あなたと私を繋ぐもの。

みりん

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「私はアラバスタ王国第3王子、リオンである。王子の権限において、命令を下す。今すぐに武器を捨てろ。全員だ。」








「ご、ごめんなさい…まさかリオン様だとは知らなかったのです…」
現在男たちはブルブル震え、許しを乞うているところである。

アラバスタ王国の3番目の王子様は、全員を魔法で縛り上げ、
「リオンが私であることを誰にも言わないなら、刑をほんの少し緩めてやるように警官に伝えてやろう。もし言ったなら…その時は、その時だ。覚悟しておけ。」
と、悪い顔をして笑った。


そして王宮から派遣された警官がやってきて男たちが捕まっていくと、王子様はそっと1人の警官に近づき、その旨を囁いた。


警官達が去っていくと、私と、王子様だけが店に残される。
既に瞳の色も服も靴も戻っていて、いつものリオさんになっていた。

どうしたらいいか分からずオロオロしていると、ナノさんと師匠がやってきた。

「あかり!!!!」「あかりさん…!」
師匠は私をしっかりと抱きしめ、よかった、本当によかったと何度も安堵をこぼした。

「師匠、どうして…」

「ナノが呼びに来てくれたのだ。…リオ、お前が守ってくれたのだな。礼を言う。」

師匠は、店内に私とリオさんがいるのを見て、全てを察したようだった。

「あかりさん、リオさん、お店を守ってくださり、本当にありがとうございました…!この恩は一生、一生忘れません…!」

声を出そうとしたが先程の首絞めによるダメージが酷く、声の代わりに咳が出ただけだった。
声を出すことを諦め、へたり込んだまま私は大丈夫だよ、という意味を込めてこくこくと頷く。


「疲れただろう、よく頑張ったな…帰ろう。リオ、あかりをおぶってやれ。説明はその後だ。」



立てない私をリオさんは優しく抱き上げ、守るようにしながら家まで運んでくれた。


「あかり、これを舐めろ。喉にいいのど飴だ。おそらく声が出るはずだ。」
まだ震える手で何とか受け取り口に入れると、優しい蜂蜜の甘みが口いっぱいに広がった。

おちつく。

子供の頃に食べた蜂蜜のお菓子の味によく似てるな…確か母が私の祖母から作り方を習ったって言ってた。

おいしい。懐かしい。


「私は1度席を外す。リオ、自分の口で説明しろ。」

「はい。先生…迷惑かけてすみません。」

「いや、謝らなくていい。今回はお前がいなければここまで上手く収められなかっただろう。よくやったな。」

それだけ行って、師匠は自室へ消えていった。
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