プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

文字の大きさ
70 / 264
5年生 3学期 2月

ヒーローの決意

しおりを挟む
 火曜日の朝。
 僕と一緒に登校しているのは、栗っち、大ちゃん、彩歌あやか、そしてるり。ごく普通の朝の風景だ。

「今日の国語、漢字のテストだぜー」

「うわ、そうだっけ……」

 小学5年生の漢字をあなどってはいけない。意外と忘れていて、不意打ちを食らう事になる
ぞ。

「ふふーん。あたしは完璧に覚えてきたよ!」

「えへへ。偉いね、るりちゃん」

「お兄ちゃんはもう一度、1年生からやり直せばいいのよ」

 いや、もうこれ以上巻き戻されるのはゴメンだ。
 ……クスクスと、後ろで彩歌が笑っている。
 まるで〝本物〟みたいだ。

「あと、給食がカレーなんだよな! 楽しみすぎるぜー!」

 給食か。
 ……僕と彩歌は大丈夫だとして、大ちゃんは平気なのかな?
 まあ、それを自分でしゃべっているからには、大丈夫なんだろう。
 〝完全自律型〟で超高性能学習AI搭載って言ってたもんな。

「そういえばお正月に食べた、るりちゃんのカレー、美味しかったよ!」

 栗っちが食べたのは、妹の愛情入りカレーだ。
 ……そうか、あれ、美味しかったか。
 僕は、どうやったらあそこまでカレーをこじらせられるのか、不思議だったけどなあ。

「おいおい、お熱いなー! もう新婚気分じゃんか!」

 大ちゃんの言う〝新郎新婦〟が誰と誰なのかは分からない。きっと全てが気のせいだろう。
 ……しかし〝この大ちゃん〟全く違和感無いな。

『タツヤ、ダイサクは本当に面白いな。やはり人知を超えている』

「そうだな。悪の秘密結社なら絶対に一人は欲しい逸材だよ……」

 いま、ブルーは〝この達也〟の右手には居ない。
 一見いつもの登校風景に見えるが、実は〝人間〟は栗っちと妹の2人だけだ。
 僕は土人形つちにんぎょう、彩歌は分身。そして大ちゃんは……ロボだ。





 >>>





『そうかー! 無事ついたのか、早いなー!』

『うん、快適な旅だったよ。それにしても、大ちゃんスゴいなあ。機械人形、ここまで完成してたんだね!』

 大ちゃんは、地下の自室から〝すごメガネ〟とブルーの欠片かけらを使って、オランダに居る僕と話している。

『ああ。今日は試運転をしようと思ってなー。俺も地下でモニターしてるから大丈夫だと思うけど、なんかあったらよろしく頼むぜー!』

 どうやら緊急時には遠隔操作も出来るらしい。とんでもないテクノロジーだ。

『了解。ところで今、話題に出てたけど、大ちゃんロボは給食とか食べれるの?』

『おう、もちろん。食べたものはちゃんと消化して、エネルギーに変えるんだ。トイレも擬似的に行くし、違和感は無いと思うぜ』

 スゴイ! 完璧じゃんか。
 はひやるわでも、飛行ユニットの時みたいな事が有るといけないから、注意はしておこう。

『それより、気になるのは明日の事だなー』

 ユーリの〝予約〟は〝時刻〟が分からない。
 最悪、僕の用事とタイミングが被る可能性もある。
 分岐点は現地時間で13時頃とブルーが言っていた。オランダの少女が持つ手紙が無事、送り先のポストに届くのを……あれ?

『ブルー、なんで13時頃なんだ? 手紙を守るならもっと長時間になるだろう』

『うん、それはね。マリルー・ハウトヴァストが、ポストに投函する前、何らかのトラブルで手紙を紛失する。そのトラブルが起きるのが13時前後のはずなんだ』

『その手紙を追って、守らなくても大丈夫なのか?』

『今回は星を救うための分岐点だ。キミや彩歌が歴史を曲げたなら、戻ることは無い。余程のイレギュラーが無い限りはね』

 なるほど。13時前後の分岐点さえなんとかすれば、土人形の方に集中できるな。ユーリの状況を知る事が出来るし、何より大ちゃんは……

『今までの話から推理すると、ユーリは1人で、最大5人の何者かと戦うみたいだ。敵というのがどれくらいの強さなのかわからないけど、ベルトの力で加勢しようと思う』

 大ちゃんは、戦いに乱入するつもりだ。時券チケットを持つ僕か、大ちゃんにしか出来ない事だ。しかし、危険過ぎはしないだろうか。

『やっぱり、先に話したほうがいいんじゃないかな。ユーリだって、ベルトを着けた大ちゃんが普通の人間じゃないとわかれば、きっと……』

『いやー、たぶんアイツは、ことわるだろ』

 そうだ。ユーリは一人で戦うと決めていた。僕や大ちゃんが普通の人間じゃないと、どれだけ説明しても、ユーリは〝うん〟とは言わない。

『だから、実際に戦ってみせるんだ。俺はやるぜー!』

 おとこだな、大ちゃん! そこまで言うならもう止めない。正直な所、僕も心配だったんだ。無事にユーリを助けて欲しい。

『わかったよ大ちゃん。ただ、心配なのが……』

『あー……〝守護〟と〝加護〟が発動しないんだよな』

 そう。僕と栗っちの居ない状況なのが心配だ。〝星の守護〟と〝神の加護〟は、それぞれ守備力を倍にする効果があるが……

『ダイサク。キミはタツヤから離れすぎていて〝星の守護〟が受けられない。更に、カズヤの時間が停止すれば〝神の加護〟も発動しない』

『あー、やっぱりそうだよなー。友情パワー無しだと、さすがにキツイぜー!』

『大ちゃん、出来るだけ無茶はしないでよ』

『まあ、でもさ。ユーリを守るためなら、俺、何でもするよ』

 本当に好きなんだな、ユーリの事。
 ふと気がつくと、僕の腕をつかんで、彩歌が泣いていた。起きてたのか。

『九条くん、私も応援してる。頑張ってね!』

『おー、ありがとな! たっちゃんをよろしく頼むぜー! 何せ、ユーリはたっちゃんにゾッコンだからな。俺としては、藤島ふじしまさんに頑張ってほしいよなー!』

 えええ、マジで?! 気付いてたのか大ちゃん!

『今、驚いてるだろ、たっちゃん。栗っちに口止めしてた甲斐があったなー!』

『えへへ。ゴメンね、たっちゃん』

 まあ、そりゃそうか。気付かないわけ無いよな。賢さ5882の大ちゃんが。

『まあ、俺は俺のやり方で、ユーリを振り向かせてみせるぜー!』

 大ちゃんは、やっぱりカッコイイな!

『九条くん、友里さんを守ってあげて。どうか2人とも無事で!』

『ユーリを守る、無敵のヒーローは大ちゃんだけだよ。頑張って!』

『おー! どんな敵でもかかって来い、だぜー!』

しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

処理中です...