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ファイエット学園編
12.モブ令嬢と食堂
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もう、あれから一ヶ月も経ったのかぁ。とシルヴィは謹慎していた魔法科の少年達を食堂で見つけて、ぼんやりとそんな事を思った。
少年はシルヴィと目が合った瞬間、大袈裟に肩を跳ねさせる。そして、そそくさとその場から去っていった。
いや、私は何もしてません。シルヴィは何故なのかと首を傾げた。
「シルヴィ?」
声を掛けられて、シルヴィはそちらに顔を向けた。別れて行動していたルノーが席に戻るのではなく、シルヴィの所にやって来たらしい。
昼食の乗ったトレーを持ったルノーが、どうしたのかと首を傾げている。シルヴィは何でもないと主張するように首を左右に軽く振った。
「……本当に?」
「え? うん」
「ふぅん。それなら、いいけど」
ルノーはちらっとシルヴィが見ていた方に視線を遣った。しかし、そこに少年達の姿が既になかったため、特に追及することなくこの話はそこで終わる。
「ルノーくんも席に戻る?」
「うん」
シルヴィとルノーは基本的に天気が良い日には、外のテラス席で昼食を食べることにしていた。そのため、今日も食堂の外に向かって歩き出す。
食堂を出て、向かって左手側。一番端にあり、且つ少し離れた場所にある席。そこに二人がいつも座るものだから、気づけばそこには誰も座らなくなっていた。
そのため、席取りをしなくてもいつでも空いているのだが、念のためシルヴィはいつもペンを置いておく。前世の癖だ。
今日も置いておいたペンの横に、昼食の乗ったトレーをシルヴィは置いて、食堂側の席に座った。なので、シルヴィが顔を動かさない限り、シルヴィの視界には木々とルノーしか映らない。
勿論それはルノーの“態と”であるが、それにシルヴィは気づいていない。シルヴィの瞳に余計なモノが映らない事に、ルノーが大変満足している事も知らない。
「ねぇ、ルノーくん」
「なに?」
「最近の事件についてどう思う?」
ここ一ヶ月で、魔物の事件が少しずつ目立つようになってきていた。ゲームの通りに。トリスタンが動き出したのだろう。
まだそこまで大事にはなっていないので、騒ぎにはなっていないのだが……。シルヴィは不安で仕方がないのだ。
そんなシルヴィを見て、ルノーは思案するように目を伏せた。ルノーが文献で読んだ限りでは、ルノーが封印されてから魔物達は大人しくしていたようであった。ルノーが人間の姿になってからも、特に目立った事件は起きていない。
それなのに、だ。最近になって俄に騒がしくなってきているのは、何故なのか。ルノーは人間の姿では、まだ一度たりとも魔物に出会していなかった。そのため、シルヴィの質問には答えられそうにない。
魔物達は、ルノーが魔王である事を知らないはずである。シルヴィ以外には教えていないのだから、当たり前だ。そのため、魔王が復活しただのなんだの。そういった類いの騒ぎではなさそうだということだけは確かだった。
「さぁ? シルヴィは気になるの?」
「うん。その、大丈夫なのかなって」
「大丈夫だよ。もし喧嘩を売ってきたら、僕が買ってあげるから」
「あぁ、うん」
それも相まって心配なんだけどな。とは思いつつもシルヴィは苦笑いで誤魔化しておいた。魔物達にルノーが魔王だとバレても、魔物の言葉は誰にも分からないので大丈夫だろうか。大丈夫だと信じたい。
まぁ、魔界の番長であるルノーに勝てる魔物が存在するとは思えないので、そこの心配はいらないだろうとは思う。しかし、変に巻き込まれてルノーの魔力が戻るようなことがあれば、学園が更地になる可能性が跳ね上がる。
あの日の一年生組による会議を思い出して、シルヴィは溜息を吐きそうになって何とか飲み込んだ。ルノーに変に勘繰られるのは避けたい。ひとまずは昼食を食べることにして、シルヴィはスプーンを持った。
ルノーはシルヴィが納得していないことは分かったが、そこいらの魔物に負ける気はしないので、何がそんなに不安なのかは理解できそうにもなかった。
モグモグと昼食を食べ始めたシルヴィを眺めながら、まぁ……。魔物を何体か返り討ちにでもすれば、シルヴィも安心するだろうとルノーは結論付けた。
「シルヴィ」
「うん?」
「心配はしなくていいよ」
うっそりと口元に笑みを浮かべたルノーに、シルヴィはきょとんと目を瞬く。これは……。好戦的な類いの笑みだと小さい頃からルノーを見てきたシルヴィは即座にそう判断した。判断して、こくこくと頷く。
それにルノーは満足したのか、ルノーも昼食を食べ始めた。物騒だ。とてつもなく物騒だ。シルヴィはどうかルノーも自分も巻き込まれませんように。と、強く祈ったのだった。
「ルノーくん、今日のデザートは何にするの?」
「そうだな……。ケーキ。苺が沢山乗っているのが美味しそうだった」
「たしかに。じゃあ、私はチョコレートのケーキにしようかな。一口交換する?」
「する」
デザートに苺が沢山乗ったケーキを選択する所は、相変わらず可愛らしいというのに。シルヴィは喜色が滲んだルノーの深い紺色の瞳を眺めながら、困ったように笑った。
そこで、ふとトリスタンの顔が浮かぶ。顔というか、トリスタンの瑠璃色の瞳が浮かんだのだ。あの会議から、シルヴィは懸命にゲームの黒幕ルートの記憶を探った。やはり曖昧ではあるのだが、思い出したこともある。
黒幕、トリスタンルートで判明する情報。闇の魔力を持つ人間は青色の瞳を持って産まれるのだそう。そして、闇の魔力の純度が高ければ高いほど、瞳の青は黒に近くなる。
つまり、ルノーの深い紺色はかなり純度が高いことを示していた。純度が高ければ闇魔法の威力も高いということだ。なので、トリスタンの瑠璃色の瞳もかなりのものということになる。
それをルノーは知っていたのだ。だから、敢えてあの時トリスタンの瞳に触れたに違いない。トリスタンもその事を知っているのか探るために。まぁ、意地悪も多少は含まれていたのだろうが。
他の正規ルートでトリスタンはシルエットしか出て来ない。そして、魔王を復活させた後はその罰を受けたのか、精神が壊れる描写があった気がする。そのまま戦闘に巻き込まれて魔王に殺されるか。ルートによっては処刑もあったはずだ。
トリスタンルートのハッピーエンドはどういったものだったのだろうか。是非とも見てみたかった。どう頑張っても途中からの記憶がないので、やはりシルヴィはクリアする前に死んでしまったようだ。
「ねぇ、シルヴィ」
「んー?」
「難しい顔をして、どうかしたの?」
「え? そんな顔してた?」
「うん。最近、よくしてる」
「そうかな」
それは、気を付けなくては。ジャスミーヌのように口に出すのが一番まずいが、顔に出るのも駄目だなとシルヴィはちょっと反省した。そして、誤魔化すように苦笑する。
「授業で難しい所があったから」
「そう。じゃあ、後で教えてあげるよ」
「本当? ルノーくん教えるの上手だから助かります」
「うん」
シルヴィに褒められて、ルノーが嬉しそうに頷く。授業で分からない所は本当にあったので、シルヴィは本気で助かったと思った。
不意に、遠くから悲鳴が聞こえた気がしてシルヴィは動きを止める。それはルノーにも聞こえたようだ。ルノーも悲鳴が聞こえた方向。後ろを振り返った。
「何だろう?」
「…………」
ルノーは警戒するように、目を細める。瞬間、炎の柱が立ち上った。
少年はシルヴィと目が合った瞬間、大袈裟に肩を跳ねさせる。そして、そそくさとその場から去っていった。
いや、私は何もしてません。シルヴィは何故なのかと首を傾げた。
「シルヴィ?」
声を掛けられて、シルヴィはそちらに顔を向けた。別れて行動していたルノーが席に戻るのではなく、シルヴィの所にやって来たらしい。
昼食の乗ったトレーを持ったルノーが、どうしたのかと首を傾げている。シルヴィは何でもないと主張するように首を左右に軽く振った。
「……本当に?」
「え? うん」
「ふぅん。それなら、いいけど」
ルノーはちらっとシルヴィが見ていた方に視線を遣った。しかし、そこに少年達の姿が既になかったため、特に追及することなくこの話はそこで終わる。
「ルノーくんも席に戻る?」
「うん」
シルヴィとルノーは基本的に天気が良い日には、外のテラス席で昼食を食べることにしていた。そのため、今日も食堂の外に向かって歩き出す。
食堂を出て、向かって左手側。一番端にあり、且つ少し離れた場所にある席。そこに二人がいつも座るものだから、気づけばそこには誰も座らなくなっていた。
そのため、席取りをしなくてもいつでも空いているのだが、念のためシルヴィはいつもペンを置いておく。前世の癖だ。
今日も置いておいたペンの横に、昼食の乗ったトレーをシルヴィは置いて、食堂側の席に座った。なので、シルヴィが顔を動かさない限り、シルヴィの視界には木々とルノーしか映らない。
勿論それはルノーの“態と”であるが、それにシルヴィは気づいていない。シルヴィの瞳に余計なモノが映らない事に、ルノーが大変満足している事も知らない。
「ねぇ、ルノーくん」
「なに?」
「最近の事件についてどう思う?」
ここ一ヶ月で、魔物の事件が少しずつ目立つようになってきていた。ゲームの通りに。トリスタンが動き出したのだろう。
まだそこまで大事にはなっていないので、騒ぎにはなっていないのだが……。シルヴィは不安で仕方がないのだ。
そんなシルヴィを見て、ルノーは思案するように目を伏せた。ルノーが文献で読んだ限りでは、ルノーが封印されてから魔物達は大人しくしていたようであった。ルノーが人間の姿になってからも、特に目立った事件は起きていない。
それなのに、だ。最近になって俄に騒がしくなってきているのは、何故なのか。ルノーは人間の姿では、まだ一度たりとも魔物に出会していなかった。そのため、シルヴィの質問には答えられそうにない。
魔物達は、ルノーが魔王である事を知らないはずである。シルヴィ以外には教えていないのだから、当たり前だ。そのため、魔王が復活しただのなんだの。そういった類いの騒ぎではなさそうだということだけは確かだった。
「さぁ? シルヴィは気になるの?」
「うん。その、大丈夫なのかなって」
「大丈夫だよ。もし喧嘩を売ってきたら、僕が買ってあげるから」
「あぁ、うん」
それも相まって心配なんだけどな。とは思いつつもシルヴィは苦笑いで誤魔化しておいた。魔物達にルノーが魔王だとバレても、魔物の言葉は誰にも分からないので大丈夫だろうか。大丈夫だと信じたい。
まぁ、魔界の番長であるルノーに勝てる魔物が存在するとは思えないので、そこの心配はいらないだろうとは思う。しかし、変に巻き込まれてルノーの魔力が戻るようなことがあれば、学園が更地になる可能性が跳ね上がる。
あの日の一年生組による会議を思い出して、シルヴィは溜息を吐きそうになって何とか飲み込んだ。ルノーに変に勘繰られるのは避けたい。ひとまずは昼食を食べることにして、シルヴィはスプーンを持った。
ルノーはシルヴィが納得していないことは分かったが、そこいらの魔物に負ける気はしないので、何がそんなに不安なのかは理解できそうにもなかった。
モグモグと昼食を食べ始めたシルヴィを眺めながら、まぁ……。魔物を何体か返り討ちにでもすれば、シルヴィも安心するだろうとルノーは結論付けた。
「シルヴィ」
「うん?」
「心配はしなくていいよ」
うっそりと口元に笑みを浮かべたルノーに、シルヴィはきょとんと目を瞬く。これは……。好戦的な類いの笑みだと小さい頃からルノーを見てきたシルヴィは即座にそう判断した。判断して、こくこくと頷く。
それにルノーは満足したのか、ルノーも昼食を食べ始めた。物騒だ。とてつもなく物騒だ。シルヴィはどうかルノーも自分も巻き込まれませんように。と、強く祈ったのだった。
「ルノーくん、今日のデザートは何にするの?」
「そうだな……。ケーキ。苺が沢山乗っているのが美味しそうだった」
「たしかに。じゃあ、私はチョコレートのケーキにしようかな。一口交換する?」
「する」
デザートに苺が沢山乗ったケーキを選択する所は、相変わらず可愛らしいというのに。シルヴィは喜色が滲んだルノーの深い紺色の瞳を眺めながら、困ったように笑った。
そこで、ふとトリスタンの顔が浮かぶ。顔というか、トリスタンの瑠璃色の瞳が浮かんだのだ。あの会議から、シルヴィは懸命にゲームの黒幕ルートの記憶を探った。やはり曖昧ではあるのだが、思い出したこともある。
黒幕、トリスタンルートで判明する情報。闇の魔力を持つ人間は青色の瞳を持って産まれるのだそう。そして、闇の魔力の純度が高ければ高いほど、瞳の青は黒に近くなる。
つまり、ルノーの深い紺色はかなり純度が高いことを示していた。純度が高ければ闇魔法の威力も高いということだ。なので、トリスタンの瑠璃色の瞳もかなりのものということになる。
それをルノーは知っていたのだ。だから、敢えてあの時トリスタンの瞳に触れたに違いない。トリスタンもその事を知っているのか探るために。まぁ、意地悪も多少は含まれていたのだろうが。
他の正規ルートでトリスタンはシルエットしか出て来ない。そして、魔王を復活させた後はその罰を受けたのか、精神が壊れる描写があった気がする。そのまま戦闘に巻き込まれて魔王に殺されるか。ルートによっては処刑もあったはずだ。
トリスタンルートのハッピーエンドはどういったものだったのだろうか。是非とも見てみたかった。どう頑張っても途中からの記憶がないので、やはりシルヴィはクリアする前に死んでしまったようだ。
「ねぇ、シルヴィ」
「んー?」
「難しい顔をして、どうかしたの?」
「え? そんな顔してた?」
「うん。最近、よくしてる」
「そうかな」
それは、気を付けなくては。ジャスミーヌのように口に出すのが一番まずいが、顔に出るのも駄目だなとシルヴィはちょっと反省した。そして、誤魔化すように苦笑する。
「授業で難しい所があったから」
「そう。じゃあ、後で教えてあげるよ」
「本当? ルノーくん教えるの上手だから助かります」
「うん」
シルヴィに褒められて、ルノーが嬉しそうに頷く。授業で分からない所は本当にあったので、シルヴィは本気で助かったと思った。
不意に、遠くから悲鳴が聞こえた気がしてシルヴィは動きを止める。それはルノーにも聞こえたようだ。ルノーも悲鳴が聞こえた方向。後ろを振り返った。
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