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三章3
よしみ
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ノーマンズランドは旧サイティエフ領の更に北にある。
だが季節が夏という事もあり、気温は肌寒い程度だ。
エルザと共に進む通りは、荒いものの、舗装が施されている。
「この東側は主に人材を扱っている」
一歩後ろを歩く俺に振り向きもせず、エルザが話す。
「それは……」
嫌な話だ。
「ピンキリだ。酷使される奴隷を扱う者も居れば、戦闘訓練を課して傭兵を育てる者も居る」
幅が広く、十五メートルはある通りの左右には露店が並び、食い物から武器、装飾品などが売られている。
「どちらかと言えば戦闘要員関連の人売りが多いんだ。理由は……解るよな」
北と南、それぞれ敵対する国々の間だ。
ある程度の訓練を終えた人材は引く手数多だろう。
特に、『後腐れなく使い捨てられる』人材は。
「わたしもその内の一人だ。ここで、かの『槍の武神』に養子として引き取られ、鍛えられた」
気になっていた話だが、疑問が湧く。
「その『槍の武神』? もここに住んでいたって事だよな。何故だ」
右手に細い路地が目に入る。
そこでは数人の殴り合いが繰り広げられている。
だが道行く人間は気づいても無視して通り過ぎる。
なるほど、日常茶飯事なわけか。
「三十年前の『南進』で、南側として前線で戦ったそうだ。そこで軍属に嫌気が差して、終戦後にできあがったここに逃げたと言っていた」
戦争を経験して退役する者は多いと聞く。
……解らなくもない。
俺とて戦争ではないものの、戦場に立っている者の一人だ。
うんざりする瞬間は多々ある。
こんな汚れ仕事から解放されたいと思う事もある。
「技を受け継いだところで、養父が死んだ。同じ前線で戦ったよしみで、今度は『長官』がわたしを拾ったんだ」
そこで半顔振り向いて、
「知りたいのはこのくらいか?」
とエルザは言う。
俺の『知りたがり』は承知の上というわけか。
「ああ。充分だ」
頷き返し、道が少し寂しくなってきた事に気づく。
先導をエルザに任せていたが、若干の不安を覚える。
「どこへ向かってるんだ?」
尋ねる。
「宿だ」
返ってくる答えは短い。
先ほどまでの饒舌さが嘘の様だ。
しばらく無言で二人で歩くと、二階建ての建物の前でエルザが足を止める。
簡素な平屋の建物が多い中では、多少目を引く。
エルザの目の前には簡素な木製のドアがある。
どう見ても裏口か勝手口だ。
しかしエルザは迷いを感じない勢いでドアを開けた。
安酒と煙草の匂いが、エルザの肩越しにも俺の鼻に届いた。
宿と酒場を兼ねているのだろう。
俺達は中へ踏み込む。
「おい、ここは……!」
そこは従業員の休憩場所だろうか、そこそこ広い空間だった。
そこの長椅子に腰かけていた一人の青年が口を開いて腰を浮かした……時にはエルザが数枚の紙幣を彼の胸に押し付けていた。
「……」
青年はそれを受け取ると、口を閉じた。
「オーナーを呼べ」
エルザが静かに青年に告げると、彼は紙幣をポケットにねじ込んでから部屋を出ていった。
酒場の喧騒が一瞬聞こえ、ドアが閉じた。
「ここはわたしの馴染みだ」
さっきまで青年が腰かけていた長椅子に腰を下ろしてエルザが俺を見た。
『長官』の采配は土地勘のある者を送り込む為か。
ドアの向こうから、バタバタと慌てたような足音が響き、なかなかな勢いで開けられた。
そして閉じられた。
室内へ入ってきたのは、一人の線の細い男。
中年寄りの年ごろ、髪は濃い金色の髪に北方人のスカイブルーの目、マグダウェル人とセーベルニーチ人の混血と推定できる。
「やはりエルザか! 生きてたんだな……」
その表情は……親愛?
「ドミトリー、あんたも生きてたんだね」
対するエルザは大した感慨も表さずに応えた。
名前を呼んだのは、彼を俺に紹介する意味もあるだろう。
「さっそくだが、部屋を一つ頼む」
「それは構わんが……そいつは?」
ドミトリーは頷きながら、俺に視線を送ってきた。
「舎弟だ」
ため息をつきながら言いやがった。
名を明かさなかったのは感謝するが、こいつ言うに事欠いて。
「そうか。こっちだ」
あんたも納得するんだな。
ドミトリーが先ほどのドアを開け、エルザを手招きする。
彼女はさっと立ち上がり、ドミトリーに続く。
小さなため息を隠し、俺も続く。
酒場兼宿屋の様だ。
用意された部屋はお世辞にも広いとは言えないが、まあ、人間二人なら問題無い。
「ドミトリー。もし『来客』があれば、構わんから通せ」
エルザが言えば、ドミトリーが頷き、部屋のドアを閉めた。
『来客』……普通に考えてさっき叩きのめしたレッドの連中のお礼参りだろう。
「先に寝ろ。三時間で交代だ」
一つしかないベッドを、エルザが顎で指す。
「ああ。舎弟は指示に従いますよ」
エルザに振り回されっぱなしだ。
嫌みの一つでも言ってやってから、ローブだけ脱いでベッドに横たわる。
「食事はドミトリーが用意してくれる。交代したら食うんだな」
嫌みにも全く動じず、エルザはドアに向かって床に直に座った。
あの位置なら窓からの侵入にも対応できる。
相棒に任せて俺はさっさと眠った。
あっという間の三時間。
目を開き、無言でベッドを降りる。
エルザもまた、無言でベッドへ。
こんな場所であるから、ベッドで眠れるなど期待していなかったが、思いの外快適に過ごせている。
一度察知した気配はドミトリーだった。
エルザが座っていた近くに、簡単なスープとパンが布をかけられて置いてあった。
二人分だが、一人分の食器は空。
寝息を立て始めたエルザの腹の中だ。
毒味は済んでいる。
床に脱いだローブを敷き、座る。
冷めきったスープをパンに吸わせながら食う。
さて、これからの事だが、『レッドドラゴン』と『ブラックドラゴン』の連中が西の『ブルードラゴン』と『グリーンドラゴン』の残党プラス『ジョシュア=クラベル』の一党に仕掛ける事が解っている。
あのチンピラは二日後と言っていたが、今は日付が変わった。
明日、となる。
この街が大混乱に陥るのは目に見えている。
俺達はここでそれを待っているわけだ。
……無為に時間が過ぎていくのは実に退屈だ。
朝、昼、夕、夜、窓から覗くが、さしたる変化も無し。
「来なかったな」
エルザが呟く。
「ああ、来なかったな」
俺が返す。
『レッド』の連中の事だ。
「あれだけ痛めつけてやったのに」
「お前がやり過ぎてビビったんじゃないのか?」
二人してため息をつく。
「味方についてやっても良いとまで言ってやったのに」
「お前、止めたじゃねぇか」
しばしの沈黙。
「文句があるのか?」
「無いとでも思ってんのか?」
こいつはびっくりだ。
じろり、と互いに視線をぶつけ合う。
だが結局ため息しか出ない。
「わたし達を見つける事もできないとはな。レッドドラゴンとやらの情報網は思ったより脆弱なようだ」
エルザが後ろ頭を乱暴に掻く。
「そこだな。俺達で場所も時間も掴まなきゃならない」
今夜が明ければ、衝突が起こる。
だがそれがいつ始まるかは解らない。
レッドの連中が接触してくれば、また叩きのめすなり、味方につくふりをするなり、やり様はあったし、何より楽だ。
尋問した下っぱは、どう考えても命令を受ける側だった。
エルザがことごとく顎をやっちまって聞き出せないせいもあるが、あれ以上詳しく知っているとも思えない。
面倒だ、と考えたところで、階下から近づく人の気配。
「ドミトリーか」
ドアがノックされる前にエルザが声をかけた。
「ああ」
くぐもった返事がドア越しに聞こえ、ドアが開く。
「カチコミは朝一番だとよ。レッドドラゴンの連中がわざわざ知らせに回ってきた」
ドミトリーは室内に入るなり、情報をもたらした。
自分達で? わざわざ? 誰に伝わるかも解らないのに?
エルザも、いやドミトリーすら同じ考えらしく、三人で顔を見合わせる。
……もう細かいことを気にするのは止めよう。
「ありがとう。受け取ってくれ」
俺は紙幣を十枚ほどドミトリーに差し出す。
彼はちらりとエルザを見、彼女が頷くのを認めてから、受け取った。
俺にはエルザほどの信用は無いというわけだ。
『舎弟』なんだからいいだろうに。
「夜が明け次第、わたし達はここを出る。世話になった」
エルザの言葉にドミトリーは頷き、
「夕飯は少し豪華にしとくよ」
受け取った紙幣をぴらぴらと振って笑う。
ノーマンズランド。
もっと殺伐とした場所だと思ったが、昔馴染みを大切にするドミトリーを見ていると、案外人情味があったようだ。
だが季節が夏という事もあり、気温は肌寒い程度だ。
エルザと共に進む通りは、荒いものの、舗装が施されている。
「この東側は主に人材を扱っている」
一歩後ろを歩く俺に振り向きもせず、エルザが話す。
「それは……」
嫌な話だ。
「ピンキリだ。酷使される奴隷を扱う者も居れば、戦闘訓練を課して傭兵を育てる者も居る」
幅が広く、十五メートルはある通りの左右には露店が並び、食い物から武器、装飾品などが売られている。
「どちらかと言えば戦闘要員関連の人売りが多いんだ。理由は……解るよな」
北と南、それぞれ敵対する国々の間だ。
ある程度の訓練を終えた人材は引く手数多だろう。
特に、『後腐れなく使い捨てられる』人材は。
「わたしもその内の一人だ。ここで、かの『槍の武神』に養子として引き取られ、鍛えられた」
気になっていた話だが、疑問が湧く。
「その『槍の武神』? もここに住んでいたって事だよな。何故だ」
右手に細い路地が目に入る。
そこでは数人の殴り合いが繰り広げられている。
だが道行く人間は気づいても無視して通り過ぎる。
なるほど、日常茶飯事なわけか。
「三十年前の『南進』で、南側として前線で戦ったそうだ。そこで軍属に嫌気が差して、終戦後にできあがったここに逃げたと言っていた」
戦争を経験して退役する者は多いと聞く。
……解らなくもない。
俺とて戦争ではないものの、戦場に立っている者の一人だ。
うんざりする瞬間は多々ある。
こんな汚れ仕事から解放されたいと思う事もある。
「技を受け継いだところで、養父が死んだ。同じ前線で戦ったよしみで、今度は『長官』がわたしを拾ったんだ」
そこで半顔振り向いて、
「知りたいのはこのくらいか?」
とエルザは言う。
俺の『知りたがり』は承知の上というわけか。
「ああ。充分だ」
頷き返し、道が少し寂しくなってきた事に気づく。
先導をエルザに任せていたが、若干の不安を覚える。
「どこへ向かってるんだ?」
尋ねる。
「宿だ」
返ってくる答えは短い。
先ほどまでの饒舌さが嘘の様だ。
しばらく無言で二人で歩くと、二階建ての建物の前でエルザが足を止める。
簡素な平屋の建物が多い中では、多少目を引く。
エルザの目の前には簡素な木製のドアがある。
どう見ても裏口か勝手口だ。
しかしエルザは迷いを感じない勢いでドアを開けた。
安酒と煙草の匂いが、エルザの肩越しにも俺の鼻に届いた。
宿と酒場を兼ねているのだろう。
俺達は中へ踏み込む。
「おい、ここは……!」
そこは従業員の休憩場所だろうか、そこそこ広い空間だった。
そこの長椅子に腰かけていた一人の青年が口を開いて腰を浮かした……時にはエルザが数枚の紙幣を彼の胸に押し付けていた。
「……」
青年はそれを受け取ると、口を閉じた。
「オーナーを呼べ」
エルザが静かに青年に告げると、彼は紙幣をポケットにねじ込んでから部屋を出ていった。
酒場の喧騒が一瞬聞こえ、ドアが閉じた。
「ここはわたしの馴染みだ」
さっきまで青年が腰かけていた長椅子に腰を下ろしてエルザが俺を見た。
『長官』の采配は土地勘のある者を送り込む為か。
ドアの向こうから、バタバタと慌てたような足音が響き、なかなかな勢いで開けられた。
そして閉じられた。
室内へ入ってきたのは、一人の線の細い男。
中年寄りの年ごろ、髪は濃い金色の髪に北方人のスカイブルーの目、マグダウェル人とセーベルニーチ人の混血と推定できる。
「やはりエルザか! 生きてたんだな……」
その表情は……親愛?
「ドミトリー、あんたも生きてたんだね」
対するエルザは大した感慨も表さずに応えた。
名前を呼んだのは、彼を俺に紹介する意味もあるだろう。
「さっそくだが、部屋を一つ頼む」
「それは構わんが……そいつは?」
ドミトリーは頷きながら、俺に視線を送ってきた。
「舎弟だ」
ため息をつきながら言いやがった。
名を明かさなかったのは感謝するが、こいつ言うに事欠いて。
「そうか。こっちだ」
あんたも納得するんだな。
ドミトリーが先ほどのドアを開け、エルザを手招きする。
彼女はさっと立ち上がり、ドミトリーに続く。
小さなため息を隠し、俺も続く。
酒場兼宿屋の様だ。
用意された部屋はお世辞にも広いとは言えないが、まあ、人間二人なら問題無い。
「ドミトリー。もし『来客』があれば、構わんから通せ」
エルザが言えば、ドミトリーが頷き、部屋のドアを閉めた。
『来客』……普通に考えてさっき叩きのめしたレッドの連中のお礼参りだろう。
「先に寝ろ。三時間で交代だ」
一つしかないベッドを、エルザが顎で指す。
「ああ。舎弟は指示に従いますよ」
エルザに振り回されっぱなしだ。
嫌みの一つでも言ってやってから、ローブだけ脱いでベッドに横たわる。
「食事はドミトリーが用意してくれる。交代したら食うんだな」
嫌みにも全く動じず、エルザはドアに向かって床に直に座った。
あの位置なら窓からの侵入にも対応できる。
相棒に任せて俺はさっさと眠った。
あっという間の三時間。
目を開き、無言でベッドを降りる。
エルザもまた、無言でベッドへ。
こんな場所であるから、ベッドで眠れるなど期待していなかったが、思いの外快適に過ごせている。
一度察知した気配はドミトリーだった。
エルザが座っていた近くに、簡単なスープとパンが布をかけられて置いてあった。
二人分だが、一人分の食器は空。
寝息を立て始めたエルザの腹の中だ。
毒味は済んでいる。
床に脱いだローブを敷き、座る。
冷めきったスープをパンに吸わせながら食う。
さて、これからの事だが、『レッドドラゴン』と『ブラックドラゴン』の連中が西の『ブルードラゴン』と『グリーンドラゴン』の残党プラス『ジョシュア=クラベル』の一党に仕掛ける事が解っている。
あのチンピラは二日後と言っていたが、今は日付が変わった。
明日、となる。
この街が大混乱に陥るのは目に見えている。
俺達はここでそれを待っているわけだ。
……無為に時間が過ぎていくのは実に退屈だ。
朝、昼、夕、夜、窓から覗くが、さしたる変化も無し。
「来なかったな」
エルザが呟く。
「ああ、来なかったな」
俺が返す。
『レッド』の連中の事だ。
「あれだけ痛めつけてやったのに」
「お前がやり過ぎてビビったんじゃないのか?」
二人してため息をつく。
「味方についてやっても良いとまで言ってやったのに」
「お前、止めたじゃねぇか」
しばしの沈黙。
「文句があるのか?」
「無いとでも思ってんのか?」
こいつはびっくりだ。
じろり、と互いに視線をぶつけ合う。
だが結局ため息しか出ない。
「わたし達を見つける事もできないとはな。レッドドラゴンとやらの情報網は思ったより脆弱なようだ」
エルザが後ろ頭を乱暴に掻く。
「そこだな。俺達で場所も時間も掴まなきゃならない」
今夜が明ければ、衝突が起こる。
だがそれがいつ始まるかは解らない。
レッドの連中が接触してくれば、また叩きのめすなり、味方につくふりをするなり、やり様はあったし、何より楽だ。
尋問した下っぱは、どう考えても命令を受ける側だった。
エルザがことごとく顎をやっちまって聞き出せないせいもあるが、あれ以上詳しく知っているとも思えない。
面倒だ、と考えたところで、階下から近づく人の気配。
「ドミトリーか」
ドアがノックされる前にエルザが声をかけた。
「ああ」
くぐもった返事がドア越しに聞こえ、ドアが開く。
「カチコミは朝一番だとよ。レッドドラゴンの連中がわざわざ知らせに回ってきた」
ドミトリーは室内に入るなり、情報をもたらした。
自分達で? わざわざ? 誰に伝わるかも解らないのに?
エルザも、いやドミトリーすら同じ考えらしく、三人で顔を見合わせる。
……もう細かいことを気にするのは止めよう。
「ありがとう。受け取ってくれ」
俺は紙幣を十枚ほどドミトリーに差し出す。
彼はちらりとエルザを見、彼女が頷くのを認めてから、受け取った。
俺にはエルザほどの信用は無いというわけだ。
『舎弟』なんだからいいだろうに。
「夜が明け次第、わたし達はここを出る。世話になった」
エルザの言葉にドミトリーは頷き、
「夕飯は少し豪華にしとくよ」
受け取った紙幣をぴらぴらと振って笑う。
ノーマンズランド。
もっと殺伐とした場所だと思ったが、昔馴染みを大切にするドミトリーを見ていると、案外人情味があったようだ。
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