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第2話 追放された
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「ほらいくぞ」
「あ、お待ちを…っ」
私が深呼吸をしていると転移ゲートをくぐった時と同じように、彼女に腕を引かれ私と彼女は転職の泉の中へと飛び込んでいたのだった。一瞬だけ感じる息苦しさを通り過ぎると視界はきらきらと輝いており、とても綺麗で思わずその光景に私は見とれる。この経験は2度目のことになるのだけど、やはりまだ2度目。この感動はとてのじゃないけれど表しきれないものなのだと再確認をすることになった。
「わらわは勇者に、そしてこっちは魔王へと転職するのじゃ」
「…あっ 魔王様まだ私は転職すると言っていません!!」
「もう遅いのじゃ…」
すっと魔王様の指先が示している先から光の渦がこちらへと向かってきていた。あれはたしか…前回職業に就いたときに見たことがある光景だった。泉に飛び込み職業を選んだ後…あのような光の渦に飲み込まれ泉の外へと運び出されると魔王の側近という職業をいただいたのでしたっけ? ということはまさか…っ
「そ、そんなぁ~~」
私の叫び声は光の渦に飲み込まれてすぐに聞こえなくなった。ぎゅっと閉じた瞳を開けると私と彼女は泉のふちに立ち尽くしていたのだった。つまり転職が完了したということなのだろう。
「あはっ わらわはちゃんと勇者になっておるぞ。勇者LV1だな」
ブォンとすぐ真横で音がすると彼女は自身のステータスを確認しているようだ。私は頭を抱えつつもそれに見習い同じくステータスを開いて確認することにする。
「魔王LV1…です…」
「いいねぇ…これでやっと対決が出来るってもんだねぇ~」
「よくないですっ」
彼女は不思議そうな顔をして首を傾げているのだけど、何が嬉しくて恩人である彼女と対決しなければならないのか…私は悲しくて仕方がありません。
「そんな顔をするでない。折角の美形がだいなしじゃぞ?」
「でも…」
「まあ何はともあれ無事転職も済んだし、一度我が家に戻ってまずはレベル上げからかのう」
ごそごそと彼女は懐にしまってあった帰還の石を取り出すとそれを足元へ叩きつけた。カッと一瞬だけ眩しく光を放つと私と彼女は転移ゲートをくぐる前にいたいわゆる魔王城へと戻ってきた。
「さてさっ…そく?」
楽しそうに走り出そうとした彼女の動きが止まる。その視線の先には怖い顔をした元魔王様とその奥様が…私の顔が青ざめるのも一瞬であった。
「弱くなっておりますね」
「そのようだな…してどこへ行っておったのだ? …ん?」
「は…母上に、ちちちち父上まで!!」
「どこへ、行ってきた?」
元魔王様の言葉に彼女はガタガタと震え顔を青ざめる。転職をしてレベルも1からになったのだから職業など関係なく、お二人の強さに圧倒されてもしかたがないであろう。私も先ほどから立っているので精いっぱいだ。彼女をかばうべき言葉ですら口に出すことが出来ない。
「せ、精霊の…森へ…」
「ほう…確か精霊の森は転職の泉がある場所だったな。まさか…っ」
「はいっ 転職してきました!」
彼女は元気よく言葉を出した。とてもそれは勇気のいることだったと思う。流石勇者という職業だ。元魔王とすでに会話が出来るとは…
「まあ…では今は魔王ではないということですね?」
「……だ」
「あ、あの…もう一度お願い…します?」
元魔王様の言葉がうまく聞き取れず彼女は聞きなおしを要求した。流石にこの行動に私は驚き身を縮めた。
「追放だー!! 誰かーっ このものらをつまみだせいっ!!」
この言葉に現れた者たちが私と彼女を見るとぎょっとした顔をしつつ、元魔王様と交互に見て困惑している。すごくその気持ちが私にはわかり彼らにとても同情してしまう。
「アルクウェイ…そなたが付いておりながらこれはどういうことかっ」
「………っ」
「いいか? 魔王に戻るまで帰ってくるでないぞ!!」
こうして私と彼女は転移ゲートから再び精霊の森へと追い出されてしまったのであった。
「あ、お待ちを…っ」
私が深呼吸をしていると転移ゲートをくぐった時と同じように、彼女に腕を引かれ私と彼女は転職の泉の中へと飛び込んでいたのだった。一瞬だけ感じる息苦しさを通り過ぎると視界はきらきらと輝いており、とても綺麗で思わずその光景に私は見とれる。この経験は2度目のことになるのだけど、やはりまだ2度目。この感動はとてのじゃないけれど表しきれないものなのだと再確認をすることになった。
「わらわは勇者に、そしてこっちは魔王へと転職するのじゃ」
「…あっ 魔王様まだ私は転職すると言っていません!!」
「もう遅いのじゃ…」
すっと魔王様の指先が示している先から光の渦がこちらへと向かってきていた。あれはたしか…前回職業に就いたときに見たことがある光景だった。泉に飛び込み職業を選んだ後…あのような光の渦に飲み込まれ泉の外へと運び出されると魔王の側近という職業をいただいたのでしたっけ? ということはまさか…っ
「そ、そんなぁ~~」
私の叫び声は光の渦に飲み込まれてすぐに聞こえなくなった。ぎゅっと閉じた瞳を開けると私と彼女は泉のふちに立ち尽くしていたのだった。つまり転職が完了したということなのだろう。
「あはっ わらわはちゃんと勇者になっておるぞ。勇者LV1だな」
ブォンとすぐ真横で音がすると彼女は自身のステータスを確認しているようだ。私は頭を抱えつつもそれに見習い同じくステータスを開いて確認することにする。
「魔王LV1…です…」
「いいねぇ…これでやっと対決が出来るってもんだねぇ~」
「よくないですっ」
彼女は不思議そうな顔をして首を傾げているのだけど、何が嬉しくて恩人である彼女と対決しなければならないのか…私は悲しくて仕方がありません。
「そんな顔をするでない。折角の美形がだいなしじゃぞ?」
「でも…」
「まあ何はともあれ無事転職も済んだし、一度我が家に戻ってまずはレベル上げからかのう」
ごそごそと彼女は懐にしまってあった帰還の石を取り出すとそれを足元へ叩きつけた。カッと一瞬だけ眩しく光を放つと私と彼女は転移ゲートをくぐる前にいたいわゆる魔王城へと戻ってきた。
「さてさっ…そく?」
楽しそうに走り出そうとした彼女の動きが止まる。その視線の先には怖い顔をした元魔王様とその奥様が…私の顔が青ざめるのも一瞬であった。
「弱くなっておりますね」
「そのようだな…してどこへ行っておったのだ? …ん?」
「は…母上に、ちちちち父上まで!!」
「どこへ、行ってきた?」
元魔王様の言葉に彼女はガタガタと震え顔を青ざめる。転職をしてレベルも1からになったのだから職業など関係なく、お二人の強さに圧倒されてもしかたがないであろう。私も先ほどから立っているので精いっぱいだ。彼女をかばうべき言葉ですら口に出すことが出来ない。
「せ、精霊の…森へ…」
「ほう…確か精霊の森は転職の泉がある場所だったな。まさか…っ」
「はいっ 転職してきました!」
彼女は元気よく言葉を出した。とてもそれは勇気のいることだったと思う。流石勇者という職業だ。元魔王とすでに会話が出来るとは…
「まあ…では今は魔王ではないということですね?」
「……だ」
「あ、あの…もう一度お願い…します?」
元魔王様の言葉がうまく聞き取れず彼女は聞きなおしを要求した。流石にこの行動に私は驚き身を縮めた。
「追放だー!! 誰かーっ このものらをつまみだせいっ!!」
この言葉に現れた者たちが私と彼女を見るとぎょっとした顔をしつつ、元魔王様と交互に見て困惑している。すごくその気持ちが私にはわかり彼らにとても同情してしまう。
「アルクウェイ…そなたが付いておりながらこれはどういうことかっ」
「………っ」
「いいか? 魔王に戻るまで帰ってくるでないぞ!!」
こうして私と彼女は転移ゲートから再び精霊の森へと追い出されてしまったのであった。
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