田舎町でこんな出会いがあるなんて

ぱんだちゃん

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第6話:もうちょっと、知りたい

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「あのときは、本当にありがとう」

商店街でのあの出来事から数日。
お礼をちゃんと伝えたくて、私は蒼井さんとカフェで会う約束をした。

町はずれの古民家を改装したカフェ。
普段なら平日昼間は静かなはずなのに、
私たちはなぜか、奥の座敷を貸し切るような形で通されていた。

「……すごい、こんなに広い席使っていいんですか?」

「たまに来るから、顔なじみなだけだよ」

彼はさらっとそう言うけれど、
スタッフさんの“特別感ある対応”が気になって仕方ない。

それに今日の彼は、ナチュラルなニットにジーンズ姿なのに、
どこか“ちゃんとした人感”があって……そのギャップがまた気になる。

「蒼井さんって、お仕事……何してるんですか?」

気になってたことを、ふいに口に出してしまった。

すると彼は、少しだけ目を細めて——
笑った。

「なんていうか、リモートで済む仕事が多くて。ほとんどはオンライン会議と資料づくり、かな」

「へぇ……」

「東京には月に何度か出るけど、基本はここにいる。
人混みとか苦手で、こっちの空気の方が好きだから」

そう言いながら、ゆっくりとカップに口をつける。
その所作一つ一つが洗練されていて、
都会の香りがするのに、自然にこの町に馴染んでるのが不思議だった。

「でも……忙しそうですよね。いつもLINEとか返信、ちょっと遅いし」

「ごめん。会議がずっと続く日もあって。
あと……ちょっと判断しなきゃいけないことが多くて」

「判断?」

「うん。“進めるか止めるか”とか、“やるかやらないか”とか。
その結果が人に影響するから、結構慎重になる」

その言葉に、ハッとした。

……なんだろう。
普通のリモートワークってレベルじゃない気がする。

「それって、もしかして……チームのまとめ役?」

「まとめ……る側、かも」

「え、もしかして……社——」

「しっ」

彼が人差し指を立てて、私の言葉をやんわり遮った。

「今は、ただの蒼井です」

その言い方が優しくて、ちょっと照れたみたいで——
なんだかすごく、キュンとした。

「この町で暮らすの、すごく心地いいんだ。
名前も立場も知らない誰かとして、君とこうして話せるのが、俺にはすごく貴重で」

彼の言葉は静かに響いて、
私の胸の奥を、じわっと温めた。

——この人、きっとすごい人なんだ。
でもそれを誇らず、隠すように暮らしてる。

それがなんだか、とても彼らしく思えた。

「……じゃあ、私もそうします。
“ただの小春”として仲良くしてくださいね」

そう言うと、彼はゆっくりと、すごく優しい目で笑った。

「……それが一番、嬉しいかも」

胸がまた、きゅんと音を立てた気がした。
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