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中央の島

162. ジエルの料理

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「お腹空いた」
「を…?」

 急にジエルが目の前にやってきた。どうやらもう昼になるみたいだ。ネコルーは…もう自分で魚を取って食べている。自由な奴だな~

「じゃあ今から作るからもう少し待って」
「私が作る」
「ジエルが?」
「そう」
「ネコルーに食べてもらう」

 作ってくれるのはいいんだけどネコルーはさっきからもう自由に食べてるぞ?

「えーと…材料は何がいる?」
「肉と野菜を適当に」

 ふむ…何を作るつもりなんだろうか。テーブルを取り出しその上に肉や野菜を並べていく。

「木を1本貰う」
「え、ああ…」
「? …妖精に言った」

 なんだ俺にじゃないのか。妖精たちに聞くのはわからんでもないけど、ここの持ち主である俺にも聞いて? でも木を1本って…うをっ ジエルが魔法で木をバラバラに切り刻んでいる。それがぱらぱらと木のあった足元へと降り注いでいる。

「結構多いな…」

 バラバラになった木辺を抱えてジエルがこっちに戻って来た。それをくみ上げ魔法で火をつけた。生木に火をつけるもんだから音と煙がひどいことになっている。

「少しの辛抱」

 その様子をじっと眺めてたら言われた。まあ確かに少し待てば収まるかもだが…

「肉と野菜も切る…」
「ちょっと待ってまさか魔法で切るつもりかっ」

 なにいってるんだそんなの当り前じゃないみたいな顔をして頷くジエル。

「そのままテーブルまで刻むつもりか?」
「むう…」

 包丁とまな板をさしだしたらおとなしく切り…

「めんどくさい…」

 文句を垂れながらも材料を切っていった。この間ミンチを作った時は楽しそうだったのに…あれか、ちまちまやるのが嫌なのか? どうやらさっき付けた火を使って肉や野菜を焼くみたいだ。バーベキューってところか。木に刺した肉を焼きあげジエルはネコル―の所へ。

「どーぞ?」
「ル?」

 でもネコルーは匂いを嗅ぐだけで口を付けない。普通に考えればわかるだろう?

「熱いから食べれないってさ」
「ぬ…フーフーする」

 少し冷ましてやったらネコルーが食べた。ちょっとジエルが嬉しそうだった。何度かネコルーに食べさせたあと自分の分も焼いていたが…

「おいしくない…」

 そりゃそうだ。調味料何もつけてないし。ネコルーはなくても気にしないだろうが、流石に塩すら無しは厳しいと思うよ。

「ほら塩かけてやるから」
「ん…」

 それからジエルは自分の分を焼き上げ満足したのか再びネコルーと遊びだした。俺とルーの分は作らないらしい。まあまだ火がついていたので同じように肉と野菜を焼いて食べたが…肉も野菜も散らかしたまま、木片も放置で散乱してる状態で全く片付けしなかったんだよね。

「ルー…ジエルの教育はどうなってるんだ?」
「えーと…そもそも自分から料理するとか珍しい感じだね」

 つまりやったことがないってやつか。まあそりゃそうだよな跡継ぎの教育みたいなのしかやってないだろうし。俺はため息を吐きだしながら片付けをした。木片は大量で、インベントリにしまうと317個となっていた。後でどこかに並べて乾燥させておこう。生木は燃やすもんじゃないよ…
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