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エルフの里
209. 昔話2
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頭を抱えていた勇者がゆっくりと顔をあげた。その顔を見てルリアーナは驚いた。勇者が現れたのは彼が20を過ぎたころだった。それから20年ほど共に過ごした彼はすでに50になろうとしていた。それなのに今目の前にいる勇者は若さを感じる姿をしていた。どうみても10は若返っている。ルリアーナは勇者に声をかけた。彼は10年ほどの記憶を失っていた。今回完成させた魔方陣のことも覚えていなかったということだ。記憶は戦争が終わったあたりだったことで判断された。
「若返った??」
「はい、正確なことはわからないのですが…10年前の世界から召喚されたんじゃないかと」
それってつまりその召喚魔法は…勇者を召喚する物、ではなく別時間軸のたけを呼び出す魔方陣ってこと…じゃないのか?
「ここからはシズクさんの方が詳しいのじゃないですか?」
ルリアーナさんはチラリとシズクに視線を送った。それにつられ俺もシズクを見ると青ざめた顔をしていた。つまり知っているってことなんだ。
「ジエル…シズクに掛けた魔法解除してやってくれ」
「ん…」
ジエルがシズクに手を伸ばし魔法を使用した。それに合わせて俺の拘束も解いてやる。
「やっぱり俺たち獣人は…頭が足りないと言われるわけだ…」
「間違いに気がついたのならただせば良いのです。中には元に戻せないものもありますが、それでもその謝罪する気持ちは相手にいつか届くのですから」
シズクはボロボロと涙をこぼし始めた。その様子を見てルリアーナさんは笑顔を、ルーは困った顔を、ジエルは…うんこれは何も考えていないな。ひとしきり涙を流したシズクは目元を拭いゆっくりと話を始める。
「召喚魔法…獣人族は持ち帰ってすぐ1枚消費した」
「そうですね、それによりこちらにいた勇者様は姿を消しました」
「さらに数年後勇者の消息が分からなくなったからまた…」
「そうですか…それで?」
ルリアーナさんはさらにその先があるだろうと促す。
「勇者は俺の父親だった…」
「そうだと思いました。その召喚回数、間で一度人族が使用したのでしょう。最後に召喚されたとき勇者様はおいくつくらいでしたか?」
「20過ぎくらいだ」
「つまりほとんどこの世界の記憶がない状態だったんでしょうね。でしたらどうしようもないことです」
なんてことだ、この世界でたけは勇者として各種族で取り合いがされているだなんて…
「それにしてもおかしいですね…10年ずつ若返っていた…50、40は私の所で。30は獣人…次は人族の20…もう一度獣人で20? 初めてこの世界に召喚された年より若く召喚されなかったってことでしょうか??」
「現在召喚されている最後である勇者様は16だといっていましたよ」
混乱する頭を抱えつつルリアーナさんとルーの会話に耳を傾けた。
「魔方陣をさらに改良したのでしょう…ところで勇者様はどんな理由で召喚されたのかは聞いていますか?」
「たしか魔王討伐って言っていました」
「魔王ですか?」
ルーの言葉にルリアーナさんが首を傾げる。その姿は本当にジエルそっくりだ。ちらりとジエルを見ると同じポーズで固まっている。何してんだこいつ…
「誰のことを魔王といっているのでしょうね…そんな人物は聞いたこともないのですけど」
この言葉にはシズクも頷いていた。つまり魔王という話は人間族の間でしか周知されていない言葉というわけだ。ところで勇者のことはよくわかったんだが、その話と俺がここに呼ばれたわけがどうかかわってくるのかがまだ聞かされていない。みんなはすっかり魔王をことが気になって一番俺が聞きたかった話について忘れてるんじゃないだろうか?
「若返った??」
「はい、正確なことはわからないのですが…10年前の世界から召喚されたんじゃないかと」
それってつまりその召喚魔法は…勇者を召喚する物、ではなく別時間軸のたけを呼び出す魔方陣ってこと…じゃないのか?
「ここからはシズクさんの方が詳しいのじゃないですか?」
ルリアーナさんはチラリとシズクに視線を送った。それにつられ俺もシズクを見ると青ざめた顔をしていた。つまり知っているってことなんだ。
「ジエル…シズクに掛けた魔法解除してやってくれ」
「ん…」
ジエルがシズクに手を伸ばし魔法を使用した。それに合わせて俺の拘束も解いてやる。
「やっぱり俺たち獣人は…頭が足りないと言われるわけだ…」
「間違いに気がついたのならただせば良いのです。中には元に戻せないものもありますが、それでもその謝罪する気持ちは相手にいつか届くのですから」
シズクはボロボロと涙をこぼし始めた。その様子を見てルリアーナさんは笑顔を、ルーは困った顔を、ジエルは…うんこれは何も考えていないな。ひとしきり涙を流したシズクは目元を拭いゆっくりと話を始める。
「召喚魔法…獣人族は持ち帰ってすぐ1枚消費した」
「そうですね、それによりこちらにいた勇者様は姿を消しました」
「さらに数年後勇者の消息が分からなくなったからまた…」
「そうですか…それで?」
ルリアーナさんはさらにその先があるだろうと促す。
「勇者は俺の父親だった…」
「そうだと思いました。その召喚回数、間で一度人族が使用したのでしょう。最後に召喚されたとき勇者様はおいくつくらいでしたか?」
「20過ぎくらいだ」
「つまりほとんどこの世界の記憶がない状態だったんでしょうね。でしたらどうしようもないことです」
なんてことだ、この世界でたけは勇者として各種族で取り合いがされているだなんて…
「それにしてもおかしいですね…10年ずつ若返っていた…50、40は私の所で。30は獣人…次は人族の20…もう一度獣人で20? 初めてこの世界に召喚された年より若く召喚されなかったってことでしょうか??」
「現在召喚されている最後である勇者様は16だといっていましたよ」
混乱する頭を抱えつつルリアーナさんとルーの会話に耳を傾けた。
「魔方陣をさらに改良したのでしょう…ところで勇者様はどんな理由で召喚されたのかは聞いていますか?」
「たしか魔王討伐って言っていました」
「魔王ですか?」
ルーの言葉にルリアーナさんが首を傾げる。その姿は本当にジエルそっくりだ。ちらりとジエルを見ると同じポーズで固まっている。何してんだこいつ…
「誰のことを魔王といっているのでしょうね…そんな人物は聞いたこともないのですけど」
この言葉にはシズクも頷いていた。つまり魔王という話は人間族の間でしか周知されていない言葉というわけだ。ところで勇者のことはよくわかったんだが、その話と俺がここに呼ばれたわけがどうかかわってくるのかがまだ聞かされていない。みんなはすっかり魔王をことが気になって一番俺が聞きたかった話について忘れてるんじゃないだろうか?
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