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序章1
卒業式
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ガタガタと揺れる馬車の中、
「さて、今回の作戦行動のおさらいだ」
漆黒の全身鎧を身につけた中年男の声が響く。
この車体は幅五メートル、長さは八メートル、高さは三メートルあるかないか、ほど。
窓は無く、灯りは天井から吊り下がる二つのランプのみ。
木製の、長椅子と呼ぶもはばかられる程に簡素な座席が両側に備わっている。
そこに口を開いた男と同じ全身鎧に身を包み、全長百五十センチメートル、刀身幅四センチメートルという大剣を、抜き身のまま携える兵士が八名腰かけている。
「知らせた通り、今回は『卒業式』を兼ねた作戦だ」
馬車の進行方向、車内の前方に立つ中年男が、我々に続けて言う。
簡単にやってのけているが、不規則に揺れる車内でよろめく事無く立っているのは並の鍛練で為せる業ではない。
彼の鎧の左胸には、三つ首の犬の怪物、『ケルベロス』を意匠としたエンブレムが付いている。
黒で表面を染色された真鍮に、浮き彫りにされたケルベロスは三つの頭をもたげ、左前足をこちらを踏みつける様に突き出した図柄である。
その足から突き出る爪の部分が、真鍮より鮮やかな金で作られている。
隊長クラスの証だ。
座っている他の兵士のエンブレムのケルベロスは、爪の部分が銀で作られた、隊員クラスの証。
「しかも久々に我ら『爪』以外の子犬も一緒だ。『牙』だぞ」
子犬とは候補生の意味だ。
全身鎧を着用した彼らは、広域戦闘を主任務とする『爪』部隊の隊長と隊員達だ。
そして、無駄に明るい話ぶりの隊長から視線を向けられた俺。
『牙』部隊の所属……予定の子犬だ。
長身で筋肉質、さらに全身鎧を着けた八名の中、最後方に座らされたため、クソ狭く息苦しい気分だ。
「よし、自己紹介いっとこうか」
何がよしなのか知らないが、隊長の視線を追いかけて、他の隊員も兜を被ったままこちらを見つめる。
拒否権は無いようだ。
小さくため息を一つ、
「グレイ。グレイ=ランフォードだ」
俺は口を開いた。
体格は『爪』連中とは大きく異なり、中肉中背で、装備も『爪』とは大きく異なる。
色は漆黒で共通だが、防具は革の胸当て・小手・すね当て、と彼らに比べれば紙のようなものだ。
武器はといえば、両太腿に二本の革ベルトと鞘を固定する金具で身につけたショートソード二本。
全長八十センチメートル、刃渡り六十センチメートル、刀身幅三センチメートル、厚み三ミリメートルほどの代物。
他にも腰ベルトに左右四本ずつの小さな投げナイフなど、細かい武器は持っているが、いずれも『爪』の様な迫力は無い。
「隠密行動の多い『牙』らしい、簡潔な自己紹介ありがとさん」
『爪』の隊長の言葉はやや嘲るようであるが、口調は穏やかなもので、ちぐはぐに感じる。
だがそれは『ケルベロス以外の組織、社会に属する者なら』と前置きが付く。
軍事大国マグダウェル公国の国王直属部隊『ケルベロス』は大きく三つに別れる。
この馬車内を、その巨躯で九割五分を埋め尽くしている『爪』の連中、同じケルベロス所属でも滅多に姿を見る事も無い、情報収集専門の『耳』、少数での局所戦闘や暗殺を主任務とする、俺が所属予定の『牙』。
役割が違えば、振る舞いも違う。
先ほどの隊長の言は、それを解った上でのものだ。
「で、今回のもう一人の主人公。うちの子犬ちゃん、自己紹介どうぞ」
隊長は大いに表情を緩め、ニヤニヤと笑いながら、俺の対面に座る一人へ視線を送る。
また他の隊員がその視線を追う。
今回は俺も追った。
「はっ!」
応答の声も高らかに、そいつは立ち上がった。
天井に頭をぶつけるんじゃなかろうか、と思うほどの勢いで。
体格が入隊資格に含まれる『爪』の候補生だけあって、かなりの高身長だ。
今の様に座っていなくとも、確実に俺は見上げる事になる。
そして兜を脱ぎ、素顔を見せた。
兜の内側そのままの形で固まった金髪に、緑色の瞳。
鼻は高いが、訓練で怪我でもしたのか、若干左に曲がっている。
エラが少し張った、いかにも軍人という、いかつい顔つきだ。
「自分はリッグス=バルカニアスであります!」
クソ真面目な真顔で、車体が震えるんじゃないかと思うほどの大声での自己紹介。
正直うるさいし、暑苦しい。
「よーし、よくできました。座ってよし」
「はっ!」
隊長はニヤニヤ笑いのまま、満足げに頷き、言う。
それに対し向かいの男、リッグスは先ほどと同様に高らかに応答し、座る。
『爪』なら情報共有がされているはずで、隊長を始め、他の隊員も名前も経歴も知っているはずだ。
今の自己紹介は俺だけに向けたもの、のはずだが、車内の雰囲気の変化に気づく。
「おまえ相変わらず声、デカすぎ」
リッグスの隣に座る隊員が笑いを含んだ声で、彼をからかう様に肘でつつく。
厚い鎧同士のせいで、ゴンと金属音が鳴るが、それでも明らかに和やかな雰囲気を感じる。
『牙』の俺という異物の混じる任務前の過剰な緊張を、リッグスのクソ真面目な自己紹介を利用して和らげた?
隊長たる者は気配り上手でもあるのかもしれない。
と、
ゴンゴンゴン
車体前方、外側から車体を叩く音が聞こえた。
恐らく御者からの合図。
「作戦地点へ到着。用意」
それを聞き、隊長は全員に告げる。
その声には先程の様な遊びは無い。
馬車が停まる慣性が収まった後、座っていた『爪』全員が無言で立ち上がる。
隊長が自分の兜と大剣を手にし、車体前方左側のドアを開けた。
停滞した車内の空気に、湿った夜の空気が混じる。
匂いから森の中と推測できる。
「行くぞ」
潜めた声で隊長が告げ、車外へ出る。
他の隊員もそれに続く。
あれだけの重装備で、物音が最小限とは恐れ入る。
俺も立ち上がり、後ろ腰に着けたポーチから黒い革手袋を取り出す。
「グレイ」
突然声をかけられ少々驚きつつ、俺は声の主を見上げる。
リッグスだ。
「今回限りだろうが、相棒だ。よろしく」
クソ真面目な真顔はそのままだが、声の調子は柔らかい。
差し出される右手。
彼はガントレットが装着済みで、俺は素手。
「お手柔らかに、リッグス」
二重の意味をこめて応え、俺はその手を握る。
「ああ」
リッグスは『しっかり』と握り返してきた。
いてぇよ、バカ。
俺の『相棒』は、どうも細かい事は苦手なご様子。
短い握手の後、リッグスは兜を着け、大剣を持って車外へ出ていく。
俺も革手袋を着けつつ、車外へ出る。
うっそうとした森の中だ。
ばさっ
一陣の風が、俺の漆黒のロングコートをはためかせた。
その背には牙の部分が銀糸で光る、『ケルベロス』の刺繍。
「さて、今回の作戦行動のおさらいだ」
漆黒の全身鎧を身につけた中年男の声が響く。
この車体は幅五メートル、長さは八メートル、高さは三メートルあるかないか、ほど。
窓は無く、灯りは天井から吊り下がる二つのランプのみ。
木製の、長椅子と呼ぶもはばかられる程に簡素な座席が両側に備わっている。
そこに口を開いた男と同じ全身鎧に身を包み、全長百五十センチメートル、刀身幅四センチメートルという大剣を、抜き身のまま携える兵士が八名腰かけている。
「知らせた通り、今回は『卒業式』を兼ねた作戦だ」
馬車の進行方向、車内の前方に立つ中年男が、我々に続けて言う。
簡単にやってのけているが、不規則に揺れる車内でよろめく事無く立っているのは並の鍛練で為せる業ではない。
彼の鎧の左胸には、三つ首の犬の怪物、『ケルベロス』を意匠としたエンブレムが付いている。
黒で表面を染色された真鍮に、浮き彫りにされたケルベロスは三つの頭をもたげ、左前足をこちらを踏みつける様に突き出した図柄である。
その足から突き出る爪の部分が、真鍮より鮮やかな金で作られている。
隊長クラスの証だ。
座っている他の兵士のエンブレムのケルベロスは、爪の部分が銀で作られた、隊員クラスの証。
「しかも久々に我ら『爪』以外の子犬も一緒だ。『牙』だぞ」
子犬とは候補生の意味だ。
全身鎧を着用した彼らは、広域戦闘を主任務とする『爪』部隊の隊長と隊員達だ。
そして、無駄に明るい話ぶりの隊長から視線を向けられた俺。
『牙』部隊の所属……予定の子犬だ。
長身で筋肉質、さらに全身鎧を着けた八名の中、最後方に座らされたため、クソ狭く息苦しい気分だ。
「よし、自己紹介いっとこうか」
何がよしなのか知らないが、隊長の視線を追いかけて、他の隊員も兜を被ったままこちらを見つめる。
拒否権は無いようだ。
小さくため息を一つ、
「グレイ。グレイ=ランフォードだ」
俺は口を開いた。
体格は『爪』連中とは大きく異なり、中肉中背で、装備も『爪』とは大きく異なる。
色は漆黒で共通だが、防具は革の胸当て・小手・すね当て、と彼らに比べれば紙のようなものだ。
武器はといえば、両太腿に二本の革ベルトと鞘を固定する金具で身につけたショートソード二本。
全長八十センチメートル、刃渡り六十センチメートル、刀身幅三センチメートル、厚み三ミリメートルほどの代物。
他にも腰ベルトに左右四本ずつの小さな投げナイフなど、細かい武器は持っているが、いずれも『爪』の様な迫力は無い。
「隠密行動の多い『牙』らしい、簡潔な自己紹介ありがとさん」
『爪』の隊長の言葉はやや嘲るようであるが、口調は穏やかなもので、ちぐはぐに感じる。
だがそれは『ケルベロス以外の組織、社会に属する者なら』と前置きが付く。
軍事大国マグダウェル公国の国王直属部隊『ケルベロス』は大きく三つに別れる。
この馬車内を、その巨躯で九割五分を埋め尽くしている『爪』の連中、同じケルベロス所属でも滅多に姿を見る事も無い、情報収集専門の『耳』、少数での局所戦闘や暗殺を主任務とする、俺が所属予定の『牙』。
役割が違えば、振る舞いも違う。
先ほどの隊長の言は、それを解った上でのものだ。
「で、今回のもう一人の主人公。うちの子犬ちゃん、自己紹介どうぞ」
隊長は大いに表情を緩め、ニヤニヤと笑いながら、俺の対面に座る一人へ視線を送る。
また他の隊員がその視線を追う。
今回は俺も追った。
「はっ!」
応答の声も高らかに、そいつは立ち上がった。
天井に頭をぶつけるんじゃなかろうか、と思うほどの勢いで。
体格が入隊資格に含まれる『爪』の候補生だけあって、かなりの高身長だ。
今の様に座っていなくとも、確実に俺は見上げる事になる。
そして兜を脱ぎ、素顔を見せた。
兜の内側そのままの形で固まった金髪に、緑色の瞳。
鼻は高いが、訓練で怪我でもしたのか、若干左に曲がっている。
エラが少し張った、いかにも軍人という、いかつい顔つきだ。
「自分はリッグス=バルカニアスであります!」
クソ真面目な真顔で、車体が震えるんじゃないかと思うほどの大声での自己紹介。
正直うるさいし、暑苦しい。
「よーし、よくできました。座ってよし」
「はっ!」
隊長はニヤニヤ笑いのまま、満足げに頷き、言う。
それに対し向かいの男、リッグスは先ほどと同様に高らかに応答し、座る。
『爪』なら情報共有がされているはずで、隊長を始め、他の隊員も名前も経歴も知っているはずだ。
今の自己紹介は俺だけに向けたもの、のはずだが、車内の雰囲気の変化に気づく。
「おまえ相変わらず声、デカすぎ」
リッグスの隣に座る隊員が笑いを含んだ声で、彼をからかう様に肘でつつく。
厚い鎧同士のせいで、ゴンと金属音が鳴るが、それでも明らかに和やかな雰囲気を感じる。
『牙』の俺という異物の混じる任務前の過剰な緊張を、リッグスのクソ真面目な自己紹介を利用して和らげた?
隊長たる者は気配り上手でもあるのかもしれない。
と、
ゴンゴンゴン
車体前方、外側から車体を叩く音が聞こえた。
恐らく御者からの合図。
「作戦地点へ到着。用意」
それを聞き、隊長は全員に告げる。
その声には先程の様な遊びは無い。
馬車が停まる慣性が収まった後、座っていた『爪』全員が無言で立ち上がる。
隊長が自分の兜と大剣を手にし、車体前方左側のドアを開けた。
停滞した車内の空気に、湿った夜の空気が混じる。
匂いから森の中と推測できる。
「行くぞ」
潜めた声で隊長が告げ、車外へ出る。
他の隊員もそれに続く。
あれだけの重装備で、物音が最小限とは恐れ入る。
俺も立ち上がり、後ろ腰に着けたポーチから黒い革手袋を取り出す。
「グレイ」
突然声をかけられ少々驚きつつ、俺は声の主を見上げる。
リッグスだ。
「今回限りだろうが、相棒だ。よろしく」
クソ真面目な真顔はそのままだが、声の調子は柔らかい。
差し出される右手。
彼はガントレットが装着済みで、俺は素手。
「お手柔らかに、リッグス」
二重の意味をこめて応え、俺はその手を握る。
「ああ」
リッグスは『しっかり』と握り返してきた。
いてぇよ、バカ。
俺の『相棒』は、どうも細かい事は苦手なご様子。
短い握手の後、リッグスは兜を着け、大剣を持って車外へ出ていく。
俺も革手袋を着けつつ、車外へ出る。
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