あなたと私を繋ぐもの。

みりん

文字の大きさ
上 下
16 / 28

15

しおりを挟む
パンッ…








痛く…ない、生きている…


恐る恐る目を開けて見ると、私に向けられていた銃口が、右方向に曲がっていた。

金属の銃が、曲がっていた。

「…!お前何をした!」

男は使えなくなった銃を投げ捨てて私の首を掴み、持ち上げてきた。

「異国の娘は危険だ…ソフィー様の言う通り、やはり始末しなければ」

リーダーらしき男は何やらブツブツと呟いていた。

口を空けても入ってこない空気と、足がつかない浮遊感…

混乱しすぎておかしくなりそうだった。

酸素が足りなくて、視界が涙でぼやける。



「おい、その手を離せ。」


誰か、来た。

聞き覚えのある声に、苦しいけれど必死に顔を上げる。


声の主は、リオさんだった。


「銃を曲げたのは僕だ。」

リオさんが私の首を締めている男の手を掴む。

「離せ。」

リオさんのあまりの力の強さに、男は手を離すしかなかった。
その右手からは、魔力が溢れていた。


「はっ…はっ…」

私は解放され、地面にへたり込む。
今は息をすることで精一杯だった。



「武器を捨てろ。」


「お前っ…よくも邪魔をっ!!」

1人の男がリオさんに襲いかかろうとした。


「やめろ。」


その一言に込められたあまりの威圧感に、誰も動くことができなかった。

「何をしている。こんなにか弱い娘相手に。若い娘をいじめて楽しいか?早く武器を捨てるんだ。」

それでも男たちは銃を下ろさない。

「俺たちはその娘を…いや、その前にお前だ!うおおおっ!」

大きな声をあげ、男たちは全員でリオさんに襲いかかろうとした。


「武器を捨てろ、と言ったはずだ。」


リオさんの魔法により、男たちは全員動きを止められていた。

こんな高度で力のいる魔法、庶民や上級貴族が使えるわけがない。


「お前一体…」



リオさんは、ふーっとゆっくりと息を吐き出した。
そして、「解除」と呟いた。


「……!!!!!」


瞳の色が茶色から紫色にじわじわと変わってゆく。


服も、靴も、変わっていく。

これは庶民のものではない。この人は何か違うと、この国に来て間もない私ですら分かった。




紫色…ナナ様の瞳の色だと、フランさんが言っていた。



つまり彼は…



「私はアラバスタ王国第3王子、リオンである。王子の権限において、命令を下す。今すぐに武器を捨てろ。全員だ。」
しおりを挟む

処理中です...