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騒動から1週間後。
ようやく師匠から許しが出て、ナノさんの所で商売をさせてもらえることになった。
「もう喉は…体調は大丈夫なのですか?」
「はい、なんとか…今日からまたスペースを貸していただけますか?」
「喜んでお貸しします!あかりさんがいなければ、この店はどうなっていたか…本当にありがとうございました。」
彼女はそう言ってくれているが、おそらく私のせいでここが狙われた。私がジニアさんの弟子だから。珍しい異国の娘だから。
そう考えると申し訳なさで消えたくなる。
薬を売り切り、いつも通り掃除をしようとすると、ナノさんに止められた。
「復活したばかりでしんどいでしょうし、今日はもうお帰りください。掃除は来週から手伝って頂けますか?」
「分かりました、お気遣いありがとうございます…!ではお先に失礼します。」
ナノさんの言葉に甘えて、支度をし、家に向かって歩き出した。
あと5分ほどで家に着く…というところだった。
目の前に大きな馬車が止まり、中からドレス姿の美しい女の人がゆっくりと馬車から降りてきた。
赤色の瞳。
この人は見たことがある。前王宮に行った時に目が合った人だ。
「あなた、ジニアの弟子ではありませんこと?」
「……はい、あかりと申します。」
「私はこの国の王妃、ソフィーと申しますの。先日はあなたが働いている茶屋が襲われたと聞きましたわ。お体は大丈夫なのですか?」
ソフィー王妃…!
この人が、リオさんのお母さんであるナナ様を…。そして今もリオさんやパル様をを狙い続けている人…?
「…!はい。回復致しまして、今日からまた働いているところです。」
ソフィー様は驚いた様子だった。
「まあ!男達に襲われたのにも関わらず…お強いのねえ…庶民だからかしら?」
そしてぐっと私に近づき、声を低くして聞いた。
「…鎮圧にあのリオンが手を貸したのでしょう?リオンが身分を明かしてまであなたを守ったと聞きましたわ。どうして異国の娘といえど魔力も持たない庶民のあなたが王族のリオンと知り合いなのでしょうねえ?」
じっとりとした、探るような目。
この人に何も話してはいけない…話したら、リオさんが何かされてしまうかもしれない。
なかなか話さない私に怒ったのか、王妃が私の口に人差し指をちょんと付けた。
「なぜ何も話さないの?話しなさいな」
「それは…私がこの国に来た時、ジニア師匠が私のことを見つけて助けてくださって…」
…!?
勝手に口が動いている。話したくない、話したらダメなのに。
焦る気持ちとは裏腹に、言葉は私の意思を無視してどんどん口から溢れていく。
王妃は、私の焦る顔を見てニヤリと笑った。
すると、
「あかり?あかりか?」
と聞きなれた声がした。
ようやく師匠から許しが出て、ナノさんの所で商売をさせてもらえることになった。
「もう喉は…体調は大丈夫なのですか?」
「はい、なんとか…今日からまたスペースを貸していただけますか?」
「喜んでお貸しします!あかりさんがいなければ、この店はどうなっていたか…本当にありがとうございました。」
彼女はそう言ってくれているが、おそらく私のせいでここが狙われた。私がジニアさんの弟子だから。珍しい異国の娘だから。
そう考えると申し訳なさで消えたくなる。
薬を売り切り、いつも通り掃除をしようとすると、ナノさんに止められた。
「復活したばかりでしんどいでしょうし、今日はもうお帰りください。掃除は来週から手伝って頂けますか?」
「分かりました、お気遣いありがとうございます…!ではお先に失礼します。」
ナノさんの言葉に甘えて、支度をし、家に向かって歩き出した。
あと5分ほどで家に着く…というところだった。
目の前に大きな馬車が止まり、中からドレス姿の美しい女の人がゆっくりと馬車から降りてきた。
赤色の瞳。
この人は見たことがある。前王宮に行った時に目が合った人だ。
「あなた、ジニアの弟子ではありませんこと?」
「……はい、あかりと申します。」
「私はこの国の王妃、ソフィーと申しますの。先日はあなたが働いている茶屋が襲われたと聞きましたわ。お体は大丈夫なのですか?」
ソフィー王妃…!
この人が、リオさんのお母さんであるナナ様を…。そして今もリオさんやパル様をを狙い続けている人…?
「…!はい。回復致しまして、今日からまた働いているところです。」
ソフィー様は驚いた様子だった。
「まあ!男達に襲われたのにも関わらず…お強いのねえ…庶民だからかしら?」
そしてぐっと私に近づき、声を低くして聞いた。
「…鎮圧にあのリオンが手を貸したのでしょう?リオンが身分を明かしてまであなたを守ったと聞きましたわ。どうして異国の娘といえど魔力も持たない庶民のあなたが王族のリオンと知り合いなのでしょうねえ?」
じっとりとした、探るような目。
この人に何も話してはいけない…話したら、リオさんが何かされてしまうかもしれない。
なかなか話さない私に怒ったのか、王妃が私の口に人差し指をちょんと付けた。
「なぜ何も話さないの?話しなさいな」
「それは…私がこの国に来た時、ジニア師匠が私のことを見つけて助けてくださって…」
…!?
勝手に口が動いている。話したくない、話したらダメなのに。
焦る気持ちとは裏腹に、言葉は私の意思を無視してどんどん口から溢れていく。
王妃は、私の焦る顔を見てニヤリと笑った。
すると、
「あかり?あかりか?」
と聞きなれた声がした。
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