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とても空気が冷えていた。それでも日は窓から差し込み朝になったと伝えてくる。まあ寒気耐性を持っている俺は寒さは感じるが全然気にもならないくらいなので、すぐにベッドから起き上がり窓を開けて室内の空気を入れ替えた。
「おはよう今日もいい天気だね」
『相変わらず朝がはえーなおい』
「そういうクロは毎日だるそうだね」
朝の日課となりつつあるクロとの会話を済ませ俺は身支度を整えた。
実はある日クロがひょっこりとこの町へやって来てちょっとした騒動が起きた。俺もこの時は知らなかったんだけど、クロって黒死鳥と呼ばれ不運を招く鳥ということで人からは嫌われているそうだ。そんなクロが町に現れたもんだから冒険者とか騎士団とかがやって来てクロを追いかけまわしたんだ。で、その途中たまたま町の中を歩いていた俺と遭遇。どうにか頼み込んでクロをギルドで俺の獣魔ということで登録してもらい今に至る。
『寒いのはあまり得意じゃないんだよ』
「そりゃ仕方ない」
あれから2年たち俺は5歳になった。そして宿屋暮らしだった俺と一緒に過ごしてくれている3人は今じゃこの町で拠点となる家を手に入れる。ここがその家なんだけど…
バン!
「朝ですよ!」
バン!
「時間になりますっ」
バン!
「そろそろ起きましょう~」
「「「寒いわ~!!」」」
みんなの部屋を順番に周り窓を開けて起こす。人は安心できる場所が出来るとここまでだらけるのかと…俺が起こしに行かないと全然起きてこなくなってしまったんだ。
「確か今日明日と泊りがけの仕事だとか言ってなかったですか?」
「そうだったっ 助かるわシオン」
そういうとクラックさんは飛び起きてバタバタと身支度を始める。前日にやっておけばよかったものを思わないでもないが、こればかりはやるやらないは個人で決めること。俺が口だしてはいけない領域だ。
シオンというのはこの3人が考えてくれた俺の名前だ。どうやら黒いと思っていた俺の髪の色はすごく暗い紫色だった。ロザリさんがまるでシオンの花の色ねと言ったのがきっかけだったかな。トールさんは似合っていると言っていたっけ。クラックさんはもうそれでいいんじゃね? という適当ぶりだったけども。
「いつも起こしてくれてありがとう」
「自分の出来ることをやっているだけなので」
うん、トールさんは一番対応が大人だよね。ちょっと朝が弱くいらいは仕方がない。
トールさんに挨拶を済ませた後俺は朝食を用意するために台所へと向かった。ここでの料理もすっかりと慣れたもので、俺が使いやすいように色々と準備されている。まあいつまでも俺が小さいわけじゃないので、その場合もちゃんと考えて動かせるようにもなっていた。
「おはよーシオン。あっ パンケーキは余分に焼いてね? 仕事に持っていくから」
「今やっていますよ~」
「流石シオンね」
ロザリさんはすっかりとパンケーキにはまってしまい、ほぼ3食パンケーキを食べている。もちろんそれだけじゃなくちゃんと他のものも食べてはいるんだけど。
慌ただしくみんなで朝食を済ませると俺は3人を送り出した。一応一緒に冒険者活動をしているんだけど、こういった泊りの時は俺は留守番になる。外への狩りへはまだ近場しか一緒に行っていないからね。つまり一人の間は大人しく町の中の仕事をやることになる。
「よし、俺も家じゅうクリーンかけたらギルドへ行こうかな」
3人が泊まりで出かけてしまっている間、俺はギルドの世話になることになっている。だからちゃんと戸締りの確認も忘れてはいけない。
『律儀だね~』
「そうかな?」
家の鍵を閉めた後歩き出すとクロが飛んできて肩に止まった。すっかりとこの光景を見慣れてしまった町の人たちはチラリとみるだけで後は気にしなくもなったのがありがたい。もちろん外から来た人はすごくいやそうな顔をしたり、騒ぐ人もいたりしてちょっと申し訳ない。だけどクロは俺の大事な家族。申し訳ないと思うけどこの関係はやめる気が無いのだ。
「おはようございまーす」
冒険者ギルドについた。まずは受付で挨拶を済ませ、俺が一人でも出来る仕事を紹介してもらう。
「いらっしゃいシオンくん。今日は一つ指名の仕事がはいっているわよ」
「指名ですか?」
珍しいこともあるもんだね。普通5歳児に仕事なんてすすんで頼むことはない。でも指名というくらいだから俺にその仕事を受けて欲しいということになる。
「ほらこれよ」
「ああ…この人ですか」
「まだ仕事決めてないなら行ってあげると喜ばれるわよ」
目の前にさしだされた紙に書かれている内容を確認する。依頼主は以前にも受けたことがある相手だ。特にやろうと思っていた仕事はない。
「じゃあ受けますね。あ、今日こっちに泊まるのでよろしくお願いします」
「あーあの人たち数日いないんだっけ…わかったわ」
受ける仕事が決まった俺はギルドの中から外へと出て、本日受けた仕事の依頼人の所へと向かうのだった。
「おはよう今日もいい天気だね」
『相変わらず朝がはえーなおい』
「そういうクロは毎日だるそうだね」
朝の日課となりつつあるクロとの会話を済ませ俺は身支度を整えた。
実はある日クロがひょっこりとこの町へやって来てちょっとした騒動が起きた。俺もこの時は知らなかったんだけど、クロって黒死鳥と呼ばれ不運を招く鳥ということで人からは嫌われているそうだ。そんなクロが町に現れたもんだから冒険者とか騎士団とかがやって来てクロを追いかけまわしたんだ。で、その途中たまたま町の中を歩いていた俺と遭遇。どうにか頼み込んでクロをギルドで俺の獣魔ということで登録してもらい今に至る。
『寒いのはあまり得意じゃないんだよ』
「そりゃ仕方ない」
あれから2年たち俺は5歳になった。そして宿屋暮らしだった俺と一緒に過ごしてくれている3人は今じゃこの町で拠点となる家を手に入れる。ここがその家なんだけど…
バン!
「朝ですよ!」
バン!
「時間になりますっ」
バン!
「そろそろ起きましょう~」
「「「寒いわ~!!」」」
みんなの部屋を順番に周り窓を開けて起こす。人は安心できる場所が出来るとここまでだらけるのかと…俺が起こしに行かないと全然起きてこなくなってしまったんだ。
「確か今日明日と泊りがけの仕事だとか言ってなかったですか?」
「そうだったっ 助かるわシオン」
そういうとクラックさんは飛び起きてバタバタと身支度を始める。前日にやっておけばよかったものを思わないでもないが、こればかりはやるやらないは個人で決めること。俺が口だしてはいけない領域だ。
シオンというのはこの3人が考えてくれた俺の名前だ。どうやら黒いと思っていた俺の髪の色はすごく暗い紫色だった。ロザリさんがまるでシオンの花の色ねと言ったのがきっかけだったかな。トールさんは似合っていると言っていたっけ。クラックさんはもうそれでいいんじゃね? という適当ぶりだったけども。
「いつも起こしてくれてありがとう」
「自分の出来ることをやっているだけなので」
うん、トールさんは一番対応が大人だよね。ちょっと朝が弱くいらいは仕方がない。
トールさんに挨拶を済ませた後俺は朝食を用意するために台所へと向かった。ここでの料理もすっかりと慣れたもので、俺が使いやすいように色々と準備されている。まあいつまでも俺が小さいわけじゃないので、その場合もちゃんと考えて動かせるようにもなっていた。
「おはよーシオン。あっ パンケーキは余分に焼いてね? 仕事に持っていくから」
「今やっていますよ~」
「流石シオンね」
ロザリさんはすっかりとパンケーキにはまってしまい、ほぼ3食パンケーキを食べている。もちろんそれだけじゃなくちゃんと他のものも食べてはいるんだけど。
慌ただしくみんなで朝食を済ませると俺は3人を送り出した。一応一緒に冒険者活動をしているんだけど、こういった泊りの時は俺は留守番になる。外への狩りへはまだ近場しか一緒に行っていないからね。つまり一人の間は大人しく町の中の仕事をやることになる。
「よし、俺も家じゅうクリーンかけたらギルドへ行こうかな」
3人が泊まりで出かけてしまっている間、俺はギルドの世話になることになっている。だからちゃんと戸締りの確認も忘れてはいけない。
『律儀だね~』
「そうかな?」
家の鍵を閉めた後歩き出すとクロが飛んできて肩に止まった。すっかりとこの光景を見慣れてしまった町の人たちはチラリとみるだけで後は気にしなくもなったのがありがたい。もちろん外から来た人はすごくいやそうな顔をしたり、騒ぐ人もいたりしてちょっと申し訳ない。だけどクロは俺の大事な家族。申し訳ないと思うけどこの関係はやめる気が無いのだ。
「おはようございまーす」
冒険者ギルドについた。まずは受付で挨拶を済ませ、俺が一人でも出来る仕事を紹介してもらう。
「いらっしゃいシオンくん。今日は一つ指名の仕事がはいっているわよ」
「指名ですか?」
珍しいこともあるもんだね。普通5歳児に仕事なんてすすんで頼むことはない。でも指名というくらいだから俺にその仕事を受けて欲しいということになる。
「ほらこれよ」
「ああ…この人ですか」
「まだ仕事決めてないなら行ってあげると喜ばれるわよ」
目の前にさしだされた紙に書かれている内容を確認する。依頼主は以前にも受けたことがある相手だ。特にやろうと思っていた仕事はない。
「じゃあ受けますね。あ、今日こっちに泊まるのでよろしくお願いします」
「あーあの人たち数日いないんだっけ…わかったわ」
受ける仕事が決まった俺はギルドの中から外へと出て、本日受けた仕事の依頼人の所へと向かうのだった。
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