか?
小兵だとは聞いていたが…
なるほど、今この瞬間全ての疑問が氷解した!!!
イセカイ・チートは特殊能力者!
それもチートレベルの超稀少技能の持ち主!!
…そして。
今なら断言できる。
余は憶測を好まぬが…
それでもこれだけは断言できる!
イセカイ・チートは異世界から来た男だ!!!!】
やられた。
何故バレた?
証拠は?
いや、証拠などは関係ない、俺の風貌や態度から垣間見える何らかの要素から確信されてしまったのだ。
俺がチート能力を保有した異世界人だということを。
…オークとの終戦協定って
正式発効はいつだ?
停戦状態には持ち込めたんだよな?
あれ?
書面として確定はしてなかったんだったか…
どっちだ?
どっちだ?
脳が混乱する。
何度も頭に入れた筈の外交状況が思い出せない。
「ilnvrwiovnwri^\onvc.epc,er?qa,ce!!!」
【お下がりを!! 陛下!!!】
突如、背後のオーク(恐らくは大帝陛下の副官?参謀?)が両手を広げて、俺とギルガーズ大帝の間に入る。
【ゴドイ?
スマン!】
それで俺と陛下は我に返った。
俺は慌てて貴人と同室してしまった非礼を詫びる。
陛下もペースを取り戻したのか、柔和で寛容な笑顔を見せ
「こちらこそゴメンね、部屋を間違えたらしい。」
と流暢なリザード語で許して下さる。
(ネイティブとまでは言わないが、かなり正確なイントネーション位置だった。)
この間、ほんの数秒。
対面時間は20秒も無かったかも知れない。
すぐにリザード官僚が飛んできて、大帝陛下に平身低頭し、続いて俺の存在に気付き絶句した。
俺と陛下はその反応を見て、この邂逅がリザード側の工作では無い事を確信する。
少なくとも部屋に飛び込んで来たリザード官僚達は既に切腹を覚悟していた。
(俺は役所の論理にはさっぱり疎いのだが、そんな俺でもこの失態が処刑に値することくらいは解かる。
俺がオークへの刺客だったらどうするんだ?
俺と大帝陛下がこの不意の遭遇で揉めてしまっていたら?
外交問題では済まない。)
「いや、友人だ。
今、仲良くなってね。
皆様には感謝している。」
大帝陛下は言質を与えない抽象的な物言いで場を収めようとする。
ゴドイと呼ばれた副官(?)のオークも、「問題ありません。 一切の問題はありませんから。」と宣言する。
非常に重苦しい雰囲気のまま、俺と大帝陛下は黙礼を交わし。
『非礼をお詫び致します。
イセカイ・チートと申します。』
「いや、楽しい一時に感謝する。
余はギルガーズと申す者。
所用ありて、この地に足を踏み入った。」
『こ、これは!
もしやと思いましたが、やはり大帝陛下であられましたか!
どうか御無礼をお許し下さい。』
「いや。
苦しゅうない、苦しゅうありませんぞ。」
俺はその場に平伏し額を床に擦り付けた。
無論、表情を読み取られるのが恐ろしかったからだ。
リザード官僚達も俺に倣い、慌てて平伏する。
ゴドイが『まあまあ。』と表向き許しを与えるが、腹の底では
【土下座くらいは当然だろう。
領内であれば無礼討ちにしているところだ。】
と考えている。
大帝陛下も『いやいやいや。 本当に、本当に。 表を上げて下さい。』と言いつつ、脳内で俺への分析を整理していた。
【まず、イセカイ・チートが裕福な平民という報告は誤報。
功績を称えられ伯爵位を獲得した、という見解も正確ではない。
余の分析では、人間種社会にそこまでの身分的流動性はない。
イセカイ家の先祖が廃棄物処理業者というレポートも全くの的外れ。
この男は生まれながらの労働者階級だ。
それも、労働者の中でも追使われる側の立場。
断言しよう。
この男自身が廃棄物処理作業員出身。
筋肉の付き方や、指の曲げ方、頭を下げる時の角度を見れば一目瞭然。
現在の地位は、この男一個の才覚で一代で築いたもの!
問題はそんな立場にある男を何故人間種が代表に選び、交渉の全権を与えたのか?
理由は明白。
この男が異能者だからだ。
それもこの男しか持たぬ、飛び抜けた異能を保有している。
寡占状態が安定した共和政体で、支配層側が地位を与えなければならない程の異能。
決まっている。
翻訳、もしくはそれに準ずるスキルを保有しているのだ。
だから、人間種以外の全種族と意思疎通を行い、周旋する事に成功している。
或いは翻訳の上位互換的な能力を保有している可能性も考えられる。
鑑定? 精神操作? 思考解読?
憶測は危険だが肉体系のスキルではない。
錬磨の形跡が感じ取れない。
いや、戦闘力は垣間見えるが…
それは暗器か何かに依存したものであり、本人の実力ではない。
全身に自決用の毒薬でも仕込んでいる?
兎も角、この男が保有しているのは間違いなく精神系のスキルだ。
それも継続的に相手に干渉するタイプのものであることは、眼球運動から見ても明白。
この思考もこの男に誘導されている?
少なくとも射程内に入るのは危険だ。
射程?
そこまで長くないのは確か。
もしもこの男が長射程の能力者なら、一方的に余を観察していた筈。
つまり遮蔽物や距離がある場合、本領を発揮できない類の異能だ。
だが、今は近づきすぎている。
帰艦次第、余とゴドイのメディカルチェックを行わなくては。
七大公家のシュタインフェルト家の者が余と同時に到着したとの情報を得ているが…
その者は恐らく当主ではない。
拮抗によって保たれている政治勢力が外交的抜け駆けを許す訳がない。
恐らくは嫡男クラス。
それも円満な合議によって選出された筈。
共和政体においては、それ以外のタイプは絶対にこの場面では派遣されないのだ。
つまり、シュタインフェルト特使は独断専行をしない/出来ないタイプ。
何故、このタイプの外交官が後任となった?
結論は明白。
イセカイ・チートは人間種を代表していないからだ。
人間種政権は、イセカイ・チートの得た果実は収穫するつもりだが、彼を社会の中枢に引き上げる気はない。
それを証明するのが、この男のファッション。
ゴブリン風の靴と手甲、肌着はリザード製品。
余の知る限り、人間種はこんなファッションは絶対にしない。
少なくともここに辿り着くまでに見た人間種にそんな恰好をした者は一人も居なかった。
心情が人間種ではなく、他種族に大きく傾いている。
断言しよう。
イセカイ・チートは人間種内の異端。
情報部の見解では、《政権中枢の懐刀》との報告だが、それは文明の差異を読み切れていないが故の誤判断!
間違いない。
イセカイ・チートは人間種内で孤立している。
異世界人故か?
異能ゆえか?
生まれの低さ故か?
恐らくはそれらを複合した理由で孤立していると見た!
流石はヴァ―ヴァン主席よ。
イセカイの微妙な種族内の立場を察した上で、打てる限りで最善手を打ってきた…
恐ろしい…
本当にあのリザードだけは恐ろしい…
絶対に油断してはならない相手だ。
まあ、いい。
こちらの姿を見られたのは計算外だが、目的は達成できた!
《イセカイ・チートを直々に検分する》、という余のこの旅の唯一の目的がなあ!】
…そりゃあね。
たかが【心を読めた】くらいで世の中を軽々渡って行ければ誰も苦労しないんだわ。
その日はベスおばの船舶で寝た。
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