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1章 由雄と健太の夏休み

第82話 恨みでもある…のか?

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 とりあえずゴブリンがファーナさんを狙ってくることがわかったので、それだけでも動きやすくはなる。だが…俺はチラリと健太のほうを見る。俺達に狩れるかどうかはやってみなければわからない。あの見た目は反則だと思う。魔物には違いないのだが、俺からみると地球外生命体というか、ちょっと色の悪い別の国の人といわれても通用しそうな見た目をしているのだ。

「はあぁ~…気が重い」
「どしたよっすー?」
「なんでもない」

 健太はいつもどおりだ。俺が気にしすぎなのかもしれないが、もしこれで倒すことが出来なかった場合、すべてファーナさん任せになってしまうわけなんだが…それは流石にまずいよな。まあ数匹様子見て判断することにしよう。

 俺達はそのまま進み次の角をまた左へと曲がった。するとその先で多分誰かが戦っているのであろう音が聞こえてきた。まあ…誰かというかあの双子なんだろうが、念のためゆっくりと様子を見るべく近づいていった。

「死ね…消えろ。ふんっ…このゴミが…」
「いっけぇ~~灰になれっあははははっ!!」

 重そうな飾りのついた大きな杖を振るい次々とゴブリンを倒していくリノ。そして火の魔法を連発しながらひたすらゴブリンを燃やすミネ…その奥にはまだ数匹ゴブリンが待機しており、どうやら2人に近づくのをためらっているようにも見える。というかお互いを前に差し出し押し付けあっている。その光景はまるで地獄のようにも見えた。まあ実際の地獄なんて知らないんだけどな。

 それを背後から眺めていた俺達はゆっくりと後ずさりをし、元来た道を戻っていった。

「こええよあの2人…」
「まるでゴブリンに恨みでもあるかのようだったな」
「相手がゴブリンじゃ仕方ないよ。もうやるかやられるかっていう気持ちで挑まないと、気を抜いたら負けだからね」

 ファーナさんの考えも中々怖かった。あれか誰しもゴブリンに襲われるのはいやだという気持ちからきているのだろう。それならまあ仕方がない…のか?
 俺達はそのまま入り口のところへ戻ると今度はもう1つあった別のルートから先へと進むことにした。たまにくるババントは俺とファーナさんが倒しながら進む。たまーに低い位置にいるやつに健太がナイフを振り回していたが、やはり当てられずにいた。そしてゴブリンなのだが…

「…っ」

 今のところ近寄られる前にすべてファーナさんが倒しているので、俺達の出番はない。その光景を眺めているとまるで自分で倒したかのようにも錯覚してしまいそうだ。見慣れて来たら案外倒せるのかもしれない。ファーナさんの矢もどれだけあるのかわからないしな。
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