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5年生 3学期 2月
ひとりぼっちの戦い
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オランダ時間で午前2時。日本時間では午前10時。
……それは、授業中に始まったんだ。
『タツヤ、時券が消費された。時神の 休日だ』
「来たか!」
僕は全神経を〝土人形〟に集中した。
……先生も生徒も、斜め前に座っている女の子の、机の端からこぼれて落下中の消しゴムも。
周囲の物は全て止まっている。ユーリ以外は。
「ユーリ!」
僕の声に振り向くユーリ。少しだけ驚いた様な顔をしている。
「たっちゃん、やっぱり……」
〝やっぱり〟か。
……僕が普通でない事に、気付いていたんだな。
ユーリは、一度だけ周囲をくるりと見回し、僕に言った。
「……たっちゃん、お願い。ここに隠れて、じっとしてて」
ユーリは、教室を飛び出していった。
「おう、分かった! それじゃじっとして……るわけにはいかないだろ!」
僕はユーリを追いかける。
しかし、土人形の体力は〝人間並み〟だ。本気モードのユーリにはとても追いつけない。
『たっちゃん、聞こえるか? ……始まったな!』
……大ちゃんの声だ。
教室にいる大ちゃんは〝ロボ〟だ。もちろん、止まっている。
『大ちゃん、今どこ?』
『地下室を出たぜ……変身!』
大ちゃんが変身した。こちらに向かっているようだ。
『急いで! ユーリが教室を出たよ!』
『了解した、タツヤ少年! 可能なら、音声をこちらに送り続けて欲しい』
レッドのスーツの〝ヘルメット部分〟には〝凄メガネ〟と同じく、ブルーを認識するためのシステムが内蔵されている。
そのおかげで、レッドに変身しても、大ちゃんの持つブルーの欠片を使って、いつでも通信ができるのだ。
『レッド! 僕の〝土人形〟は何の役にも立たない。急いで!』
『安心したまえ。必ず間に合う!』
時神の 休日が始まると、大ちゃんは、僕の右手の〝ブルー本体〟の存在を認識することが出来る。
……だが、ブルーの欠片を経由した会話は〝凄メガネ〟の機能が無ければ無理のようだ。
『グラウンドだ。ユーリが居る!』
校舎を出た。
ユーリは、グラウンドの真ん中に立っている。
そして……空から5つの人影が降りて来るのが見えた。
『何だ? ……人間?』
……あれが、ユーリの〝敵〟なのか?
「よーし! 絶対に勝つよ!」
ユーリは、手に持った〝何か〟を頭上に掲げる。
「武装!」
ユーリが大声で叫ぶと、みるみる内に、その姿は〝驚くべき変化〟を遂げた。
黄土色の甲冑、黄土色の兜、黄土色の剣。
……見るからに重そうな、ぶ厚い装甲に覆われた、ずんぐりむっくりな姿。
『あ、あああ!』
『タツヤ少年、どうした? 何が起きたのだ?』
『そんな…‥! あの姿は……?!』
それはまさに〝埴輪〟だった。
「あれが……ガジェットを装備したユーリ……」
ダサい。
ごめん。凄くダサい。
……本当に〝埴輪〟だ。
今、出土したと言われても信じるぐらいに〝埴輪〟だよ。
「私は地球を守る戦士、ユーリ! 名を名乗れにゃ!」
地上に降り立った5つの人影は、次々に名乗りを上げる。
「俺は〝ガロウズ星〟の戦士、ヴォルフ!」
「同じく、ローボ!」
「リュコスだ」
「私は、ルプ。ガロウズの月から参った」
「……スリガラ」
「我らは、銀河法に則り、宣戦を布告した。この戦いが、正当な物だという事は、全ての星々が承認済みだ。いいな!」
「了承した。受けて立つにゃー!」
ヴォルフと名乗った宇宙人が、周囲を見回して言った。
「……戦士はお前だけか」
「そうにゃ」
「油断させておいて、他の戦士が現れるという作戦もあるが……」
へぇ……! そんなのもアリなのか。
「まあ良い。5人までなら、この星の〝誰か〟が途中で参加しても、ルールの範囲内だ。この停止した戦場に立てる者ならな」
なんとなく、分かってきたぞ。こいつら、地球を侵略しに来た〝宇宙人〟か。
ユーリの一族は、宇宙人の侵略から地球を守ってきたんだ!
……たぶん、埴輪が作られるような大昔から。
きっと、ガジェットを装備した戦士の姿が、埴輪のモチーフになってるんだな。
「そんな卑怯なマネはしないにゃあ!」
「ふん。どうだか」
それにしても、あいつら宇宙人なのに、さっきから、めちゃくちゃ日本語を喋ってるのな……
「噂は聞いている。かつて失われた〝ウォルナミス星〟の高度な技術力によって作られたガジェットを使い、類まれな戦闘能力を持つウォルナミスの民の末裔は、300メーゼン近くも、この星を侵略から守っていると」
300メーゼンって何だろう。
話の流れ的に〝期間〟的な事か?
……だとしたら、埴輪の時代からと考えると2000年ぐらいか?
『タツヤ。ユーリの特記事項にあった〝外来種〟というのは、もしかしたら……』
『そうか、ユーリのご先祖も、宇宙人か!』
……ユーリのお姉さんが言っていた〝ウォルナミスの血が濃く出ている〟というのは、ユーリの一族が、ウォルナミス星人と地球人の間に生まれた人たちだということなんだろうな。
『なるほど。ユーリの〝怪力〟や〝猫耳〟は、若干、普通ではないと思ってはいたが……』
若干かなぁ。
『思ってはいたが、さすがに衝撃的だな』
そりゃショックだろう。
自分の想い人が宇宙人だったなんて。
『レッド……』
『だからと言って、私は何も変わらないし、ユーリはユーリだ。絶対に助ける!』
……よく言ったレッド! そうだな。ユーリはユーリだ。
『そうだな! ……ユーリを一人で戦わせるわけにはいかない。レッド、早く来てくれ!』
『もちろんだ。全力で向かっている』
ガロウズ星人とユーリは、一触即発といった感じで対峙する。
「にゃー! お前たちも、今までのヤツらと同じように、絶対に倒すにゃ! この星は渡さないにゃあ!」
「その時代遅れのガジェットがどれ程の物か試してやる! 行くぞ!」
時代遅れと言われれば、本当にその通りだ。ユーリの〝埴輪のような姿〟に対して、相手の戦士5人は、かなりスタイリッシュな装備に見える。特に最初に名乗った3人は、テカテカ光る流線型のボディで強者感半端ない。
敵は5人掛かりでユーリに襲いかかった。ユーリは反射的に後ろに飛び退き、剣を構える。
「くらうにゃ! 魔神の剣!」
先程、スリガラと名乗った敵を一閃。真っ二つに切り裂いた。
「スリガラ! ば……馬鹿な! 一撃で?!」
「ルプ! 気を抜くな、追撃が来るぞ!」
ユーリは、恐ろしいスピードで、敵……ルプに肉薄。間髪入れずに左脇から切り上げる。
「ぎゃあああぁぁ!!」
ルプも、凄まじい断末魔とともに倒れた。
……強いなユーリ!
「にゃー! 降参するなら今の内だよ!」
「クク……ハハハ! さすがは伝説の〝ウォルナミス・ガジェット〟……並の戦士など、相手にもならないか」
「ヴォルフ、やっぱり月の奴らなんて役に立たねえじゃねえか」
「まあそう言うなリュコス、アイツ等は使い捨てだ。噂が本当かどうか、試すためのな。だが、伝説と詠われたガジェットも、所詮、旧式は旧式。俺たちの相手には、なりそうに無いな」
「それじゃ、やるか?」
「ああ。俺が出るまでもない。ローボ、リュコス〝リミッター〟を解除しろ。ウォルナミス人を八つ裂きにしてやれ」
「了解!」
「うへへ、腕がなるぜ」
2人の敵が、腰の辺りを操作すると、突然、スーツがボコボコと膨らんで、大きくなっていく。ゴリマッチョな感じに。
……なんとなく、ヤバい雰囲気じゃないか?
……それは、授業中に始まったんだ。
『タツヤ、時券が消費された。時神の 休日だ』
「来たか!」
僕は全神経を〝土人形〟に集中した。
……先生も生徒も、斜め前に座っている女の子の、机の端からこぼれて落下中の消しゴムも。
周囲の物は全て止まっている。ユーリ以外は。
「ユーリ!」
僕の声に振り向くユーリ。少しだけ驚いた様な顔をしている。
「たっちゃん、やっぱり……」
〝やっぱり〟か。
……僕が普通でない事に、気付いていたんだな。
ユーリは、一度だけ周囲をくるりと見回し、僕に言った。
「……たっちゃん、お願い。ここに隠れて、じっとしてて」
ユーリは、教室を飛び出していった。
「おう、分かった! それじゃじっとして……るわけにはいかないだろ!」
僕はユーリを追いかける。
しかし、土人形の体力は〝人間並み〟だ。本気モードのユーリにはとても追いつけない。
『たっちゃん、聞こえるか? ……始まったな!』
……大ちゃんの声だ。
教室にいる大ちゃんは〝ロボ〟だ。もちろん、止まっている。
『大ちゃん、今どこ?』
『地下室を出たぜ……変身!』
大ちゃんが変身した。こちらに向かっているようだ。
『急いで! ユーリが教室を出たよ!』
『了解した、タツヤ少年! 可能なら、音声をこちらに送り続けて欲しい』
レッドのスーツの〝ヘルメット部分〟には〝凄メガネ〟と同じく、ブルーを認識するためのシステムが内蔵されている。
そのおかげで、レッドに変身しても、大ちゃんの持つブルーの欠片を使って、いつでも通信ができるのだ。
『レッド! 僕の〝土人形〟は何の役にも立たない。急いで!』
『安心したまえ。必ず間に合う!』
時神の 休日が始まると、大ちゃんは、僕の右手の〝ブルー本体〟の存在を認識することが出来る。
……だが、ブルーの欠片を経由した会話は〝凄メガネ〟の機能が無ければ無理のようだ。
『グラウンドだ。ユーリが居る!』
校舎を出た。
ユーリは、グラウンドの真ん中に立っている。
そして……空から5つの人影が降りて来るのが見えた。
『何だ? ……人間?』
……あれが、ユーリの〝敵〟なのか?
「よーし! 絶対に勝つよ!」
ユーリは、手に持った〝何か〟を頭上に掲げる。
「武装!」
ユーリが大声で叫ぶと、みるみる内に、その姿は〝驚くべき変化〟を遂げた。
黄土色の甲冑、黄土色の兜、黄土色の剣。
……見るからに重そうな、ぶ厚い装甲に覆われた、ずんぐりむっくりな姿。
『あ、あああ!』
『タツヤ少年、どうした? 何が起きたのだ?』
『そんな…‥! あの姿は……?!』
それはまさに〝埴輪〟だった。
「あれが……ガジェットを装備したユーリ……」
ダサい。
ごめん。凄くダサい。
……本当に〝埴輪〟だ。
今、出土したと言われても信じるぐらいに〝埴輪〟だよ。
「私は地球を守る戦士、ユーリ! 名を名乗れにゃ!」
地上に降り立った5つの人影は、次々に名乗りを上げる。
「俺は〝ガロウズ星〟の戦士、ヴォルフ!」
「同じく、ローボ!」
「リュコスだ」
「私は、ルプ。ガロウズの月から参った」
「……スリガラ」
「我らは、銀河法に則り、宣戦を布告した。この戦いが、正当な物だという事は、全ての星々が承認済みだ。いいな!」
「了承した。受けて立つにゃー!」
ヴォルフと名乗った宇宙人が、周囲を見回して言った。
「……戦士はお前だけか」
「そうにゃ」
「油断させておいて、他の戦士が現れるという作戦もあるが……」
へぇ……! そんなのもアリなのか。
「まあ良い。5人までなら、この星の〝誰か〟が途中で参加しても、ルールの範囲内だ。この停止した戦場に立てる者ならな」
なんとなく、分かってきたぞ。こいつら、地球を侵略しに来た〝宇宙人〟か。
ユーリの一族は、宇宙人の侵略から地球を守ってきたんだ!
……たぶん、埴輪が作られるような大昔から。
きっと、ガジェットを装備した戦士の姿が、埴輪のモチーフになってるんだな。
「そんな卑怯なマネはしないにゃあ!」
「ふん。どうだか」
それにしても、あいつら宇宙人なのに、さっきから、めちゃくちゃ日本語を喋ってるのな……
「噂は聞いている。かつて失われた〝ウォルナミス星〟の高度な技術力によって作られたガジェットを使い、類まれな戦闘能力を持つウォルナミスの民の末裔は、300メーゼン近くも、この星を侵略から守っていると」
300メーゼンって何だろう。
話の流れ的に〝期間〟的な事か?
……だとしたら、埴輪の時代からと考えると2000年ぐらいか?
『タツヤ。ユーリの特記事項にあった〝外来種〟というのは、もしかしたら……』
『そうか、ユーリのご先祖も、宇宙人か!』
……ユーリのお姉さんが言っていた〝ウォルナミスの血が濃く出ている〟というのは、ユーリの一族が、ウォルナミス星人と地球人の間に生まれた人たちだということなんだろうな。
『なるほど。ユーリの〝怪力〟や〝猫耳〟は、若干、普通ではないと思ってはいたが……』
若干かなぁ。
『思ってはいたが、さすがに衝撃的だな』
そりゃショックだろう。
自分の想い人が宇宙人だったなんて。
『レッド……』
『だからと言って、私は何も変わらないし、ユーリはユーリだ。絶対に助ける!』
……よく言ったレッド! そうだな。ユーリはユーリだ。
『そうだな! ……ユーリを一人で戦わせるわけにはいかない。レッド、早く来てくれ!』
『もちろんだ。全力で向かっている』
ガロウズ星人とユーリは、一触即発といった感じで対峙する。
「にゃー! お前たちも、今までのヤツらと同じように、絶対に倒すにゃ! この星は渡さないにゃあ!」
「その時代遅れのガジェットがどれ程の物か試してやる! 行くぞ!」
時代遅れと言われれば、本当にその通りだ。ユーリの〝埴輪のような姿〟に対して、相手の戦士5人は、かなりスタイリッシュな装備に見える。特に最初に名乗った3人は、テカテカ光る流線型のボディで強者感半端ない。
敵は5人掛かりでユーリに襲いかかった。ユーリは反射的に後ろに飛び退き、剣を構える。
「くらうにゃ! 魔神の剣!」
先程、スリガラと名乗った敵を一閃。真っ二つに切り裂いた。
「スリガラ! ば……馬鹿な! 一撃で?!」
「ルプ! 気を抜くな、追撃が来るぞ!」
ユーリは、恐ろしいスピードで、敵……ルプに肉薄。間髪入れずに左脇から切り上げる。
「ぎゃあああぁぁ!!」
ルプも、凄まじい断末魔とともに倒れた。
……強いなユーリ!
「にゃー! 降参するなら今の内だよ!」
「クク……ハハハ! さすがは伝説の〝ウォルナミス・ガジェット〟……並の戦士など、相手にもならないか」
「ヴォルフ、やっぱり月の奴らなんて役に立たねえじゃねえか」
「まあそう言うなリュコス、アイツ等は使い捨てだ。噂が本当かどうか、試すためのな。だが、伝説と詠われたガジェットも、所詮、旧式は旧式。俺たちの相手には、なりそうに無いな」
「それじゃ、やるか?」
「ああ。俺が出るまでもない。ローボ、リュコス〝リミッター〟を解除しろ。ウォルナミス人を八つ裂きにしてやれ」
「了解!」
「うへへ、腕がなるぜ」
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