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序章2
囲い
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車外へ出ると、『爪』の連中が馬車の外壁に手をかけていた。
がこっ
鈍い音と共に、外壁が一部外れた。
いや、それは闇のせいで外壁に一体化して見えていた、黒い盾だった。
上下に一メートル、左右に四十センチメートルはある。
大盾に分類されるサイズだ。
なるほど。
車内に持ち込むには大きすぎる代物を外壁に付けておく事で、移動用の車体の防御もさせている訳か。
同じ『ケルベロス』所属ゆえ、標準の装備品くらいは知っていたが、運搬方法までは知らなかった。
「二班から五班、囲め」
潜めた隊長の声。
くぐもって聞こえるのは、兜のせいだ。
そう。
俺の乗ってきた馬車には後続があった。
後方に四台、計五台の車列だった。
隊長の言った、二班から五班が乗っていたのだろう。
指示を受けた彼らの行動は迅速だった。
合計二十キログラムは軽く超えるのではないかと思われる装備をものともせず、木々の間を小走りに移動し始める。
『囲む』
その目標物は、今は停止している車列の進行方向五十メートルほど先にある。
「主役はこっちだ」
隊長が俺とリッグスに、ついてくるよう促す。
歩を進め始めると、同乗していた残り七人も俺達の後からついてくる。
……本当に子犬の散歩の様に思えてくる。
やがて目的地がはっきり確認できた。
一軒の家だ。
元は炭焼き小屋として使われていたらしいが、現在中に居るのは……山賊だ。
数日前に少し離れた場所で隊商への被害報告があり、『耳』が動いて捕捉した。
かなりの金品が奪われ、何人か命も奪われたそうだ。
被害件数は一件だが、『耳』の調べでは別の地方での犯行が何件も確認されている。
つまり常習犯。
「人数は十人よりは多い。正確な情報がいつも手に入るとは限らんからな。自分達で直に確認するんだ」
隊長の声。
「達成目標は全員の制圧。生死は問わん」
冷徹な響き。
屋外へ漏れ出てくる灯りが見え、馬鹿騒ぎが聞こえる距離まで、俺達は来た。
その時にはもうすでに、小屋は四十名近い完全武装の『爪』が輪状に囲み終わっていた。
いくら山賊相手でも、ここまで気づかせないのは大したものだ。
隊長はまだ近づく。
さすがに感づいたか、小屋内が静まる。
「賊ども!」
驚いた。
隊長がいきなり声を張り上げた。
「なんだ、てめえら!?」
小屋内から、野太い声で返答がある。
ずいぶん慌てているが、自分達が『賊』という認識はあるようだ。
しかしひねりの無い台詞だ。
「君達は完全に包囲されている!」
どうした隊長、急に芝居がかったぞ。
「武器を『持って』出てこい!」
ああ、これは楽しんでるだけだ。
「なんだと!? 普通、武器捨てろじゃねえのかよ!」
山賊がごもっともな事を言い返してきた。
良識は無いが、常識は知ってはいるようだ。
「君達を捕らえるのは実に簡単だ! だが一つチャンスを与えよう!」
隊長の口調は実に楽しそうである。
「窓から覗いて見ろ」
そう言って、隊長は俺とリッグスに『前に出ろ』と顎先の動きで促す。
俺達はすぐ前へ出る。
「この二人を倒せたら、君達を見逃してやる!」
灯りが漏れる大きめの窓、その右下辺りに人の頭らしき影が現れた。
こちらを見ているのだろう。
「そんなの信じられるか! 出たら全員で来るんだろうが!」
先ほどの野太い声ではない。
やや甲高い、神経質そうな声だった。
「勘違いするな。君達に選択肢は無い」
隊長の口調が急激に、その温度を下げた。
「出てこなければ小屋に火を放つ。夜明けには君達は全員黒焦げだろうな」
芝居がかった調子どころか、感情らしきものが一切感じられない。
どっちが本性だ、タヌキめ。
「もう一度、最後の警告だ。全員武器を『持って』出てこい!」
有無を言わせぬ、とはこういう迫力の事を言うのだろう。
「ちくしょう!」
こちらを伺っていた窓から見て、右側のドアが勢い良く開き、わめきながら武器を持った男が三人出てきた。
剣を持った中背、手斧を持った長身、槍を持った小柄。
武器、体格も様々だ。
共通しているのは、ひきつった表情。
怒りか戸惑いか、知ったこっちゃないが。
「ほ、本当だろうな! こいつら殺れば見逃すんだな?」
一番最初に出てきた、一番長身の男が隊長に問う。
こいつが野太い声の主だ。
手には手斧、腰に剣を吊るしている。
「ああ、我々は手を出さない」
隊長は再び芝居がかった口調で答えながら、俺達の後方へと、後ろ歩きで移動した。
ついてきていた他の七人も遠ざかるのが、気配で判った。
「殺ってやるよ!」
口角泡を飛ばしながら、長身の賊が叫ぶ。
しかし、気づいているか?
隊長は『我々は手を出さない』と言っただけで、『見逃す』事に関してはなんら保証していない事に。
さすがにちょっと同情するよ。
俺は思考と精神を、戦闘へと切り替えた。
太もものショートソードを右手で、左手でと順手で抜く。
音は無い。
と、
「やれ!」
神経質な声?
ああ、そういう事か。
パリン!
ガン!
窓ガラスの割れる音、硬い物同士の激突する音がほぼ同時に聞こえた。
室内からの矢での攻撃。
俺を狙ったそれを、リッグスがかばって盾で防いだ。
このくらい捌けるが、まあ、ありがとう。
「おおおおおおっ!」
リッグスが雄叫びを上げた。
耳が痛い。
同時にリッグスは右手で持っていた大剣を投げた。
おいおい。
そして大盾を構えて、屋外へ出た集団へ突進し始めた。
大した脚力だ。
弓の攻撃を封じるには良い手だが。
がすっ!
大剣が、剣を持った中背のどてっぱらに命中。
壁に縫いつけられ、がっくりとうなだれる。
そしてあっという間に距離を詰められた、槍を持った小柄が泡食って突いてくる。
ぎゃりっ!
あえなく盾と勢いに負け、突きは逸れ、
どすん!
なんとも形容しがたい鈍く重い音と共に、盾と小屋の壁に挟まれ、潰された。
かすかに骨が砕ける音も混じる。
「ごっ……」
声ではないな。
潰れた肺と喉が鳴っただけだ。
「こいつ!」
動きが止まったリッグスの隙だらけの側面に、手斧を持った長身がいた。
その得物を振り下ろす瞬間、奴は目を見開いた。
俺のブーツは特別製である。
この国では交易でしか手に入らない、ゴムを靴底に使用している。
滑り止め、足音の軽減、加速の滑らかさが目的だ。
そして俺の装備こみの体重は、リッグスよりもかなり軽い。
つまり、俺は『ここ』にいた。
走り出したリッグスの背に、ぴったりと追走して。
手斧の刃が動き出した刹那を捉え、俺は右手のショートソードを掲げる。
がっ!
手斧がショートソードの剣身と、十字に備えた鍔の間に当たる。
その力はショートソードの鍔を押し下げ、自動的に剣身を振らせた。
しゅ!
ショートソードの切っ先は、長身の賊の喉を正確に切り裂いた。
断ち斬られた頸動脈から、鮮血が噴き出す。
防御と攻撃を一挙動で行う秘技。
もっとも、技量の差がある場合にしかそうそう通用しないが。
ごとん
一瞬で失神、失血死した長身が、倒れ伏す。
リッグスは中背の男を貫いて壁に突き刺さった大剣を引き抜き、無事武器を取り戻した。
次は屋内に居る残りを……。
「居ない!」
リッグスが叫ぶ。
俺は屋内を確認する前に、左後方を振り返る。
視野の端に、数個の人影。
「裏口から出たか」
リッグスに聞こえるように呟いて、走り出す。
二人固まっていたら良い的になる。
今度はしっかり視野に捉えた。
六人。
しかも散開し、飛び道具を手にしている。
弓四人、ボウガン二人。
だが向こうも向こうで飛び出してきたばかりで、狙いは定まっていない。
「リーーッグス!」
警告の意味も込め、俺は相棒の名を叫ぶ。
がこっ
鈍い音と共に、外壁が一部外れた。
いや、それは闇のせいで外壁に一体化して見えていた、黒い盾だった。
上下に一メートル、左右に四十センチメートルはある。
大盾に分類されるサイズだ。
なるほど。
車内に持ち込むには大きすぎる代物を外壁に付けておく事で、移動用の車体の防御もさせている訳か。
同じ『ケルベロス』所属ゆえ、標準の装備品くらいは知っていたが、運搬方法までは知らなかった。
「二班から五班、囲め」
潜めた隊長の声。
くぐもって聞こえるのは、兜のせいだ。
そう。
俺の乗ってきた馬車には後続があった。
後方に四台、計五台の車列だった。
隊長の言った、二班から五班が乗っていたのだろう。
指示を受けた彼らの行動は迅速だった。
合計二十キログラムは軽く超えるのではないかと思われる装備をものともせず、木々の間を小走りに移動し始める。
『囲む』
その目標物は、今は停止している車列の進行方向五十メートルほど先にある。
「主役はこっちだ」
隊長が俺とリッグスに、ついてくるよう促す。
歩を進め始めると、同乗していた残り七人も俺達の後からついてくる。
……本当に子犬の散歩の様に思えてくる。
やがて目的地がはっきり確認できた。
一軒の家だ。
元は炭焼き小屋として使われていたらしいが、現在中に居るのは……山賊だ。
数日前に少し離れた場所で隊商への被害報告があり、『耳』が動いて捕捉した。
かなりの金品が奪われ、何人か命も奪われたそうだ。
被害件数は一件だが、『耳』の調べでは別の地方での犯行が何件も確認されている。
つまり常習犯。
「人数は十人よりは多い。正確な情報がいつも手に入るとは限らんからな。自分達で直に確認するんだ」
隊長の声。
「達成目標は全員の制圧。生死は問わん」
冷徹な響き。
屋外へ漏れ出てくる灯りが見え、馬鹿騒ぎが聞こえる距離まで、俺達は来た。
その時にはもうすでに、小屋は四十名近い完全武装の『爪』が輪状に囲み終わっていた。
いくら山賊相手でも、ここまで気づかせないのは大したものだ。
隊長はまだ近づく。
さすがに感づいたか、小屋内が静まる。
「賊ども!」
驚いた。
隊長がいきなり声を張り上げた。
「なんだ、てめえら!?」
小屋内から、野太い声で返答がある。
ずいぶん慌てているが、自分達が『賊』という認識はあるようだ。
しかしひねりの無い台詞だ。
「君達は完全に包囲されている!」
どうした隊長、急に芝居がかったぞ。
「武器を『持って』出てこい!」
ああ、これは楽しんでるだけだ。
「なんだと!? 普通、武器捨てろじゃねえのかよ!」
山賊がごもっともな事を言い返してきた。
良識は無いが、常識は知ってはいるようだ。
「君達を捕らえるのは実に簡単だ! だが一つチャンスを与えよう!」
隊長の口調は実に楽しそうである。
「窓から覗いて見ろ」
そう言って、隊長は俺とリッグスに『前に出ろ』と顎先の動きで促す。
俺達はすぐ前へ出る。
「この二人を倒せたら、君達を見逃してやる!」
灯りが漏れる大きめの窓、その右下辺りに人の頭らしき影が現れた。
こちらを見ているのだろう。
「そんなの信じられるか! 出たら全員で来るんだろうが!」
先ほどの野太い声ではない。
やや甲高い、神経質そうな声だった。
「勘違いするな。君達に選択肢は無い」
隊長の口調が急激に、その温度を下げた。
「出てこなければ小屋に火を放つ。夜明けには君達は全員黒焦げだろうな」
芝居がかった調子どころか、感情らしきものが一切感じられない。
どっちが本性だ、タヌキめ。
「もう一度、最後の警告だ。全員武器を『持って』出てこい!」
有無を言わせぬ、とはこういう迫力の事を言うのだろう。
「ちくしょう!」
こちらを伺っていた窓から見て、右側のドアが勢い良く開き、わめきながら武器を持った男が三人出てきた。
剣を持った中背、手斧を持った長身、槍を持った小柄。
武器、体格も様々だ。
共通しているのは、ひきつった表情。
怒りか戸惑いか、知ったこっちゃないが。
「ほ、本当だろうな! こいつら殺れば見逃すんだな?」
一番最初に出てきた、一番長身の男が隊長に問う。
こいつが野太い声の主だ。
手には手斧、腰に剣を吊るしている。
「ああ、我々は手を出さない」
隊長は再び芝居がかった口調で答えながら、俺達の後方へと、後ろ歩きで移動した。
ついてきていた他の七人も遠ざかるのが、気配で判った。
「殺ってやるよ!」
口角泡を飛ばしながら、長身の賊が叫ぶ。
しかし、気づいているか?
隊長は『我々は手を出さない』と言っただけで、『見逃す』事に関してはなんら保証していない事に。
さすがにちょっと同情するよ。
俺は思考と精神を、戦闘へと切り替えた。
太もものショートソードを右手で、左手でと順手で抜く。
音は無い。
と、
「やれ!」
神経質な声?
ああ、そういう事か。
パリン!
ガン!
窓ガラスの割れる音、硬い物同士の激突する音がほぼ同時に聞こえた。
室内からの矢での攻撃。
俺を狙ったそれを、リッグスがかばって盾で防いだ。
このくらい捌けるが、まあ、ありがとう。
「おおおおおおっ!」
リッグスが雄叫びを上げた。
耳が痛い。
同時にリッグスは右手で持っていた大剣を投げた。
おいおい。
そして大盾を構えて、屋外へ出た集団へ突進し始めた。
大した脚力だ。
弓の攻撃を封じるには良い手だが。
がすっ!
大剣が、剣を持った中背のどてっぱらに命中。
壁に縫いつけられ、がっくりとうなだれる。
そしてあっという間に距離を詰められた、槍を持った小柄が泡食って突いてくる。
ぎゃりっ!
あえなく盾と勢いに負け、突きは逸れ、
どすん!
なんとも形容しがたい鈍く重い音と共に、盾と小屋の壁に挟まれ、潰された。
かすかに骨が砕ける音も混じる。
「ごっ……」
声ではないな。
潰れた肺と喉が鳴っただけだ。
「こいつ!」
動きが止まったリッグスの隙だらけの側面に、手斧を持った長身がいた。
その得物を振り下ろす瞬間、奴は目を見開いた。
俺のブーツは特別製である。
この国では交易でしか手に入らない、ゴムを靴底に使用している。
滑り止め、足音の軽減、加速の滑らかさが目的だ。
そして俺の装備こみの体重は、リッグスよりもかなり軽い。
つまり、俺は『ここ』にいた。
走り出したリッグスの背に、ぴったりと追走して。
手斧の刃が動き出した刹那を捉え、俺は右手のショートソードを掲げる。
がっ!
手斧がショートソードの剣身と、十字に備えた鍔の間に当たる。
その力はショートソードの鍔を押し下げ、自動的に剣身を振らせた。
しゅ!
ショートソードの切っ先は、長身の賊の喉を正確に切り裂いた。
断ち斬られた頸動脈から、鮮血が噴き出す。
防御と攻撃を一挙動で行う秘技。
もっとも、技量の差がある場合にしかそうそう通用しないが。
ごとん
一瞬で失神、失血死した長身が、倒れ伏す。
リッグスは中背の男を貫いて壁に突き刺さった大剣を引き抜き、無事武器を取り戻した。
次は屋内に居る残りを……。
「居ない!」
リッグスが叫ぶ。
俺は屋内を確認する前に、左後方を振り返る。
視野の端に、数個の人影。
「裏口から出たか」
リッグスに聞こえるように呟いて、走り出す。
二人固まっていたら良い的になる。
今度はしっかり視野に捉えた。
六人。
しかも散開し、飛び道具を手にしている。
弓四人、ボウガン二人。
だが向こうも向こうで飛び出してきたばかりで、狙いは定まっていない。
「リーーッグス!」
警告の意味も込め、俺は相棒の名を叫ぶ。
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