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始まり

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私は今ウルフ系の動物に囲まれている

先程までウサギなどの小動物を狩っていたが、おそらくそれを狙っていたであろう肉食の動物に血抜きの途中に囲まれてしまったのだ

「ど、どうしよう、この距離じゃ弓の方が不利だよね」

慌てている間に周りが水で覆われ、動物達が水に溺れて力なく倒れていった

『マスター、終わりました。戻る前に血抜きをしてしまいましょう』

唖然としている私にシスが声をかけてくる。

「あ、うん、わかった」

言われた通り血抜きをするが、まだ少し吐き気がしてしまう。慣れない手つきで、首元の脈を切り傷を心臓より下にするように吊るしあげる。ある程度流れ出たところでシスが体内に水を入れ血を出していく。最後に血溜まりの部分を地面に埋めて終わる

「終わりだね。これだけあれば、少しはもつかな?」

『3日はもつと推測されます』

「そっか、なら十分だね」

もう、今日は狩りをしなくていいことにホッとしつつ、日が暮れそうなので急いで来た道を戻る

家に着いた時には日が沈む頃だったので、急いで要望通りのステーキを作っていく

料理が完成し、母に会わないように声だけかけて部屋の前に置いて逃げるように自分の部屋に戻る

「終わったー!そろそろ寝ようかなぁ」

『マスター、魔法使用権が譲渡されたままになっています』

「あ、そっか」
「譲渡中止、使用権の返還を申請」

その言葉とともに胸元にあった六芒星のような魔法陣が光りながら浮かび上がる

《ピコン》
《返還の申請を受理します》

その声と共に魔法陣が崩れるように消えていった

『使用権の返還を確認。マスター、念の為魔力操作を行ってください』

「わかった」

私は初めて魔力操作をした時のように丹田辺りに意識を集中させ、温かい部分を探して少しずつ全体に流すように循環させていった

「動いてるし、問題ないよね」

『何かしら体に異常はないでしょうか?ある場合原因を早めに見つけた方がよろしいかと』

「…特にないかな」

シスと話しつつ、魔力を循環させ身体や魔力に以上がないかを調べていく

「そういえば、水属性のスキルレベルって上がってるの?狩の間シス使ってたよね?」

『スキルレベルは上がっておりません。使用権を人に渡していた場合、本来の魔力所有者に残るのは属性に変化しやすくなった魔力と身体への負担のみとなります』

どうやら、魔力を渡す側に利益は特にないようだ

「ん?その割には昔ではよく使われたんだね」

『主に戦争の兵器や奴隷に使われていたようです。そして、犠牲を伴う力の増強として当時の教会が情報を操作したことにより、現在の教会が強いという風潮ができたようです』

教会が強いのは戦時中に民衆に洗脳まがいのことしたからであった

その後、私は今日狩ったものの整理をして眠りについた







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次回、いっきに進めたいと思います
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