【本編完結】異世界に召喚されわがまま言ったらガチャのスキルをもらった

れのひと

文字の大きさ
226 / 356
エルフの里

210. お姉ちゃんだし

しおりを挟む
「一度休憩にしましょうか」

 ルリアーナさんは立ち上がり部屋を出ていった。残された俺たちはどうしたらよいのかわからずそのままソファーに座っていた。

「私達姉妹だったのね?」
「ルー…俺、最初から知ってたんだ。ただいなくなったおやじを探してて…」
「そう…でも今の話の通りだとするとすでにいません。私の父親もそうですから。と言いますかあなたはまだ一緒に過ごせただけましですよね? 私とジエルは生まれた時からすでにいなかったんですよ」

 ジエルは何を考えているかわからないけれど、ルーとシズクの話によるとシズクは父親が勇者だというのを黙っていた。ルーは多分そうじゃないかと思っていたから以前シズクに対しての会話があんな感じだったってことか。

「で、結局俺が呼ばれたのはガチャのスキルのせいだとはわかったけど…それが何なんだろうな」
「それは後程説明があると思います」
「ルーは知ってるの?」
「もちろんです。リョータさんのスキルはとてもすごい物なんですよ?」

 すごいと言われてもすごさの程度がわからんな…だってさっき聞いた勇者の話の方がやばいだろう。たけすごい奴だったんだな? ただ記憶がないし、環境によっては同じことが出来るようになるかわからない。その辺が残念な人になっている気もする。現在は言われるままレベル上げのためにダンジョン攻略中だしな。というかまだダンジョンにいるんだろうか? そのあたりのこともわかるのなら教えてもらいたい。

 お茶をすすりながらぼんやりとしているとせんべいを食べる音が響いてきた。あー…確かに緑茶にせんべいは合うかもだけど、こういった話のお茶うけには向いてないよな。

「ジエル行儀が悪いよ?」
「むー…」

 せんべいを食べてたのはお前かよ! しかもせんべい片手にお絵描きを始めている。

「あら…それはシズクさんね?」
「ん、俺?」
「そう。ルーのもある」

 そういってジエルは別のページを開いた。腰に手を当てどことなく怒っているかのような表情のルー。

「私そんなに怒ってばかりだったかな?」
「ルーはもっと私に優しくしてくれてもいいと思う」
「もう…っ」

 ジエルの護衛兼教育係じゃ仕方ないよな。

「シズクはいい子」
「よせよ…」
「私お姉ちゃんだし」

 ジエルは身を乗り出しシズクの頭をなでた。言葉では嫌がっているシズクもジエルには叶わないのか大人しくなでられている。義理の姉妹だけど仲良くしているのはいいことだな。ルーとジエルはこんなふうに仲良くしているところは見たことなかったし。

「ルーもいつも頑張ってる」
「ジエル…」

 反対の手でルーの頭にも手を伸ばしなで始めた。ちょっと疎外感を感じる俺。まあ仲間に入ることは出来ないよね。そんなことを考えているとシズクと目があった。

「リョータ…救世主様? 勇者を、父を助けてください」
「ジエル…」

 普段感情をほとんど顔に出さない子なのにその表情が歪んでいた。もしかすると後を継ぐのに忙しくてあまり話を聞かされていなくて今回父親のことを初めて聞いたのかもしれない。そんな彼女の願いに俺は応えてやりたいとは思った。だけど…

「俺まだ何のために呼ばれたのかわかってないから、話聞いてからな?」
「わかってる。それでいい」

 冷たいと思われるかもしれないが、安請け合いは出来ないだろう。助けてやると言っておいてだめでしたじゃジエルに申し訳ない。もちろん友人でもあるから俺が何かすることで助けることが出来るのなら…言うまでもないよな。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...