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それから少し時が流れた。
私は少しずつ、少しずつこの国に慣れ始めていた。
そして今日も私は調合に励んでいた。
「あっつい…」
夏も1番暑い時期に差し掛かり、日に日に暑さが増す。
調合の鍋の前で2時間。
「暑すぎる…暑い…」
解毒薬より回復薬の方が確実に作るのが難しい。何度も何度も失敗を重ねていた。
ちなみに1度も成功していない。
何度も爆発で家を壊しそうになり、師匠に怒鳴られていた。
初めは迷惑をかけてばかりでもう辞めたいと思っていた。
「失敗してもいい。自分の思うようにやれ。私はお前捨てたりしない。弟子だからな。」
と師匠に励まされ、自分の思うように努力してみることにした。
そんな思い出を振り返りながら作った回復薬は、今までとは違う。触った感覚も全然いつもとは違う。
できた。
「師匠ー!!師匠どこですか!!」
「うるさい!ここにいる!」
若干不機嫌の師匠に、出来上がったばかりの薬を見せる。
「自信作ですよ今回は。」
「ほう…?では審査してやろう。」
「うむ…いい出来ではないか。これならナノの店に置くことが出来そうだ。持って行ってやるといい。」
「やっった…!」
初めて味わう達成感を噛み締めながら早速小さな容器に詰めて、ナノさんのお店へ向かう。
少し前まではフランさんのお店を少し借りて、師匠の薬の販売をしていた。
しかしフランさんの店は服屋であり、あまり薬と関連がないためか薬の売れ行きがよくなかった。
そこで私たちはナノという人が開いているお茶、コーヒーなどの飲み物のお店を部分的に借りて、販売することにしたのである。
今まで師匠だけでは作れる量に限界があり、週に2回のみ店に置いてもらっていたが、私という手伝いが増えたことで毎日置いてもらうことができるようになっていた。
「今日の薬、実は私が作ったんですよ!」
「あらまあそうなのですか?遂に作れるようになったのですね!おめでとうございます!」
ナノさんはふわふわとした雰囲気が特徴の女性である。とても可愛く、男性客が彼女目当てで買い物に来るぐらいだ。
上機嫌で自分の作った薬が入っている容器を並べていく。
販売するのは回復薬のみなのにも関わらず、3時間ほどで売り切れてしまう。
薬の普及が追いついていないこの国にとって、この薬はお金で買うことのできる唯一の薬だった。
「今日ももう終わっちゃった。」
もっと作れるようになって、この国の人を助けたい。
これが私の今の目標。
いつも余った時間はお店の掃除などを手伝っている。
「…ナノさんは魔法、使いたくならないですか?」
掃除をしながら何気なく問いかけてみた。
「そうですねえ、使いたいと思ったことはありますけど、魔力を持ちすぎてるとそれを利用しようとする悪い人達に狙われる時があると聞いたことがありまして…。」
そうなると魔力なんてない方がいいかもしれないですね、と彼女は話した。
魔力があると危険なのか。でも魔法が使えたらみんなの生活が少しは楽になるのかな…
そんな事を考えながら、忙しく動き回るナノさんの変わりに店の雑巾がけをする。
夕方が近付いてきてひと段落したので、店の奥で2人でナノさんのおすすめのお茶を飲む。
飲みながら世間話をするこの時間が、私はたまらなく好きだった。
私は少しずつ、少しずつこの国に慣れ始めていた。
そして今日も私は調合に励んでいた。
「あっつい…」
夏も1番暑い時期に差し掛かり、日に日に暑さが増す。
調合の鍋の前で2時間。
「暑すぎる…暑い…」
解毒薬より回復薬の方が確実に作るのが難しい。何度も何度も失敗を重ねていた。
ちなみに1度も成功していない。
何度も爆発で家を壊しそうになり、師匠に怒鳴られていた。
初めは迷惑をかけてばかりでもう辞めたいと思っていた。
「失敗してもいい。自分の思うようにやれ。私はお前捨てたりしない。弟子だからな。」
と師匠に励まされ、自分の思うように努力してみることにした。
そんな思い出を振り返りながら作った回復薬は、今までとは違う。触った感覚も全然いつもとは違う。
できた。
「師匠ー!!師匠どこですか!!」
「うるさい!ここにいる!」
若干不機嫌の師匠に、出来上がったばかりの薬を見せる。
「自信作ですよ今回は。」
「ほう…?では審査してやろう。」
「うむ…いい出来ではないか。これならナノの店に置くことが出来そうだ。持って行ってやるといい。」
「やっった…!」
初めて味わう達成感を噛み締めながら早速小さな容器に詰めて、ナノさんのお店へ向かう。
少し前まではフランさんのお店を少し借りて、師匠の薬の販売をしていた。
しかしフランさんの店は服屋であり、あまり薬と関連がないためか薬の売れ行きがよくなかった。
そこで私たちはナノという人が開いているお茶、コーヒーなどの飲み物のお店を部分的に借りて、販売することにしたのである。
今まで師匠だけでは作れる量に限界があり、週に2回のみ店に置いてもらっていたが、私という手伝いが増えたことで毎日置いてもらうことができるようになっていた。
「今日の薬、実は私が作ったんですよ!」
「あらまあそうなのですか?遂に作れるようになったのですね!おめでとうございます!」
ナノさんはふわふわとした雰囲気が特徴の女性である。とても可愛く、男性客が彼女目当てで買い物に来るぐらいだ。
上機嫌で自分の作った薬が入っている容器を並べていく。
販売するのは回復薬のみなのにも関わらず、3時間ほどで売り切れてしまう。
薬の普及が追いついていないこの国にとって、この薬はお金で買うことのできる唯一の薬だった。
「今日ももう終わっちゃった。」
もっと作れるようになって、この国の人を助けたい。
これが私の今の目標。
いつも余った時間はお店の掃除などを手伝っている。
「…ナノさんは魔法、使いたくならないですか?」
掃除をしながら何気なく問いかけてみた。
「そうですねえ、使いたいと思ったことはありますけど、魔力を持ちすぎてるとそれを利用しようとする悪い人達に狙われる時があると聞いたことがありまして…。」
そうなると魔力なんてない方がいいかもしれないですね、と彼女は話した。
魔力があると危険なのか。でも魔法が使えたらみんなの生活が少しは楽になるのかな…
そんな事を考えながら、忙しく動き回るナノさんの変わりに店の雑巾がけをする。
夕方が近付いてきてひと段落したので、店の奥で2人でナノさんのおすすめのお茶を飲む。
飲みながら世間話をするこの時間が、私はたまらなく好きだった。
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