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チートでラブコメをする。

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予想していた事ではあるが。
キティのアジトに居を移した俺は、ずっと彼女の肉体に溺れていた。

昨日の午後に荷物をほどいた記憶があるので、丸一日以上ベッドで寝ているのか。
全身が気怠く、この退廃感が堪らない。
元々、異世界ハーレムが目的だったからな。
こうやって好みの女の身体に溺れるのは、男子の本懐とも言えよう。
何せピンク髪だぞ、ピンク髪。
多くのラノベでメインヒロインにのみ許される髪色だ。
このステイタス感が最高だ。
ちなみに下の毛もピンクだったので、これがキティの地毛なのだろう。
いやあ、異世界最高だな。
ここが実は月でも許してやるよ。


だが、男とは身勝手な生き物だ。
好みの女とのセックスも何回かすれば飽きる。
間を置けばまた性欲が沸き上がるに決まっているのだが。
正直、今はうんざりしてきた。


「ねえ、チートは私のこと好き?
愛してる?」


余程語彙が乏しいのか、女という生き物はそれだけを尋ねてくる。
メリッサもノエルもそうだった。
折角、世界の要人と面談してきた俺と一緒に居るのだから、その話をせがんでくれれば幾らでも教えてやるのに。

あ、そうだ!
この文章を読んでいるキミ達に極秘スキャンダルを教えてやろう。
ここだけの話なんだが、リザード種の官界NO.2のフェーヴァイ長官。
何とヴァーヴァン主席の隠し子だった。
いや、勿論【心を読んで】分かったことなんだけど。
ヴァーヴァン主席が南方勤務の時に査察団に随行していた当時の女官長と一夜だけ男女の仲になり、その時に出来た子供がフェーヴァイ長官なのだ。
既婚者同士の不義の子なので、女官長も主席も相当焦ったらしい。
ただ我が子は可愛いのか主席は権力を掌握してから隠し子フェーヴァイを異常に贔屓して長官職にまで引き上げてしまった。
生真面目一方の男かと思っていたが、主席もやっぱり男なんだよな。
それにしてもW不倫はヤバすぎだろ。
オマエら、絶対に誰にも言うなよ!?
マジでリザード政界がひっくり返りかねんからな!

と、こんなに面白いネタをいっぱい持ってる俺に対してキティが尋ねて来るのは、「これまでどんな女と寝た?」とか「娼婦という職業をどう思う?」とか「エリザベスとはどんな体位でセックスするのか?」とか、そういう無意味な質問ばかりである。
セックスの最中にちゃんと有意義な会話をしてくれたのはベスおばだけなので、その点では俺はあの女を評価している。
帝国の対ゴブリン政策も目標為替レートもオーク戦線をどこまで下げるかも、全て俺とベスおばがセックスしながら練った意見書を基に決められた。
キティも折角騎士になったのだから主であるベスおばの姿勢をもっと見習わなくてはならない。
オマエらもそう思うだろ?


「ねえ。
チートは私のどこが好き?」


『そりゃあ、顔とか身体とか。
ははは、じゃあ全部だなw』


「…そう。
じゃあ、私が一番と言うのは嘘じゃないのね?」


『いや、それは割とマジだよ。
俺が見てきた女の子の中でキティが一番好みだし可愛い。
髪もピンクだし。』


「エリーのことは、どうなの?
100%の政略結婚ってこと?」


『俺、あの女だけは駄目だわ。
あー、何て言うのかな。
女として見るのが難しい。
話していると面白いけどな。
この赤い糸もさあ。
気が付いたら勝手に結ばれてたんだ。
これが無きゃ、あんな女なんかと。』


「エリーも似たようなこと言ってた…」


『だろうな。
向こうも顔を合わせる度に俺の悪口ばっかり言うんだぜ。
いっつも喧嘩になってイヤになるよ。
その癖、仕事で必要になったら急に寄って来るしさ。
いや、俺もだけど。』


「仲いいんだね。」


???
やっぱりキティは低能なのだろうか?
まあ所作を見る限りロクな教育を受けて無さそうだしな。


『だから、あの女とは出会ってから
ずーっと喧嘩してるって。
俺、顔とかボコボコに殴られたことあるぜ?
いや、まあ俺が強引に手を出したのも、悪いっちゃ悪いんだけどさ。

エリザベスの欠点なら100でも200でも挙げる自信あるね。
あの女くらいだよ?
温厚な俺がここまで言うのって。
普通女の子の悪口って言おうと思っても思いつかないじゃん?
でも、あの女に対しては言いたい事が山ほどあるよ!』


「私は?」


『え?』


「私には言いたい事ないの?」


『ん?
ああ、可愛いよ?
凄く可愛い。』


「…他には?」


『え?
いや、特には。
庁舎の中で暴れないで欲しいくらいかな。』


「私!
チートがちゃんと言ってくれればそうするよ!!」


『あ、うん。
じゃあ、これからそうしてね。

え?
何?』


「ねえ。
チートにとって私って何?」



うーん。
この女、本当にしつこいな。
ベスおばなんかは、会話パートが全て有意義だから一文字もスキップ出来ないんだけど。
あー、意味の無い会話ってスキップさせてくれないかな。
俺、セックスし終わって眠いんだけど?

俺さあ。
ラノベとかでも恋愛シーンは飛ばす人なのね?
ヒロインってセックスしちゃったら、もう攻略完了な訳じゃない?
その後の会話とか無駄な訳じゃない?
いや、男の目的ってハーレムメンバーを増やすことであって、メンバーとの遣り取りって単なる雑務だよね?
いや、オマエらもそう思うよな?
男同士だからわかるよな?



「ねえ、ちゃんと答えてよ!
チートにとって私って何?」


『いや、エリザベスの騎士で。
俺にアレコレ指示できるポジションでしょ?
あの、一応ちゃんと指示を聞く気はあるからね。』


「今、そんな話してない!!!」


泣きながらキティがヒステリーを起こす。
やっぱり、俺の見込み通り狂人だ。
うむ、狂戦士スキルは堅いな。


キティの金切り声を聞いて、隣室に聞いていたヤクザ達が入室してくる。


「姐さん!」
「キティ姐さん、落ち着いて!」
「姐さん、水を持ってきました!」


この人達はヘルマン組に近い系列のヤクザなので、何人かは面識がある。
今、キティにコップを渡しているヤクザとはヘルマン組の飲み会で同席したこともある。


「市長…
頼みますよ。」


ヤクザの1人が俺に耳打ちする。


『え?
頼むとは?』


「姐さんの気持ちにちゃんと向き合ってやって下さい。
あの人は真剣なんです!」


『いや、うん。』


「ねえ、市長。
これはマジな話なんですけど。
ヴィルヘルムのお姫さんとウチの姐さん。
立場的には姫様を選ばざるを得ない状況だと思うんです。」


いや、別にあんな女いらんが…


「でもね?
心は? 心はどうですか?
姐さんは姫様とも懇意の様ですけどね。
やっぱり1人の女としては本命でありたいと思ってるんですよ。
市長。
女としてはどっちですか!?」


『いや、俺もさっきから女としてはキティの方が遥かに上だ
って言ってるんですよ。
なのに、全然通じなくて。
っていうか、エリザベスってぶっちゃけドブスでしょ?
貴方もそう思いますよね?』


「あ、いや。
姐さんの主君なので、アッシの口からは何とも。」


くっそ。
ヤクザはズルいな。
俺だけ悪者にしやがって。


『まあとにかく。
キティの方が女として遥かに上。
俺の中では結論出てます。
本人にも何度もそう言ってるし。
どういう訳か泣かれちゃってますけど。』


「市長…。
アンタにゃ人の心ってモンが解ってねえ。
全然解ってねえ!
アンタ、人の心が無いんじゃないですかい!?」


…理解不能、理解不能。
あーあ、だからヤクザって嫌なんだよ。
都合が悪くなるとすぐに《心》だの《気持ち》だの抽象論を押し付けて来てさ。
あーやだやだ。
どうしてみんな、もっとロジカルに考えられないかねえ。
これならベスおばと殴り合ってる方がよっぽど建設的だ。
大体さあ、俺のスキルは【心を読む】ことなんですけど。
そりゃあキティはキチガイだから読めないけどさぁ。
でも人の心は俺が一番分ってると思うけどなぁ。


「市長、姐さんが飛び出して行った!」


ふー。
やっと解放されたよ。
メシでも行くか。


「何やってるんですかい、市長!
ここで追わなきゃ男じゃねーっすよ!!!」


え?
何で俺が怒られてるの?
え、ゴメン?
俺、半ば拉致されてここに居るんだけど?
人質取られて脅されてここに居るんだけど?


「いいですかい?
姐さんは今泣いているんだ!
その涙を受け止めてやれるのは市長以外に居ないんですよ!」

「それでも男かよ!」

「見損なったぜ市長!」

「さあ行って!
早く!」


ん?
ゴメン、何この展開?
俺がこの世で最も憎むラブコメ展開?
あのさあ、ラノベなんてレベル上がってステータス上がってハーレムメンバーが増えれば、後は余計なことしないで欲しいんだけど。

とは言え、ゴツイヤクザ達に囲まれて怖かったので仕方なく俺はキティを追った。
ヤクザってズルいよな。
アイツら本当に容赦なく我を通してくるからな。


「市長、姐さんはこの上です。」


『ハアハア、今度はこの階段を登るのか…
ハアハア。』


ヤクザ達の巧みな誘導で30分間ダッシュさせられ、俺は城壁の上のキティに辿り着いた。
このキチガイは城壁の上で体操座りして泣いていた。
(あんまり細かい事言いたくないんだけど、ここ厳密には立ち入り禁止区域だからね?)


『ハアハア!!
ハアハア!!
し、しんど…
ハアハア!!』


ヤクザ共め、無呼吸ダッシュさせやがって!!



「チート…
もしかして私を追って来てくれた?」


見りゃわかるだろ
オマエの子分に脅されて走り回らされたんだよ!


「どうして、こんな私を気に掛けてくれるの。」


ヤクザに脅されたからだよ、馬鹿!!
子分の躾くらいちゃんとしとけ、このキチガイ!!


「…私、やっぱりチートが好き!!!」


あ、うん。
それはセックスの時に聞いたし、俺もそう言ったよね?
一度言ったら二度言う必要ないよね?
無駄だよね?


「チートがエリーしか見てない事は本当は知ってた!
私なんか眼中にない事もわかってる!
でも、この気持ちは本物だから!!!
《好き》は誰にも止められないから!!」


え?
ゴメン。
え?
マジで、さっきから全然話が前進してないんだけど。
もっと建設的な話をしない?
俺、レザノフと打ち合わせの続きしたいんだけど。


『あ、うん。
俺もキティのこと。
本当に好きだよ。』


なんかね。
言わされてる気がする。
最近ようやくヤクザのやり口が解って来たのだけど。
要するにコイツラって相手が要求を呑むまでひたすら脅したり殴ったりし続けるんだよね。
その親玉のキティは一番粘着質なのも、そりゃあそうだよね。


「…嘘。

ううん、嘘でもいいの。
一時の嘘でも構わない。

それでも…
私、幸せ。」


キティがすしざんまいポーズのまま動かないので、仕方なく抱きしめる。
何か俺、流されてるよな。
いつの間にか城壁に上がって来ていたヤクザ達が涙を流して拍手していた。

…そういう悪質なプレッシャーの掛け方やめろし。



結局、キティの部屋に戻って、また数日セックスした。
こんなに意義の無い日々は転移以来初めてだった。
でも、凄く気持ち良かった。
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