291 / 356
追われる
275. 御神木様に会いに行く
しおりを挟む
「響子」
「あれ…ローレンスさんは?」
俺は響子に一度エルフの里の方にいる御神木様に会って話がしたいことを伝えた。
「ほう…それはちょうどよい。一度妹に会ってみたいと思っておったのじゃ」
「妹?」
「そうじゃ」
いやごめん…こっちの御神木様の方が妹に見えただなんて言ったら怒られそうだ。余分なことは口にしないに限る。
「御神木様どうしで連絡とる方法はないものなの?」
「ちゃんと根が地面を張っておれば連絡はとれるのじゃが、今はこんな状態であろう? それにその前は体の維持で精いっぱいであったしの。どうせならこの機会に直接会うのもよかろうて」
なるほどね、直接あったことはなかったのか。いや会える方がおかしいか…御神木様同士が大きな木の体を動かして挨拶をしあうのを想像したら、魔物と間違えられて攻撃される情景が浮かんだ。普通に無理だったわ。
「御神木様はいいみたいだし響子もそれでいいか?」
「もちろんいいよ~ というかこれでも一応巫女なので御神木様の意思は尊重しますよぉ~?」
「…巫女だからとはいはい気軽に返事する必要もないがの」
最後にぼそりと御神木様が何か言っていたが響子には聞こえていなかったみたいだ。
「ただいま戻りました」
そのタイミングでローレンスさんが扉経由でこの家に戻って来た。部屋の扉が開いて腕にはお菓子を抱えている。どうやらケーキ屋で説明を受けてお嬢様のためにお菓子を買ってきたみたいだね。
「今度は持ち帰ることを前提としてマジックバックを持参しようと思います」
とてもいい笑顔だ…でも言われてみればケーキは買ってきていないみたいだね。流石に手持ちじゃ無理だったってことか。
「ところでそちらの御神木様はずっとそのようにされるのですか?」
「あーいえ、ちゃんと決められた場所に植えますよ」
「そうですかそれならよかったです」
そうだよね…このままじゃ大きく出来ないし、御神木様事態も行動の制限かあって基本響子から離れられないし気になるか。
「はい、でもその前に一度こちらにいる御神木様に会わせようかと思いまして」
「なんと…っ そのような光景に参加されるとは羨ましいことです」
「ローレンスさんも参加されますか?」
「是非に…と言いたいところですが、この後お嬢様が戻られまして。残念ですがもしまたそのような機会があるのでしたらおねがいいたします」
あー…なるほどね。ローレンスさんは仕事があるわけだ。だけどまたの機会はないと思う。御神木様が地に根を張ってしまったらもう動けない。
ローレンスさんと別れ俺と響子はフランモネへとテレポートを繰り返した。町に入ってからルーと連絡を取り、森の前で待つように言われた。
「そういえばりょーちゃんどうやって王都から出てきたの?」
「聞きたいの?」
「…悪いことしてないよね?」
どの程度から悪いことだと言うのかわからんから何とも言えないんだが…
「りょーちゃん??」
「お待たせしました」
そんな話をしているとルーが森の中からやってきた。いいタイミングだね。
「そちらが御神木様ですか?」
「ああ」
「御神木様がお待ちです」
響子がまだ何か言いたそうな顔をしていたが御神木様が待っているというからね? 早くいかないと! というかどちらも御神木様だから呼びわけが難しいな。
「あれ…ローレンスさんは?」
俺は響子に一度エルフの里の方にいる御神木様に会って話がしたいことを伝えた。
「ほう…それはちょうどよい。一度妹に会ってみたいと思っておったのじゃ」
「妹?」
「そうじゃ」
いやごめん…こっちの御神木様の方が妹に見えただなんて言ったら怒られそうだ。余分なことは口にしないに限る。
「御神木様どうしで連絡とる方法はないものなの?」
「ちゃんと根が地面を張っておれば連絡はとれるのじゃが、今はこんな状態であろう? それにその前は体の維持で精いっぱいであったしの。どうせならこの機会に直接会うのもよかろうて」
なるほどね、直接あったことはなかったのか。いや会える方がおかしいか…御神木様同士が大きな木の体を動かして挨拶をしあうのを想像したら、魔物と間違えられて攻撃される情景が浮かんだ。普通に無理だったわ。
「御神木様はいいみたいだし響子もそれでいいか?」
「もちろんいいよ~ というかこれでも一応巫女なので御神木様の意思は尊重しますよぉ~?」
「…巫女だからとはいはい気軽に返事する必要もないがの」
最後にぼそりと御神木様が何か言っていたが響子には聞こえていなかったみたいだ。
「ただいま戻りました」
そのタイミングでローレンスさんが扉経由でこの家に戻って来た。部屋の扉が開いて腕にはお菓子を抱えている。どうやらケーキ屋で説明を受けてお嬢様のためにお菓子を買ってきたみたいだね。
「今度は持ち帰ることを前提としてマジックバックを持参しようと思います」
とてもいい笑顔だ…でも言われてみればケーキは買ってきていないみたいだね。流石に手持ちじゃ無理だったってことか。
「ところでそちらの御神木様はずっとそのようにされるのですか?」
「あーいえ、ちゃんと決められた場所に植えますよ」
「そうですかそれならよかったです」
そうだよね…このままじゃ大きく出来ないし、御神木様事態も行動の制限かあって基本響子から離れられないし気になるか。
「はい、でもその前に一度こちらにいる御神木様に会わせようかと思いまして」
「なんと…っ そのような光景に参加されるとは羨ましいことです」
「ローレンスさんも参加されますか?」
「是非に…と言いたいところですが、この後お嬢様が戻られまして。残念ですがもしまたそのような機会があるのでしたらおねがいいたします」
あー…なるほどね。ローレンスさんは仕事があるわけだ。だけどまたの機会はないと思う。御神木様が地に根を張ってしまったらもう動けない。
ローレンスさんと別れ俺と響子はフランモネへとテレポートを繰り返した。町に入ってからルーと連絡を取り、森の前で待つように言われた。
「そういえばりょーちゃんどうやって王都から出てきたの?」
「聞きたいの?」
「…悪いことしてないよね?」
どの程度から悪いことだと言うのかわからんから何とも言えないんだが…
「りょーちゃん??」
「お待たせしました」
そんな話をしているとルーが森の中からやってきた。いいタイミングだね。
「そちらが御神木様ですか?」
「ああ」
「御神木様がお待ちです」
響子がまだ何か言いたそうな顔をしていたが御神木様が待っているというからね? 早くいかないと! というかどちらも御神木様だから呼びわけが難しいな。
3
あなたにおすすめの小説
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる