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第一部 チュートリアル
第二十二章 デミ駆除作戦② チート合戦
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俺はガチギレ魔物惑星を相手にしながら一つの懸念点に捕らわれていた。
最初の一撃はシノの放ったものだった。髑髏一とデミ髑髏三の混合魔法。デカイ魔素の槍に赤黒い何かが巻き付いたものが三本。これを順々に撃ち出していく。
一発目が何故か外れた。それ見た俺は溜息をつくと世界の改変を禁じる。
二発目は魔素の盾が出てきて防がれた。俺はそれをカウンターマジックで吹き飛ばす。
三発目は直撃した。間違いなくダメージを与えている。そして明らかに奴の意識はこちらに向いた。
怒っている怒っている。間違いなくガチギレだ。わざわざ空を飛んでいるのに高度が下がってきている。奴の魔法は俺がカウンターマジックで潰している。読みづらい小威力の魔法は盾で防いでいる。奴が飛ばしてくる体の一部は距離があって当たらない。そうなればどうなるか。距離を詰めるしかない。案の定触手のようなものが出てきて手ぐすねを引いている。
ヌルヌル触手プレイとは同郷の可能性もあったのだろうが、ここまで変容しているとそういう次元ではないのだろうな。
俺達が追いかけっこをしている隙にシノが次々に魔法を打ち込んでいる。単純に俺タンクとシノDPSで機能しているな。本来ならシノを潰したいのだろうが、俺というカウンターマジックとカウンターチートを使える厄介な魔物を潰す方が優先度が高いのだろう。俺さえ潰せばチートで後はどうとでもなるのだろうな。
そうなると俺がここに呼ばれたのは偶然ではないようだな。魔物でチートに抵抗できるのは俺のような異世界転生してきた魔物ぐらいで、もとからそれのできる魔物はいるのかどうか。人間たちは流石に神の加護でチートに無力という事はないだろう。
なるほど、デミの脅威はむしろ魔物側の方にあるのだろう。それで掃討が急がれていたのか。人間たちへの被害は魔物がコアに浸食された後だものな。
となるとあのサキュバスが特殊魔素を抽出していたのはこれの対策、つまり魔物に食わせてある程度コントロールしていたともとれる。予測不能の災害を自前で引き起こして最悪の状況を避けるためだな。少なくともこの魔物惑星を放っておいて超巨大化でもしたら目も当てられない。俺達異世界転生の魔物を呼びだしたのはコイツラに対抗するためか。俺達を呼んだのがなんであれ神に縋るわけには行かなかったのだろうな。
そろそろヌルヌル触手プレイが落ち始めているな。高度を下げているんじゃない。こちらの重力に掴まりかけてる。つまり世界としての質が下がってきている。新世界爆誕という最悪の状況は乗り越えたようだ。ここまで来たら流石にDPSのシノに標的を変えるか。正直それを最初からやられたら危なかった。俺には飛び道具があるからそれを使って奴を仕留められるところだった。
俺には空飛ぶ相手には無力だがこの盾は変形して弓になる。
しかし矢がないように思えるが大地の支配で黒曜石の矢を魔素でコーティングすれば問題ないだろう。
それは俺も考えたがとりあえず俺は剣を収め、盾を弓に変形させた。
やはり俺の懸念点は正しかった。まだ変形を残してそうな雰囲気はあった。だが武器となると相当に無理が出る。剣なら光の刃的なものを出せばいいが弓となるとその形がもろにでるわけで。
「正直かっこ悪い」
完全にオモチャだ。俺という鬼が持つにしてはちゃち過ぎる。変形合体ロボが持っていれば似合うのだろうがそんなことも言ってられないか。
俺はこの出しゃばりの提案に乗って黒曜石の矢を生み出す。矢というよりも棘か。その矢じりを魔素で覆って弦に番える。一射目は命中。だがこの弓は構造上弓返りが出来ないな。その分パワーは出る。俺は機体とリンクさせると一射ごとに手からから離れた弓を魔素のバーニア制御で手に戻す。どうしても連射力に劣るが致し方なしか。その分魔素を棘の先端以外にまとわせ弾道の変化を防ぐ。
効いているようだな。明らかに嫌がっている。シノも回り込みながらこちらに合流するコースに乗っている。後は俺がヘイトを取れば時間の問題だな。俺はそれを口にはしなかったがフラグになったらしい。シノの体が崩れ始める。それと同時に追従していたデミ髑髏の標的が変わった。俺は弓を盾に変えて剣に持ち替える。流石にデミの核にこの弓を当てる自信はない。魔素を燃やした一撃でデミの核を貫く。
「シノ。無事か」
「ああ。だがコアがもう限界だ。この状態の私ではアレに有効な魔法は撃てないぞ」
「わかった」
俺は地面にかろうじて立っているシノを持ち上げると盾に押し込む。この抵抗のなさを見るにコア以前にシノも消耗が激しい。盾に格納して背負うしかないだろう。弓は使えないが魔物惑星もだいぶ高度が落ちている。これなら投擲でも問題ないか。
いや魔物惑星のパターンが変わったな。第二形態か。触手や魔法を引っ込めてデミを生み出す降下作戦に変わっている。だが同時に高度も下がってきている。これは着陸のための橋頭保作りか。真の力というより苦肉の策という所だろう。シノの魔法が切れたのを見ても追撃する力も残っていない。本来ならチート前提のあの巨体なのだろう。それが封じられてこうもダメージを受けては立て直しが出来ないのだろうな。だがまだ内面世界の改変は可能だ。休みを与えてはこれまでのダメージが無駄になる。
「シノ、起きているか」
「半分はな。意識を保つのがやっとだ。魔法の使用は無理だぞ」
「なら知恵を貸してくれ。切り込むが問題ないか」
「問題しかないな。私ならアレに近づきたくない。デミを片付けて髑髏の援軍を呼びたい所だ」
だろうな。新世界を誕生させるほどのチート使いとなると、そもそもあれは魔物だったのかも怪しい所だ。同郷とはいえ、もし俺がチート使いになっていたら手も足も出ない所だったな。正直こういう手合いはお前たちの領分じゃないのか?
もし俺がチートの禁止を解放したら全力で戦えるのは間違いないがあまりに優勢だとあちら側が禁止してくるだろう。
本来なら気持ちよく世界の改変を使わせて禁止などという考えを起こさせる前に片付けられた。
俺が初手に禁止したせいで奴がチート合戦に乗る可能性は低い。決め手がないならこのまま回復を待つだろう。
危険な賭けだが一度世界の改変を可能にして乗ってくるようならこちらも対処できる。だが一度は発動した世界の改変は後から禁止は出来ない。改変を禁じられても改変されたものは元に戻らない。そういう事だ。
生まればかりのチート使いは未熟ではあるがその可能性が予測できない。あの姿を見ればわかるだろう。ある意味一番危険な手合いだ。俺達の勝利は間違いないがその結果がどうなるかは俺にも予想できない。
「つまる所、勝利するのは難しくないわけか」
「何か秘策でもあるのか? アレは核やコアといった弱点が存在しないぞ。魔物と同じでその魔素の全てを削り取る必要がある。剣で出来ないことはないが、やるなら血液だ。あれがコアの代わりになってる。だがそれも近づければだがな」
なるほど。決め手か。俺にはないがコイツラにはある。後は俺がどれだけコイツラを信じられるかだ。
俺にはチート戦の経験がない。力を貸してもらえるか?
聖剣が元の姿を取り戻す。盾の準備も万全だ。
俺は、あの時コイツラが俺のチートを止めようとしたことを忘れてない。友人をシノを見捨てることになったとしてもコイツラは止めていただろう。だがそれほどまでにチートの危険性をコイツラは知っている。それでも使ってくれるというのなら俺も腹をくくるか。
「相棒。出しゃばり。アレを落とす。解除するぞ」
俺はこの一帯の禁止を解いた。
最初の一撃はシノの放ったものだった。髑髏一とデミ髑髏三の混合魔法。デカイ魔素の槍に赤黒い何かが巻き付いたものが三本。これを順々に撃ち出していく。
一発目が何故か外れた。それ見た俺は溜息をつくと世界の改変を禁じる。
二発目は魔素の盾が出てきて防がれた。俺はそれをカウンターマジックで吹き飛ばす。
三発目は直撃した。間違いなくダメージを与えている。そして明らかに奴の意識はこちらに向いた。
怒っている怒っている。間違いなくガチギレだ。わざわざ空を飛んでいるのに高度が下がってきている。奴の魔法は俺がカウンターマジックで潰している。読みづらい小威力の魔法は盾で防いでいる。奴が飛ばしてくる体の一部は距離があって当たらない。そうなればどうなるか。距離を詰めるしかない。案の定触手のようなものが出てきて手ぐすねを引いている。
ヌルヌル触手プレイとは同郷の可能性もあったのだろうが、ここまで変容しているとそういう次元ではないのだろうな。
俺達が追いかけっこをしている隙にシノが次々に魔法を打ち込んでいる。単純に俺タンクとシノDPSで機能しているな。本来ならシノを潰したいのだろうが、俺というカウンターマジックとカウンターチートを使える厄介な魔物を潰す方が優先度が高いのだろう。俺さえ潰せばチートで後はどうとでもなるのだろうな。
そうなると俺がここに呼ばれたのは偶然ではないようだな。魔物でチートに抵抗できるのは俺のような異世界転生してきた魔物ぐらいで、もとからそれのできる魔物はいるのかどうか。人間たちは流石に神の加護でチートに無力という事はないだろう。
なるほど、デミの脅威はむしろ魔物側の方にあるのだろう。それで掃討が急がれていたのか。人間たちへの被害は魔物がコアに浸食された後だものな。
となるとあのサキュバスが特殊魔素を抽出していたのはこれの対策、つまり魔物に食わせてある程度コントロールしていたともとれる。予測不能の災害を自前で引き起こして最悪の状況を避けるためだな。少なくともこの魔物惑星を放っておいて超巨大化でもしたら目も当てられない。俺達異世界転生の魔物を呼びだしたのはコイツラに対抗するためか。俺達を呼んだのがなんであれ神に縋るわけには行かなかったのだろうな。
そろそろヌルヌル触手プレイが落ち始めているな。高度を下げているんじゃない。こちらの重力に掴まりかけてる。つまり世界としての質が下がってきている。新世界爆誕という最悪の状況は乗り越えたようだ。ここまで来たら流石にDPSのシノに標的を変えるか。正直それを最初からやられたら危なかった。俺には飛び道具があるからそれを使って奴を仕留められるところだった。
俺には空飛ぶ相手には無力だがこの盾は変形して弓になる。
しかし矢がないように思えるが大地の支配で黒曜石の矢を魔素でコーティングすれば問題ないだろう。
それは俺も考えたがとりあえず俺は剣を収め、盾を弓に変形させた。
やはり俺の懸念点は正しかった。まだ変形を残してそうな雰囲気はあった。だが武器となると相当に無理が出る。剣なら光の刃的なものを出せばいいが弓となるとその形がもろにでるわけで。
「正直かっこ悪い」
完全にオモチャだ。俺という鬼が持つにしてはちゃち過ぎる。変形合体ロボが持っていれば似合うのだろうがそんなことも言ってられないか。
俺はこの出しゃばりの提案に乗って黒曜石の矢を生み出す。矢というよりも棘か。その矢じりを魔素で覆って弦に番える。一射目は命中。だがこの弓は構造上弓返りが出来ないな。その分パワーは出る。俺は機体とリンクさせると一射ごとに手からから離れた弓を魔素のバーニア制御で手に戻す。どうしても連射力に劣るが致し方なしか。その分魔素を棘の先端以外にまとわせ弾道の変化を防ぐ。
効いているようだな。明らかに嫌がっている。シノも回り込みながらこちらに合流するコースに乗っている。後は俺がヘイトを取れば時間の問題だな。俺はそれを口にはしなかったがフラグになったらしい。シノの体が崩れ始める。それと同時に追従していたデミ髑髏の標的が変わった。俺は弓を盾に変えて剣に持ち替える。流石にデミの核にこの弓を当てる自信はない。魔素を燃やした一撃でデミの核を貫く。
「シノ。無事か」
「ああ。だがコアがもう限界だ。この状態の私ではアレに有効な魔法は撃てないぞ」
「わかった」
俺は地面にかろうじて立っているシノを持ち上げると盾に押し込む。この抵抗のなさを見るにコア以前にシノも消耗が激しい。盾に格納して背負うしかないだろう。弓は使えないが魔物惑星もだいぶ高度が落ちている。これなら投擲でも問題ないか。
いや魔物惑星のパターンが変わったな。第二形態か。触手や魔法を引っ込めてデミを生み出す降下作戦に変わっている。だが同時に高度も下がってきている。これは着陸のための橋頭保作りか。真の力というより苦肉の策という所だろう。シノの魔法が切れたのを見ても追撃する力も残っていない。本来ならチート前提のあの巨体なのだろう。それが封じられてこうもダメージを受けては立て直しが出来ないのだろうな。だがまだ内面世界の改変は可能だ。休みを与えてはこれまでのダメージが無駄になる。
「シノ、起きているか」
「半分はな。意識を保つのがやっとだ。魔法の使用は無理だぞ」
「なら知恵を貸してくれ。切り込むが問題ないか」
「問題しかないな。私ならアレに近づきたくない。デミを片付けて髑髏の援軍を呼びたい所だ」
だろうな。新世界を誕生させるほどのチート使いとなると、そもそもあれは魔物だったのかも怪しい所だ。同郷とはいえ、もし俺がチート使いになっていたら手も足も出ない所だったな。正直こういう手合いはお前たちの領分じゃないのか?
もし俺がチートの禁止を解放したら全力で戦えるのは間違いないがあまりに優勢だとあちら側が禁止してくるだろう。
本来なら気持ちよく世界の改変を使わせて禁止などという考えを起こさせる前に片付けられた。
俺が初手に禁止したせいで奴がチート合戦に乗る可能性は低い。決め手がないならこのまま回復を待つだろう。
危険な賭けだが一度世界の改変を可能にして乗ってくるようならこちらも対処できる。だが一度は発動した世界の改変は後から禁止は出来ない。改変を禁じられても改変されたものは元に戻らない。そういう事だ。
生まればかりのチート使いは未熟ではあるがその可能性が予測できない。あの姿を見ればわかるだろう。ある意味一番危険な手合いだ。俺達の勝利は間違いないがその結果がどうなるかは俺にも予想できない。
「つまる所、勝利するのは難しくないわけか」
「何か秘策でもあるのか? アレは核やコアといった弱点が存在しないぞ。魔物と同じでその魔素の全てを削り取る必要がある。剣で出来ないことはないが、やるなら血液だ。あれがコアの代わりになってる。だがそれも近づければだがな」
なるほど。決め手か。俺にはないがコイツラにはある。後は俺がどれだけコイツラを信じられるかだ。
俺にはチート戦の経験がない。力を貸してもらえるか?
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俺は、あの時コイツラが俺のチートを止めようとしたことを忘れてない。友人をシノを見捨てることになったとしてもコイツラは止めていただろう。だがそれほどまでにチートの危険性をコイツラは知っている。それでも使ってくれるというのなら俺も腹をくくるか。
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