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チートでゲイ疑惑に立ち向かう
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例によってヒステリーを起こしたキティが子分を連れて庁舎に乗り込んで来た。
前回の騒動で避難マニュアルが完成していたらしく、職員たちは安全圏に避難。
例によって俺とレザノフが応対させられる。
ヤクザ達も当然の権利みたいな顔をして庁舎に踏み込んできた。
皆でキティを慰めている。
この女って最初はヤクザの親玉か何かと思っていたが、どちらかというとヤクザサークルの姫だな。
異常に恐れられているのと同時に、異常に保護されている。
「市長!
今日は市長に改めて問い出したいことがあって訪問させて頂きました!
俺ら全員の総意です!」
なーにが訪問だ。
刃物持って庁舎に押し掛けるのやめてくれないかな。
それ普通に叛逆罪だぞ?
キティはヤクザに守られて少女の様にすすり泣いている。
被害者ぶるのやめてくれないかな。
要するに。
彼らの主張を要約すると。
キティが俺とレザノフの男色関係を疑っているらしいのだ。
「仕事にしては親密すぎる。
ひょっとして公務を隠れ蓑に二人で男色にふけっているのではないか?」
とのこと。
俺もレザノフも反論する気力も残っていないが、一応否定しておく。
「ねえ、チートは本当は私なんかより
そこの役人の方が好きなんでしょ?」
『いや、そもそも男同士に恋愛感情って殆ど芽生えることないから。』
「イセカイ卿とは職務では綿密に打ち合わせておりますが
プライベートの話題にはお互い殆ど触れませんよ。」
そうなのだ。
今、俺とレザノフは対リザード外交の窓口として本当に忙しい。
中央に報告すべき事柄は山程あるし、俺達に課せられる調査項目は増えるばかりである。
もう少し人材を派遣して欲しいのだが、ネイティブにリザード語を話せる人材は善隣都市以外には絶無である。
本来の適任者としては、かつて剣聖アンダーソンと称えられていた蛇屋のアダムが居るのだが、この男は完全にリザード側の走狗である。
(俺と同様に名誉リザード種族みたいな扱いを受けている。)
なので、自然俺とレザノフのみに外交上の機密指令が言い渡されている。
必然的に俺達2人の密談は昔より激増している。
レザノフは今も《イセカイは危険人物なので粛清するべきだ》とは考えているのだが、外交情勢があまりに目まぐるしく動くので、俺を始末する暇がない。
どうやらオーク側から帝都に強めのクレームが行っているらしいのだ。
《人間種とリザード種の商業協定は、全種族会議の理念と相反するのではないか?》
と。
要するにリザード側が作りたがっている人間種との合弁事業に混ぜろ、という意図である。
どういう訳かオーク種は善隣都市の事情を熟知しており、現在水面下で進行している法人税の相互徴収協定に強い牽制を加えている。
彼らは彼らで自分達と国境を接する2種族が1つの経済圏となってしまう事を極度に恐れている。
オーク種は常軌を逸して精強な癖に、ちゃんと臆病さも兼ね備えている恐ろしい種族だ。
そんな連中をこれ以上刺激するべきではない。
そういう事情だから。
俺とレザノフは時間さえあればセットで行動しているし、何かを合議する時は完全なる密室で細心の注意を払って密談を行っている。
言うまでも無い事だが、帝都との通信だけは絶対に漏洩してはならない。
我々は対リザード戦・対オーク戦も一応は想定しているからである。
両種族を刺激しないギリギリの位置に帝国軍の最精鋭部隊を駐屯させなくてはならない。
それも国民に一切気付かれずに、だ。
その駐屯地の選定も、レザノフと俺の意見が強く反映される。
責任は限りなく重い。
今、我々はそういう非常にピーキーな状況に向き合っているのである。
当然、俺もレザノフも政治的対立者からの攻撃は覚悟している。
俺達を殺したい連中なんて腐る程いるだろう。
(ヌーベル卿の遺族・遺臣とかね。)
なので口頭ではあるが遺言も交換し合っている。
それが、恋愛脳視点から見れば男色関係に映るらしい。
勘弁してくれ。
『そもそも俺は男色に興味が無い。
レザノフ卿とは仕事で話し合ってるだけなんだよ。』
「でも、キスくらいはしたんでしょ?」
『いや、してない。』
「嘘!
仕事にしては仲が良過ぎ!
チートは私と居る時より、そこの役人と居る時の方が楽しそう!!」
『いや、仕事なんだよ。』
「男の人とHなことするのも仕事なの?
もしも仕事だったら男の人同士でもHなことするの?」
『いや、そんな仕事は聞いた事がない。』
参ったな。
これから帝都に定時通信を送らなければならない。
議会に報告しなければならない事は山ほどあるんだ。
・リザード領内における対ゴブリン政策の変化
・リザード種の最大手製油企業CEO(ヴァ―ヴァン主席の実弟である)の接近。
・蛇屋アダムの帝国法では違法とされるビジネス
・オーク船籍船舶の大量建造計画の実態
特に上記の4つは緊急性が高い。
議会には早急に統一見解を出して貰わなくては困る。
「市長…
姐さんは、ただ一人の乙女として純愛を貫きたいだけなんです。
どうか真剣に向き合ってやってくれませんか?」
前から思ってたけど、ヤクザって結構恋愛脳だよね。
最初、ギャグで言ってるのかと思ったけど…
どうもコイツらにとっては、これが最重要案件らしい。
キティ一家はレザノフの経歴も調べたらしく、過去の男色疑惑を持ち出してきた。
曰く、若き日のマティアス議長が地方長官を歴任した際に、軽輩のレザノフを常に侍らせていた事から、一部で男色疑惑が掛けられていた、とのこと。
事もあろうに、マティアス議長は名だたる重臣を差し置いてレザノフ1人と政治上の機密を相談していており、当時から今に至るまで批判(というより嫉妬)の的になっていたらしい。
「家柄が低い癖に出世したのは、男色で取り入ったに違いない!」
という下世話な中傷も多少はあったらしい。
役人の世界も大変だね。
「まず、はっきりと申し上げておきますが。
私とマティアス閣下は男色関係にありません。
当時は問題が山積しており、たまたま現場の事情に精通している私が秘書官的な役割を求められていただけです。
」
『実際、レザノフ卿は頭も切れるし腕も立つ。
フットワークが軽く、現場調査も得意だ。
そりゃあ中央から派遣されていた、当時の閣下が頼る気持ちもわかるよ。
当時の閣下の周りに仕事が出来る人が少なかったのでしょう?』
「誹謗する訳ではありませんが…
たまたま当時の閣下の周囲には、中央官庁勤めに特化したようなタイプの方が多かったですな。
それで…
閣下に言わせれば《実務に齟齬を来たしている》とのことでしたので。
私の様な軽輩が分不相応のお役目を任される機会が多々ありました。
快く思われていない事は重々承知してましたし。
今も…
その頃の方が各省庁で御出世されておられますので。」
なるほどな。
これだけ各地で功を挙げたレザノフが一向に中央に戻されず、本人も帝都帰りを渋る訳である。
幾らマティアス議長の寵臣でも、官界から目の敵にされてちゃ帰りようがないわな。
議長は議長で、意固地になってレザノフを昇進させたがっているみたいだし…
それが逆にレザノフを苦しめている、と。
その後もキティは猜疑を解かず、レザノフが奥様を実家に帰らせたことを糾弾し始めた。
どうやら《俺との男色を楽しむ為に奥様が邪魔になったので実家に帰した》と本気で思い込んでいるらしい。
最初は言い掛かりかと思ったが、後ろのヤクザ達も真顔でフンフン頷いている。
…どうしろと言うんだ。
「市長。
あっしらが思うに
市長が姐さんへの愛情をきちんと表現出来ていない事が悪いんだと思うんです。
ねえ、市長。
アンタは本当に姐さんを愛してるんですかい?」
『あ、はい。
キティさんには以前から惹かれておりましたし。
これからも懇意にして頂ければ、と考えております、ハイ。』
「うーーーん。
イマイチ、気持ちが伝わって来ねえんですよねえ。
市長の言葉には重みってもんが感じられねえ。
姐さんが不安に思うのも無理はありやせんぜ!」
…どうしろと。
結局、その後も意味のない押し問答が数時間続いた後。
俺は衆人環視の中でキティにキスをした。
仕方ないだろう。
ヤクザに囲まれて、そう強要されたのだから。
その後、市職員やヤクザの見守る中で、俺とレザノフが
「自分達は男色関係になく、これからも如何なる肉体関係も結ばない。」
と宣誓させられる。
そんな宣誓をさせられた事によって、幾人かの市職員が
【え? やっぱりあの二人、そういう関係だったの!?】
【確かに、言われてみれば怪しいわよね。】
【ずっと一緒に居るもんな】
などと俺達をそういう目で見る様になってしまった。
宣誓が終わった後も。キティはまだレザノフを睨みつけており。
俺の袖を引っ張りながら
「私とあの男とどっちが大事なの?」
と問い詰めて来た。
『グランバルドにとってはレザノフ卿が一番大事。
これは双方の役職とか官歴からしたら至極当然の話。
でも、俺個人にとってはキティの方が遥かに重要性が高い。』
と率直に答える。
これは本当の話。
かなり高い確率で《狂戦士》のスキルを保有しているキティは絶対に手放せない。
俺の唯一の目標である、標準座標≪√47WS≫の殲滅。
オマエだけが頼りなのだ。
正直、グランバルドなどはどうでも良い。
役人としての俺はグランバルドに尽くしているつもりだが、これは単なる義理だ。
オマエでゲートを開くまでは、帝国中枢とのコネを切らせる訳にもいかないしな。
そこら辺の微妙な本音が伝わったのか、キティは小銭でも拾った乞食の様に嬉しそうな表情になり、レザノフを振り返って勝ち誇ったように笑った。
流石の俺も、ここまで醜悪な表情は鏡の中以外に見た事がない。
キティを工房に住ませる事でヤクザと隔離しようかとも考えたのだが
彼女曰く、それはベスおばへの背信行為になるらしい。
どうやらこの女にはこの女なりの倫理基準や信義則があるようだった。
仕方が無いのでドレークの妻であるエレノア夫人に頭を下げて、工房近くに妾宅を用意して貰った。
(その時、ノエル父子の名前を出されて滅茶苦茶説教された。)
囲われる、という行為に女のプライドが満たされたのか、それ以後のキティはあまりヒステリーを起こさなくなった。
代わりにドヤ顔でパワハラしてくるようになったのだが…
まあ、それ位は可愛いものだと思う。
前回の騒動で避難マニュアルが完成していたらしく、職員たちは安全圏に避難。
例によって俺とレザノフが応対させられる。
ヤクザ達も当然の権利みたいな顔をして庁舎に踏み込んできた。
皆でキティを慰めている。
この女って最初はヤクザの親玉か何かと思っていたが、どちらかというとヤクザサークルの姫だな。
異常に恐れられているのと同時に、異常に保護されている。
「市長!
今日は市長に改めて問い出したいことがあって訪問させて頂きました!
俺ら全員の総意です!」
なーにが訪問だ。
刃物持って庁舎に押し掛けるのやめてくれないかな。
それ普通に叛逆罪だぞ?
キティはヤクザに守られて少女の様にすすり泣いている。
被害者ぶるのやめてくれないかな。
要するに。
彼らの主張を要約すると。
キティが俺とレザノフの男色関係を疑っているらしいのだ。
「仕事にしては親密すぎる。
ひょっとして公務を隠れ蓑に二人で男色にふけっているのではないか?」
とのこと。
俺もレザノフも反論する気力も残っていないが、一応否定しておく。
「ねえ、チートは本当は私なんかより
そこの役人の方が好きなんでしょ?」
『いや、そもそも男同士に恋愛感情って殆ど芽生えることないから。』
「イセカイ卿とは職務では綿密に打ち合わせておりますが
プライベートの話題にはお互い殆ど触れませんよ。」
そうなのだ。
今、俺とレザノフは対リザード外交の窓口として本当に忙しい。
中央に報告すべき事柄は山程あるし、俺達に課せられる調査項目は増えるばかりである。
もう少し人材を派遣して欲しいのだが、ネイティブにリザード語を話せる人材は善隣都市以外には絶無である。
本来の適任者としては、かつて剣聖アンダーソンと称えられていた蛇屋のアダムが居るのだが、この男は完全にリザード側の走狗である。
(俺と同様に名誉リザード種族みたいな扱いを受けている。)
なので、自然俺とレザノフのみに外交上の機密指令が言い渡されている。
必然的に俺達2人の密談は昔より激増している。
レザノフは今も《イセカイは危険人物なので粛清するべきだ》とは考えているのだが、外交情勢があまりに目まぐるしく動くので、俺を始末する暇がない。
どうやらオーク側から帝都に強めのクレームが行っているらしいのだ。
《人間種とリザード種の商業協定は、全種族会議の理念と相反するのではないか?》
と。
要するにリザード側が作りたがっている人間種との合弁事業に混ぜろ、という意図である。
どういう訳かオーク種は善隣都市の事情を熟知しており、現在水面下で進行している法人税の相互徴収協定に強い牽制を加えている。
彼らは彼らで自分達と国境を接する2種族が1つの経済圏となってしまう事を極度に恐れている。
オーク種は常軌を逸して精強な癖に、ちゃんと臆病さも兼ね備えている恐ろしい種族だ。
そんな連中をこれ以上刺激するべきではない。
そういう事情だから。
俺とレザノフは時間さえあればセットで行動しているし、何かを合議する時は完全なる密室で細心の注意を払って密談を行っている。
言うまでも無い事だが、帝都との通信だけは絶対に漏洩してはならない。
我々は対リザード戦・対オーク戦も一応は想定しているからである。
両種族を刺激しないギリギリの位置に帝国軍の最精鋭部隊を駐屯させなくてはならない。
それも国民に一切気付かれずに、だ。
その駐屯地の選定も、レザノフと俺の意見が強く反映される。
責任は限りなく重い。
今、我々はそういう非常にピーキーな状況に向き合っているのである。
当然、俺もレザノフも政治的対立者からの攻撃は覚悟している。
俺達を殺したい連中なんて腐る程いるだろう。
(ヌーベル卿の遺族・遺臣とかね。)
なので口頭ではあるが遺言も交換し合っている。
それが、恋愛脳視点から見れば男色関係に映るらしい。
勘弁してくれ。
『そもそも俺は男色に興味が無い。
レザノフ卿とは仕事で話し合ってるだけなんだよ。』
「でも、キスくらいはしたんでしょ?」
『いや、してない。』
「嘘!
仕事にしては仲が良過ぎ!
チートは私と居る時より、そこの役人と居る時の方が楽しそう!!」
『いや、仕事なんだよ。』
「男の人とHなことするのも仕事なの?
もしも仕事だったら男の人同士でもHなことするの?」
『いや、そんな仕事は聞いた事がない。』
参ったな。
これから帝都に定時通信を送らなければならない。
議会に報告しなければならない事は山ほどあるんだ。
・リザード領内における対ゴブリン政策の変化
・リザード種の最大手製油企業CEO(ヴァ―ヴァン主席の実弟である)の接近。
・蛇屋アダムの帝国法では違法とされるビジネス
・オーク船籍船舶の大量建造計画の実態
特に上記の4つは緊急性が高い。
議会には早急に統一見解を出して貰わなくては困る。
「市長…
姐さんは、ただ一人の乙女として純愛を貫きたいだけなんです。
どうか真剣に向き合ってやってくれませんか?」
前から思ってたけど、ヤクザって結構恋愛脳だよね。
最初、ギャグで言ってるのかと思ったけど…
どうもコイツらにとっては、これが最重要案件らしい。
キティ一家はレザノフの経歴も調べたらしく、過去の男色疑惑を持ち出してきた。
曰く、若き日のマティアス議長が地方長官を歴任した際に、軽輩のレザノフを常に侍らせていた事から、一部で男色疑惑が掛けられていた、とのこと。
事もあろうに、マティアス議長は名だたる重臣を差し置いてレザノフ1人と政治上の機密を相談していており、当時から今に至るまで批判(というより嫉妬)の的になっていたらしい。
「家柄が低い癖に出世したのは、男色で取り入ったに違いない!」
という下世話な中傷も多少はあったらしい。
役人の世界も大変だね。
「まず、はっきりと申し上げておきますが。
私とマティアス閣下は男色関係にありません。
当時は問題が山積しており、たまたま現場の事情に精通している私が秘書官的な役割を求められていただけです。
」
『実際、レザノフ卿は頭も切れるし腕も立つ。
フットワークが軽く、現場調査も得意だ。
そりゃあ中央から派遣されていた、当時の閣下が頼る気持ちもわかるよ。
当時の閣下の周りに仕事が出来る人が少なかったのでしょう?』
「誹謗する訳ではありませんが…
たまたま当時の閣下の周囲には、中央官庁勤めに特化したようなタイプの方が多かったですな。
それで…
閣下に言わせれば《実務に齟齬を来たしている》とのことでしたので。
私の様な軽輩が分不相応のお役目を任される機会が多々ありました。
快く思われていない事は重々承知してましたし。
今も…
その頃の方が各省庁で御出世されておられますので。」
なるほどな。
これだけ各地で功を挙げたレザノフが一向に中央に戻されず、本人も帝都帰りを渋る訳である。
幾らマティアス議長の寵臣でも、官界から目の敵にされてちゃ帰りようがないわな。
議長は議長で、意固地になってレザノフを昇進させたがっているみたいだし…
それが逆にレザノフを苦しめている、と。
その後もキティは猜疑を解かず、レザノフが奥様を実家に帰らせたことを糾弾し始めた。
どうやら《俺との男色を楽しむ為に奥様が邪魔になったので実家に帰した》と本気で思い込んでいるらしい。
最初は言い掛かりかと思ったが、後ろのヤクザ達も真顔でフンフン頷いている。
…どうしろと言うんだ。
「市長。
あっしらが思うに
市長が姐さんへの愛情をきちんと表現出来ていない事が悪いんだと思うんです。
ねえ、市長。
アンタは本当に姐さんを愛してるんですかい?」
『あ、はい。
キティさんには以前から惹かれておりましたし。
これからも懇意にして頂ければ、と考えております、ハイ。』
「うーーーん。
イマイチ、気持ちが伝わって来ねえんですよねえ。
市長の言葉には重みってもんが感じられねえ。
姐さんが不安に思うのも無理はありやせんぜ!」
…どうしろと。
結局、その後も意味のない押し問答が数時間続いた後。
俺は衆人環視の中でキティにキスをした。
仕方ないだろう。
ヤクザに囲まれて、そう強要されたのだから。
その後、市職員やヤクザの見守る中で、俺とレザノフが
「自分達は男色関係になく、これからも如何なる肉体関係も結ばない。」
と宣誓させられる。
そんな宣誓をさせられた事によって、幾人かの市職員が
【え? やっぱりあの二人、そういう関係だったの!?】
【確かに、言われてみれば怪しいわよね。】
【ずっと一緒に居るもんな】
などと俺達をそういう目で見る様になってしまった。
宣誓が終わった後も。キティはまだレザノフを睨みつけており。
俺の袖を引っ張りながら
「私とあの男とどっちが大事なの?」
と問い詰めて来た。
『グランバルドにとってはレザノフ卿が一番大事。
これは双方の役職とか官歴からしたら至極当然の話。
でも、俺個人にとってはキティの方が遥かに重要性が高い。』
と率直に答える。
これは本当の話。
かなり高い確率で《狂戦士》のスキルを保有しているキティは絶対に手放せない。
俺の唯一の目標である、標準座標≪√47WS≫の殲滅。
オマエだけが頼りなのだ。
正直、グランバルドなどはどうでも良い。
役人としての俺はグランバルドに尽くしているつもりだが、これは単なる義理だ。
オマエでゲートを開くまでは、帝国中枢とのコネを切らせる訳にもいかないしな。
そこら辺の微妙な本音が伝わったのか、キティは小銭でも拾った乞食の様に嬉しそうな表情になり、レザノフを振り返って勝ち誇ったように笑った。
流石の俺も、ここまで醜悪な表情は鏡の中以外に見た事がない。
キティを工房に住ませる事でヤクザと隔離しようかとも考えたのだが
彼女曰く、それはベスおばへの背信行為になるらしい。
どうやらこの女にはこの女なりの倫理基準や信義則があるようだった。
仕方が無いのでドレークの妻であるエレノア夫人に頭を下げて、工房近くに妾宅を用意して貰った。
(その時、ノエル父子の名前を出されて滅茶苦茶説教された。)
囲われる、という行為に女のプライドが満たされたのか、それ以後のキティはあまりヒステリーを起こさなくなった。
代わりにドヤ顔でパワハラしてくるようになったのだが…
まあ、それ位は可愛いものだと思う。
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