13 / 13
13.聞いた事がない言葉
しおりを挟む
レイナス大森林の中で移動を始めて3日、俺たちが拠点としようとしていた場所に襲撃をしてきた猿達は、ずっと俺たちの後を付け回していた。どうやら俺に近づくのを恐れているようで遠くから見ているだけで襲ってこようとはしてない。そんな猿達が先ほど急に俺たちから遠ざかりどこかへと行ってしまった。こちらとしてはとても助かるのだが、なんなんだろうな。あれからプチコがろくに眠れていなく、そろそろ体力も限界だった。
「あいつらいなくなったな…少し眠るか?」
「……」
頷くことで返事を返したプチコを支え、少し前方に見える他の木と比べて大きな木へと連れていく。その幹に背を預けるように座らせ俺もその隣に座る。すると横から寝息が聞こえ始めた。あいつらがいないとわかるだけで安心できたのだろう。それはいいことなんだが、他の動物や魔獣がいるかもしれないから警戒はしておいたほうがいい。まあ何が来ても俺が【ガチャ】に消費してしまうだけだから、あまり危険はない。
それにしてもここは何なんだろうか。この大木の周辺が少し開けており、上を見上げるとこの大木の上からだけ光がよく届いている。きらきらと光の粒子が舞い、中々幻想的だ。現実的なことを言うと見えているのは埃か花粉とかなんだろうけどね。
「さて、どうするかね」
現状食料は手に入るまで【ガチャ】を回すことによって何とかなっているが、今俺たちがどのあたりにいるのかわからないし、向かっている方向もはっきりとしていない。一応方向を変えないように一定方向にずっと向かってきたつもり。あまり蛇行して動き回ると大森林から外へ出るのがますます時間がかかってしまうからな。方向がわからなくともまっすぐと歩いて行けばどこかから外へと出られることは間違いない。まあその先がいきなり断崖絶壁とかじゃないことだけは祈っておこうか。
「こっちから来たから…次はこっちへ向かえばいいのか?」
念のために次に向かう方向だけを確認しておき、俺は再び今後のことを考えようとした。
「…お前は誰だっ」
「え?」
すると木々の間から人がやってきた。まさかこんな森の中で人に会うと思っていなかった俺は、かなりおかしな顔をしていたんだろう。その人物は俺の顔をじっと見ると口を押え肩を震わせていたんだから。多分笑いをこらえてたんだよな? 気持ちはわからんでもないが初対面でちょっと失礼だと思う。
「見たことが無い顔だな。というかどうやってここへ?」
「ああ、あっちから歩いてきた」
「歩いてだと? そっちはフォレストエイブの巣があったはずだが…襲われなかったのか? やつら数が多くて結構厄介なんだ。それに…守り神様が許可をだすなんてすごい奴なんだなお前。私達森人ですらここへ近づけるのは数人しかいないというのに」
…なんか聞いた事がない言葉がいっぱい出てきたぞ。フォレストエイブ? 守り神様? 森人?
「まあいい。私は自分の仕事のために来たんだ。それが終わったが里へ案内してやる。守り神様が許可を出した人だからな。村長に会ってもらわないと」
そう言うと俺たちの方へと近づいて来て手に持っていた籠を、俺たちが背にしている大木へと差し出した。俺はその光景を黙って見つめる。
「日々の守りと糧を感謝いたします」
その言葉とともにさっきまで籠の中に入っていたものが光の粒へとなって消えた。普通なら驚くところだが、ここはスキルがあるような世界だ。俺だって高いところから落ちて無事だったくらいなんだから、こういったよくわからないことがあったって驚くことではない。ただ俺の【ガチャ】と同じく消えたものはどこへと行ってしまったんだろういうことは気になるな。
「よし、案内してやるからついてこい」
「あ、ちょっと待ってくれ。プチコ、起きろプチコ」
「ふぁい…アルムさま。ちょっと寝すぎましたか?」
「いやまだ全然時間は経ってないぞ。それより、里へ連れてってくれるらしい」
「里…っ」
プチコが飛び起きた。そりゃそうだよな。人里へ行けるとなれば動物や魔獣の脅威から抜け出せる。まあ人は人で怖いものだが、まだ言葉が通じる分いくらかましだろう。
「連れもおきたみたいだな。じゃあ行くぞ」
「ああところでまだ名前聞いてないな。俺はアルムだ。こっちはプチコ」
「私はルナマール。ルナとかマールとかルナマルとか好きに呼んで」
お互い名前を教えあいながら歩くとすぐに木々が開けた場所へと出た。そこにはのどかな田舎の風景が。木で出来た民家が立ち並び、いくつかある畑にも作物がなっている。まあちょっとおかしな光景も目に飛び込んできているが…屋根の上を飛び回る人とか…一人じゃなくて何人もとか意味が分からん。まあこの里特有の何かなんだろうと俺は視線をそらした。
「あいつらいなくなったな…少し眠るか?」
「……」
頷くことで返事を返したプチコを支え、少し前方に見える他の木と比べて大きな木へと連れていく。その幹に背を預けるように座らせ俺もその隣に座る。すると横から寝息が聞こえ始めた。あいつらがいないとわかるだけで安心できたのだろう。それはいいことなんだが、他の動物や魔獣がいるかもしれないから警戒はしておいたほうがいい。まあ何が来ても俺が【ガチャ】に消費してしまうだけだから、あまり危険はない。
それにしてもここは何なんだろうか。この大木の周辺が少し開けており、上を見上げるとこの大木の上からだけ光がよく届いている。きらきらと光の粒子が舞い、中々幻想的だ。現実的なことを言うと見えているのは埃か花粉とかなんだろうけどね。
「さて、どうするかね」
現状食料は手に入るまで【ガチャ】を回すことによって何とかなっているが、今俺たちがどのあたりにいるのかわからないし、向かっている方向もはっきりとしていない。一応方向を変えないように一定方向にずっと向かってきたつもり。あまり蛇行して動き回ると大森林から外へ出るのがますます時間がかかってしまうからな。方向がわからなくともまっすぐと歩いて行けばどこかから外へと出られることは間違いない。まあその先がいきなり断崖絶壁とかじゃないことだけは祈っておこうか。
「こっちから来たから…次はこっちへ向かえばいいのか?」
念のために次に向かう方向だけを確認しておき、俺は再び今後のことを考えようとした。
「…お前は誰だっ」
「え?」
すると木々の間から人がやってきた。まさかこんな森の中で人に会うと思っていなかった俺は、かなりおかしな顔をしていたんだろう。その人物は俺の顔をじっと見ると口を押え肩を震わせていたんだから。多分笑いをこらえてたんだよな? 気持ちはわからんでもないが初対面でちょっと失礼だと思う。
「見たことが無い顔だな。というかどうやってここへ?」
「ああ、あっちから歩いてきた」
「歩いてだと? そっちはフォレストエイブの巣があったはずだが…襲われなかったのか? やつら数が多くて結構厄介なんだ。それに…守り神様が許可をだすなんてすごい奴なんだなお前。私達森人ですらここへ近づけるのは数人しかいないというのに」
…なんか聞いた事がない言葉がいっぱい出てきたぞ。フォレストエイブ? 守り神様? 森人?
「まあいい。私は自分の仕事のために来たんだ。それが終わったが里へ案内してやる。守り神様が許可を出した人だからな。村長に会ってもらわないと」
そう言うと俺たちの方へと近づいて来て手に持っていた籠を、俺たちが背にしている大木へと差し出した。俺はその光景を黙って見つめる。
「日々の守りと糧を感謝いたします」
その言葉とともにさっきまで籠の中に入っていたものが光の粒へとなって消えた。普通なら驚くところだが、ここはスキルがあるような世界だ。俺だって高いところから落ちて無事だったくらいなんだから、こういったよくわからないことがあったって驚くことではない。ただ俺の【ガチャ】と同じく消えたものはどこへと行ってしまったんだろういうことは気になるな。
「よし、案内してやるからついてこい」
「あ、ちょっと待ってくれ。プチコ、起きろプチコ」
「ふぁい…アルムさま。ちょっと寝すぎましたか?」
「いやまだ全然時間は経ってないぞ。それより、里へ連れてってくれるらしい」
「里…っ」
プチコが飛び起きた。そりゃそうだよな。人里へ行けるとなれば動物や魔獣の脅威から抜け出せる。まあ人は人で怖いものだが、まだ言葉が通じる分いくらかましだろう。
「連れもおきたみたいだな。じゃあ行くぞ」
「ああところでまだ名前聞いてないな。俺はアルムだ。こっちはプチコ」
「私はルナマール。ルナとかマールとかルナマルとか好きに呼んで」
お互い名前を教えあいながら歩くとすぐに木々が開けた場所へと出た。そこにはのどかな田舎の風景が。木で出来た民家が立ち並び、いくつかある畑にも作物がなっている。まあちょっとおかしな光景も目に飛び込んできているが…屋根の上を飛び回る人とか…一人じゃなくて何人もとか意味が分からん。まあこの里特有の何かなんだろうと俺は視線をそらした。
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる