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西側の大陸

168. 馬車を見る

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 案内されたのは町に入ってすぐの所で、そこにはいくつもの木材が積まれていた。その奥に若干大き目な建物が2つほどありそこで馬車を作ったり販売したりしているのだとか。まあ大体が注文を受けてから作るので置かれているのはいらなくなって戻された中古の馬車などらしい。まあ中古といってもろくに乗らずに返却されたものや注文して作ったけどキャンセルされたものとかの新品とかもあり、綺麗な物から今にも壊れそうなものまでいろいろあるんだと。

「馬車を見せてくれっ」
「おう。どんな馬が引くんだ?」
「ネコだ」
「ネコォ~? …まあ引けないこともないだろうが何匹で引くつもりなんだ」
「…1匹だな」
「それだとあまり大きい馬車は無理だな…あっちだ。左の建物なら小さめな物が多いそっちから選べ」
「おっさんあんがと! えーと…そういえばお前の名前聞いてないぞ」
「あー言ってなかったっけリョータだ」
「リョータか。あっちだってさいくぞ」

 落ち着きのない奴だな…今来たばかりなのにさっさと会話進めてもう移動かよ。まあ俺が話すより早そうだからいいんだけど、なんかもやもやする。
 言われた左の建物に入ると中には様々な馬車があった。壊れかけているものもあり修理している人とかもいるな。

「そこのおっちゃん馬車紹介してくれっ」
「んあ~? どんな馬車だ?」
「えーとねこが引ける小さめな馬車。あとは…なんか条件あるかリョータ?」
「そうだな…屋根があって外から見えないもの。中の広さはそんなになくてもいいかな」

 なんていうかあれだネコルーが引けるのだけが条件。中は人が一人でも入れるくらいで十分だね。馭者台に座ってルーが操作して隣でたぶん俺になると思うが、座れるだけでいい。荷台の中にテントでも設置して他は大人しくしててもいいってこと。まあシズクとジエルを目の届かない場所に2人きりにするのは心配だが…

「何言ってんだ? リョータあまり狭いと疲れるぞ??」
「いいんだよ。小さいので」
「ふぅーん…後で買ってから文句言うなよな」

 いちいちうるさいな。そっちこそ後で驚くんじゃないってところだ。

「小さくていいんだな。だったらここからこっちだ。一応値段の順番に置いてあるが、一番高いのはこいつで金貨5枚な」
「へー…」

 ネコルーがぎりぎり引けそうな馬車で一番高いのは金貨5枚か…これは荷馬車じゃなくて普通の小さめな馬車だ。ただ中に座れるのが2人というサイズ。ただちょっと古いのか木がささくれたりしている。

「荷馬車で金貨1枚までで小さめのは? もちろん屋根付き」
「そうだな…この辺はどうだ? 小ぶりで布張りだが屋根があって銀貨8枚だ。ちょっと布が穴が開いている箇所があるが、そこさえ埋めれば雨もある程度大丈夫じゃないか?」

 荷馬車はいわゆるかまぼこ型ってやつだ。馭者台の所からと後ろ側からとどちらからでも中に入れて扉がついていないタイプ。中は4人が座れるくらいの大きさ。荷物を積むとなるとあまり詰めないサイズの荷馬車だね。まあ俺たちは荷物を積むわけじゃないのでいいんだが。まあこのくらいなら今後使えるかもしれないし買ってもいいかな…

「どうだい買うかい? あと馬具はあるか?」

 馬具…そうか馬車をネコルーが引けるようにするのにいるのか。

「ないです」
「だったら馬具と布の穴埋め込みで金貨1枚でどうだ?」
「じゃあそれでお願いします」
「まいど! じゃあ穴埋めするからちょっとばかし時間もらうな?」

 金貨を1枚支払い、修理待ちをすることになった。
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