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【降臨64日目】 所持金791万1000円 「この話はいつ面白くなるの?」
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「リン子ちゃーん、お疲れ様~♥」
『あ、お疲れ様です。』
俺も各地を転々として来たが、まさか漁村のスナックで働く羽目になるとは思いもしなかった。
そしてこれまで散々怖い思いをしてきたが…
男に性欲を向けられるのって本当に戦慄モノだよな。
恐怖のあまり何度か泣いてしまった程である。
「はい、これ♪」
『え? 何スか?』
「おきゅーりょー♥
少し色を付けておいたからね♪」
『あ、いや自分は本当に。』
「うふふふ、いーのいーの♥
体験入店体験入店♥
ほら受け取って、リン子ちゃん♥」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
237万0000円
↓
238万4500円
※スナック朱美から日当14500円を受け取り
[内訳]
時給1500円×6時間=9000円
ボトルバック 「いいちこ」 500円
ボトルバック 「黒霧島」 500円
ボトルバック 「白州」 2500円
交通費 1000円
色 1000円
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「リン子ちゃん、評判いいわよー♪
ねえ、アフターしてくれたら、いっぱいお小遣いあげる♪
岩佐社長も牧村先生も、リン子ちゃんの事とっても気に入ったんだって。
ねえ、アフター、行けるよね?」
『え? え? え?』
「だーいじょうぶだいじょうぶ♥
みんな紳士的よー♥
カッコいい車に乗って、のんびり夜景ドライブ♪
ドライブに付き合うだけ♪
牧村先生なんて凄いのよー、カイエン乗ってるから♥
やっぱり医者は溜め込んでるわよねー。」
『あ、あ、あ、あ…
そ、そんなの…
こ、困りますぅ…』
「うはははww
リン子ちゃんは困ったフリするのが得意よねー。
上手いなーww
そうやってオトコノヒトの庇護欲を掻き立てるやり方なんだよね♥?
天然? ん? 天然?
いいわよー、アナタ才能があるわぁ。
ねえ、アタシの娘が新宿で会員制のラウンジをやってるんだけど、そっちで働いてみない?
リン子ちゃん可愛いから、遊び慣れた東京の社長さん達にも通用すると思うんだけどなぁw」
『きゃっ、さ、触らないで下さい!』
「うふふふ。
今の反応、いいわねえ。
そりゃあ岩佐社長もボトル入れる訳だわ。
ケチで有名な人なんだけどねえ。
リン子ちゃんの魅力の前には、メロメロ♥
あははははww」
「朱美さん! 待って下さい!」
「あらあ、エドワードさん。
気が気でないようですねぇw
リン子ちゃんが取られると思って不安になっちゃいました?」
「リン子さん!
大丈夫ですか!」
『エドさーん、怖かったですぅ、ふえええ。』
「御安心下さい。
貴女は私が守りますから!」
『…エドさん(涙)。』
「あらあらー。
頼もしい白馬の王子様ですこと♪」
「朱美さん!
それではリン子さんを解放して貰いますよ!
1日だけの体験入店の約束でしたよね!」
「あらあ、1日だけ?
そんな話をしたかしら?
ウチの体験入店期間は最短でも1週間なんですけどォ?」
「約束が違います!
1日だけの体験入店という話だったでしょう!」
「あらあらぁ、誤解があったみたいですねぇ。
ウチの体験入店は最低1週間、まずは最初の1日出勤して頂戴。
そういうニュアンスでお願いしたつもりだったんですけどねぇww」
「姑息な!」
「うふふふ。
リン子ちゃんが協力的だと嬉しいんですけどねえ。
今って人手不足でしょう?
全然女の子集まらなくて困ってるんです♪
ねえ、リン子ちゃん。
ママを助けてくれない?
リン子ちゃんだって、エドワードさんに迷惑を掛けたくないよねー?」
『エドさんは関係ないでしょう!』
「うふふふ。
関係があるかないかはリン子ちゃんが決める事じゃないよね?」
『ぐぬぬ。』
「じゃあ、リン子ちゃん。
一週間だけ、一週間だけだから。
明日も待ってるわよ♪」
『お、おカネで解決出来ませんか?』
「うふふふ。
出来ないねぇ♪」
『纏まった金額を払えるかも知れません。』
「あのねリン子ちゃん、覚えておきなさい♥
一流の女はカネじゃ買えないの♪
リン子ちゃんは普通じゃ絶対に買えないタイプの女の子♪
そこには無限の価値があるのよー。
夜のお店って、結局ブランディングが全てだから♪」
『私にそんな価値はありません!』
「うふふふふ♥
それを決めるのはリン子ちゃんじゃないよね?
まあいいわ、今日は帰りなさい。
安心して、ママはリン子ちゃんの味方よ♥
悪いようにはしないから♪
それじゃあ今日は19時出勤。
もしも来なければ迎えに行くから♪
はーい、それじゃあお疲れ様♥」
そんな遣り取りがあって、ようやく解放された。
疲れ果てていたのでシャワーも浴びずに寝た。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
何時間かは眠れたのだろう。
すっかり夜が明けている。
『エドさん、起きてます?』
「…はい。
昨夜は申し訳ありませんでした。」
『いえ、貴方の所為ではありませんよ。
最後、店に来てくれて助かりました。
酔ったお客様に絡まれて、凄く怖かったので…』
「大魔王様、おいたわしや…」
『もう疲れました。
後で切腹の作法を教えて貰えませんか?』
「弱気を言ってはなりません!
貴女は一瞬で天下平定を成し遂げた大魔王!
史上最強の覇者なのですよ!
本国においても地球においてもです!
リン子さんこそ両天下無双と呼ぶに相応しい!」
『…成し遂げたのも無双なのもヒルダだと思うんですけど。』
「…まあ、そこはノーコメントで。」
起き上がる気力も湧かないので、2人で寝転がったままyoutubeのニュース解説動画を眺める。
画面を見ると何やらプーチン大統領が顔を真っ赤にして怒鳴り散らしていた。
恐ろしい剣幕だったので、ついつい見入ってしまい自動翻訳をONにする。
東京にNATOの連絡事務所が開設される流れになったらしい。
これは明らかに我が国のオブザーバー加盟を意味しており、危機感を覚えた中露が猛反発しているのだ。
「どうやら日本人は我々が世界最大の核保有国である事を忘れてしまっているらしい。」
最後に画面の中のプーチン大統領と幕僚達が威圧的にカメラを睨みつけたアングルから、マクロン大統領が日本のNATO加盟に反対する演説に切り替わって動画は締め括られた。
エドワードの分析では我が国の上層部にNATO正式加盟の意図はなく、それに関しては中露も理解しているとのこと。
寧ろ、両陣営はウクライナ戦争終結後に日本をどのような形で復興に携わらせるかの綱引きを開始しており、霞が関も動き出しているであろうとのこと。
舌を巻いたのは、身動きが殆ど取れない状況にも関わらずエドワードが正確に地球政治を分析し終わっている点である。
ウクライナ情勢のみに限らず、中東の政局や、ナイジェリアで誕生したヌディブ政権が国際社会に与える影響、一帯一路構想の現状まで綿密に把握していた。
『エドさん凄いですね。
地球の情報を網羅しているじゃないですか。』
「いえいえ、堤防と自宅を往復するしか能の無い男です。」
苦笑しながらエドワードが重要そうなニュースを俺に見せてくれた。
こちらの理解が追い付かない点に関しては懇切に補足説明。
本当に助かる。
『あ!』
「どうしました?
気になるニュースでも?」
『あ、いえ。
所得税減税…
あ、ちゃんと5%になっている…』
「ん?
ああ、所得税の恒久減税ですね。
与党も思い切った動きに出ましたね。
何か気になる点でも?」
俺はエドワードに虎ノ門軟禁時の詳細を報告する。
今、画面に映っている減税案が望月桐江の起草であること、要望を出したのが俺である事も。
「え?
じゃあ、リン子さんは既に日本国の支配者ではないですか?」
『いやいや!
どこが支配者なんですか!
昨日なんてお尻を触られて泣いちゃったんですよ。』
「そうは仰いましても…
徴税権なんて権力そのものですよ?
御自身の意向がそのまま税制法案に反映されている時点で、国権の完全掌握に成功しているも同義ですからねえ。
一応内情を打ち明けておきますと…
私やアレクセイ皇帝は名目上は君主でしたが、国家財政を掌握するどころか、地方官・財務官の統御にすら苦しみ抜いておりました。
そりゃあ通したい税制法案なんて幾らでもありましたが、その殆どが行政や現場の強い反発に押し戻されてしまったのです。
今、リン子さんが成し遂げた事は凄いことなんですよ?
まさしく王者そのものです!」
『あ、成し遂げたのはヒルダです…』
「ですね。
じゃあ、ヒルダ・コリンズこそが…」
『やめてー。
心が折れるからそれ以上は言わないでー。』
極めて不本意ではあるが、《貧民の可処分所得を増やす》という目標はあっさり達成されてしまった。
帰還2か月で政治的成果が得られたのだから首尾は上々なのだろう。
まあ、全てヒルダの功績なのだが。
ここが法治国家である以上、社会を変革するには法案を通す必要があるし、法案を通す為には立法・行政に話を通しておかなければならない。
あの女はそのお膳立て全てを整え終えていた。
しかもアイツ、それをラノベ執筆の片手間に成し遂げてしまったのだよな。
一方、俺はスナックで泣かされている。
ヒルダがあの女なりに俺に尽くしてくれている事は知っているが、それでもこうも力量差を見せつけられると傷付くよな。
「え!?
ヒルダ・コリンズがなろう小説!?
いや、そんな馬鹿な!?
流石に…
そんな…」
意外にもエドワードの観測範囲外だったらしかったので、《正直婚活仲人》の存在を教えてやる。
「う! うっわああああ!!!
コミックス2巻まで発売されているうう!!!!」
『あははは、驚いたでしょ。
流石の私もこの話を知った時は…
って、ひええええええええ!!!??
ドラマ化が決定しているうううう!!!!』
…あの作品がドラマ化されるということは、ヒルダの手元に更にキャッシュが積み上がり、更にはメディア人脈が増加する事を意味している。
しかも制作に電通も噛んでるのか…
ヒルダ×電通とか悪夢だろ…
…ヤバいなあ、何をどうやってもあの女に抗える気がしない。
『エドさん。』
「はい。」
『現実から逃避する方法って何かあります?』
「あー、それじゃあ釣りでもチャレンジしてみましょうか?」
『あ、はい。
じゃあ、お願いします。』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ヒルダの猛威にすっかり心を折られてしまった俺達は、現実を忘れる為に片貝堤防で釣りをする事に。
タブレットでニュースを流しながら、エドワードにエサの付け方や待ち方を教わる。
「時間帯的にスキル無しでは釣果が得られにくい時間帯です。
なので、釣れなくても気にしない様に。
あ、日焼けしたら大変だから日焼け止めクリームをどうぞ。」
『ええ、日焼け止めなんて別にいらないですよお。』
「いえ、万が一お肌が荒れてしまったら大変です。」
『あ、じゃあ。
ちょっとだけ。』
流されてるなー、と思いながらもエドワードの厚意に甘える。
確かにパラソルまで用意してくれたのは助かる。
「リン子さん。
落ち込んでおられるようですが、貴女は勝ち確です!
その事実だけは忘れない様に!」
『あ、はい。
まあヤクザと警察の手配が解けたら…
多少はそういう気分にもなるのでしょうが…』
「気を強く持って下さい!
手配と言っても、ヒルダ・コリンズも鷹見夜色もリン子さんへの愛情に基づいて行っていることです。
むしろ! むしろ見ようによってはですよ?
表社会に影響力のあるヒルダと裏社会に影響力のある鷹見さんのWヒロインを射止め終わっているとも見れなくもない!
これはもうリン子さんの勝利と言っても過言ではないのですよ!」
『…いやあ、流石に過言かと。』
「ポジティブに! ポジティブに!
仮に捕まってもいきなり殺される可能性はありません!
彼女達は貴女の妻であって敵ではないのですから。」
『妻が敵に回るなんて歴史を鑑みれば幾らでもある事なのでは?』
「ノーコメントで。」
思わず2人で苦笑する。
《昨日未明。
兵庫県明石市のコンビニエンスストアの駐車場において男性1人の死亡が確認されました。
近隣の住民から「発砲のような音が聞こえた」との通報が多数寄せられ、通報により駆け付けた警察官が車内から遺体を発見したとのことです。
所持品等から遺体の身元は香川県坂出市在住の元暴力団員・大西竜司さん(46)と判明。
県警は車内に争った形跡がない事から自殺と断定、今後は車内で発見された拳銃の入手ルートなどについて捜査を進め全容解明に努めるとしています。》
何気なく聞き流していたニュースだったが、聞き覚えのある名が挙がった事により全身が硬直する。
「リン子さん、どうしました?」
『…いえ。
このニュースってリピートとか出来ます?
明石の事件…』
「え? あ、はい。
この拳銃自殺のニュースですか?」
再度、食い入るように見る。
そして画面に映ったのは…
『白のアルファード!』
「リン子さん!」
『…友人が死にました。
報道では自殺とありますが、これ多分殺されてます。』
「…え? そうなんですか?」
『西日本を回っていた頃に出逢った人物です。
私の運転手を務めてくれておりました。』
…そうか、大西は瀬戸内海を渡れなかったか。
俺なんかに関わってしまったばかりに。
拳銃…
殺したのは鷹見の関係者だろうか…
しかし何故大西が。
いや、そうだよ。
あの夜、大西のアルファードはレインボーブリッジに乱入した。
このカメラ社会である、前後の記録を辿ればすぐに持ち主を割り出せるのだろう…
『この大西という人物。
遺族として離婚した妻子がおります。
私は彼女達に何としても弔慰金を支払いたいのですが…
もしも私が四国に辿り着けなかった場合…
エドさんが大西竜志の遺族を助けてやってくれませんか?
掛け替えのない友人だったのです。』
「…承知しました。
ですが、あくまで万が一の場合ですよ。
命の優先順位は、世界にとっても私にとってもリン子さんが一番ですから。」
…そりゃあ人は死ぬよな。
ましてやカネやヤクザが関わっている盤面では、当然その数も増えるだろう。
異世界であれだけ多くの人間を殺した俺に、地球人の死を哀しむ資格はない。
それでも、胸が抉られるような哀しみは抑えられなかった。
辛い、もうあの男と会えないのか…
『あの女共を何とかする方法はありませんか?
奴らさえ黙らせる事が出来たら、かなり地球での活動は楽になると思うのですが…』
そう。
要はヒルダ・鷹見がガンなのだ。
あの2人さえ居なければ、今頃は地球政治に専念出来ていた筈なのだ。
アイツら本当に好き放題するからな。
「その話なのですが…
私と一緒に居ない方が良いかも知れません。
ヒルダ・コリンズに恨まれているので…」
『やはりジョー・コリンズ氏の件ですか?』
「ええ、ジョーは王族内の政争に巻き込まれる形で…
いや、まあ彼から首を突っ込んで来たのですが…
それで罪状が有耶無耶の状態で死罪になってしまったのです。」
『え?
有耶無耶で殺されるんですか?』
「政治が絡むと謎判決が出るんですよ。
彼の場合はねえ…
今でも覚えてますけど…
税金の申告漏れ(通常なら罰金刑)
+軽度情報漏洩罪(懲役5年以下)
+外国人宿泊名簿記載漏れ (科料5万ウェン以下)
+政治批判罪 (譴責処分相応)
この4つの合わせ技で強引に死刑判決が出ちゃったんです。
『流石にそれで処刑は重すぎませんか?』
「はい、明らかに異常です。
かなり無理のある判決だったので、王宮内でも秘かに是非が議論され続けておりました。」
『政局ですか?』
「今だから言える事なのですが、当時の王宮が2派に割れてたんですよ。
帝国との決戦を主張する南進派と、合衆国やドワーフ連合への侵攻優先を主張する北進派ですね。
それでずーっと王座が空位のまま、両派の暗闘が続いていたんですよ。
ジョーは北進派の論客として市井では有名でした。
ほら胡桃亭って割と親帝国的だったでしょう?」
『ええ、私が貴国から亡命したのも帝国の不動産業者の手引きでしたし。』
「実際、当時は北進派が優勢だったのですよ。
あのままラングラー公が即位していれば、準男爵だったジョーは確実に男爵に昇爵していた筈です。
彼は商工会長の座を狙ってましたが、恐らく普通に就任していたのではないでしょうか?」
『あ、爵位ってそういう事で決まるんですね。』
「ええ、当時は両派が爵位やポストの空手形を切り合ってましたから。
ジョーは一世一代の大博打に出て、そして負けたのです。」
『ああ、それじゃあ南進派の人が王位に就かれたのですね。』
「はい、グリンヒル公…
私から見て先代に当たる人物ですが…
南進派のグリンヒル公が即位、リチャード19世陛下となられます。
19世陛下が即位した事で、親帝国派の粛清が開始され…
真っ先に標的になったのが…」
『なるほど。
政治って怖いですねえ。』
「これは、後になって19世陛下から直接聞かされた事なのですが…
陛下は変装して下町の政治演説会を視察した事もあったそうなのです。
そこで御自身を《愚将》と批判していたジョーのスピーチを聞いて怒り心頭。
粛清を堅く誓っていたそうです。」
『うわ、怖。
批判相手が会場に潜伏とかヤバすぎでしょ。』
「ヤバいですよー。
身分制度にかなり厳格な方でしたからね。
平民のジョーが王族にして上級大将の自分を批判しているなんて…
そりゃあ、あの方の性格なら絶対許してくれないでしょう。」
*法的には準男爵は一応貴族。
『でも、ジョーさんを処刑したのは19世陛下であって、エドさんの代ではないですよね?
ヒルダがエドさんを恨むのは筋違いではないですか?』
「…えっとねえ。
今だから言える事ですけど、当時の宮中には帝国のスパイ網が構築されつつあったのです。
それで帝国側が流していた偽情報に王国外交が踊らされていた時期だったんですけど…」
『ああ、異世界では諜報合戦も盛んでしたものね。』
「うーーーーん。
これ、私の立場で言っていい事ではないんですけど。」
『何か言いにくいことでも?』
「色々な偶然が重なって…
私が帝国諜報組織の指揮官を逮捕しちゃったんですよ。
それで現場で暗号表とか全部押収して…
まあ、後は一網打尽ですね。」
『うおお!
大手柄じゃないですか!!
それでエドさんの評価が上がったんですね?』
「いやあ、どうですかねえ。
当時の私は19世陛下からは北進派と思われてましたからね。
取調室に私も呼ばれて直々に尋問されましたよ。」
『王様って取り調べするんですか!?』
「南部総督に就任する前は憲兵総監を務めておられた方ですからね。
側近の大半が憲兵上がりです。
…わかるでしょ?
陛下直々の膝蹴りを喰らったのって、多分私くらいのものですよ。」
『うわあ。』
「それで陛下は私が胡桃亭と親交がある事を知った上で、ジョーの斬首役を私に命じたのです。
踏み絵的なニュアンスですね。」
『え!?
じゃあ、直接ジョーさんを斬ったのは…』
「厳密にはジョーを始めとした親帝国商人4名の公開処刑ですね。
私がその御役目を務めました。」
『…。』
「最後に規定で遺品をヒルダ・コリンズに渡した時に…」
『ええ。』
「一言、《殺す》って言われましたね。」
『うわっ。
…それはエドさんを殺すという意味で?』
「いやあ、どうなんでしょう。
私の目を見ながらそう宣言したので…
まあ妥当に考えて、私が標的なのではないか、と。」
『それで、その後どうなったんですか?』
「御存知の通り、20年後にきっちり報復されました。」
『あの賞金ってヒルダなんですかね?』
「恐らくは…
というかあの子以外にそういう事しないでしょ。」
『ですよねー。
ちなみにアイツの資金源は私です。
度々目を離しちゃって誠にゴメンなさい。』
「ははは。」
『ははは。』
「いや、はははでは済まないんですけどね?」
『御尤もです。』
「それで賞金攻撃に追い詰められて…
介錯してくれる部下も残って無くて…
もう切羽詰まってオーラロードに飛んだ訳です。」
『エドさんも大概な人生を歩んでますよね。』
「それで地球に辿り着いて…
ようやくこの社会の仕組みが分かって来て、ノートPCも買えて。
《さあ、念願のニコニコ動画を見るぞ!》
と思って開いたら…」
『…開いたら?』
「TOPページでヒルダ・コリンズが麻生太郎氏と対談しておりました。
ウクライナ女性の代表みたいな顔してましたね。」
『うわああ。』
「もうね。
心臓止まるかと思いましたよ。
パニックになって泣いちゃいましたもの。」
『私がエドさんでも泣くと思います。』
「だから、一緒に居ない方がいいと思いますよ。
多分、私の存在があの子に知られたら
確実に殺されるので。」
『…何とか取りなしてみます!』
「どうでしょう。
あの子粘着質だから…
私の肩を持っちゃうと…
リン子さんにも、とばっちりが行くと思います。」
『エドさん。
それでも、何とかさせて下さい。』
「…わかりました。
あまり私を庇い過ぎないように気を付けて下さいね。」
喋っている間に竿が何度か動くが、もう釣り上げる意欲が湧かなかった。
全然気晴らしにならない。
「ヒルダ・コリンズ…
私の事を何か言ってました?」
『あ、いや。
あまり王都内で政治的な話はしなかったので…』
「そうですか。」
『あ、でも最初に魔王について質問した時に…
《魔王に限らず庶民の敵でない王侯などいない。》
って言ってました。
私が王宮を追放されたその日の話です。』
「…それ絶対に私を想定してますよ。」
『でしょうね。』
「…怖いです。
せめて、痛くない殺され方で死にたいです。」
『大丈夫!
何とか頑張ります!』
「お言葉に甘えさせて下さい。」
現状、俺もエドワードも逃げ回るしかない身なのだが…
恨みを買っているエドワードよりも、愛されている俺の方がヒルダに話が通しやすい。
頑張って助命嘆願してみよう。
『ねえ、エドさん。』
「はい?」
『御自身を主役にして異世界ラノベを書いたらどうです?』
「私の人生、苦難パートしかないので…
読んでる人が辛いと思います。
他ならぬ私自身が思い出したくもありませんからね。
物心ついた時には粗末な使用人小屋で寝起きしていて…
他の子供達と一緒にホーンラビットの干し肉を作ってました。
なまじ王族の血を引いていたので、軍隊以外の進路を許されてませんでしたし…
ねえリン子さん。
私の人生が物語なら…
この話はいつ面白くなるのでしょう?」
『2人で何とか楽しみを見出して行きましょうよ。
苦難の連続では…
確かにラノベ向きではないです。
今時の風潮では嫌がられるでしょうねえ。
一緒に召喚された渡辺君なんかは、《少しでも主人公が苦戦したらすぐにページを閉じる》って言ってましたし。』
「…渡辺陽介君?
小太りの?」
『え! 渡辺君を覚えてるんですか!?』
「何度か質疑応答を兼ねた食事会を開催しましたから。
そこで渡辺君からも質問がありましたねえ。」
『…彼、どんな質問したんですか?』
「《エルフと結婚出来ますか?》って。」
『…アホですねぇ、彼。』
「うん、軍事情勢の説明会を兼ねた場だったので…
ちょっと驚きました。」
『ちなみに結婚出来るんですか?』
「いや、普通に民法で禁止されてますけど。」
『でしょうねえ。』
「あー、でも…
地球の皆さんには王国民法は適用されないのか…
じゃあ、エルフ領内でなら結婚出来なくもないのかな?
あ、でも彼ら鎖国してるから無理ですね。
結論、エルフ族とは結婚出来ません。」
『まあ、そりゃあそうでしょうね。
身体構造からして微妙に異なってましたし。
別の生き物感強かったです。』
「ハーフは生まれますよ?」
『あ、そうなんですね。』
「ただ乳児死亡率が異常に高いので、交配適性は乏しいのでしょうなあ。
妊娠率が極度に低い上に流産や死産が頻発し、生まれても8割が生後2か月以内に衰弱死しますからね。
ハーフは不妊率も高いですし…
殆ど混血は残らないんじゃないですか?」
『まあ、そりゃああれだけ見た目が違うとね。
耳とか尖ってましたし。』
「土佐犬とドーベルマンを交配させるくらいには難しいと思いますよ。
そもそも紛争相手ですし。」
『え? そうなんですか?』
「ドワーフの侵攻を受けて、飛び地になっちゃった王国領があるんですよ。
彼ら援兵名目でそこに居座っちゃって、こっちが手出し出来ないのをいい事に周辺諸国に領有権を認めさせる工作をしてましたからね。
備蓄物資も全部強奪されちゃいましたし。
北の要ですからね、500万石以上はあった筈です。
返還交渉には応じない癖に、対合衆国の軍事支援は強請ってくるし…
結婚も何も…、完全な敵性勢力ですよ。」
『なんか、戦争の話ばっかりなんですけど。
王国って味方は居なかったんですか?』
「…教団。」
『地味に辛いですね。』
「派手に辛かったですよ。」
エドワードの話は即位前も即位後も、どちらも重苦しい。
即位前は下級将校として激戦区行脚をさせられ、即位後は膨大な財政赤字の処理に奔走させられたとのこと。
更に叛乱・内戦・逃亡と地獄を見た上に、ようやく落ち延びて来た遥か彼方の地球ではヒルダ・コリンズが既に頭角を現していた。
以降はヒルダの影に怯え暮らす日々。
うん、俺もこんなラノベは絶対に読みたくない。
やっぱり娯楽って息抜きだからさ、息が詰まるような息抜きなんて要らないよね。
だって今はもう令和だし。
昭和時代みたいな《苦労は買ってでもしろ》は受けないよね。
うん、受けないんだよ。
…俺もアップデートしたいなあ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
結局、何も釣れないのは食生活的に困るのでエドワードにスキルを発動して貰う。
「発動しちゃっていいんですか?」
『私じゃ釣れそうにもないですし。』
「何か食べたい魚ありますか?」
『…平目のエンガワが好きです///』
「ははは。
お任せ下さい!
【自動照準(オートエイム)】!!」
エドワードが背筋を伸ばして釣竿を放り込む…
瞬間、引き上げた。
『え?』
「まずは一匹です♪」
小粋にウインクするエドワードの手には大きな平目。
『うおおお!!!
ノータイムですかぁ!?』
「はっはっは。
少しはリン子さんに良い所を見せたいですからね。
まだまだ釣れちゃいますよー♪
【自動照準(オートエイム)】!」
そんな調子で一気に10匹を釣り上げてしまう。
しかもただ釣り上げただけではない。
一匹一匹が大振りで肉付きが良い。
魚介に疎い俺でも明らかに上物であると理解出来た。
『おお!
エドさんカッコいいですぅ。』
「はっはっは。
リン子さんの為ならこのくらいお安い御用ですよ。」
釣った魚は血を抜かなければならないらしく、そのやり方を教えて貰う。
余程手際が良いのか、流れるように10匹の処理が終わってしまった。
俺達がはしゃいでいると、港の反対側に居た釣り人2人組がこちらまでやって来た。
「Halo♪ こんにちはー♪」
「お兄さん達凄いですねー♪」
見れば、やって来た釣り人は両方女だった。
見た所、20代の後半くらいだろうか?
「あ、どうも。 こんにちは。」
『(ペコリ)』
エドワードは少し警戒するような表情で返事を返す。
「あらぁ、日本語お上手なんですね♪」
「来日されて長いんですかぁー?」
「あ、いや。」
『…。』
俺は知らなかったのだが、釣りガールというのが流行しているらしく、最近は女子の釣り人が増えているらしい。
2人は千葉市内から車で釣りに来たらしい。
全然釣れずに場所を変えようかと相談していた所に、こちらの大漁振りを見て寄って来たらしい。
エドワードと話していたのは俺なのに割って入って来やがった、馴れ馴れしくて不快な女共だ。
「彼女さん、ゴメンナサイねー♪
あの子、イケてる男の人を見るとすぐにガッツくんですよww」
『あ、いや。
別に彼女とかじゃ。』
「え!?
ひょっとして男の人なんですかぁww↑
なんですかぁww↑」
『…。』
しまった。
5分程質問攻めに遭ってしまう。
無論、エドワードの背中に隠れて断固拒否。
2人は意地悪そうにニヤニヤ笑っている。
結局、その後も粘着されそうだったので、慌てて道具を纏めて自宅に帰った。
『エドさん。』
「はい?」
『ラノベ主人公が能力を隠すのは正解ですね。』
「まったくです。
次からは人目の無い所でスキルを使います。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
家に帰って2人で食事。
平目の刺身とキュウリの胡麻和え。
エンガワをいっぱい食べれたので俺もご満悦である。
酒でも飲めば尚楽しいのだろうが、肝臓は今夜の為に温存しておかなけばならない。
食事が終わってから、タブレットで大谷翔平を見ながらゴロゴロしていると、東金のカネ貸しである児玉夫妻が来訪。
俺の様子を見に来たらしい。
児玉がエドワードと宝くじの打ち合わせをしている間、俺は夫人の化粧チェックを受ける。
「家の中でも女装してるの?」
『あ、いえ!
好きでやってる訳ではなく!』
「熱心なのはいい事よ。
未来の貴方を助けるわ。」
『ぐぬぬ。』
「でも、男物の下着は駄目ね。」
『え?』
「そんな中途半端な心構えじゃ、近いうちにバレるわよ?
夜のお店で働き始めたんでしょう?
下着もちゃんとしなきゃ。」
そういう謎理論で女物の下着を着用させられる。
『ぶ、ブラジャーは要らないでしょう!』
「居るわよ!
女は全員付けてるんだから!」
『ぐぬぬ。』
結局、児玉夫人の圧に負けて女物を履かされる。
何故か俺が着用してた男物の衣服は全て処分される。
『ちょ!
服は残しておいて下さいよ!』
「駄目よ、リン子ちゃん。
そういう油断から逃亡は失敗するの。
私はリン子ちゃんの為に言ってあげてるのよ?
素直に言う事を聞きなさい、リン子ちゃん!」
その後、児玉夫人が俺を念入りに化粧する。
明らかに楽しんでいるように見えるが、賞金首の身としては抗えない。
「あらぁ♪ あらあらあらぁ♪」
屈辱に震える俺を眺めながら児玉夫人は嬉しそうに笑い続けていた。
部屋に入って来たエドワードと児玉が感嘆していたので、やはり女が施す化粧は別格なのだろう。
夫妻は平目を手土産に上機嫌で帰っていった。
今日は酷い目にばかり遭う。
「大丈夫です!
大丈夫!
貴女こそが最強の大魔王なのです!」
しきりにエドワードが慰めてくれるのだが、どう大丈夫でどう最強なのかさっぱりわからない。
商売女に堕ちた上に大西が殺された。
逆転の糸口はまるで見つからない。
今はキャッシュを貯めながら力を蓄えるしかないのか?
「キャッシュイズキングとの格言もあります!
まずはリン子さんの手元に現金を集める事に専念しましょう!」
そうだな。
現金の威力は馬鹿に出来ない。
雌伏に甘んじるしかない以上、出来る事を淡々とこなして行こう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
まずエドワードの報告。
ナンバーズ4で260万円の高額当選を当ててしまった。
これは歴代2位の高額賞金ということで、換金役の児玉が怯えてしまっている。
エドワードも目立ちたくないので、この当たりクジの売却は一旦保留。
84万円と94万円のストレート当選クジのみの売却を行うということ。
これに関しては児玉が明日に現金を持参しても構わないとの申し出。
手の空いている方が相手を訪問する取り決めなので今まではエドワードが東金参りをしていたが、俺の来訪というイレギュラーが発生してしまったので、これからは児玉夫妻の来訪が多くなるとのこと。
「リン子さん。
配当の件ですが…
他の人同様1%で構わないですよ?」
『いやいや!
エドさんには、こんなにもお世話になっております。
それをたったの1%というのは、道義上許されないです。』
「かなり感覚が麻痺されておられるようですが、日利1%って洒落にならない暴利ですからね?
しかも私が同席している以上、こんなにも安全性の高い預金はないですからね?」
『参ったなぁ。
いやあ、日利1%ではどうにもならない気がするのですが。』
「フェルナンデス司祭もねえ。
リン子さんを温存しておけば、今頃普通に大主教だったでしょうに。」
『王国の財政難も解決しておりましたでしょうか?』
「そりゃあ、確実に解決ですよ。
私に権限があったなら、リン子さんを財務長官に任命して国庫の残金を全額預託してましたね。
それで…
まずは教団からの借財を返済して…
将兵達に遅配した給料を支払って、帝国・合衆国との戦線を縮小させて…
ボルドッグ銀山さえ取り戻せば…
普通に国威は回復してましたよ。
そもそも王国って大陸の一番肥沃な平野部を中心に広がっている国家ですからね。
真面目に運営さえしていれば、本来財政破綻なんてする訳がないのです。」
『ですよねー。
平野部はかなり広い印象がありました。
教団の自治区なんて、凄く綺麗な田地が地平線の果てまで広がってましたからね。』
「あそこはねぇ。
王国屈指の穀倉地帯だったんです。
あんな一等地を差し押さえられたら…
そりゃあ国家運営なんて出来ませんよ。」
『お察しします。
あ、そろそろ時間です。』
「お、17時ですね。
それにしても支払いを貰える瞬間は最高にテンション上がりますね。」
《570万円の配当が支払われました。》
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
238万4500円
↓
3338万4500円
↓
3906万4500円
↓
806万円4500円
↓
775万4500円
※エドワード・ギャロから3100万円を借入。
※配当570万円を取得
※エドワード・ギャロに3100万円を返済
※エドワード・ギャロに31万円を支払い
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ねえ、リン子さん。
これやっぱりチートですって。」
『ですよねー。』
「ちなみに。
このスキルを手に入れた時、どう思ったんですか?」
『いや、普通に。
《勝ったなガハハw》と。』
「そりゃあ、そうでしょうねえ。」
2人でグチグチと追放ifを話しているうちに時間になったので、電動自転車でスナック朱美に出勤。
送ってくれたエドワードは洗濯の為に一旦帰る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あらぁ、リン子ちゃん♪
今日はお化粧頑張ったじゃな~い♡
ママ感激だわー。」
『私は仕方なくこの格好をしているだけです。
性的には完全にヘテロですからね!』
「あらあら、うふふふふw
まあ、いいわ。
今日は五木田社長がお友達を連れて来て下さるから♪
銚子の長者番付の常連さんよ♥
たっぷりサービスしてさしあげてね♪」
昨日、俺が初めて接客したのが地元土建屋の五木田社長。
その高校時代の後輩が銚子市の大金持ちで水産加工業やら重機のレンタルやらでボロ儲けしているらしい。
今夜のミッションはその後輩氏を…
「あーーーら、五木田さーーーん♡
昨日はありがとうねぇ♪」
「はっはっはー。
こんばんはー。
例の億万長者を連れて来たよー♪」
「どもー。
常世田でーす。」
「コイツは親のカネで遊び歩いてるんですよ。
女遊びに目が無くて…
おいアキラぁ。
今、バツ4だった?」
「ははは、先~輩♪
勘弁して下さいよぉw
先輩が悪い遊びばっかり教えて下さる所為で
そろそろバツ5ですよ、ギャハハハww」
「名士の常世田社長にお越し頂けるなんて光栄ですわ♥」
「五木田先輩からね?
最高に可愛い子が入荷したって聞いてね?
ふふふ、思わず来ちゃいましたww
自分で言うのも何だけどねー、私は目が肥えてるよー。
銀座でも何百本ボトル置いたか、数えきれないくらいだからね。」
「コイツねー。
昔から女遊び激しいんですよ。
千葉じゃ一番じゃね?」
「いやいや内房の諸先輩方には敵いませんわw
私、上品なんで。」
「ふはははww
コイツーーーw
よく言うぜーーーwww」
「「ギャッハッハッハwww」」
「社長のお眼鏡に適えるように精進致します。」
「うん、他ならぬ五木田先輩の地元だからね。
可愛い子を揃えてくれるなら、幾らでも遊びに来るよー。
で? 噂の新人ちゃんというのは?」
「ほら! 早く挨拶なさい!」
『り、リン子でーす(震え声)♥
新人ですけど頑張りまーす(震え声)♥』
「おほっww
え? 先輩w ひょっとしてこの子ww」
「今時流行りの男の娘ちゃんなんだよー。」
「おほーーーーーww
ふひっw
先輩には参ったなぁw
こうやってどんどん私の間口を広げていくんだからぁ」
「まあ、面白い遊びは掛け替えのない後輩と共有しなくちゃねw」
「おほほほーーーいw
いやあ、2丁目遊びは全然ツボらなかったんだけどね。
えっと、リン子ちゃんだったか?
まずは宜しくね。」
『お上着をお預かりしますぅ(震え声)。』
「うはははww
いやあ、年甲斐もなくドキドキしますなあ。」
「だろ!?
誘った価値あるだろ?」
『五木田社長はいつもので宜しかったでしょうか(震え声)?』
「うんうん♥ ロックでお願いね。
あ、リン子ちゃん。
無理はしなくていいからね。
オジサンは君の味方だからねー。」
『あ、ありがとうございますぅ えへっ(引きつった笑い)』
「おほーーーーっ♪
先輩ッ、この子大当たりですわ。
いい意味でスレてない。」
「だから言ったじゃん。
歌舞伎町はねえ、全体的にマニュアル化され過ぎちゃってるんだよ。
素人さんはああいうテンプレ接客が嬉しいのかも知れないけど。
アキラほどになると白けちゃうでしょ?」
『お、おしぼりをどうぞー(震え声)。』
「やっべw こっちが緊張してきたww
ふひひw この上なくそそりますね。」
「だろ? 俺のオキニだから取るなよ?」
「えーーーー、見せつけておいて
そりゃあないっすよーww」
「リン子ちゃん、ママ。
ケーキ買って来たんだ。
アンリ・シャルパンティエ。
たまたま《そごう》に行く用事があってね。」
「嘘だーーww
なーにがたまたまッスかwww」
「本当だよーーーw
仕事仕事ww」
「「ギャハハハwwww」」
『あ、それではケーキを切り分けた方が宜しいでしょうか?』
「うん、そうね。
ママもおいで。
今は他にお客さんもいないみたいだし…
みんなで食べちゃおう。」
『そ、それじゃあ頑張って切りまーす(震え声)
三等分は苦手なんですけど、四等分なら切れると思まーす(震え声)』
「リン子ちゃん、手を切らないようにね。」
「ふふふ、この初々しい姿たまりませんなーw」
「リン子ちゃんはいいお嫁さんになるよ。」
『えへ、ありがとうございます(震え声)』
「おほーーーーーーーーwww」
「アキラ落ち着けww
オマエ初回から飛ばし過ぎwww」
『あ、上手く切れなかったかもですぅ(震え声)』
「いやいや!
上手上手!
こんなに旨そうに切られたケーキなんて初めて見たよ!」
「先輩の言う通り!
リン子ちゃんは頑張ってるって!
ねえ、ママ?」
「ええ、丁寧に切れていますね。
じゃあ、リン子ちゃん。
社長さん達はグラスでお手が塞がってるから。
ちゃんとお口までお運びして。」
『は、はいママ(震え声)
そ、それじゃあ、ど、どうぞ。
常世田社長から。
はい、あーーーーん。(震え声)』
「おほーーーーーーーーーーーッ♥」
「うっは、最高の夜だぜ!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
2人共所帯のある身なので11時過ぎには運転代行を呼んで気持ち良く帰って行った。
「リン子ちゃーん♥」
『あ、はい。』
「アナタすっごく良かったわよお。
才能あるわぁ♪」
『あ、ありがとうございます。』
「もうねー、最近の子は全然駄目。
お客様気分で接客するから、オトコノヒトが白けちゃうのね。
ホステスって言葉の意味わかってないのよ。
それに引き換え、リン子ちゃんは最高♪
そんじょそこらの馬鹿女共とは格が違うわ。」
『あ、どうも。』
「ねえ、ウチの娘。
新宿じゃちょっとしたものなんだけど。
そこを手伝ってやってくれない?」
『え?
こ、困りますぅ。』
「リン子ちゃんだって、こんな田舎で商売してたってつまらないでしょ?
折角可愛いんだから勝負に行かなきゃ。
東京には大金持ちの社長さんがいっぱいいるよー。」
『わ、私そんなつもりじゃないですぅ。』
「うふふふ、その反応。
男共が夢中になるのもわかるわ。
アナタ、才能あるわよ♪」
『も、もう帰ってもいいですかぁ?』
「まあまあ、まだいいじゃない。
ママとちょっとお話しようよ。
ママね?
初めて会った時からリン子ちゃんの事、他人とは思えなかったの。
実の娘の様に感じてるから♥
給料も忘れないうちに払っておきたいしね♪」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
775万4500円
↓
776万4500円
↓
777万4500円
↓
779万1000円
※五木田比呂彦からチップ1万円を受け取り
※常世田昭からチップ1万円を受け取り
※スナック朱美から日当16500円を受け取り
[内訳]
時給1500円×5時間=7500円
ボトルバック 「ヘネシーXO」 5000円
交通費 1000円
色 3000円
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『あ、あの私…
夜のお仕事とか本当に無理ですぅ(震え声)
全然向いてないっていうかぁ(震え声)』
「ふっふっふ。
合格!」
『え!?』
「この業界ねー。
自称《夜職向いてます》って子はいっぱいいるのよ。
これ、地雷。
オトコノヒトが一番嫌うタイプ。
でもねー、リン子ちゃんは特別。
押せばヤレそうな儚さがあるわ。
一言で言えば《男にとって都合のいい清純》かしら。
アナタ、才能、あるから。」
『そ、そんなつもりじゃないですぅ(震え声)』
「うはははははwww
その表情!!!!
いいじゃなーーーーい♪
そりゃあボトルも入るよwww」
『ふ、ふええええ。』
「リン子ちゃん。
これはアナタの始めた物語でしょ?
リン子ちゃん自身が楽しまなきゃ駄目よ♪」
参ったなあ。
俺は最強の複利使いだぞ?
誰がどう考えても勝ち確チート能力者じゃないか。
なのに何故?
俺というドラマは、今頃とっくにハッピーエンドになってなきゃおかしいだろ…
なーんで?
なーーーーんで、俺はこんな目に遭ってるの?
この話はいつ面白くなるの?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
遠市・コリンズ・リン子・厘
【職業】
ホステス
神聖教団 大主教
東横キッズ
詐欺師
【称号】
賞金首
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 17
《HP》 ふぇぇ
《MP》 ですぅ
《力》 メスガキ
《速度》 小走り不可
《器用》 ライジング・カード!
《魔力》 悪の王器
《知性》 悪魔/ド低能/自分の名前は言えます。
《精神》 吐き気を催す邪悪
《幸運》 的盧
《経験》 1214848
本日取得 0
本日利息 176516
次のレベルまでの必要経験値95862
※レベル18到達まで合計1310710ポイント必要
※キョンの経験値を1と断定
※イノシシの経験値を40と断定
※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定
※クジラの経験値を13000と断定
※経験値計算は全て仮説
【スキル】
「複利」
※日利17%
下4桁切り上げ
【所持金】
791万1000円
【所持品】
女の子セット
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばして欲しい。」
飯田清麿 「結婚式へ出席して欲しい。」
〇 「同年代の友達を作って欲しい。」
『100倍デーの開催!』
× 「一般回線で異世界の話をするな。」
『世襲政権の誕生阻止。』
〇後藤響 「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」
「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」
「空飛ぶ車を運転します!」
江本昴流 「後藤響を護って下さい。」
『遠市王朝の建国阻止。』
×弓長真姫 「二度と女性を殴らないこと!」
× 「女性を大切にして!」
〇寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行きましょう。」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
×中矢遼介 「ホストになったら遼介派に加入してよ。」
「今度、焼肉でも行こうぜ!」
〇藤田勇作 『日当3万円。』
〇堀田源 「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」
〇山田典弘 「一緒にイケてる動画を撮ろう。」
〇 「お土産を郵送してくれ。」
「月刊東京の編集長に就任する。」
楢崎龍虎 「いつかまた、上で会おう!」
×警視庁有志一同 「オマエだけは絶対に逃さん!」
「オマエだけは絶対に守る!」
×国連人権委員会 「全ての女性が安全で健(以下略)」
〇安宅一冬 「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」
水岡一郎 「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」
×平原猛人 「殺す。」
「鹿児島旅行に一緒に行く。」
「一緒にかすうどんを食べる」
車坂聖夜Mk-II 「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」
×今井透 「原油価格の引き下げたのんます。」
「小麦価格の引き下げをお願いします」
〇荒木鉄男 「伊藤教諭の墓参りに行く。」
鈴木翔 「配信に出演して。」
×遠藤恭平 「ハーレム製造装置を下さい。」
〇 『子ども食堂を起ち上げます。』
「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」
〇田名部淳 「全財産を預けさせて下さい!」
「共に地獄に堕ちましょう。」
三橋真也 「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」
〇DJ斬馬 『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』
金本宇宙 「異世界に飛ばして欲しい。」
金本聖衣 「同上。」
金本七感 「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」
〇天空院翔真 「ポンジ勝負で再戦しろ!」
「再戦するまで勝手に死ぬな。」
〇小牧某 「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」
阿閉圭祐 「日本国の赤化防止を希望します。」
〇坊門万太郎 「天空院写真集を献納します!」
宋鳳国 「全人類救済計画に協力します!」
堀内信彦 『和牛盗難事件を解決します。』
〇内閣国際連絡局 『予算1000億円の確保します』
毛内敏文 『青森に行きます!』
神聖LB血盟団 「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」
〇大西竜志 「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」
『貴方の遺族に篤く報います。』
坂東信弘 「四国内でのイベント協力」
国重辰馬 「四国内でのイベント協力」
涌嶋武彦 「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」
斑鳩太郎 『処刑免除を保証します。』
志倉しぃ 「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」
〇孝文・j・G 「英国大使館パーティーにて利息支払い」
〇グランツ(英) 「perape-ra!!!!!!!!」
E・ギャロ 「農政助言」
金本光戦士 「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」
〇木下樹理奈 「一緒に住ませて」
×松村奈々 「二度と靴は舐めないにゃ♥」
〇 「仲間を売るから私は許して♥」
◎鷹見夜色 「ウ↑チ↓を護って。」
〇 「カノジョさんに挨拶させて。」
〇 「責任をもって養ってくれるんスよね?」
×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」
「王国の酒…。」
「表参道のスイーツ…。」
× 「ポン酢で寿司を喰いに行く。」
土佐の局 「生まれた子が男子であればリイチ。
女子であればリコと命名する。」
『あ、お疲れ様です。』
俺も各地を転々として来たが、まさか漁村のスナックで働く羽目になるとは思いもしなかった。
そしてこれまで散々怖い思いをしてきたが…
男に性欲を向けられるのって本当に戦慄モノだよな。
恐怖のあまり何度か泣いてしまった程である。
「はい、これ♪」
『え? 何スか?』
「おきゅーりょー♥
少し色を付けておいたからね♪」
『あ、いや自分は本当に。』
「うふふふ、いーのいーの♥
体験入店体験入店♥
ほら受け取って、リン子ちゃん♥」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
237万0000円
↓
238万4500円
※スナック朱美から日当14500円を受け取り
[内訳]
時給1500円×6時間=9000円
ボトルバック 「いいちこ」 500円
ボトルバック 「黒霧島」 500円
ボトルバック 「白州」 2500円
交通費 1000円
色 1000円
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「リン子ちゃん、評判いいわよー♪
ねえ、アフターしてくれたら、いっぱいお小遣いあげる♪
岩佐社長も牧村先生も、リン子ちゃんの事とっても気に入ったんだって。
ねえ、アフター、行けるよね?」
『え? え? え?』
「だーいじょうぶだいじょうぶ♥
みんな紳士的よー♥
カッコいい車に乗って、のんびり夜景ドライブ♪
ドライブに付き合うだけ♪
牧村先生なんて凄いのよー、カイエン乗ってるから♥
やっぱり医者は溜め込んでるわよねー。」
『あ、あ、あ、あ…
そ、そんなの…
こ、困りますぅ…』
「うはははww
リン子ちゃんは困ったフリするのが得意よねー。
上手いなーww
そうやってオトコノヒトの庇護欲を掻き立てるやり方なんだよね♥?
天然? ん? 天然?
いいわよー、アナタ才能があるわぁ。
ねえ、アタシの娘が新宿で会員制のラウンジをやってるんだけど、そっちで働いてみない?
リン子ちゃん可愛いから、遊び慣れた東京の社長さん達にも通用すると思うんだけどなぁw」
『きゃっ、さ、触らないで下さい!』
「うふふふ。
今の反応、いいわねえ。
そりゃあ岩佐社長もボトル入れる訳だわ。
ケチで有名な人なんだけどねえ。
リン子ちゃんの魅力の前には、メロメロ♥
あははははww」
「朱美さん! 待って下さい!」
「あらあ、エドワードさん。
気が気でないようですねぇw
リン子ちゃんが取られると思って不安になっちゃいました?」
「リン子さん!
大丈夫ですか!」
『エドさーん、怖かったですぅ、ふえええ。』
「御安心下さい。
貴女は私が守りますから!」
『…エドさん(涙)。』
「あらあらー。
頼もしい白馬の王子様ですこと♪」
「朱美さん!
それではリン子さんを解放して貰いますよ!
1日だけの体験入店の約束でしたよね!」
「あらあ、1日だけ?
そんな話をしたかしら?
ウチの体験入店期間は最短でも1週間なんですけどォ?」
「約束が違います!
1日だけの体験入店という話だったでしょう!」
「あらあらぁ、誤解があったみたいですねぇ。
ウチの体験入店は最低1週間、まずは最初の1日出勤して頂戴。
そういうニュアンスでお願いしたつもりだったんですけどねぇww」
「姑息な!」
「うふふふ。
リン子ちゃんが協力的だと嬉しいんですけどねえ。
今って人手不足でしょう?
全然女の子集まらなくて困ってるんです♪
ねえ、リン子ちゃん。
ママを助けてくれない?
リン子ちゃんだって、エドワードさんに迷惑を掛けたくないよねー?」
『エドさんは関係ないでしょう!』
「うふふふ。
関係があるかないかはリン子ちゃんが決める事じゃないよね?」
『ぐぬぬ。』
「じゃあ、リン子ちゃん。
一週間だけ、一週間だけだから。
明日も待ってるわよ♪」
『お、おカネで解決出来ませんか?』
「うふふふ。
出来ないねぇ♪」
『纏まった金額を払えるかも知れません。』
「あのねリン子ちゃん、覚えておきなさい♥
一流の女はカネじゃ買えないの♪
リン子ちゃんは普通じゃ絶対に買えないタイプの女の子♪
そこには無限の価値があるのよー。
夜のお店って、結局ブランディングが全てだから♪」
『私にそんな価値はありません!』
「うふふふふ♥
それを決めるのはリン子ちゃんじゃないよね?
まあいいわ、今日は帰りなさい。
安心して、ママはリン子ちゃんの味方よ♥
悪いようにはしないから♪
それじゃあ今日は19時出勤。
もしも来なければ迎えに行くから♪
はーい、それじゃあお疲れ様♥」
そんな遣り取りがあって、ようやく解放された。
疲れ果てていたのでシャワーも浴びずに寝た。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
何時間かは眠れたのだろう。
すっかり夜が明けている。
『エドさん、起きてます?』
「…はい。
昨夜は申し訳ありませんでした。」
『いえ、貴方の所為ではありませんよ。
最後、店に来てくれて助かりました。
酔ったお客様に絡まれて、凄く怖かったので…』
「大魔王様、おいたわしや…」
『もう疲れました。
後で切腹の作法を教えて貰えませんか?』
「弱気を言ってはなりません!
貴女は一瞬で天下平定を成し遂げた大魔王!
史上最強の覇者なのですよ!
本国においても地球においてもです!
リン子さんこそ両天下無双と呼ぶに相応しい!」
『…成し遂げたのも無双なのもヒルダだと思うんですけど。』
「…まあ、そこはノーコメントで。」
起き上がる気力も湧かないので、2人で寝転がったままyoutubeのニュース解説動画を眺める。
画面を見ると何やらプーチン大統領が顔を真っ赤にして怒鳴り散らしていた。
恐ろしい剣幕だったので、ついつい見入ってしまい自動翻訳をONにする。
東京にNATOの連絡事務所が開設される流れになったらしい。
これは明らかに我が国のオブザーバー加盟を意味しており、危機感を覚えた中露が猛反発しているのだ。
「どうやら日本人は我々が世界最大の核保有国である事を忘れてしまっているらしい。」
最後に画面の中のプーチン大統領と幕僚達が威圧的にカメラを睨みつけたアングルから、マクロン大統領が日本のNATO加盟に反対する演説に切り替わって動画は締め括られた。
エドワードの分析では我が国の上層部にNATO正式加盟の意図はなく、それに関しては中露も理解しているとのこと。
寧ろ、両陣営はウクライナ戦争終結後に日本をどのような形で復興に携わらせるかの綱引きを開始しており、霞が関も動き出しているであろうとのこと。
舌を巻いたのは、身動きが殆ど取れない状況にも関わらずエドワードが正確に地球政治を分析し終わっている点である。
ウクライナ情勢のみに限らず、中東の政局や、ナイジェリアで誕生したヌディブ政権が国際社会に与える影響、一帯一路構想の現状まで綿密に把握していた。
『エドさん凄いですね。
地球の情報を網羅しているじゃないですか。』
「いえいえ、堤防と自宅を往復するしか能の無い男です。」
苦笑しながらエドワードが重要そうなニュースを俺に見せてくれた。
こちらの理解が追い付かない点に関しては懇切に補足説明。
本当に助かる。
『あ!』
「どうしました?
気になるニュースでも?」
『あ、いえ。
所得税減税…
あ、ちゃんと5%になっている…』
「ん?
ああ、所得税の恒久減税ですね。
与党も思い切った動きに出ましたね。
何か気になる点でも?」
俺はエドワードに虎ノ門軟禁時の詳細を報告する。
今、画面に映っている減税案が望月桐江の起草であること、要望を出したのが俺である事も。
「え?
じゃあ、リン子さんは既に日本国の支配者ではないですか?」
『いやいや!
どこが支配者なんですか!
昨日なんてお尻を触られて泣いちゃったんですよ。』
「そうは仰いましても…
徴税権なんて権力そのものですよ?
御自身の意向がそのまま税制法案に反映されている時点で、国権の完全掌握に成功しているも同義ですからねえ。
一応内情を打ち明けておきますと…
私やアレクセイ皇帝は名目上は君主でしたが、国家財政を掌握するどころか、地方官・財務官の統御にすら苦しみ抜いておりました。
そりゃあ通したい税制法案なんて幾らでもありましたが、その殆どが行政や現場の強い反発に押し戻されてしまったのです。
今、リン子さんが成し遂げた事は凄いことなんですよ?
まさしく王者そのものです!」
『あ、成し遂げたのはヒルダです…』
「ですね。
じゃあ、ヒルダ・コリンズこそが…」
『やめてー。
心が折れるからそれ以上は言わないでー。』
極めて不本意ではあるが、《貧民の可処分所得を増やす》という目標はあっさり達成されてしまった。
帰還2か月で政治的成果が得られたのだから首尾は上々なのだろう。
まあ、全てヒルダの功績なのだが。
ここが法治国家である以上、社会を変革するには法案を通す必要があるし、法案を通す為には立法・行政に話を通しておかなければならない。
あの女はそのお膳立て全てを整え終えていた。
しかもアイツ、それをラノベ執筆の片手間に成し遂げてしまったのだよな。
一方、俺はスナックで泣かされている。
ヒルダがあの女なりに俺に尽くしてくれている事は知っているが、それでもこうも力量差を見せつけられると傷付くよな。
「え!?
ヒルダ・コリンズがなろう小説!?
いや、そんな馬鹿な!?
流石に…
そんな…」
意外にもエドワードの観測範囲外だったらしかったので、《正直婚活仲人》の存在を教えてやる。
「う! うっわああああ!!!
コミックス2巻まで発売されているうう!!!!」
『あははは、驚いたでしょ。
流石の私もこの話を知った時は…
って、ひええええええええ!!!??
ドラマ化が決定しているうううう!!!!』
…あの作品がドラマ化されるということは、ヒルダの手元に更にキャッシュが積み上がり、更にはメディア人脈が増加する事を意味している。
しかも制作に電通も噛んでるのか…
ヒルダ×電通とか悪夢だろ…
…ヤバいなあ、何をどうやってもあの女に抗える気がしない。
『エドさん。』
「はい。」
『現実から逃避する方法って何かあります?』
「あー、それじゃあ釣りでもチャレンジしてみましょうか?」
『あ、はい。
じゃあ、お願いします。』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ヒルダの猛威にすっかり心を折られてしまった俺達は、現実を忘れる為に片貝堤防で釣りをする事に。
タブレットでニュースを流しながら、エドワードにエサの付け方や待ち方を教わる。
「時間帯的にスキル無しでは釣果が得られにくい時間帯です。
なので、釣れなくても気にしない様に。
あ、日焼けしたら大変だから日焼け止めクリームをどうぞ。」
『ええ、日焼け止めなんて別にいらないですよお。』
「いえ、万が一お肌が荒れてしまったら大変です。」
『あ、じゃあ。
ちょっとだけ。』
流されてるなー、と思いながらもエドワードの厚意に甘える。
確かにパラソルまで用意してくれたのは助かる。
「リン子さん。
落ち込んでおられるようですが、貴女は勝ち確です!
その事実だけは忘れない様に!」
『あ、はい。
まあヤクザと警察の手配が解けたら…
多少はそういう気分にもなるのでしょうが…』
「気を強く持って下さい!
手配と言っても、ヒルダ・コリンズも鷹見夜色もリン子さんへの愛情に基づいて行っていることです。
むしろ! むしろ見ようによってはですよ?
表社会に影響力のあるヒルダと裏社会に影響力のある鷹見さんのWヒロインを射止め終わっているとも見れなくもない!
これはもうリン子さんの勝利と言っても過言ではないのですよ!」
『…いやあ、流石に過言かと。』
「ポジティブに! ポジティブに!
仮に捕まってもいきなり殺される可能性はありません!
彼女達は貴女の妻であって敵ではないのですから。」
『妻が敵に回るなんて歴史を鑑みれば幾らでもある事なのでは?』
「ノーコメントで。」
思わず2人で苦笑する。
《昨日未明。
兵庫県明石市のコンビニエンスストアの駐車場において男性1人の死亡が確認されました。
近隣の住民から「発砲のような音が聞こえた」との通報が多数寄せられ、通報により駆け付けた警察官が車内から遺体を発見したとのことです。
所持品等から遺体の身元は香川県坂出市在住の元暴力団員・大西竜司さん(46)と判明。
県警は車内に争った形跡がない事から自殺と断定、今後は車内で発見された拳銃の入手ルートなどについて捜査を進め全容解明に努めるとしています。》
何気なく聞き流していたニュースだったが、聞き覚えのある名が挙がった事により全身が硬直する。
「リン子さん、どうしました?」
『…いえ。
このニュースってリピートとか出来ます?
明石の事件…』
「え? あ、はい。
この拳銃自殺のニュースですか?」
再度、食い入るように見る。
そして画面に映ったのは…
『白のアルファード!』
「リン子さん!」
『…友人が死にました。
報道では自殺とありますが、これ多分殺されてます。』
「…え? そうなんですか?」
『西日本を回っていた頃に出逢った人物です。
私の運転手を務めてくれておりました。』
…そうか、大西は瀬戸内海を渡れなかったか。
俺なんかに関わってしまったばかりに。
拳銃…
殺したのは鷹見の関係者だろうか…
しかし何故大西が。
いや、そうだよ。
あの夜、大西のアルファードはレインボーブリッジに乱入した。
このカメラ社会である、前後の記録を辿ればすぐに持ち主を割り出せるのだろう…
『この大西という人物。
遺族として離婚した妻子がおります。
私は彼女達に何としても弔慰金を支払いたいのですが…
もしも私が四国に辿り着けなかった場合…
エドさんが大西竜志の遺族を助けてやってくれませんか?
掛け替えのない友人だったのです。』
「…承知しました。
ですが、あくまで万が一の場合ですよ。
命の優先順位は、世界にとっても私にとってもリン子さんが一番ですから。」
…そりゃあ人は死ぬよな。
ましてやカネやヤクザが関わっている盤面では、当然その数も増えるだろう。
異世界であれだけ多くの人間を殺した俺に、地球人の死を哀しむ資格はない。
それでも、胸が抉られるような哀しみは抑えられなかった。
辛い、もうあの男と会えないのか…
『あの女共を何とかする方法はありませんか?
奴らさえ黙らせる事が出来たら、かなり地球での活動は楽になると思うのですが…』
そう。
要はヒルダ・鷹見がガンなのだ。
あの2人さえ居なければ、今頃は地球政治に専念出来ていた筈なのだ。
アイツら本当に好き放題するからな。
「その話なのですが…
私と一緒に居ない方が良いかも知れません。
ヒルダ・コリンズに恨まれているので…」
『やはりジョー・コリンズ氏の件ですか?』
「ええ、ジョーは王族内の政争に巻き込まれる形で…
いや、まあ彼から首を突っ込んで来たのですが…
それで罪状が有耶無耶の状態で死罪になってしまったのです。」
『え?
有耶無耶で殺されるんですか?』
「政治が絡むと謎判決が出るんですよ。
彼の場合はねえ…
今でも覚えてますけど…
税金の申告漏れ(通常なら罰金刑)
+軽度情報漏洩罪(懲役5年以下)
+外国人宿泊名簿記載漏れ (科料5万ウェン以下)
+政治批判罪 (譴責処分相応)
この4つの合わせ技で強引に死刑判決が出ちゃったんです。
『流石にそれで処刑は重すぎませんか?』
「はい、明らかに異常です。
かなり無理のある判決だったので、王宮内でも秘かに是非が議論され続けておりました。」
『政局ですか?』
「今だから言える事なのですが、当時の王宮が2派に割れてたんですよ。
帝国との決戦を主張する南進派と、合衆国やドワーフ連合への侵攻優先を主張する北進派ですね。
それでずーっと王座が空位のまま、両派の暗闘が続いていたんですよ。
ジョーは北進派の論客として市井では有名でした。
ほら胡桃亭って割と親帝国的だったでしょう?」
『ええ、私が貴国から亡命したのも帝国の不動産業者の手引きでしたし。』
「実際、当時は北進派が優勢だったのですよ。
あのままラングラー公が即位していれば、準男爵だったジョーは確実に男爵に昇爵していた筈です。
彼は商工会長の座を狙ってましたが、恐らく普通に就任していたのではないでしょうか?」
『あ、爵位ってそういう事で決まるんですね。』
「ええ、当時は両派が爵位やポストの空手形を切り合ってましたから。
ジョーは一世一代の大博打に出て、そして負けたのです。」
『ああ、それじゃあ南進派の人が王位に就かれたのですね。』
「はい、グリンヒル公…
私から見て先代に当たる人物ですが…
南進派のグリンヒル公が即位、リチャード19世陛下となられます。
19世陛下が即位した事で、親帝国派の粛清が開始され…
真っ先に標的になったのが…」
『なるほど。
政治って怖いですねえ。』
「これは、後になって19世陛下から直接聞かされた事なのですが…
陛下は変装して下町の政治演説会を視察した事もあったそうなのです。
そこで御自身を《愚将》と批判していたジョーのスピーチを聞いて怒り心頭。
粛清を堅く誓っていたそうです。」
『うわ、怖。
批判相手が会場に潜伏とかヤバすぎでしょ。』
「ヤバいですよー。
身分制度にかなり厳格な方でしたからね。
平民のジョーが王族にして上級大将の自分を批判しているなんて…
そりゃあ、あの方の性格なら絶対許してくれないでしょう。」
*法的には準男爵は一応貴族。
『でも、ジョーさんを処刑したのは19世陛下であって、エドさんの代ではないですよね?
ヒルダがエドさんを恨むのは筋違いではないですか?』
「…えっとねえ。
今だから言える事ですけど、当時の宮中には帝国のスパイ網が構築されつつあったのです。
それで帝国側が流していた偽情報に王国外交が踊らされていた時期だったんですけど…」
『ああ、異世界では諜報合戦も盛んでしたものね。』
「うーーーーん。
これ、私の立場で言っていい事ではないんですけど。」
『何か言いにくいことでも?』
「色々な偶然が重なって…
私が帝国諜報組織の指揮官を逮捕しちゃったんですよ。
それで現場で暗号表とか全部押収して…
まあ、後は一網打尽ですね。」
『うおお!
大手柄じゃないですか!!
それでエドさんの評価が上がったんですね?』
「いやあ、どうですかねえ。
当時の私は19世陛下からは北進派と思われてましたからね。
取調室に私も呼ばれて直々に尋問されましたよ。」
『王様って取り調べするんですか!?』
「南部総督に就任する前は憲兵総監を務めておられた方ですからね。
側近の大半が憲兵上がりです。
…わかるでしょ?
陛下直々の膝蹴りを喰らったのって、多分私くらいのものですよ。」
『うわあ。』
「それで陛下は私が胡桃亭と親交がある事を知った上で、ジョーの斬首役を私に命じたのです。
踏み絵的なニュアンスですね。」
『え!?
じゃあ、直接ジョーさんを斬ったのは…』
「厳密にはジョーを始めとした親帝国商人4名の公開処刑ですね。
私がその御役目を務めました。」
『…。』
「最後に規定で遺品をヒルダ・コリンズに渡した時に…」
『ええ。』
「一言、《殺す》って言われましたね。」
『うわっ。
…それはエドさんを殺すという意味で?』
「いやあ、どうなんでしょう。
私の目を見ながらそう宣言したので…
まあ妥当に考えて、私が標的なのではないか、と。」
『それで、その後どうなったんですか?』
「御存知の通り、20年後にきっちり報復されました。」
『あの賞金ってヒルダなんですかね?』
「恐らくは…
というかあの子以外にそういう事しないでしょ。」
『ですよねー。
ちなみにアイツの資金源は私です。
度々目を離しちゃって誠にゴメンなさい。』
「ははは。」
『ははは。』
「いや、はははでは済まないんですけどね?」
『御尤もです。』
「それで賞金攻撃に追い詰められて…
介錯してくれる部下も残って無くて…
もう切羽詰まってオーラロードに飛んだ訳です。」
『エドさんも大概な人生を歩んでますよね。』
「それで地球に辿り着いて…
ようやくこの社会の仕組みが分かって来て、ノートPCも買えて。
《さあ、念願のニコニコ動画を見るぞ!》
と思って開いたら…」
『…開いたら?』
「TOPページでヒルダ・コリンズが麻生太郎氏と対談しておりました。
ウクライナ女性の代表みたいな顔してましたね。」
『うわああ。』
「もうね。
心臓止まるかと思いましたよ。
パニックになって泣いちゃいましたもの。」
『私がエドさんでも泣くと思います。』
「だから、一緒に居ない方がいいと思いますよ。
多分、私の存在があの子に知られたら
確実に殺されるので。」
『…何とか取りなしてみます!』
「どうでしょう。
あの子粘着質だから…
私の肩を持っちゃうと…
リン子さんにも、とばっちりが行くと思います。」
『エドさん。
それでも、何とかさせて下さい。』
「…わかりました。
あまり私を庇い過ぎないように気を付けて下さいね。」
喋っている間に竿が何度か動くが、もう釣り上げる意欲が湧かなかった。
全然気晴らしにならない。
「ヒルダ・コリンズ…
私の事を何か言ってました?」
『あ、いや。
あまり王都内で政治的な話はしなかったので…』
「そうですか。」
『あ、でも最初に魔王について質問した時に…
《魔王に限らず庶民の敵でない王侯などいない。》
って言ってました。
私が王宮を追放されたその日の話です。』
「…それ絶対に私を想定してますよ。」
『でしょうね。』
「…怖いです。
せめて、痛くない殺され方で死にたいです。」
『大丈夫!
何とか頑張ります!』
「お言葉に甘えさせて下さい。」
現状、俺もエドワードも逃げ回るしかない身なのだが…
恨みを買っているエドワードよりも、愛されている俺の方がヒルダに話が通しやすい。
頑張って助命嘆願してみよう。
『ねえ、エドさん。』
「はい?」
『御自身を主役にして異世界ラノベを書いたらどうです?』
「私の人生、苦難パートしかないので…
読んでる人が辛いと思います。
他ならぬ私自身が思い出したくもありませんからね。
物心ついた時には粗末な使用人小屋で寝起きしていて…
他の子供達と一緒にホーンラビットの干し肉を作ってました。
なまじ王族の血を引いていたので、軍隊以外の進路を許されてませんでしたし…
ねえリン子さん。
私の人生が物語なら…
この話はいつ面白くなるのでしょう?」
『2人で何とか楽しみを見出して行きましょうよ。
苦難の連続では…
確かにラノベ向きではないです。
今時の風潮では嫌がられるでしょうねえ。
一緒に召喚された渡辺君なんかは、《少しでも主人公が苦戦したらすぐにページを閉じる》って言ってましたし。』
「…渡辺陽介君?
小太りの?」
『え! 渡辺君を覚えてるんですか!?』
「何度か質疑応答を兼ねた食事会を開催しましたから。
そこで渡辺君からも質問がありましたねえ。」
『…彼、どんな質問したんですか?』
「《エルフと結婚出来ますか?》って。」
『…アホですねぇ、彼。』
「うん、軍事情勢の説明会を兼ねた場だったので…
ちょっと驚きました。」
『ちなみに結婚出来るんですか?』
「いや、普通に民法で禁止されてますけど。」
『でしょうねえ。』
「あー、でも…
地球の皆さんには王国民法は適用されないのか…
じゃあ、エルフ領内でなら結婚出来なくもないのかな?
あ、でも彼ら鎖国してるから無理ですね。
結論、エルフ族とは結婚出来ません。」
『まあ、そりゃあそうでしょうね。
身体構造からして微妙に異なってましたし。
別の生き物感強かったです。』
「ハーフは生まれますよ?」
『あ、そうなんですね。』
「ただ乳児死亡率が異常に高いので、交配適性は乏しいのでしょうなあ。
妊娠率が極度に低い上に流産や死産が頻発し、生まれても8割が生後2か月以内に衰弱死しますからね。
ハーフは不妊率も高いですし…
殆ど混血は残らないんじゃないですか?」
『まあ、そりゃああれだけ見た目が違うとね。
耳とか尖ってましたし。』
「土佐犬とドーベルマンを交配させるくらいには難しいと思いますよ。
そもそも紛争相手ですし。」
『え? そうなんですか?』
「ドワーフの侵攻を受けて、飛び地になっちゃった王国領があるんですよ。
彼ら援兵名目でそこに居座っちゃって、こっちが手出し出来ないのをいい事に周辺諸国に領有権を認めさせる工作をしてましたからね。
備蓄物資も全部強奪されちゃいましたし。
北の要ですからね、500万石以上はあった筈です。
返還交渉には応じない癖に、対合衆国の軍事支援は強請ってくるし…
結婚も何も…、完全な敵性勢力ですよ。」
『なんか、戦争の話ばっかりなんですけど。
王国って味方は居なかったんですか?』
「…教団。」
『地味に辛いですね。』
「派手に辛かったですよ。」
エドワードの話は即位前も即位後も、どちらも重苦しい。
即位前は下級将校として激戦区行脚をさせられ、即位後は膨大な財政赤字の処理に奔走させられたとのこと。
更に叛乱・内戦・逃亡と地獄を見た上に、ようやく落ち延びて来た遥か彼方の地球ではヒルダ・コリンズが既に頭角を現していた。
以降はヒルダの影に怯え暮らす日々。
うん、俺もこんなラノベは絶対に読みたくない。
やっぱり娯楽って息抜きだからさ、息が詰まるような息抜きなんて要らないよね。
だって今はもう令和だし。
昭和時代みたいな《苦労は買ってでもしろ》は受けないよね。
うん、受けないんだよ。
…俺もアップデートしたいなあ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
結局、何も釣れないのは食生活的に困るのでエドワードにスキルを発動して貰う。
「発動しちゃっていいんですか?」
『私じゃ釣れそうにもないですし。』
「何か食べたい魚ありますか?」
『…平目のエンガワが好きです///』
「ははは。
お任せ下さい!
【自動照準(オートエイム)】!!」
エドワードが背筋を伸ばして釣竿を放り込む…
瞬間、引き上げた。
『え?』
「まずは一匹です♪」
小粋にウインクするエドワードの手には大きな平目。
『うおおお!!!
ノータイムですかぁ!?』
「はっはっは。
少しはリン子さんに良い所を見せたいですからね。
まだまだ釣れちゃいますよー♪
【自動照準(オートエイム)】!」
そんな調子で一気に10匹を釣り上げてしまう。
しかもただ釣り上げただけではない。
一匹一匹が大振りで肉付きが良い。
魚介に疎い俺でも明らかに上物であると理解出来た。
『おお!
エドさんカッコいいですぅ。』
「はっはっは。
リン子さんの為ならこのくらいお安い御用ですよ。」
釣った魚は血を抜かなければならないらしく、そのやり方を教えて貰う。
余程手際が良いのか、流れるように10匹の処理が終わってしまった。
俺達がはしゃいでいると、港の反対側に居た釣り人2人組がこちらまでやって来た。
「Halo♪ こんにちはー♪」
「お兄さん達凄いですねー♪」
見れば、やって来た釣り人は両方女だった。
見た所、20代の後半くらいだろうか?
「あ、どうも。 こんにちは。」
『(ペコリ)』
エドワードは少し警戒するような表情で返事を返す。
「あらぁ、日本語お上手なんですね♪」
「来日されて長いんですかぁー?」
「あ、いや。」
『…。』
俺は知らなかったのだが、釣りガールというのが流行しているらしく、最近は女子の釣り人が増えているらしい。
2人は千葉市内から車で釣りに来たらしい。
全然釣れずに場所を変えようかと相談していた所に、こちらの大漁振りを見て寄って来たらしい。
エドワードと話していたのは俺なのに割って入って来やがった、馴れ馴れしくて不快な女共だ。
「彼女さん、ゴメンナサイねー♪
あの子、イケてる男の人を見るとすぐにガッツくんですよww」
『あ、いや。
別に彼女とかじゃ。』
「え!?
ひょっとして男の人なんですかぁww↑
なんですかぁww↑」
『…。』
しまった。
5分程質問攻めに遭ってしまう。
無論、エドワードの背中に隠れて断固拒否。
2人は意地悪そうにニヤニヤ笑っている。
結局、その後も粘着されそうだったので、慌てて道具を纏めて自宅に帰った。
『エドさん。』
「はい?」
『ラノベ主人公が能力を隠すのは正解ですね。』
「まったくです。
次からは人目の無い所でスキルを使います。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
家に帰って2人で食事。
平目の刺身とキュウリの胡麻和え。
エンガワをいっぱい食べれたので俺もご満悦である。
酒でも飲めば尚楽しいのだろうが、肝臓は今夜の為に温存しておかなけばならない。
食事が終わってから、タブレットで大谷翔平を見ながらゴロゴロしていると、東金のカネ貸しである児玉夫妻が来訪。
俺の様子を見に来たらしい。
児玉がエドワードと宝くじの打ち合わせをしている間、俺は夫人の化粧チェックを受ける。
「家の中でも女装してるの?」
『あ、いえ!
好きでやってる訳ではなく!』
「熱心なのはいい事よ。
未来の貴方を助けるわ。」
『ぐぬぬ。』
「でも、男物の下着は駄目ね。」
『え?』
「そんな中途半端な心構えじゃ、近いうちにバレるわよ?
夜のお店で働き始めたんでしょう?
下着もちゃんとしなきゃ。」
そういう謎理論で女物の下着を着用させられる。
『ぶ、ブラジャーは要らないでしょう!』
「居るわよ!
女は全員付けてるんだから!」
『ぐぬぬ。』
結局、児玉夫人の圧に負けて女物を履かされる。
何故か俺が着用してた男物の衣服は全て処分される。
『ちょ!
服は残しておいて下さいよ!』
「駄目よ、リン子ちゃん。
そういう油断から逃亡は失敗するの。
私はリン子ちゃんの為に言ってあげてるのよ?
素直に言う事を聞きなさい、リン子ちゃん!」
その後、児玉夫人が俺を念入りに化粧する。
明らかに楽しんでいるように見えるが、賞金首の身としては抗えない。
「あらぁ♪ あらあらあらぁ♪」
屈辱に震える俺を眺めながら児玉夫人は嬉しそうに笑い続けていた。
部屋に入って来たエドワードと児玉が感嘆していたので、やはり女が施す化粧は別格なのだろう。
夫妻は平目を手土産に上機嫌で帰っていった。
今日は酷い目にばかり遭う。
「大丈夫です!
大丈夫!
貴女こそが最強の大魔王なのです!」
しきりにエドワードが慰めてくれるのだが、どう大丈夫でどう最強なのかさっぱりわからない。
商売女に堕ちた上に大西が殺された。
逆転の糸口はまるで見つからない。
今はキャッシュを貯めながら力を蓄えるしかないのか?
「キャッシュイズキングとの格言もあります!
まずはリン子さんの手元に現金を集める事に専念しましょう!」
そうだな。
現金の威力は馬鹿に出来ない。
雌伏に甘んじるしかない以上、出来る事を淡々とこなして行こう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
まずエドワードの報告。
ナンバーズ4で260万円の高額当選を当ててしまった。
これは歴代2位の高額賞金ということで、換金役の児玉が怯えてしまっている。
エドワードも目立ちたくないので、この当たりクジの売却は一旦保留。
84万円と94万円のストレート当選クジのみの売却を行うということ。
これに関しては児玉が明日に現金を持参しても構わないとの申し出。
手の空いている方が相手を訪問する取り決めなので今まではエドワードが東金参りをしていたが、俺の来訪というイレギュラーが発生してしまったので、これからは児玉夫妻の来訪が多くなるとのこと。
「リン子さん。
配当の件ですが…
他の人同様1%で構わないですよ?」
『いやいや!
エドさんには、こんなにもお世話になっております。
それをたったの1%というのは、道義上許されないです。』
「かなり感覚が麻痺されておられるようですが、日利1%って洒落にならない暴利ですからね?
しかも私が同席している以上、こんなにも安全性の高い預金はないですからね?」
『参ったなぁ。
いやあ、日利1%ではどうにもならない気がするのですが。』
「フェルナンデス司祭もねえ。
リン子さんを温存しておけば、今頃普通に大主教だったでしょうに。」
『王国の財政難も解決しておりましたでしょうか?』
「そりゃあ、確実に解決ですよ。
私に権限があったなら、リン子さんを財務長官に任命して国庫の残金を全額預託してましたね。
それで…
まずは教団からの借財を返済して…
将兵達に遅配した給料を支払って、帝国・合衆国との戦線を縮小させて…
ボルドッグ銀山さえ取り戻せば…
普通に国威は回復してましたよ。
そもそも王国って大陸の一番肥沃な平野部を中心に広がっている国家ですからね。
真面目に運営さえしていれば、本来財政破綻なんてする訳がないのです。」
『ですよねー。
平野部はかなり広い印象がありました。
教団の自治区なんて、凄く綺麗な田地が地平線の果てまで広がってましたからね。』
「あそこはねぇ。
王国屈指の穀倉地帯だったんです。
あんな一等地を差し押さえられたら…
そりゃあ国家運営なんて出来ませんよ。」
『お察しします。
あ、そろそろ時間です。』
「お、17時ですね。
それにしても支払いを貰える瞬間は最高にテンション上がりますね。」
《570万円の配当が支払われました。》
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
238万4500円
↓
3338万4500円
↓
3906万4500円
↓
806万円4500円
↓
775万4500円
※エドワード・ギャロから3100万円を借入。
※配当570万円を取得
※エドワード・ギャロに3100万円を返済
※エドワード・ギャロに31万円を支払い
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ねえ、リン子さん。
これやっぱりチートですって。」
『ですよねー。』
「ちなみに。
このスキルを手に入れた時、どう思ったんですか?」
『いや、普通に。
《勝ったなガハハw》と。』
「そりゃあ、そうでしょうねえ。」
2人でグチグチと追放ifを話しているうちに時間になったので、電動自転車でスナック朱美に出勤。
送ってくれたエドワードは洗濯の為に一旦帰る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あらぁ、リン子ちゃん♪
今日はお化粧頑張ったじゃな~い♡
ママ感激だわー。」
『私は仕方なくこの格好をしているだけです。
性的には完全にヘテロですからね!』
「あらあら、うふふふふw
まあ、いいわ。
今日は五木田社長がお友達を連れて来て下さるから♪
銚子の長者番付の常連さんよ♥
たっぷりサービスしてさしあげてね♪」
昨日、俺が初めて接客したのが地元土建屋の五木田社長。
その高校時代の後輩が銚子市の大金持ちで水産加工業やら重機のレンタルやらでボロ儲けしているらしい。
今夜のミッションはその後輩氏を…
「あーーーら、五木田さーーーん♡
昨日はありがとうねぇ♪」
「はっはっはー。
こんばんはー。
例の億万長者を連れて来たよー♪」
「どもー。
常世田でーす。」
「コイツは親のカネで遊び歩いてるんですよ。
女遊びに目が無くて…
おいアキラぁ。
今、バツ4だった?」
「ははは、先~輩♪
勘弁して下さいよぉw
先輩が悪い遊びばっかり教えて下さる所為で
そろそろバツ5ですよ、ギャハハハww」
「名士の常世田社長にお越し頂けるなんて光栄ですわ♥」
「五木田先輩からね?
最高に可愛い子が入荷したって聞いてね?
ふふふ、思わず来ちゃいましたww
自分で言うのも何だけどねー、私は目が肥えてるよー。
銀座でも何百本ボトル置いたか、数えきれないくらいだからね。」
「コイツねー。
昔から女遊び激しいんですよ。
千葉じゃ一番じゃね?」
「いやいや内房の諸先輩方には敵いませんわw
私、上品なんで。」
「ふはははww
コイツーーーw
よく言うぜーーーwww」
「「ギャッハッハッハwww」」
「社長のお眼鏡に適えるように精進致します。」
「うん、他ならぬ五木田先輩の地元だからね。
可愛い子を揃えてくれるなら、幾らでも遊びに来るよー。
で? 噂の新人ちゃんというのは?」
「ほら! 早く挨拶なさい!」
『り、リン子でーす(震え声)♥
新人ですけど頑張りまーす(震え声)♥』
「おほっww
え? 先輩w ひょっとしてこの子ww」
「今時流行りの男の娘ちゃんなんだよー。」
「おほーーーーーww
ふひっw
先輩には参ったなぁw
こうやってどんどん私の間口を広げていくんだからぁ」
「まあ、面白い遊びは掛け替えのない後輩と共有しなくちゃねw」
「おほほほーーーいw
いやあ、2丁目遊びは全然ツボらなかったんだけどね。
えっと、リン子ちゃんだったか?
まずは宜しくね。」
『お上着をお預かりしますぅ(震え声)。』
「うはははww
いやあ、年甲斐もなくドキドキしますなあ。」
「だろ!?
誘った価値あるだろ?」
『五木田社長はいつもので宜しかったでしょうか(震え声)?』
「うんうん♥ ロックでお願いね。
あ、リン子ちゃん。
無理はしなくていいからね。
オジサンは君の味方だからねー。」
『あ、ありがとうございますぅ えへっ(引きつった笑い)』
「おほーーーーっ♪
先輩ッ、この子大当たりですわ。
いい意味でスレてない。」
「だから言ったじゃん。
歌舞伎町はねえ、全体的にマニュアル化され過ぎちゃってるんだよ。
素人さんはああいうテンプレ接客が嬉しいのかも知れないけど。
アキラほどになると白けちゃうでしょ?」
『お、おしぼりをどうぞー(震え声)。』
「やっべw こっちが緊張してきたww
ふひひw この上なくそそりますね。」
「だろ? 俺のオキニだから取るなよ?」
「えーーーー、見せつけておいて
そりゃあないっすよーww」
「リン子ちゃん、ママ。
ケーキ買って来たんだ。
アンリ・シャルパンティエ。
たまたま《そごう》に行く用事があってね。」
「嘘だーーww
なーにがたまたまッスかwww」
「本当だよーーーw
仕事仕事ww」
「「ギャハハハwwww」」
『あ、それではケーキを切り分けた方が宜しいでしょうか?』
「うん、そうね。
ママもおいで。
今は他にお客さんもいないみたいだし…
みんなで食べちゃおう。」
『そ、それじゃあ頑張って切りまーす(震え声)
三等分は苦手なんですけど、四等分なら切れると思まーす(震え声)』
「リン子ちゃん、手を切らないようにね。」
「ふふふ、この初々しい姿たまりませんなーw」
「リン子ちゃんはいいお嫁さんになるよ。」
『えへ、ありがとうございます(震え声)』
「おほーーーーーーーーwww」
「アキラ落ち着けww
オマエ初回から飛ばし過ぎwww」
『あ、上手く切れなかったかもですぅ(震え声)』
「いやいや!
上手上手!
こんなに旨そうに切られたケーキなんて初めて見たよ!」
「先輩の言う通り!
リン子ちゃんは頑張ってるって!
ねえ、ママ?」
「ええ、丁寧に切れていますね。
じゃあ、リン子ちゃん。
社長さん達はグラスでお手が塞がってるから。
ちゃんとお口までお運びして。」
『は、はいママ(震え声)
そ、それじゃあ、ど、どうぞ。
常世田社長から。
はい、あーーーーん。(震え声)』
「おほーーーーーーーーーーーッ♥」
「うっは、最高の夜だぜ!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
2人共所帯のある身なので11時過ぎには運転代行を呼んで気持ち良く帰って行った。
「リン子ちゃーん♥」
『あ、はい。』
「アナタすっごく良かったわよお。
才能あるわぁ♪」
『あ、ありがとうございます。』
「もうねー、最近の子は全然駄目。
お客様気分で接客するから、オトコノヒトが白けちゃうのね。
ホステスって言葉の意味わかってないのよ。
それに引き換え、リン子ちゃんは最高♪
そんじょそこらの馬鹿女共とは格が違うわ。」
『あ、どうも。』
「ねえ、ウチの娘。
新宿じゃちょっとしたものなんだけど。
そこを手伝ってやってくれない?」
『え?
こ、困りますぅ。』
「リン子ちゃんだって、こんな田舎で商売してたってつまらないでしょ?
折角可愛いんだから勝負に行かなきゃ。
東京には大金持ちの社長さんがいっぱいいるよー。」
『わ、私そんなつもりじゃないですぅ。』
「うふふふ、その反応。
男共が夢中になるのもわかるわ。
アナタ、才能あるわよ♪」
『も、もう帰ってもいいですかぁ?』
「まあまあ、まだいいじゃない。
ママとちょっとお話しようよ。
ママね?
初めて会った時からリン子ちゃんの事、他人とは思えなかったの。
実の娘の様に感じてるから♥
給料も忘れないうちに払っておきたいしね♪」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
775万4500円
↓
776万4500円
↓
777万4500円
↓
779万1000円
※五木田比呂彦からチップ1万円を受け取り
※常世田昭からチップ1万円を受け取り
※スナック朱美から日当16500円を受け取り
[内訳]
時給1500円×5時間=7500円
ボトルバック 「ヘネシーXO」 5000円
交通費 1000円
色 3000円
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『あ、あの私…
夜のお仕事とか本当に無理ですぅ(震え声)
全然向いてないっていうかぁ(震え声)』
「ふっふっふ。
合格!」
『え!?』
「この業界ねー。
自称《夜職向いてます》って子はいっぱいいるのよ。
これ、地雷。
オトコノヒトが一番嫌うタイプ。
でもねー、リン子ちゃんは特別。
押せばヤレそうな儚さがあるわ。
一言で言えば《男にとって都合のいい清純》かしら。
アナタ、才能、あるから。」
『そ、そんなつもりじゃないですぅ(震え声)』
「うはははははwww
その表情!!!!
いいじゃなーーーーい♪
そりゃあボトルも入るよwww」
『ふ、ふええええ。』
「リン子ちゃん。
これはアナタの始めた物語でしょ?
リン子ちゃん自身が楽しまなきゃ駄目よ♪」
参ったなあ。
俺は最強の複利使いだぞ?
誰がどう考えても勝ち確チート能力者じゃないか。
なのに何故?
俺というドラマは、今頃とっくにハッピーエンドになってなきゃおかしいだろ…
なーんで?
なーーーーんで、俺はこんな目に遭ってるの?
この話はいつ面白くなるの?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
遠市・コリンズ・リン子・厘
【職業】
ホステス
神聖教団 大主教
東横キッズ
詐欺師
【称号】
賞金首
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 17
《HP》 ふぇぇ
《MP》 ですぅ
《力》 メスガキ
《速度》 小走り不可
《器用》 ライジング・カード!
《魔力》 悪の王器
《知性》 悪魔/ド低能/自分の名前は言えます。
《精神》 吐き気を催す邪悪
《幸運》 的盧
《経験》 1214848
本日取得 0
本日利息 176516
次のレベルまでの必要経験値95862
※レベル18到達まで合計1310710ポイント必要
※キョンの経験値を1と断定
※イノシシの経験値を40と断定
※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定
※クジラの経験値を13000と断定
※経験値計算は全て仮説
【スキル】
「複利」
※日利17%
下4桁切り上げ
【所持金】
791万1000円
【所持品】
女の子セット
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばして欲しい。」
飯田清麿 「結婚式へ出席して欲しい。」
〇 「同年代の友達を作って欲しい。」
『100倍デーの開催!』
× 「一般回線で異世界の話をするな。」
『世襲政権の誕生阻止。』
〇後藤響 「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」
「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」
「空飛ぶ車を運転します!」
江本昴流 「後藤響を護って下さい。」
『遠市王朝の建国阻止。』
×弓長真姫 「二度と女性を殴らないこと!」
× 「女性を大切にして!」
〇寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行きましょう。」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
×中矢遼介 「ホストになったら遼介派に加入してよ。」
「今度、焼肉でも行こうぜ!」
〇藤田勇作 『日当3万円。』
〇堀田源 「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」
〇山田典弘 「一緒にイケてる動画を撮ろう。」
〇 「お土産を郵送してくれ。」
「月刊東京の編集長に就任する。」
楢崎龍虎 「いつかまた、上で会おう!」
×警視庁有志一同 「オマエだけは絶対に逃さん!」
「オマエだけは絶対に守る!」
×国連人権委員会 「全ての女性が安全で健(以下略)」
〇安宅一冬 「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」
水岡一郎 「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」
×平原猛人 「殺す。」
「鹿児島旅行に一緒に行く。」
「一緒にかすうどんを食べる」
車坂聖夜Mk-II 「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」
×今井透 「原油価格の引き下げたのんます。」
「小麦価格の引き下げをお願いします」
〇荒木鉄男 「伊藤教諭の墓参りに行く。」
鈴木翔 「配信に出演して。」
×遠藤恭平 「ハーレム製造装置を下さい。」
〇 『子ども食堂を起ち上げます。』
「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」
〇田名部淳 「全財産を預けさせて下さい!」
「共に地獄に堕ちましょう。」
三橋真也 「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」
〇DJ斬馬 『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』
金本宇宙 「異世界に飛ばして欲しい。」
金本聖衣 「同上。」
金本七感 「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」
〇天空院翔真 「ポンジ勝負で再戦しろ!」
「再戦するまで勝手に死ぬな。」
〇小牧某 「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」
阿閉圭祐 「日本国の赤化防止を希望します。」
〇坊門万太郎 「天空院写真集を献納します!」
宋鳳国 「全人類救済計画に協力します!」
堀内信彦 『和牛盗難事件を解決します。』
〇内閣国際連絡局 『予算1000億円の確保します』
毛内敏文 『青森に行きます!』
神聖LB血盟団 「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」
〇大西竜志 「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」
『貴方の遺族に篤く報います。』
坂東信弘 「四国内でのイベント協力」
国重辰馬 「四国内でのイベント協力」
涌嶋武彦 「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」
斑鳩太郎 『処刑免除を保証します。』
志倉しぃ 「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」
〇孝文・j・G 「英国大使館パーティーにて利息支払い」
〇グランツ(英) 「perape-ra!!!!!!!!」
E・ギャロ 「農政助言」
金本光戦士 「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」
〇木下樹理奈 「一緒に住ませて」
×松村奈々 「二度と靴は舐めないにゃ♥」
〇 「仲間を売るから私は許して♥」
◎鷹見夜色 「ウ↑チ↓を護って。」
〇 「カノジョさんに挨拶させて。」
〇 「責任をもって養ってくれるんスよね?」
×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」
「王国の酒…。」
「表参道のスイーツ…。」
× 「ポン酢で寿司を喰いに行く。」
土佐の局 「生まれた子が男子であればリイチ。
女子であればリコと命名する。」
10
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この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
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