207 / 264
5年生 3学期 3月
蘇る力
しおりを挟む
猫耳の美少女、美土里は、大ちゃんより先に〝ガジェット〟の修理を終え、勝ち誇っている。
「ククッ。はーはっはっは! 動かないじゃないか! やっぱり所詮はただのガキだったか!」
「……ずいぶん楽しそうで何よりだ」
「えへへ。たっちゃんって時々、皮肉っぽい言い方するよね」
まあね。そりゃ皮肉っぽくもなるよ。
少なくとも、今の勝負がフェアじゃなかった事ぐらいは分かるからな。
「さあさあ、さっさと出ていけガキども。遊びの時間は終わりだ」
美土里の手には、大ちゃんが修理したガジェット。
これは、3年前に失踪した、長老の孫、里留さんが使っていた物だ。
侵略者たちとの戦いで暴走し、地球を救った時に、力を失ってしまってはいるが、遥か昔に惑星ウォルナミスから地球に持ち込まれた本物……〝オリジナル〟のウォルナミス・ガジェットだ。
『タツヤ、確か、ミドリが修理したのは、複製品の方だったよね?』
そう。美土里が直していたのは、ウォルナミス・ガジェットを模して作られた、レプリカ・ガジェットだ。
戦闘に関する性能は、オリジナルに近いらしいけど、決定的に違う点がある。それは〝時間操作機能〟が無いこと。
「やー! 美土里さん、違うんだよー! そのガジェットは……」
「ふん。負け惜しみなど、聞くだけ無駄だ。とっとと帰れ!」
……なぜ最後まで聞かないんだ、この人は?
「でも、大ちゃんが修理したガジェット、なんで動かないんだろう?」
「ああ。里人くん以外が触れても、動かないようにしたんだぜ」
なるほど。ガジェットは貴重品だ。手段を選ばず、手に入れようとする者が居るかもしれない。
万が一のために、セキュリティはしっかりしなきゃだよな。
「やー! それじゃ、里人を連れて来ればいいんだ! 待ってて!」
「あ、ユーリ、ちょっと待て! その前に……」
「やあああぁぁぁぁ!!」
すごい勢いで部屋を飛び出していくユーリ。
「待てって言ってるのになー? 里人くんを連れてくるだけじゃダメなんだぜー?」
大ちゃんが、やれやれと首を横に振っている。
……ウォルナミス人の耳って、あんなに大きいのに聞こえづらいのか?
「ほら、戦士ユーリは出ていったぞ! お前らもさっさと出ていけ」
シッシッと、手を振って退室を促す美土里。
マジか? 今の会話の流れ……は、聞いてなかったんだよな……
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
あ、もう戻ってきたのか? 遠くから、ユーリの声が近づいて来る。
窓から廊下を見ると、里人くんは手を握られて、宙に浮いている。
白目を剥いているぞ? 大丈夫なのだろうか。
「ゃぁぁぁああああ!! 到着!」
扉を蹴り開け、転がり込んでくるユーリ。
手を繋いだままなので、里人くんまで前転で登場だ。やめてあげて!
「あうあう……ゆ、ユーリちゃん……?」
「何だ何だ? 騒々しいガキ共だな!」
里人はクルクルと目を回しており、美土里は訝しげな表情だ。
「やー、美土里さん! そのガジェット、里人のだから動かないんだよ! 里人、武装! 早く武装!」
ユーリは美土里からガジェットを奪い取って、フラフラの里人に手渡した。
「おいこら、嘘をつけ、戦士ユーリ! 里人じゃないから動かないだと? ガジェットに戦士を見分ける機能なんて無いだろ!」
「えっ? えっ? ちょっと待ってよユーリちゃん。僕のガジェットは、こっちだよ?」
自分のレプリカ・ガジェットを取り出す里人。
周りにいた作業員達が、それを見て、ヒソヒソと噂する。
「おい、あれだぞ!〝損壊率10割〟を、あっという間に修理したっていうレプリカ……」
「ええ?! 10割って、ダメージによる〝強制武装解除〟かよ! そんなの、直すのに何年も掛かるだろう?!」
美土里の猫耳がピクリと反応する。
「……10割モノを修理だぁあ?」
かなり小さな声だったけど、今のは聞いてたんだな。
興味の有る無しで、フィルター掛かりすぎだろ……!
「室長……10割モノって……」
作業員が、そっとツッコミを入れる。
……普通は言わないのか。
「そんな面白そうな物を、私に内緒でイジった奴が居るのか? ズルいぞ?!」
あ、肝心なトコロは、やっぱ聞いてないや……
「ですから! ここに居られる九条さんですよ。スゴかったんですから!」
思わず説明する作業員。
それを聞いて、怒りのあまり、クシャッと顔をゆがめる美土里さん。せっかくの猫耳美少女が台無しだ。
「はあああぁ? 寝ボケてんのか? 8割モノですら満足に直せねぇ奴が、どうやってお宝を直すんだよ?!」
この人〝お宝〟って言っちゃってるよ……
「やー! ちがうよ美土里さん! このガジェットは、もう直ってるんだ! 里人、武装して!」
「いや、待て待てユーリ、それはまだ……」
「武装!」
勢いよくユーリに促されて、ピンと猫耳を立てた里人くんが叫ぶ。
「……あれ? 武装できないよ?」
里人くんは、不思議そうに首を傾げる。
……もー! この一族は、ちょこちょこ可愛いな!
「ほら見ろ。ガキ共に修理なんか出来るわけないだろ! 無駄な時間を使わせやがって!」
「にゃー?! 大ちゃん! にゃんでガジェット動かないのん?」
驚きのあまり、耳を出してしまっているユーリ。
「だから言ったろ? まだだって!」
ユーリと里人くんが、キョトンと同時に首を傾げる。かわいいかよ!
「……ああー、聞こえてなかったか。動力の源となっている、惑星ウォルナミスの〝光球の欠片〟からのエネルギー供給がなくなってるんだぜー? 動くはずがないんだ」
『なるほど。もともと〝光球〟の持っていたエネルギーを、暴走した時に使い切ったんだね』
ブルーが、納得したように言った。
「ええ?! それじゃ、あのガジェットは、もう使えないんじゃ……」
『いや、タツヤ。あの〝光球〟は、周囲の力を蓄え続ける。キミの右手に居る私も、アヤカの心臓も、ダイサクの制御基板も、星の力を集められる限り、力を失うことはない』
……惑星ウォルナミスの化身から削り取られ、欠片になった時点で蓄えられていた、莫大なエネルギーを元に、ガジェットは動作している。暴走で沈黙してしまうのは、供給元が無いからなのだ。
『私がエネルギーを供給すれば、光球の欠片は力を得ることが出来るだろう。ただ、今はまだ、ウォルナミスの意思が欠片に伝わっていない状態だ。あのガジェットの中にあるのは、ただの石コロだね』
ウォルナミスの思いは、あの日、ユーリに託された。
〝助けに来てくれますか?〟
〝絶対来るにゃあっ! 約束するよ!!〟
ユーリが貰ったのは、ウォルナミスの欠片を目覚めさせ、正式に開放する力だ。
「つまり、俺とユーリがいれば、暴走したガジェットは蘇るんだぜー! ユーリ、ウォルナミスの欠片の〝真の力〟を引き出してくれ。ガジェットはもう、直ってるからなー!」
「にゃー、わかったよ! ……目覚めて。ウォルナミスの欠片!」
里人くんの持つウォルナミス・ガジェットが、オレンジの光を放つ。
「わっ? わっ?! これ……もしかして?」
里人くんは目を丸くしてガジェットを見つめている。
「なななっ?! そんなの見たこと無いぞ?! 何なんだ、そのガジェットは?!」
美土里さんも驚いている。
「室長、そのガジェットは、レプリカではなく、里留さんの使っていた、オリジナル・ウォルナミス・ガジェットです」
「……?! な、なんだって?!」
「にゃー! いっけー! 里人!」
「おう! 戦士になれ! 里人くん!」
ユーリと大ちゃんの声に、里人くんは我に返った。
ガジェットを高く掲げて、叫ぶ。
「武装!」
まばゆい光がメンテナンスルームを照らす。
「起動した?! 本当に直っていたのか!」
美土里は驚いているが、大ちゃんが〝直ったぜー〟って言って、直ってない物などありえない。
〝完成したぜー〟って言って、爆発する物は、たまーにあるけど。
「……っていうか、なんで光るんだ?!」
それは完全に大ちゃんの趣味だ。
「にゃー! …………里人、カッコイイよ……!」
「よし! 成功だなー!」
ボディカラーは、白を基調に黄色と赤のラインが入った、鮮やかな色合い。
フォルムは、ウォルナミス・ガジェット特有の埴輪型ではなく。洗練された流線型。僕たちのスーツとも違う、全身に装甲板があるスタイルだ。
肩には、若干大きめのシールドが付いており、表面に〝LICHT〟という文字が入っている。
「これが……僕の、ウォルナミス・ガジェット!」
里人が、両手を見つめて、呟く。
「魔神の剣も、ちょっとイジっておいたぜ! たぶん、合ってるはずだ」
……合ってる?
「魔神の剣!」
里人が叫ぶと、目の前に、真っ白な細身の剣が現れた。
「元々の剣は、里人くんの手に合ってなかったし、重過ぎで動きづらそうだったからなー! 軽くして、持ちやすくしておいたぜ? ……あと、刃は俺のオリジナルだ」
里人くんが剣を手に取ると、刀身にオレンジ色の光が宿る。
「ウォルナミスの力を、ダイレクトに纏わせたんだ。切れない物を探すほうが難しいぜー!」
先程からの説明を、美土里は呆然と見つめている。開いた口が塞がっていない。
「盾も装甲も、光線・熱線反射、自己修復機能付きだ。暴走システムは改良してあるから、万が一暴走しても、一ヶ月ほど休ませれば復活する」
「ちょ、ちょっと……ま」
……ん? 美土里が小刻みに震えているぞ?
「ちょっと待てぇぇえええええ!」
突然、美土里が叫ぶ。
「オリジナルって何だよ! レプリカだと思ってたよ! 恥ずかしいじゃねぇか! どういう事だ! なんで死んだガジェットが生き返る?! なんでお前はガジェットを直せる? いや、直すというか、原型を留めてないだろ! なんだその高性能! 無敵じゃねえか! お前は一体何者だ?!」
質問が長いな! 人の言うことは聞かないくせに、欲張り過ぎだぞ?
「あー、そうか、自己紹介してなかったなー!」
あ、そういえばそうだ。
っていうか、あの状態では、自己紹介すら聞いてもらえなかっただろうけど……
「俺は九条大作。大ちゃんって呼んでくれよなー!」
大ちゃんとユーリ、そしてこの部屋にいたウォルナミス人の方々から、今さらながらの詳しい説明を、美土里は腕を組んで胡座をかいたまま、静かに聞いている。
「話は分かった!」
美土里は、説明を聞き終わり、スックと立ち上がる。
キッと大ちゃんを睨み付け、今まで聞いたことの無いような声で叫んだ。
「にゃあああん! 私を弟子にしてください、師匠ぉぉお!」
本当に、聞いたことも無いような〝猫なで声〟だった。
「ククッ。はーはっはっは! 動かないじゃないか! やっぱり所詮はただのガキだったか!」
「……ずいぶん楽しそうで何よりだ」
「えへへ。たっちゃんって時々、皮肉っぽい言い方するよね」
まあね。そりゃ皮肉っぽくもなるよ。
少なくとも、今の勝負がフェアじゃなかった事ぐらいは分かるからな。
「さあさあ、さっさと出ていけガキども。遊びの時間は終わりだ」
美土里の手には、大ちゃんが修理したガジェット。
これは、3年前に失踪した、長老の孫、里留さんが使っていた物だ。
侵略者たちとの戦いで暴走し、地球を救った時に、力を失ってしまってはいるが、遥か昔に惑星ウォルナミスから地球に持ち込まれた本物……〝オリジナル〟のウォルナミス・ガジェットだ。
『タツヤ、確か、ミドリが修理したのは、複製品の方だったよね?』
そう。美土里が直していたのは、ウォルナミス・ガジェットを模して作られた、レプリカ・ガジェットだ。
戦闘に関する性能は、オリジナルに近いらしいけど、決定的に違う点がある。それは〝時間操作機能〟が無いこと。
「やー! 美土里さん、違うんだよー! そのガジェットは……」
「ふん。負け惜しみなど、聞くだけ無駄だ。とっとと帰れ!」
……なぜ最後まで聞かないんだ、この人は?
「でも、大ちゃんが修理したガジェット、なんで動かないんだろう?」
「ああ。里人くん以外が触れても、動かないようにしたんだぜ」
なるほど。ガジェットは貴重品だ。手段を選ばず、手に入れようとする者が居るかもしれない。
万が一のために、セキュリティはしっかりしなきゃだよな。
「やー! それじゃ、里人を連れて来ればいいんだ! 待ってて!」
「あ、ユーリ、ちょっと待て! その前に……」
「やあああぁぁぁぁ!!」
すごい勢いで部屋を飛び出していくユーリ。
「待てって言ってるのになー? 里人くんを連れてくるだけじゃダメなんだぜー?」
大ちゃんが、やれやれと首を横に振っている。
……ウォルナミス人の耳って、あんなに大きいのに聞こえづらいのか?
「ほら、戦士ユーリは出ていったぞ! お前らもさっさと出ていけ」
シッシッと、手を振って退室を促す美土里。
マジか? 今の会話の流れ……は、聞いてなかったんだよな……
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
あ、もう戻ってきたのか? 遠くから、ユーリの声が近づいて来る。
窓から廊下を見ると、里人くんは手を握られて、宙に浮いている。
白目を剥いているぞ? 大丈夫なのだろうか。
「ゃぁぁぁああああ!! 到着!」
扉を蹴り開け、転がり込んでくるユーリ。
手を繋いだままなので、里人くんまで前転で登場だ。やめてあげて!
「あうあう……ゆ、ユーリちゃん……?」
「何だ何だ? 騒々しいガキ共だな!」
里人はクルクルと目を回しており、美土里は訝しげな表情だ。
「やー、美土里さん! そのガジェット、里人のだから動かないんだよ! 里人、武装! 早く武装!」
ユーリは美土里からガジェットを奪い取って、フラフラの里人に手渡した。
「おいこら、嘘をつけ、戦士ユーリ! 里人じゃないから動かないだと? ガジェットに戦士を見分ける機能なんて無いだろ!」
「えっ? えっ? ちょっと待ってよユーリちゃん。僕のガジェットは、こっちだよ?」
自分のレプリカ・ガジェットを取り出す里人。
周りにいた作業員達が、それを見て、ヒソヒソと噂する。
「おい、あれだぞ!〝損壊率10割〟を、あっという間に修理したっていうレプリカ……」
「ええ?! 10割って、ダメージによる〝強制武装解除〟かよ! そんなの、直すのに何年も掛かるだろう?!」
美土里の猫耳がピクリと反応する。
「……10割モノを修理だぁあ?」
かなり小さな声だったけど、今のは聞いてたんだな。
興味の有る無しで、フィルター掛かりすぎだろ……!
「室長……10割モノって……」
作業員が、そっとツッコミを入れる。
……普通は言わないのか。
「そんな面白そうな物を、私に内緒でイジった奴が居るのか? ズルいぞ?!」
あ、肝心なトコロは、やっぱ聞いてないや……
「ですから! ここに居られる九条さんですよ。スゴかったんですから!」
思わず説明する作業員。
それを聞いて、怒りのあまり、クシャッと顔をゆがめる美土里さん。せっかくの猫耳美少女が台無しだ。
「はあああぁ? 寝ボケてんのか? 8割モノですら満足に直せねぇ奴が、どうやってお宝を直すんだよ?!」
この人〝お宝〟って言っちゃってるよ……
「やー! ちがうよ美土里さん! このガジェットは、もう直ってるんだ! 里人、武装して!」
「いや、待て待てユーリ、それはまだ……」
「武装!」
勢いよくユーリに促されて、ピンと猫耳を立てた里人くんが叫ぶ。
「……あれ? 武装できないよ?」
里人くんは、不思議そうに首を傾げる。
……もー! この一族は、ちょこちょこ可愛いな!
「ほら見ろ。ガキ共に修理なんか出来るわけないだろ! 無駄な時間を使わせやがって!」
「にゃー?! 大ちゃん! にゃんでガジェット動かないのん?」
驚きのあまり、耳を出してしまっているユーリ。
「だから言ったろ? まだだって!」
ユーリと里人くんが、キョトンと同時に首を傾げる。かわいいかよ!
「……ああー、聞こえてなかったか。動力の源となっている、惑星ウォルナミスの〝光球の欠片〟からのエネルギー供給がなくなってるんだぜー? 動くはずがないんだ」
『なるほど。もともと〝光球〟の持っていたエネルギーを、暴走した時に使い切ったんだね』
ブルーが、納得したように言った。
「ええ?! それじゃ、あのガジェットは、もう使えないんじゃ……」
『いや、タツヤ。あの〝光球〟は、周囲の力を蓄え続ける。キミの右手に居る私も、アヤカの心臓も、ダイサクの制御基板も、星の力を集められる限り、力を失うことはない』
……惑星ウォルナミスの化身から削り取られ、欠片になった時点で蓄えられていた、莫大なエネルギーを元に、ガジェットは動作している。暴走で沈黙してしまうのは、供給元が無いからなのだ。
『私がエネルギーを供給すれば、光球の欠片は力を得ることが出来るだろう。ただ、今はまだ、ウォルナミスの意思が欠片に伝わっていない状態だ。あのガジェットの中にあるのは、ただの石コロだね』
ウォルナミスの思いは、あの日、ユーリに託された。
〝助けに来てくれますか?〟
〝絶対来るにゃあっ! 約束するよ!!〟
ユーリが貰ったのは、ウォルナミスの欠片を目覚めさせ、正式に開放する力だ。
「つまり、俺とユーリがいれば、暴走したガジェットは蘇るんだぜー! ユーリ、ウォルナミスの欠片の〝真の力〟を引き出してくれ。ガジェットはもう、直ってるからなー!」
「にゃー、わかったよ! ……目覚めて。ウォルナミスの欠片!」
里人くんの持つウォルナミス・ガジェットが、オレンジの光を放つ。
「わっ? わっ?! これ……もしかして?」
里人くんは目を丸くしてガジェットを見つめている。
「なななっ?! そんなの見たこと無いぞ?! 何なんだ、そのガジェットは?!」
美土里さんも驚いている。
「室長、そのガジェットは、レプリカではなく、里留さんの使っていた、オリジナル・ウォルナミス・ガジェットです」
「……?! な、なんだって?!」
「にゃー! いっけー! 里人!」
「おう! 戦士になれ! 里人くん!」
ユーリと大ちゃんの声に、里人くんは我に返った。
ガジェットを高く掲げて、叫ぶ。
「武装!」
まばゆい光がメンテナンスルームを照らす。
「起動した?! 本当に直っていたのか!」
美土里は驚いているが、大ちゃんが〝直ったぜー〟って言って、直ってない物などありえない。
〝完成したぜー〟って言って、爆発する物は、たまーにあるけど。
「……っていうか、なんで光るんだ?!」
それは完全に大ちゃんの趣味だ。
「にゃー! …………里人、カッコイイよ……!」
「よし! 成功だなー!」
ボディカラーは、白を基調に黄色と赤のラインが入った、鮮やかな色合い。
フォルムは、ウォルナミス・ガジェット特有の埴輪型ではなく。洗練された流線型。僕たちのスーツとも違う、全身に装甲板があるスタイルだ。
肩には、若干大きめのシールドが付いており、表面に〝LICHT〟という文字が入っている。
「これが……僕の、ウォルナミス・ガジェット!」
里人が、両手を見つめて、呟く。
「魔神の剣も、ちょっとイジっておいたぜ! たぶん、合ってるはずだ」
……合ってる?
「魔神の剣!」
里人が叫ぶと、目の前に、真っ白な細身の剣が現れた。
「元々の剣は、里人くんの手に合ってなかったし、重過ぎで動きづらそうだったからなー! 軽くして、持ちやすくしておいたぜ? ……あと、刃は俺のオリジナルだ」
里人くんが剣を手に取ると、刀身にオレンジ色の光が宿る。
「ウォルナミスの力を、ダイレクトに纏わせたんだ。切れない物を探すほうが難しいぜー!」
先程からの説明を、美土里は呆然と見つめている。開いた口が塞がっていない。
「盾も装甲も、光線・熱線反射、自己修復機能付きだ。暴走システムは改良してあるから、万が一暴走しても、一ヶ月ほど休ませれば復活する」
「ちょ、ちょっと……ま」
……ん? 美土里が小刻みに震えているぞ?
「ちょっと待てぇぇえええええ!」
突然、美土里が叫ぶ。
「オリジナルって何だよ! レプリカだと思ってたよ! 恥ずかしいじゃねぇか! どういう事だ! なんで死んだガジェットが生き返る?! なんでお前はガジェットを直せる? いや、直すというか、原型を留めてないだろ! なんだその高性能! 無敵じゃねえか! お前は一体何者だ?!」
質問が長いな! 人の言うことは聞かないくせに、欲張り過ぎだぞ?
「あー、そうか、自己紹介してなかったなー!」
あ、そういえばそうだ。
っていうか、あの状態では、自己紹介すら聞いてもらえなかっただろうけど……
「俺は九条大作。大ちゃんって呼んでくれよなー!」
大ちゃんとユーリ、そしてこの部屋にいたウォルナミス人の方々から、今さらながらの詳しい説明を、美土里は腕を組んで胡座をかいたまま、静かに聞いている。
「話は分かった!」
美土里は、説明を聞き終わり、スックと立ち上がる。
キッと大ちゃんを睨み付け、今まで聞いたことの無いような声で叫んだ。
「にゃあああん! 私を弟子にしてください、師匠ぉぉお!」
本当に、聞いたことも無いような〝猫なで声〟だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
