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第1話 転職しましょ?
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道とは言い切れない足場の悪い道を歩き、私は目の前を歩く彼女の後をついて歩いた。どこへ行くのかは聞かされておらずただついてこいと言われただけなので詳細はわからないのだが、このまままっすぐ進むと行き先は知っている場所へと出るのだった。
「ついたぞっ」
「はあ…どこへ出かけるのですか?」
「うむ、精霊の森だな」
「精霊の森…ですか?」
たどり着いた場所は転移ゲート。我々がここから他の場所へと移動するのに使う転移用の門だ。これを見れば出かけるのが近場ではないことがすぐにはわかる…わかったのだが、なぜ精霊の森へと行くのかが聞かされていない。私としてはその理由を聞いているつもりだったのですが彼女にはもっと直接聞かないと伝わらなかったみたいだ。
「魔王様…転移ゲートを利用なさるのならまずは説明を」
「説明? 何をだ??」
「精霊の森へと向かう理由です」
「…はぁ? アルクウェイよ…精霊の森にピクニックにでも行くと思っているのか?」
「いえ…ですから説明を求めているのですが」
見た目がまだ幼く見える彼女はかわいらしく首を傾げた。そんな顔をされても困るんですけどね。
「あのな、直接どこへでも行けるゲートで精霊の森を通り道にするわけがないであろう? つまりな、転職をしにいくんだ」
何を言っているのか私には理解が出来ません。なぜ魔法を使うものとして最強である魔王様が転職をしなければならないのか…頭を抱えてしまいます。
「ほら、説明したぞ。アルクウェイよ行くぞ」
「あっ お待ちを…!」
止める間もなく彼女に腕を引かれゲートをくぐった。一瞬だけ視界が奪われそのまぶしさに目が慣れるとそこはすでに精霊の森だ。しかも転職の泉の前。
「魔王様落ち着いてくださいっ なぜいきなり転職をなさるのか教えてください! 何か不満があるのですか? それとも日々の生活や食事に問題が…っ」
「落ち着くのはお前じゃっ」
ゴッと鈍い音が私の頭上からしました。どうやら私は彼女にげんこつで殴られたようです。後から遅れて痛みがやってきます。げんこつとはいえ魔王様の力です。その威力は普通の人間なら大けがをしていたことでしょう。私は軽くこぶが出来た程度でしたが…
「アルクウェイよ…そもそも魔王とはなんなのじゃ」
「はい…魔法を極めし物の頂点とも言われている職業です」
「うむ。で? 魔法を極めた先には何があるのじゃ??」
「先…ですか?」
「そうじゃ」
考えたこともありませんでした。一つの職業を極めた先など…私はうろたえ、すぐに返事を返せず視線をさまよわせます。
「………退屈なのじゃ」
「は?」
「極めてしまうと毎日がやることがなくて退屈なのじゃ~~~~~!!」
「え、あ、でもっ」
「うるさぁ~~いっ そもそも勇者はどうした! なぜわらわに挑みに来ぬのだっ 毎日毎日それを楽しみに待ち続けたというのに一向に現れぬではないかっっ」
必死に訴える彼女の言葉に私はあとずさりします。魔王の力はとても強いのです。ただの魔王の側近の一人である私が普通に立っていることは出来ません。
「勇者ですか…そういえば来ませんでしたね」
「そうなのじゃ。で、あまりにも退屈なので転職することにしたんじゃ」
「えーと…何に転職するのかお聞きしても?」
「うむ…それなのだがな、いっそのことわらわが勇者になろうかと思ってな」
…開いた口が塞がらないとはまさにこのことです。今きっと私はかなりあほな顔をしていることでしょう。
「魔王様、それだと今度は魔王がいなくなりますよ」
「うむ、だからこうしてアルクウェイ…そなたも連れてきたのではないか」
「といいますと…ま、まさかっ」
彼女はにやりと少しだけ意地悪そうな顔をして笑いました。とてもいやな予感がします。
「わらわが勇者でそなたが魔王となればよいのじゃ。うむ、これで解決じゃな」
「な、な…何をいっているのですかぁーー!」
いやな予感はとてもよくあたるもので、ついつい大きな声を上げてしまいました。一度深呼吸をして落ち着いたほうがいいかもしれません。
「ついたぞっ」
「はあ…どこへ出かけるのですか?」
「うむ、精霊の森だな」
「精霊の森…ですか?」
たどり着いた場所は転移ゲート。我々がここから他の場所へと移動するのに使う転移用の門だ。これを見れば出かけるのが近場ではないことがすぐにはわかる…わかったのだが、なぜ精霊の森へと行くのかが聞かされていない。私としてはその理由を聞いているつもりだったのですが彼女にはもっと直接聞かないと伝わらなかったみたいだ。
「魔王様…転移ゲートを利用なさるのならまずは説明を」
「説明? 何をだ??」
「精霊の森へと向かう理由です」
「…はぁ? アルクウェイよ…精霊の森にピクニックにでも行くと思っているのか?」
「いえ…ですから説明を求めているのですが」
見た目がまだ幼く見える彼女はかわいらしく首を傾げた。そんな顔をされても困るんですけどね。
「あのな、直接どこへでも行けるゲートで精霊の森を通り道にするわけがないであろう? つまりな、転職をしにいくんだ」
何を言っているのか私には理解が出来ません。なぜ魔法を使うものとして最強である魔王様が転職をしなければならないのか…頭を抱えてしまいます。
「ほら、説明したぞ。アルクウェイよ行くぞ」
「あっ お待ちを…!」
止める間もなく彼女に腕を引かれゲートをくぐった。一瞬だけ視界が奪われそのまぶしさに目が慣れるとそこはすでに精霊の森だ。しかも転職の泉の前。
「魔王様落ち着いてくださいっ なぜいきなり転職をなさるのか教えてください! 何か不満があるのですか? それとも日々の生活や食事に問題が…っ」
「落ち着くのはお前じゃっ」
ゴッと鈍い音が私の頭上からしました。どうやら私は彼女にげんこつで殴られたようです。後から遅れて痛みがやってきます。げんこつとはいえ魔王様の力です。その威力は普通の人間なら大けがをしていたことでしょう。私は軽くこぶが出来た程度でしたが…
「アルクウェイよ…そもそも魔王とはなんなのじゃ」
「はい…魔法を極めし物の頂点とも言われている職業です」
「うむ。で? 魔法を極めた先には何があるのじゃ??」
「先…ですか?」
「そうじゃ」
考えたこともありませんでした。一つの職業を極めた先など…私はうろたえ、すぐに返事を返せず視線をさまよわせます。
「………退屈なのじゃ」
「は?」
「極めてしまうと毎日がやることがなくて退屈なのじゃ~~~~~!!」
「え、あ、でもっ」
「うるさぁ~~いっ そもそも勇者はどうした! なぜわらわに挑みに来ぬのだっ 毎日毎日それを楽しみに待ち続けたというのに一向に現れぬではないかっっ」
必死に訴える彼女の言葉に私はあとずさりします。魔王の力はとても強いのです。ただの魔王の側近の一人である私が普通に立っていることは出来ません。
「勇者ですか…そういえば来ませんでしたね」
「そうなのじゃ。で、あまりにも退屈なので転職することにしたんじゃ」
「えーと…何に転職するのかお聞きしても?」
「うむ…それなのだがな、いっそのことわらわが勇者になろうかと思ってな」
…開いた口が塞がらないとはまさにこのことです。今きっと私はかなりあほな顔をしていることでしょう。
「魔王様、それだと今度は魔王がいなくなりますよ」
「うむ、だからこうしてアルクウェイ…そなたも連れてきたのではないか」
「といいますと…ま、まさかっ」
彼女はにやりと少しだけ意地悪そうな顔をして笑いました。とてもいやな予感がします。
「わらわが勇者でそなたが魔王となればよいのじゃ。うむ、これで解決じゃな」
「な、な…何をいっているのですかぁーー!」
いやな予感はとてもよくあたるもので、ついつい大きな声を上げてしまいました。一度深呼吸をして落ち着いたほうがいいかもしれません。
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