12 / 13
12.決定事項(妹視点)
しおりを挟む
アルム兄さまが家から姿を消して数日。まるでそれが当たり前かのように日常が流れていきます。私は毎日の情報収集を欠かさず行っておりますが、アルム兄さまの情報は全然集まりません。やはりこの場にいないもののことは話題になりにくいのかもしれませんね。
そんなこんなで一番上の兄であるオルグラート兄さまが今度13歳を迎えます。それに伴い、入学試験があるそうです。爵位の関係でよほどじゃなければ落ちることのない試験だそうですが。
で、問題はそこではありません。一般的に入学すると言うのは自分たちが住んでいる国にある学院へと入るものなのです。なのですがオルグラート兄さまはどうやら別の国の学院の試験を受けるようです。そんなことをこの間情報収集をしていて掴みました。私たちの住む国アルペンジーオ、その北に隣接しているクルガナ、さらに南に隣接しているダルダンジア、向かうのならこの2つのどちらかだと思いました。ところが兄さまが選んだのは隣接していない西にある国サラフェルなんだそう。
サラフェルといえば…そうです。母さまのおうちがある国だった気がします。なるほど…なにか理由があってオルグラート兄さまは向かうのでしょう。
「サラティナ、あなたもそろそろ勉学に剣術などを習わなくてはいけませんね」
そんなことを考えていると母さまがやって来てこう言いました。言われてみれば2人のお兄さまたちも私くらいから勉強などを始めていた気がします。13歳から学院でならうのですから必要ない気もしますが…きっと事前に教わっておくことに意味があるのでしょう。
「わかりましたお母さま」
「それにマナーなどはさらに強化いたします」
「マナーですか…」
「ええ、あなたには王子との婚姻を結んでいただかないといけませんからね」
お母さまは一体何を言っているのでしょうか…王子との婚姻?? ちょっとよくわかりません。私は将来アルム兄さまと結婚するのです。これはもう私の中では決定事項なのです。
「私はアルム兄さまとがいいのですが…」
「何を馬鹿なことを言っているのですかっ あんな…っ いえ、あなたたちは血を分けた兄妹なのですから、それは出来ないのですよ」
「そうなんですか、残念です」
…あんな? お母さまは何を言いかけたのでしょうか。気にはなりますが、流石に心の中は見えませんのでどうしようもないですね。それにしても同じ血を分けた兄妹が結婚出来ないというのは知りませんでした…私の将来設計が台無しです。もう一度考え直さないといけません。どうやったらアルム兄さまの傍にいられるか、これが最重要ですので。そうですね…侯爵家はオルグラート兄さまが継ぐでしょうから、私はアルム兄さまの侍女にでもなりましょうか? お母さまは王子との結婚を望んでいるようですが、私はアルム兄さまのお世話の方がやりたいですね。それが無理でしたら…奴隷にでも落として私が買いましょうか。一生傍においておけます。これはもっと情報収集が必要になりますね。どうやったら奴隷に出来るのかわかりませんし、お金も稼がねばなりません。念のために侍女になるにはどうしたらいいのかも調べましょうか。
「お母さま、私ちょっと書庫で勉学に励みたいと思います」
「あら、それはよいですね。王子の相手としてふさわしい学力を身に付けなさい」
「失礼いたします」
ごめんなさいお母さま。私は王子には興味ありませんの。だってすでに王子は15歳、後1年で成人ですのよ? 9歳の私から見たら若いおっさんです。結婚相手としては素晴らしいのでしょうけど、私としてはもっと年が近い方が好みなのですよ。本当ならアルム兄さまが私よりも下ならもっとよかったんですけど。そこは贅沢を言ってはいけないでしょう。
「書庫へ向かいます」
「勉学もいいですが、家の中くらい場所を覚えられた方がいいのでは?」
「…首を切られたいのですか?」
余計なおせっかいなのです。一人で行動をすることなどどうせないのですから、そんなのは後回しなのですよ。そのくらいいつも一緒なのですから気がつくべきでしょう。今日も仕事を与えただけなのですよ? さて、今私に必要なのはアルム兄さまの情報とどうやったら奴隷に出来るのか、後は侍女になる手段でしょうかね。
待っていてくださいねアルムお兄様。私お兄様が戻るころまでに準備をしておりますから。考えただけで楽しくて仕方がありません。
「サラティナ様、そちらではありませんよ」
「……」
やっぱり首を切りましょうか?
そんなこんなで一番上の兄であるオルグラート兄さまが今度13歳を迎えます。それに伴い、入学試験があるそうです。爵位の関係でよほどじゃなければ落ちることのない試験だそうですが。
で、問題はそこではありません。一般的に入学すると言うのは自分たちが住んでいる国にある学院へと入るものなのです。なのですがオルグラート兄さまはどうやら別の国の学院の試験を受けるようです。そんなことをこの間情報収集をしていて掴みました。私たちの住む国アルペンジーオ、その北に隣接しているクルガナ、さらに南に隣接しているダルダンジア、向かうのならこの2つのどちらかだと思いました。ところが兄さまが選んだのは隣接していない西にある国サラフェルなんだそう。
サラフェルといえば…そうです。母さまのおうちがある国だった気がします。なるほど…なにか理由があってオルグラート兄さまは向かうのでしょう。
「サラティナ、あなたもそろそろ勉学に剣術などを習わなくてはいけませんね」
そんなことを考えていると母さまがやって来てこう言いました。言われてみれば2人のお兄さまたちも私くらいから勉強などを始めていた気がします。13歳から学院でならうのですから必要ない気もしますが…きっと事前に教わっておくことに意味があるのでしょう。
「わかりましたお母さま」
「それにマナーなどはさらに強化いたします」
「マナーですか…」
「ええ、あなたには王子との婚姻を結んでいただかないといけませんからね」
お母さまは一体何を言っているのでしょうか…王子との婚姻?? ちょっとよくわかりません。私は将来アルム兄さまと結婚するのです。これはもう私の中では決定事項なのです。
「私はアルム兄さまとがいいのですが…」
「何を馬鹿なことを言っているのですかっ あんな…っ いえ、あなたたちは血を分けた兄妹なのですから、それは出来ないのですよ」
「そうなんですか、残念です」
…あんな? お母さまは何を言いかけたのでしょうか。気にはなりますが、流石に心の中は見えませんのでどうしようもないですね。それにしても同じ血を分けた兄妹が結婚出来ないというのは知りませんでした…私の将来設計が台無しです。もう一度考え直さないといけません。どうやったらアルム兄さまの傍にいられるか、これが最重要ですので。そうですね…侯爵家はオルグラート兄さまが継ぐでしょうから、私はアルム兄さまの侍女にでもなりましょうか? お母さまは王子との結婚を望んでいるようですが、私はアルム兄さまのお世話の方がやりたいですね。それが無理でしたら…奴隷にでも落として私が買いましょうか。一生傍においておけます。これはもっと情報収集が必要になりますね。どうやったら奴隷に出来るのかわかりませんし、お金も稼がねばなりません。念のために侍女になるにはどうしたらいいのかも調べましょうか。
「お母さま、私ちょっと書庫で勉学に励みたいと思います」
「あら、それはよいですね。王子の相手としてふさわしい学力を身に付けなさい」
「失礼いたします」
ごめんなさいお母さま。私は王子には興味ありませんの。だってすでに王子は15歳、後1年で成人ですのよ? 9歳の私から見たら若いおっさんです。結婚相手としては素晴らしいのでしょうけど、私としてはもっと年が近い方が好みなのですよ。本当ならアルム兄さまが私よりも下ならもっとよかったんですけど。そこは贅沢を言ってはいけないでしょう。
「書庫へ向かいます」
「勉学もいいですが、家の中くらい場所を覚えられた方がいいのでは?」
「…首を切られたいのですか?」
余計なおせっかいなのです。一人で行動をすることなどどうせないのですから、そんなのは後回しなのですよ。そのくらいいつも一緒なのですから気がつくべきでしょう。今日も仕事を与えただけなのですよ? さて、今私に必要なのはアルム兄さまの情報とどうやったら奴隷に出来るのか、後は侍女になる手段でしょうかね。
待っていてくださいねアルムお兄様。私お兄様が戻るころまでに準備をしておりますから。考えただけで楽しくて仕方がありません。
「サラティナ様、そちらではありませんよ」
「……」
やっぱり首を切りましょうか?
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる