プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜

ガトー

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5年生 3学期 2月

ヒーローの決意

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 火曜日の朝。
 僕と一緒に登校しているのは、栗っち、大ちゃん、彩歌あやか、そしてるり。ごく普通の朝の風景だ。

「今日の国語、漢字のテストだぜー」

「うわ、そうだっけ……」

 小学5年生の漢字をあなどってはいけない。意外と忘れていて、不意打ちを食らう事になる
ぞ。

「ふふーん。あたしは完璧に覚えてきたよ!」

「えへへ。偉いね、るりちゃん」

「お兄ちゃんはもう一度、1年生からやり直せばいいのよ」

 いや、もうこれ以上巻き戻されるのはゴメンだ。
 ……クスクスと、後ろで彩歌が笑っている。
 まるで〝本物〟みたいだ。

「あと、給食がカレーなんだよな! 楽しみすぎるぜー!」

 給食か。
 ……僕と彩歌は大丈夫だとして、大ちゃんは平気なのかな?
 まあ、それを自分でしゃべっているからには、大丈夫なんだろう。
 〝完全自律型〟で超高性能学習AI搭載って言ってたもんな。

「そういえばお正月に食べた、るりちゃんのカレー、美味しかったよ!」

 栗っちが食べたのは、妹の愛情入りカレーだ。
 ……そうか、あれ、美味しかったか。
 僕は、どうやったらあそこまでカレーをこじらせられるのか、不思議だったけどなあ。

「おいおい、お熱いなー! もう新婚気分じゃんか!」

 大ちゃんの言う〝新郎新婦〟が誰と誰なのかは分からない。きっと全てが気のせいだろう。
 ……しかし〝この大ちゃん〟全く違和感無いな。

『タツヤ、ダイサクは本当に面白いな。やはり人知を超えている』

「そうだな。悪の秘密結社なら絶対に一人は欲しい逸材だよ……」

 いま、ブルーは〝この達也〟の右手には居ない。
 一見いつもの登校風景に見えるが、実は〝人間〟は栗っちと妹の2人だけだ。
 僕は土人形つちにんぎょう、彩歌は分身。そして大ちゃんは……ロボだ。





 >>>





『そうかー! 無事ついたのか、早いなー!』

『うん、快適な旅だったよ。それにしても、大ちゃんスゴいなあ。機械人形、ここまで完成してたんだね!』

 大ちゃんは、地下の自室から〝すごメガネ〟とブルーの欠片かけらを使って、オランダに居る僕と話している。

『ああ。今日は試運転をしようと思ってなー。俺も地下でモニターしてるから大丈夫だと思うけど、なんかあったらよろしく頼むぜー!』

 どうやら緊急時には遠隔操作も出来るらしい。とんでもないテクノロジーだ。

『了解。ところで今、話題に出てたけど、大ちゃんロボは給食とか食べれるの?』

『おう、もちろん。食べたものはちゃんと消化して、エネルギーに変えるんだ。トイレも擬似的に行くし、違和感は無いと思うぜ』

 スゴイ! 完璧じゃんか。
 はひやるわでも、飛行ユニットの時みたいな事が有るといけないから、注意はしておこう。

『それより、気になるのは明日の事だなー』

 ユーリの〝予約〟は〝時刻〟が分からない。
 最悪、僕の用事とタイミングが被る可能性もある。
 分岐点は現地時間で13時頃とブルーが言っていた。オランダの少女が持つ手紙が無事、送り先のポストに届くのを……あれ?

『ブルー、なんで13時頃なんだ? 手紙を守るならもっと長時間になるだろう』

『うん、それはね。マリルー・ハウトヴァストが、ポストに投函する前、何らかのトラブルで手紙を紛失する。そのトラブルが起きるのが13時前後のはずなんだ』

『その手紙を追って、守らなくても大丈夫なのか?』

『今回は星を救うための分岐点だ。キミや彩歌が歴史を曲げたなら、戻ることは無い。余程のイレギュラーが無い限りはね』

 なるほど。13時前後の分岐点さえなんとかすれば、土人形の方に集中できるな。ユーリの状況を知る事が出来るし、何より大ちゃんは……

『今までの話から推理すると、ユーリは1人で、最大5人の何者かと戦うみたいだ。敵というのがどれくらいの強さなのかわからないけど、ベルトの力で加勢しようと思う』

 大ちゃんは、戦いに乱入するつもりだ。時券チケットを持つ僕か、大ちゃんにしか出来ない事だ。しかし、危険過ぎはしないだろうか。

『やっぱり、先に話したほうがいいんじゃないかな。ユーリだって、ベルトを着けた大ちゃんが普通の人間じゃないとわかれば、きっと……』

『いやー、たぶんアイツは、ことわるだろ』

 そうだ。ユーリは一人で戦うと決めていた。僕や大ちゃんが普通の人間じゃないと、どれだけ説明しても、ユーリは〝うん〟とは言わない。

『だから、実際に戦ってみせるんだ。俺はやるぜー!』

 おとこだな、大ちゃん! そこまで言うならもう止めない。正直な所、僕も心配だったんだ。無事にユーリを助けて欲しい。

『わかったよ大ちゃん。ただ、心配なのが……』

『あー……〝守護〟と〝加護〟が発動しないんだよな』

 そう。僕と栗っちの居ない状況なのが心配だ。〝星の守護〟と〝神の加護〟は、それぞれ守備力を倍にする効果があるが……

『ダイサク。キミはタツヤから離れすぎていて〝星の守護〟が受けられない。更に、カズヤの時間が停止すれば〝神の加護〟も発動しない』

『あー、やっぱりそうだよなー。友情パワー無しだと、さすがにキツイぜー!』

『大ちゃん、出来るだけ無茶はしないでよ』

『まあ、でもさ。ユーリを守るためなら、俺、何でもするよ』

 本当に好きなんだな、ユーリの事。
 ふと気がつくと、僕の腕をつかんで、彩歌が泣いていた。起きてたのか。

『九条くん、私も応援してる。頑張ってね!』

『おー、ありがとな! たっちゃんをよろしく頼むぜー! 何せ、ユーリはたっちゃんにゾッコンだからな。俺としては、藤島ふじしまさんに頑張ってほしいよなー!』

 えええ、マジで?! 気付いてたのか大ちゃん!

『今、驚いてるだろ、たっちゃん。栗っちに口止めしてた甲斐があったなー!』

『えへへ。ゴメンね、たっちゃん』

 まあ、そりゃそうか。気付かないわけ無いよな。賢さ5882の大ちゃんが。

『まあ、俺は俺のやり方で、ユーリを振り向かせてみせるぜー!』

 大ちゃんは、やっぱりカッコイイな!

『九条くん、友里さんを守ってあげて。どうか2人とも無事で!』

『ユーリを守る、無敵のヒーローは大ちゃんだけだよ。頑張って!』

『おー! どんな敵でもかかって来い、だぜー!』

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