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スタート.
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夏のある日、熱帯夜。窓もカーテンも閉め切った暗い部屋はじめじめと陰鬱な蒸し暑さで、瞬く間に下着が汗で湿る。こういう時は、短いスカートが呼吸する涼しさが心地良い。
足元に転がる、無数のガムテープの芯、ベルト、その他の残骸。我ながら、だいぶ無駄遣いをしてしまった。今月はちょっと切り詰めた生活になりそうだ。
「大丈夫?苦しくない、それ」
ベッドに裸で拘束された兄に問う。もっとも、口に何重にも貼られたテープのせいで、答えらしい答えは返ってこなかった。
近所で買った頑丈そうな紐やプレイ用に買っておいた手錠でベッドのフレームに固定した手足は、いよいよ反抗を諦めているようで、ぴくりとも動かない。素肌に直接、きつく縛ってあるのがちょっと痛そうだ。流石に可愛そうなので、後でもう少し工夫してあげよう。
ベッドの端に座り、兄の顔の輪郭を指で撫でる。冷たい汗に濡れる感覚が、指先から心臓まで駆け上がってきて、僕の鼓動を早める。
「ごめんね、こんな事して」
兄の頰に手を添え、顔中をゆっくりと、撫でる。剃り残された髭がちくちくと手を刺す感覚にうっとりする。兄の鼻息が荒くなった。怒っているのだろうか。
「でも、悪いの、そっちだから」
耳元で囁く。兄の身体の固定が甘い部分がびくんとうねるたびに、今にも抜け出してしまうのではないかと、どきどきが止まらなくなり、汗が吹き出す。
ほんの数時間前まで、僕たちは普通の兄弟だった。ただひとつ普通でなかったのは、僕が密かに女装にハマっていることだけだった。
女装動画を某動画サイトに投稿し始めたのは、つい数週間前だ。親元を離れて2人で暮らす中、ちょっとした小遣い稼ぎのつもりだった。我ながら中性的な顔立ちなので、そういう動画なら伸びて、金ばかりある変態がたくさん釣れるだろうと考えたのだ。後日、動画を確認して、再生数とチャンネル登録者数に目が回ったのを覚えている。以後、動画だけでなく、兄の留守を狙って配信もするようになっていった。配信中に寄せられる、遠慮のない下品なコメントの数々を、気持ち悪いとあしらいながら、どこか興奮している自分がいた。ーーーもしもコメントをしている人達が今、自分の前に現れたら。キモいこと、沢山されるのかなーーーそんな妄想に、途方もなくぞくぞくした。お金のために始めた女装がいつしか、明らかに、僕の性癖になっていた。
その日、兄に女装がバレた。
やたらと高いお金がどこからともなくやってくる状況を不審に思った兄が探りを入れたのだ。その日の配信を切る瞬間を見計らって、“大学の友達の家に泊まりに行った”はずの兄が部屋に入ってきた。呆然とする僕に対して、兄は気まずそうに言った。
「するのは自由だけど、やっぱり、それは良くないと思う」
兄は僕を叱った。ネットの怖さ、未成年がやってはいけないこと、お金の危うさ。そして、もう動画投稿や配信を止めるという約束......でも、何一つ頭には入ってこなかった。僕の中で弾けたのは、兄に女装がバレたことーーーただ、それだけだった。
頭の中の何か、ブレーキが壊れた。
午前2時を回っていたと思う。兄が眠ったことを確認して、こっそり部屋を抜け出した。近所でガムテープなど、考えうるありったけのものを買って帰った。一度眠ると中々起きない兄の性格のおかげで、計画はかなり上手くいった。最後の最後で、僕の暴走に気付いた兄が抵抗し始めた時は、心臓が止まる思いだった。
兄が絶対に逃げられない事を確認した僕は、汗だくの不快感をシャワーで流し、いつもの女装をして......今に至る。
悪いのは完全に、僕の方だ。弟想いの兄の優しさを踏みにじって、僕は本当に悪い弟だ。でも、その絶頂の背徳感を、もはや抑えることなど出来ない。
「久しぶりだよね、一緒に寝るなんて」
布団はかけない。兄の身体を抱きしめて包まれる、蒸発しそうな熱気。短いスカートから露出した太ももが兄の逞しいそれに擦れてたまらない。
ぼんやりと明るかった照明を消す。
「夏休み、まだまだ長いね」
兄の引き締まった身体に、僕の全身を強く押し付ける。何日か前から、日付けが変わっていない日めくりカレンダー。
「おやすみ」
兄の頰にキスをする。
僕は兄を監禁することにした。
足元に転がる、無数のガムテープの芯、ベルト、その他の残骸。我ながら、だいぶ無駄遣いをしてしまった。今月はちょっと切り詰めた生活になりそうだ。
「大丈夫?苦しくない、それ」
ベッドに裸で拘束された兄に問う。もっとも、口に何重にも貼られたテープのせいで、答えらしい答えは返ってこなかった。
近所で買った頑丈そうな紐やプレイ用に買っておいた手錠でベッドのフレームに固定した手足は、いよいよ反抗を諦めているようで、ぴくりとも動かない。素肌に直接、きつく縛ってあるのがちょっと痛そうだ。流石に可愛そうなので、後でもう少し工夫してあげよう。
ベッドの端に座り、兄の顔の輪郭を指で撫でる。冷たい汗に濡れる感覚が、指先から心臓まで駆け上がってきて、僕の鼓動を早める。
「ごめんね、こんな事して」
兄の頰に手を添え、顔中をゆっくりと、撫でる。剃り残された髭がちくちくと手を刺す感覚にうっとりする。兄の鼻息が荒くなった。怒っているのだろうか。
「でも、悪いの、そっちだから」
耳元で囁く。兄の身体の固定が甘い部分がびくんとうねるたびに、今にも抜け出してしまうのではないかと、どきどきが止まらなくなり、汗が吹き出す。
ほんの数時間前まで、僕たちは普通の兄弟だった。ただひとつ普通でなかったのは、僕が密かに女装にハマっていることだけだった。
女装動画を某動画サイトに投稿し始めたのは、つい数週間前だ。親元を離れて2人で暮らす中、ちょっとした小遣い稼ぎのつもりだった。我ながら中性的な顔立ちなので、そういう動画なら伸びて、金ばかりある変態がたくさん釣れるだろうと考えたのだ。後日、動画を確認して、再生数とチャンネル登録者数に目が回ったのを覚えている。以後、動画だけでなく、兄の留守を狙って配信もするようになっていった。配信中に寄せられる、遠慮のない下品なコメントの数々を、気持ち悪いとあしらいながら、どこか興奮している自分がいた。ーーーもしもコメントをしている人達が今、自分の前に現れたら。キモいこと、沢山されるのかなーーーそんな妄想に、途方もなくぞくぞくした。お金のために始めた女装がいつしか、明らかに、僕の性癖になっていた。
その日、兄に女装がバレた。
やたらと高いお金がどこからともなくやってくる状況を不審に思った兄が探りを入れたのだ。その日の配信を切る瞬間を見計らって、“大学の友達の家に泊まりに行った”はずの兄が部屋に入ってきた。呆然とする僕に対して、兄は気まずそうに言った。
「するのは自由だけど、やっぱり、それは良くないと思う」
兄は僕を叱った。ネットの怖さ、未成年がやってはいけないこと、お金の危うさ。そして、もう動画投稿や配信を止めるという約束......でも、何一つ頭には入ってこなかった。僕の中で弾けたのは、兄に女装がバレたことーーーただ、それだけだった。
頭の中の何か、ブレーキが壊れた。
午前2時を回っていたと思う。兄が眠ったことを確認して、こっそり部屋を抜け出した。近所でガムテープなど、考えうるありったけのものを買って帰った。一度眠ると中々起きない兄の性格のおかげで、計画はかなり上手くいった。最後の最後で、僕の暴走に気付いた兄が抵抗し始めた時は、心臓が止まる思いだった。
兄が絶対に逃げられない事を確認した僕は、汗だくの不快感をシャワーで流し、いつもの女装をして......今に至る。
悪いのは完全に、僕の方だ。弟想いの兄の優しさを踏みにじって、僕は本当に悪い弟だ。でも、その絶頂の背徳感を、もはや抑えることなど出来ない。
「久しぶりだよね、一緒に寝るなんて」
布団はかけない。兄の身体を抱きしめて包まれる、蒸発しそうな熱気。短いスカートから露出した太ももが兄の逞しいそれに擦れてたまらない。
ぼんやりと明るかった照明を消す。
「夏休み、まだまだ長いね」
兄の引き締まった身体に、僕の全身を強く押し付ける。何日か前から、日付けが変わっていない日めくりカレンダー。
「おやすみ」
兄の頰にキスをする。
僕は兄を監禁することにした。
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